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【共有】現地小農の不信感を強めた「ProSAVANA-PI成果報告セミナー」(UNAC報告)

以下の参加報告が5月7日付けで各国の市民社会組織に届きました。
重要なことが書かれているので、レポートの全文を和訳したものを以下貼り付けます。

ProSAVANA-PI(ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト)は、プロサバンナ事業の3本柱の一本目で、マスタープランに先駆けて、2011年4月から事業が開始されています(2016年3月31日まで)。

JICAサイトの案件概要→http://gwweb.jica.go.jp/km/ProjectView.nsf/VIEWParentSearch/4464CF8056D0AD9B492577FF000CEC25?OpenDocument&pv=VW02040104

恐らく日本の論理では「計画通り」「研究と調査に過ぎない」…「農民のためにやっている」「なのに何故こんなに批判されなければならないのか」となるのでしょうが、現地の農民や市民社会からみたら「とんでもない」ことにみえるようです。この認識のギャップの前提を少し分析した上で、全文を紹介します。

【背景分析】
1.プロサバンナの不透明性を受けて、2013年5月28日付モザンビーク23団体によって3か国首脳宛に出された「事業の全面停止とその上での見直しを求める公開書簡」への返答は1年が経過した今もない。応じないとも、応じるとも、何も回答がないままである。
2.他方、一旦全部停止して、仕切り直してから再開しようという呼びかけに対し、なし崩し的に事業が進められている。
3.一番インプットを必要とするマスタープラン(ProSAVANA-PD)のみが「対話」を呼び掛けられており、PIとPEMがいつの間にか進められている状況にある。

そもそも、日本・ブラジル・モザンビークの三角協力によるプロサバンナの主眼は次の通りのものであり、それを踏まえて関連3事業や計画はデザインされている。
(1)日本のイニシアティブによる日伯連携事業によるブラジルのアフリカ進出支援であり、
(2)「ブラジル・セラードの大豆生産の成功をモザンビーク北部に持ってこよう」という前提にあり、
(3)従って、ブラジルの研究機関(EMBRAPA)、大豆企業・農家、日本の商社やその他の利権者らのモザンビーク進出を助ける、
(4)以上によって、地域の経済開発を行う。

このような枠組みに基づいた各種のアクションがで2012年度末までは動いてきた。

これに対し、
(5)2012年10月に全国農民組織UNACの批判声明
(6)その後のモザンビーク、ブラジル、国際、日本の市民社会のアドボカシー活動の効果
によって、プロサバンナの目的が「小農支援」とされ、それが強調されるようになったものの、(2)(3)が様々な形で残った状態にある。

それが、プロサバンナの様々な場面(例えば今回)で現れる一方、プロサバンナからは切り離された形で(ナカラ・ファンド)継続していることが、現地農民や市民社会からみると大変問題と映ると共に不信感を強める原因となっている。

さらに追い打ちをかけているのが、プロサバンナ事業の登場以来、実際にこのナカラ回廊沿いで、大豆の大規模生産のためにどんどんと土地が収奪されている状況にあり、このPIの大豆研究が、このような企業進出に貢献するためになされているとの憶測を呼んでいる。実際、主要な関与機関であるEMBRAPAとブラジル・アグリビジネスとの深い関係は明白。

したがって、公的な手法(公開書簡への返答等)での仕切り直しが、事業全体で行われないと、現場の日本関係者の地道な素晴らしい努力の一方で、このような展開は今後も続くということになるだろう。

これを現地市民社会や農民組織の「かたくなな姿勢」や「誤解」とすることは容易だろうが、このような結果をもたらす事業をモザンビーク北部に持参したのは他でもない日本であり、騒ぎになるまではそのラインでの宣伝が大体的に行われてきた。オーナーシップを強調しようとも、今後もその責任は付きまとうことが予想され、そのことをどのように受け止めていき、行動に反映していくのかが問われていると考えられる。

しかし、過去に何度もあった機会は何度も取り逃され、以下のUNACスタッフの参加報告を読むとこの先について明るい展望を持つことは難しいことが分かる。

以下、UNACスタッフの参加報告のポイントは、
●プロサバンナの焦点はやはり大豆だった。しかし大豆は輸入作物である。輸出用と思われる。
●モザンビーク政府は「マスタープラン策定が終わるまでインプレメンテ―ション(現場での事業実施)は行わない」と繰り返し述べてきたのに、実際は事業が粛々と進んでいることが明らかになった。
●この動きは、市民社会から隠されていた。
●この動きもまた、プロサバンナの既成事実化と正当化の一歩である。
●ブラジル、日本の機関が独自に試験場で調査を行っており、その結果は共有されず、別の意図が隠されている
●PIの関係者自身が事業に疑問を持ち、土地収奪につながると話している
(企業の大豆生産を誘致する結果になるため?)
●このことを指摘した市民社会や農民に対し、不適切な表現や介入があった
●市民社会はプロサバンナに反対を唱えた

【UNAC参加報告(全訳)】

モザンビーク農業研究所(IIAM)主催「ナカラ回廊農業研究成果報告セミナー」【参加報告】

UNAC(全国農民連合)アドボカシー担当
アゴスティーニョ・ベント
(日本語訳)

2014年4月22日―23日、ナンプーラにてIIAM(政府機関:モザンビーク農業研究所 )が、ナカラ回廊の農業研究(ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクトProSAVANA-PI )の結果を披露した。ナンプーラ市内のミレニオ・ホテルで開催された。

この会議では、色々な結果が披露されたが、その焦点は大豆の生産性、改善、生産支援のための金融に関するものであった。この会議で、公共の研究所の代表者らによって、大豆こそが拝まれるべきターゲットであることが明らかにされた。大豆以外は、キャッサバ、サツマイモ、野菜、ピーナッツ、カシューナッツの生物学的なコントロールについての成果が発表された。しかし、これらの作物は大豆のようには重きがおかれていなかった。

大豆に関する研究の成果共有の強調は、このセミナーを組織化した者らの意図をはっきりさせた。それは、我々の大地に大豆という輸入作物を正当化しようというものであった。そうすることで、IIAMの名前というカモフラージュの下で、企業やJIRCAS(独立行政法人国際農林水産業研究センター )やEMBRAPA(ブラジル農牧研究公社 )やプロサバンナといった開発機関(・イニシアティブ)の主要な利益を最大化することが狙いであった。

このセミナーにおける大きな隠された目的は、セミナーでは明らかにはされなかった。市民社会に気づかれないようにしたかったのだろうが、それは不可能だった。ナカラ回廊のプロサバンナ事業のPI(ProSAVANA-PI)の第一フェーズを、モザンビーク民衆に受け入れることを強要することが目的と、出席した市民社会は見破った。

EMBRAPA、プロサバンナ事務局、JIRCASによる大豆に関する研究のプレゼンテーションの後、このようなマキャベリ的な手法を発見した市民社会はすぐに反応した。市民社会は、モザンビーク政府やEMBRAPA、JIRCASとプロサバンナ機関が、モザンビーク民衆がナカラ回廊沿いで食料を生産する小農らの生産システムを完全に全滅させるプログラムを受け入れるよう強制する試みであると非難した。

市民社会はモザンビーク政府やそのパートナーたちに、調査を実施していることについて(その場で)非難し、(今も)非難する。この調査は、マスタープランを市民社会に提示し議論することのないまま、プロサバンナ事業の第一フェーズとして行われているものである。市民社会が、プロサバンナについて政府と討論した数少ない機会において、政府はいつも「プロサバンナでは、マスタープランが提示されない限り、インプレメンテ―ション(事業実施)はない」と述べてきたが、この宣言と矛盾し、プロサバンナ事業の第一フェーズはナンプーラ市近郊のIIAMの農業試験場において既になされているのである。

プロサバンナ・プログラムの柱の一つである大豆に関する研究活動には、JICAやABC(ブラジル国際協力庁)のカウンターパートであるモザンビーク指導者らの傲慢さとその一方での臆病さが示されている。

IIAMの農業試験場の利用は、市民社会に対し、実際にプロサバンナ事業の現場で何が起こっているのか気づかれないようにするために行われたものであった。しかし実際のところ、プロサバンナ事業の第一フェーズは、ナカラ回廊において、そしてこの試験場において、既に実行に移されていたのである。今回、このことが明らかになった。

市民社会は、IIAMの農業試験場を訪問し、これらの上述の機関が研究活動に従事している様子を見た。市民社会側の訪問者らは、そこでIIAMのプロサバンナ担当の技術者ら数名と話をした。彼ら自身が述べたのは、EMBRAPA,JIRCAS, IIATのそれぞれが試験場内の空間(土地)を使っており、各々が多様な作物についての試験を行っており、これらの結果は共有されていないという点であった。このように、結果の共有が行われないという点に、これらプロサバンナのために活動する機関が、(地域の人びとの)食料不安と闘うための生産性の向上を目的とした調査をしているわけではないことをはっきりさせている。そして、これらの技術者らは、プロサバンナが何であるかの全体的(包括的)な理解を持っていなかった。しかし、彼らは、プロサバンナを通して、大きな面積の土地が収奪されることになるだろうとの一つの真実を告白した。

市民社会はこの真実を表に出し、政府によって示されたポイントにクレームすることによって、このプログラム(プロサバンナ事業)が小農のリアリティを反映し、国の持続可能な発展に資するものになることを望んだ。しかし、政府の代表者らとそのパートナーたちは、よりずっと傲慢に、そして神経質になり、ヒエラルキーの上位者らのアジェンダを果たすことに集中しようとした。彼らは、市民社会に対し不適切な言葉を投げかけ、市民社会の発言に介入することで、セミナーを(彼らにとって)実り多きものにしようと試み、市民社会の表現の自由の権利を侵害し、最後には小農らが市民社会の保護の下にある動物かの如く態度を取った。

(会議で政府により)市民社会はモザンビークの開発に反対していると非難された。このような宣言に対し、小農らは持続可能な発展とこの国が闘っている食料の不安に対応するための食料生産にこそ献身的に活動しているのだとの反論が市民社会によってなされた。

開発は、民衆(小農)を犠牲にして実行されるべきものではない。彼らの豊饒なる土地の使用と活用の権利を取り上げて
まで、国際市場に売られるための一次産品のモノカルチャー生産を見据えて外から持ち込まれた生産モデルを強制し、行われるものではない。これらは結局のところアグリビジネスを儲けさせる手法である。

上述セミナーで市民社会は、プロサバンナ反対の生きた声を擁護し、ナショナルな小農、そして市民社会の観点からの意見を反映させたプログラム、プロジェクト、政策の採択にこそ賛成した。

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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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