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【共有】プロサバンナ下でのナンプーラ州市民社会と政府のやり取り(NGO側まとめ)(1)

この記事では、「プロサバンナにノー!」という全国キャンペーンが今週現地で開始されたことを受けて、現地社会や組織のプロサバンナに関する「受け止め」を日本の関係者や市民が理解することが重要なため、急きょ公開します。

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本資料は、第9回ProSAVANA事業に関する外務省NGO意見交換会で披露された資料(前半)です。
先般、参議院決算委員会(5月12日)にて、石橋通道議員(民主党)の質問に対し、JICAの田中明彦理事長が、プロサバンナ事業の対話が基本的には進んでいるとの見解を示し、この記事で紹介する「ナンプーラ州市民社会プラットフォーム(PPOCS-N)」について、「対話の日程調整中」との答弁をしましたが、事実は異なっていました。

これを受けて急きょ作成され、外務省・JICAに意見交換会時に提出され、説明されたものです。

この間、東京でなされる外務省・JICAの説明と、現地で本当に起こっていることの間にあまりに隔たりが大きく、「ProSAVANA事業に関する意見交換会」は、そのギャップを指摘し、補正するための役割を果たし続けてきました。

2013年7月の第5回意見交換会から1年が経過しますが、その議事要旨の公開が止まっており、1年に亘る5回分の議論を皆さまにお知らせすることが出来ず心苦しく思います。(NGO側議事要旨は第9回を除きすべて政府側にあります)
第1回~4回は次の外務省サイトに公開されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/prosavana/prosavana_01.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/prosavana/prosavana_02.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/prosavana/prosavana_03.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/prosavana/prosavana_04.html

以下の文章も、市民社会と政府の間の果てしなく遠いギャップを埋めるために、現地市民社会や農民組織の協力を得て作成されました。長いですが、日本のODAが何故「現地の声」を聞いているつもりなのに、聞けないのか、是非一緒に考える材料にしてください。勿論、これはNGO側資料であり、異なる点があれば後日訂正依頼をと御願いしています。

その1(本記事):2014年3月12日までのNGO側説明まとめ
その2(次記事):それ以降のまとめ

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プロサバンナ事業におけるナンプーラ州市民社会プラットフォーム(PPOSC-N)と政府のやり取りに関するNGO側まとめ(2013年8月~2014年5月)

作成日:2014年5月13日

1. 第8回(前回*2014年3月12日)意見交換会までのNGO側説明のまとめ
すでに第6回意見交換会(2013年11月)、7回意見交換会(2013年12月18日)、ODA政策協議会(2013年12月9日)、「ProSAVANA市民社会報告2013」で紹介している通り、現地調査(2013年7-8月)、メールでのやり取り、並びに現地追加調査(2013年12月)で確認したところ、PPOSC-Nによると以下のような状況が発生した。詳細は、意見交換会、ODA政策協議会の議事録および「市民社会報告2013 」を参照されたい。

(1) マスタープラン策定は共に行う方向で調整し、「方法論」について議論を開始していたが、プロサバンナ事務局の進め方に問題があったため(移動が難しい地域での直前の会議告知や特定の人物に対する個別連絡など、広範で民主的な参加が確保できず「対話」と呼べない手法での予定表の送付、UNACの排除やマスタープラン案へのアライメント発言。市民社会報告書P188~194)、会議をボイコットしている2週間の間に、コンセプトノートなるものが発表された。つまり、コンセプトノートはPPOSC-Nの関与がなくても、すでに出来ていた。

(2) 他方で、PPOSC-Nが合意していない会議について一方的な開催通知が出され、「約束したのに来なかった」とJICAに説明された(2013年9月30日)。

(3) この間のテレビ番組(2013年9月17日)でも、モザンビーク政府のプロサバンナ事務局担当者らが、PPOSC-Nと「技術審議会」を設置が合意署名された(実際はしていない)と宣伝された(詳細PPOSC-Nプレスリリース(e))。つまり、PPOSC-Nの実質的な参加と合意がないままに、プロセスが進められる一方、名前だけが使われるという事態が発生した。

(4) コンセプトノートは、同じ9月中に、発表後直ちにニアサ州の農村部で議論を開始されたが(23日)、その推進プロセスは問題の多いものであった(詳細は前述プレスリリース(f))。プロサバンナ事務局からそのプロセスの正当性がプレスリリースで対外宣伝され、さらに心象を悪いものとした。

(5) またPPOSC-Nにとってコンセプトノートの中身は承服賛同できないしがたいものであった。

(6) これらを受けて2013年9月30日PPOSC-Nから「プロサバンナ事業に関するプレスリリース」が発表され、10月3日にはプロサバンナ事務局(ナンプーラ)に手渡された。同プレスリリース(日本語訳)は、第6回意見交換会で紹介され、7回意見交換会時に配布されている。そのポイントは以下の9点である。

a) 我々は「ProSAVANA事業の停止と再考を要請する公開書簡」がPPOSC-Nのアジェンダの根幹部分を成していることについて再度確認した。我々は依然としてモザンビーク政府からの書簡への回答を待っている状態にある。

b) 少なくとも現在まで証明されてきた限りにおいて、ProSAVANA事業が農民男女の利益を擁護する方向で、家族農業を促進するプログラムであるとは認めない。むしろ、農民らの生活を悪化させるものであるとみる。

c) PPOSC-Nは、UNACにモザンビークの農民男女を代表し代弁する正当性があることを認める。なぜなら、UNACは、農民たちの利益を守るための全国でもっとも広範な組織であり、全州に支部が存在するからである。ナンプーラ州には、の各郡にある農民男女によるアソシエーションのフォーラムやユニオンも同様である。UNACは、モザンビークにおける農業の発展に関する政策、(国家)戦略、行動に関する討論において、不可欠な組織である。

d) 公開書簡に署名したナンプーラの市民社会諸組織は、農民の利益と権利を守るための闘いにおいて、UNACと各郡のフォーラムやユニオンと共にある。この観点から、これら諸組織は、個別的あるいはグローバルな利権のためになされる工作の試みを告発し、そのような工作が農民たちに対して行われることがないよう、助言し、監督し、番人となる正義を有す。

e) PPOSC-Nが、州レベルの農業セクターの代表(政府)との対話を開いた理由は、家族セクター農業の強化に向けた政府のポジションをよりよく理解するためであった。しかし、現在まで、ProSAVANA関係者あるいはナンプーラ州農業局(DPA) とPPOSC-N の間において、ProSAVANA事業を議論するための「技術審議会(Conselho Técnico)」なるものは設置されていない。したがって、何の調印された取り決めも存在しない。既に開催された会議の議事録が両者によってサインされただけである。これまでPPOSC-Nは、農村と家族農業の発展のための監視に関わる側面を議論し、(関係者らとの)関係の在り方のルールを構築するために、これらの会議に参加してきた。そして、将来において議論すべきポイントについて合意しようとしたが、それは未だ起こっていない。

f) PPOSC-Nは、ProSAVANA推進者らによって進められてきた、モザンビーク市民社会に対する分断、分裂化、弱体化の試みに表される各種の工作活動と脅迫について、遺憾の意を表明する。8月28日および29日にリシンガ市(ニアサ州)で開催されたUNACの北部地域会議には、ProSAVANA推進者らも招待されたが、彼らは同会議への参加以外の目的を推進しようとした。つまり彼らは、いくつかの市民社会組織との会議を(UNAC北部地域会議と)パラレルに開き、そこでProSAVANA事業を議論するためのニアサ州フォーカル・ポイントにこのグループがなることを合意するとの議事録にサインするよう、出席者らに求めた。しかしながら、先に行われた会議(UNAC会議)において、UNACのメンバーである農民男女は、何度もProSAVANA事業のアプローチに合意しないとの意思を表明し、公開書簡が求めるプロサバンナ事業の緊急停止と再考を求めた。

g) 前述同様ポイントにおいて、PPOSC-Nは、JICA(日本の国際協力)が、時に技術者として、時に外交官として、時に相談役として果たす不明瞭で不透明な役割の一方で、我々が目にしてきたように、ProSAVANAナショナル・チームとの関係においてリーダー的な役割を果たしていることを遺憾に思う。そして議論の重要な局面において、個別の動きとして装われ、指導力が発揮されるシニア相談役による役割についても遺憾の意を表明する。

h) PPOSC-N は現在でも、議論の最善の方策は対話であると信じている。しかしながら、農民組織や市民社会組織の分断や工作の試みが継続する限り、農民男女の憲法に基づく諸権利を意味のあるものにしていくためには、別の種類の方策を検討しなければならない。

i) PPOSC-Nは、モザンビーク農業、農村生活のすべての過程において、女性が果たす重要な役割を認識する。そのため、女性は特別に考慮されなければならない。

(7) しかし、ニアサ州とザンベジア州での「ワークショップ」の開催が強行される中、コンセプトノートの中身を放置しておくと、そこに書かれた「問題の多い考え方」が反映されたマスタープランとなることを危惧する一方、自らの主張が誤って伝えられるのを恐れ、30項目の問題点を指摘する表を作成し提出した。この表では、コンセプトノートの各項目ごとにどこが賛同できる/できないということではなく、「方向性全体」についてそもそも問題があることを指摘していた。

(8) それだけでは不十分なので、この表に沿ったPPOSC-Nからの「説明」の場を開催することについて合意し、10月から12月までの間に4度そのような「場」を設けたが、これにあたっては「場」の悪用を避けるため、①議事録や議事要旨は作成しない、②出席者名簿にサインしない、とした。よってこの場を「対話」と認識していない。「場」の中では「プロサバンナ事業に賛同している」わけではない、と繰り返し強調した。

(9) なお、第一回の際には、JICA出席者らが録音マイクとビデオを隠し持って、隠し撮りを行っており、議事が止まる事態となった。

(10) しかし、第6回の意見交換会で外務省側から「PPOSC-Nとの対話の進展」が強調され、「したがって(公開書簡や日本NGOの緊急声明の要請する)事業の停止の必要はない」と回答された。これを受けて、PPOSC-Nからは次のようなメッセージが寄せられた(2013年12月17日)。これは第7回意見交換会時に口頭で紹介されるとともに、「ProSAVANA市民報告2013」(195頁)で紹介されている。

a) 我々の結論は、このコンセプトノートが、ネオリベラルな農業開発思想――つまり、『民間セクター主導の開発』というアグリビジネスに大きな役割を期待する考え方――に基づいているというものである。

b) したがって、『公開書簡』の要求は現在でも継続し、市民社会と農民組織は『書簡』の返答を要求し続ける。

c) このコンセプトノートは、(プロサバンナ事業が)地域の農民らとの真のコンサルテーションやその現状の改善に関心がないことを示している。反対に、『移動耕作の終結、契約栽培の促進、個々人の農地の登記(実質的な土地の私有化)』を支援し、アグリビジネスに有利な進出の環境を整えようとしている。鉄道や港湾設備の整備も同様である。

d) コンセプトノートには、小農の利益になるメッセージは何も書かれておらず、そのため(ナンプーラ州内の)農村部に議論を持っていく価値はまったくない。我々は、ナンプーラで話し合われたことに基づき、新しいコンセプトノートが書かれるべきと考える。

e) モザンビークの農民組織と市民社会は、このコンセプトノートに書かれたことが実施されるのであれば、すべての手法を使ってプロサバンナ事業を止めるための運動を起こすであろう。プロサバンナ事業が真の農業政策に資するものになりたいのであれば、農民の生きる現実に基づかなければならない。

(11) しかし、その2週間半後、安倍首相のモザンビーク訪問(2014年1月11日―13日)に際しては、「公開書簡」への返答や言及がなされないまま、ゲブーザ大統領との間で「緊密な対話の継続」と「プロサバンナ事業の推進」「700億円のナカラ回廊開発支援」が発表された。これを受けてPPOSC-Nは1月13日に次の内容のプレスリリースを発表した 。同プレスリリースは第8回意見交換会で共有されている。

a) (安倍首相は)インフラストラクチャーおよび農業開発プロジェクトに向けた6億7200万USドルの借款供与の表明。その見返りとして、日本首相はモザンビーク政府へ日本の民間セクターによる投資をサポートすることを求めた。2人の首脳は、ナカラ回廊におけるProSAVANA農業開発プログラムを称賛した。

b) しかし、ProSAVANA事業に対するこの見方は、土地の権利の保障・食の主権・栄養の安全保障・地域コミュニティの文化的統合が脅かされ、環境そして将来世代に影響が及ぶことを指摘し強く警戒の声を挙げてきたUNACに結集するナカラ回廊の農民組織、各地の市民社会組織および研究者たちの見方と衝突する。

c) 現在の商品作物のモノカルチャー(単一)栽培を基本とする新自由主義的な農業のあり方が引き起こす被害を念頭に置き、次の点を指摘する。
i. ProSAVANA事業の停止と再考を求める公開書簡を送ったが依然返答はない。
ii. コンセプトノート分析の結果として、このコンセプトノートを拒否した。また、このような特定の方向性で書かれたコンセプトノートではなく、農民組織との参加型の手法による協議に基づき、市民社会および専門家や研究者も交え、コンセプトノートのドラフトが作成し直されるべきであると勧告してきた。
iii. この分野において経験を積み知識と見識に基づいてProSAVANA事業に対して提言および批判を行ってきた著名なモザンビーク人研究者たちに対し、何の注意も配慮も向けられてこなかった。

a) 日本の「寛大な支援」は、今なお続く植民地主義の表れであり、モザンビークにおける国際資本の利益を擁護することをもくろみ、他方では負の影響へ注目を促す全ての試みを見えないものにしようとしていると考える。

b) したがって、我々は、両国首脳と政府による協定も宣言も認めることはできない。改めて、「公開書簡」への回答を要求するとともに、家族農業セクターを真の意味において能力向上させ、強化し、効果的に支援するプログラムの策定と実施を求める。

以上から、PPOSCCS-Nの立場は次に集約できる。
■PPOSC-Nは地域の圧倒的多数を占める小農と家族の農業の真の強化を目的とし活動する
■それを破壊する動きを監視し、必要に応じて手段を講ずることをマンデートとする
■プロサバンナについては、その停止と再考を求めた「公開書簡」に返答がなされなければならない
■コンセプトノートは議論に値せず、書き換えられなければならない。したがって、これをナンプーラ州内の農村部で議論することはあり得ない
■プロサバンナ事業関係者(JICA含む)から市民社会や農民組織への分断、分裂化、弱体化の試みがあり、これを非難する

(2に続く)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-99.html
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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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