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【質問書】財務省NGO協議会(モザンビーク債務・天然ガス開発)

第73回財務省・NGO定期協議
議題●
モザンビークの「隠れ債務」問題と円借款、三井物産への融資について
2020年6月19日
議題提案者:日本国際ボランティアセンター(JVC)、モザンビーク開発を考える市民の会、アフリカ日本協議会(AJF)

【背景】
(1)モザンビーク政府の「隠れ債務」問題と円借款
日本のNGOは、2016年3月、本協議会において、2006年に借款放棄したモザンビークの「債務持続性」の問題を鑑み、対モザンビークの円借款を見直すよう提言した。その直後の4月に、IMFがモザンビーク政府に10億ドル超の債務の報告漏れ「隠れ債務」があることを発表、この一報を受けて2016年6月の協議会では円借款の停止を要求した。これに対し、日本政府は、2016年9月、円借款の拠出を停止していることを明らかにした 。以来、本協議会においては、NGOの側から、「隠れ債務」に対する財務省としての各協議会時点の現状認識・見解と、対モザンビークの円借款の状況等を確認し、また、モザンビーク政府の人権・透明性を含むガバナンスのあり方について問題提起し、議論してきた。
前回2019年12月の協議会においては、NGO側からは、ニューヨーク連邦裁判所の裁判記録に基づく報道、裁判所での証言、モザンビーク検察により公表された容疑者リスト等のリソースを引用しながら、前モザンビーク大統領だけでなく、現大統領、現役閣僚らが深く関与したことがほぼ決定的となっている状況を明らかにし、「隠れ債務」の問題がいまだ解決されていないことを指摘した 。これらを受けたNGO側からの質問に対し、財務省からは以下のことが確認された 。

長谷川悠 参事官室 課長補佐
「非開示債務の問題は重要なイシューであると考えている。」
「新規の円借款については行っていない。」

また、議論のなかで、NGO側から、援助が汚職を誘発する側面を指摘し、IMFの対応を待つのではなく、日本政府としていかに汚職を誘発しないか、現地のガバナンスを改善するためにどういう役割を演じようとしているのかを提起・質問したところ、財務省からは、昨年8月にIMFに出されたモザンビークのカントリーレポート等に触れながら、以下のことが確認された。

米山泰揚 開発機関課長
「インフラのガバナンスという話は、借入国あるいは援助を受ける国だけでやれば良いという話ではなく、みんなで取り組んでいかなければいけないのだと思う。だからプロジェクトを実際に実施する国もそうであるし、その援助資金を出すような国もそうだろうし、あるいは最近は民間の資金も入るケースが多いため、民間の債権者のケースもあるだろうし、みんなで一緒になってきちんと取り組まなければならないという話だと思う。これがきちんとできるかできないか、が・・(中略)・・いわゆる我々が本当にやりたいとG20で実証してきたような質の高いインフラとも差をつくっていく話なのだと思う。」
「モザンビーク政府がレポートを出した、・・1つのプログレスかもしれないが、それだけでガバナンスが改善したわけではない。まだまだやることはいくらでもあるが、・・・・こんなものでは全然足りないというのはレポートにも書いてある通りであるし、理事会でもそういう議論がされている通りである。」
「モザンビーク政府が出した報告書をざっと見たが、・・・まだまだ全然足りないものがいっぱいあるが、そういう中で少しずつ頑張っているという、・・それで全然終わりでもなければ、まだまだ始まったばかり。」
「・・・おっしゃる通り、まさにきちんとした公的資金を使う話でもあるため、我々みんながきちんと心に受け止めて個別の案件についてもしっかり取り組んでいくことが大事なのではないかなとは改めて思った次第である。」

(2)カーボデルガード州における天然ガス開発とJBIC融資
日本企業(三井物産など)と政府系機構(JOGMEG)がモザンビーク北部カーボデルガード州にて天然ガス開発(第4鉱区、筆頭権益社Anadarko社→Total社)を進めている。三井物産の投資額は25億ドルとも言われている。一方、JBICは2014年9月、モザンビーク鉱物資源省との間で、モザンビークで日本企業が関与する資源関連プロジェクトの実現に向けた情報・意見交換及び案件形成協力等を目的とする覚書を締結している。
これを受けて、前回2019年12月の本協議会において、日本のNGOは本開発事業について以下の2点を指摘し、JBICによる融資の可能性について問題提起、質問した。
モザンビーク政府は、(1)の「隠し債務」の返済を同天然ガス開発への海外直接投資(FDI)によって賄い、利息を上乗せするとの交渉を債権者と進めた。これに対し、昨年6月、モザンビーク憲法評議会は、この債務への国費での返済は憲法に反しており、モザンビーク議会の決定は「権力強奪」に相当するとの判断を公表したが 、ニュシ政権はこれを無視して、10月より国費を用いた「隠れ債務」の国際債権者への返済を開始した。上述のとおり、新旧大統領をはじめとする多くの政府高官が「隠れ債務」から多額の見返りを受ける一方、そのツケがモザンビーク国家全体と国民に押付けられている。こうして債務の返済を行うことで「隠れて消えた債務自体をなかったこと」にし、問題の消滅を図っているともいえる。ガバナンスを不問にする形で続けられる資源開発と投資が、モザンビーク政府の三権分立、民主統治の破壊を助長している現状を指摘した。
一方、天然ガス油田開発地域のカーボデルガード州では、2年前から武装集団による武力攻撃が継続しており、すでに200名を超える死者が発生してきた 。総選挙前後に攻撃が激しくなり、現在約65,000人の避難者が生じ、近辺では食料不安も生じている 。武装集団の実態については、様々な分析があるが、それら分析に共通しているのが、背景として、同州に天然資源開発が集中する一方で、住民が大規模な立退きや環境劣化に直面するとともに、貧富の格差が拡大する中、社会的不満が広がっていることが根本原因の一つであるとの指摘である。これについては、モザンビーク内外の研究者や市民社会だけでなく、米国外交関係者すら口にしている 。モザンビーク北部のこの天然ガス開発地帯が、ナイジェリアの石油地帯「デルタ化/ビアフラ化」しつつあるとの認識も度々示されるようになってきており 、まさに「資源の呪い」現象が生じていると考えられる。
以上を受けて、①融資検討の可能性の有無、②治安・軍事状況が悪化を判断するにあたってのソース、③現地の状況・現状に関する認識・リスク分析について質問したところ、以下の点が確認された。

①「融資決定を行っていない。」
②「事業者から現地の状況及び事業を行う上での具体的な対策、こちらをまず聴取する。加えて、必要に応じて、外部の専門家の意見を聞き、情報提供、リスク分析、こういった依頼をする」
③(NGO「特に分析等をされていないようなら、それはそれでご回答頂ければ」)
「その通り。」

その後、同協議会でNGOとJBICとの間の個別協議の可能性ついても話し合われたこと、また、モザンビークのNGO・Justiça Ambiental/ JA!(Friends of the Earth, Mozambique)のスタッフ、ディプティ・バートナーガー(Dipti Bhatnagar)氏の来日を受けて、1月28日にJBICにて両者の面談が行われた。
面談のなかで、バートナーガー氏は、エネルギー問題、気候変動、同開発事業の人権問題(実施に伴う立退き)、対象地域の治安と武装化に関わる問題、モザンビーク政府による人権抑圧(メディア規制に関わる新法)の問題性を指摘 (添付資料1)、これら観点から、同天然ガス開発事業に関わらず、融資を断念するようJBICに強く求めた (添付資料2)。また、同事業については、協議会直前の昨年11月に、EIAによるカテゴリ分類が終わった事業としてJBICのホームページに掲載されていることから、融資可能性の現状について確認した。
これに対してJBICからは、治安への懸念が大きく、最優先に考慮しなければならないものの一つであり、さらに情報収集が必要であるとの見解が示された。また融資可能性の検討については、詳しいリスク分析を実施中であるとの現状が伝えられた。





【質問】
 以上の(1)、(2)に関するこれまでの議論の経緯を踏まえ、以下質問する
■ 隠れ債務問題と円借款について
① 財務省は、これまでの協議で、「IMFと同様…」をくり返してきたが、モザンビークの「隠れ債務」問題について、現状に対する認識・見解と、それを自らの政策にどう反映させようと考えているか明らかにされたい 。
② ①を踏まえ、対モザンビークの円借款の現状について明らかにされたい。新規の円借款については引き続き供与されていないという理解でいいか。供与が再開されている場合、それはいつ、何に基づいて、どのように判断されたのか示されたい。

■カーボデルガード州における天然ガス開発事業とJBICによる融資
③ JBICとして治安問題を注視しているとのことだが、融資判断時における現地の治安・情勢に関する基準を明らかにされたい。内規等の文書があれば共有していただきたい。なければどのような基準で判断するのか示されたい。また、判断基準で使うソースについて、外務省の在外公館の危険情報以外に、具体的に何なのかを示されたい。
④ その際、事業実施主体のみならず、事業地に暮らす人びとの治安確保も考慮されるべきと考えるが、これに関するJBICとしての見解を示されたい。
⑤ また、同地域の「現在の」治安・情勢をJBICとしてどのように分析・認識しているのかを示されたい。
⑥ JBICとして同天然ガス開発事業への融資は決定されていないか否かを示されたい。
⑦ 融資がすでに決定されている場合、いつ、何に基づいて、どのような分析があり、判断がなされたのかを明らかにされたい。あるいは決定されていない場合、「詳しいリスク分析を実施中」とのことだが、何のリスクについて、何に基づき分析をしているのか示されたい。
⑧ 本事業のEIAは2014年のもので、すでに6年が経過している。融資の判断においては、環境社会影響に関する最新の情報が求められると思うが、JBICとしての見解を示されたい。また、同様に必要と考える場合、どのような方法でどのような情報を入手するのか示されたい。

以上

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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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