2019年12月23日に参議院議員会館で開催された9名の衆参国会議員による主催勉強会、「プロサバンナ事業に関する勉強会」の逐語議事録(未定稿)です。
20191223国会議員主催「プロサバンナ事業に関する勉強会」議事録
開催日:2019年12月23日
開催場所:参議院議員会館
会議詳細:
https://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2019/12/20191223-prosavana.html 登壇者(発言順):
・ 石橋通宏(参議院議員)
・ 井上哲士(参議院議員)
・ 大林稔(龍谷大学名誉教授/モザンビーク開発を考える市民の会)
・ 牧野耕司(JICA農村開発部部長)
・ 浅井誠(JICA農村開発部課長)
・ 舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所)
・ 渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)
・ 黒宮貴義(外務省国際協力局国別開発協力第三課)
・ 伊東圭介(JICA農村開発部次長)
・ 若林基治(JICAアフリカ部次長)
・ 川田龍平(参議院議員、行政監視委員会委員長)
・ 福島みずほ(参議院議員)
・ 松平尚也、原貫太、荒谷明子、枝元なほみ、レイモンド・エップ、吉森弘子、山中一耕(市民/農民としての発言)
石橋通宏議員(参議院議員):
ただいまから、モザンビーク、プロサバンナに関する国会議員勉強会ということで、始めさせて頂きたいと思います。今日の議員勉強会の主催側であります立憲民主党所属の参議院議員の石橋通宏でございます。冒頭、この間呼びかけとさせていただいた関係で一言ご挨拶を。今日、共産党の井上議員にもお見えを頂いておりますので、後程ご挨拶を頂ければと思います。
今日は本当に多くの皆さん、ご出席、ご参加を頂きまして大変ありがとうございます。また、JICAの皆さん、外務省の皆さんも、師走の大変お忙しい時期だとは思いますけれども、こうして呼びかけに応じてご出席を頂きまして、お時間取っていただきましたこと、誠に感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
また、NGO関係、市民団体の皆さまも、我々の今日こうして勉強会やりたいということで、呼びかけに対して、協力を頂きまして、事前準備の段階から含めて、ご支援いただきまして本当に感謝申し上げておきたいと思いますし、ご出席いただいた市民グループの皆さんも、この問題に関心持って、今日改めて今、何が行われているのか、しっかり学んでいただきたい、ということも含めて、ご出席、ご参加頂いたことにも感謝申し上げたいと思います。外で聴いていただいている皆さんにも、ぜひしっかりお聴きを頂いて、それぞれ、この問題について一緒に考えさせて頂く、いい機会にさせて頂ければと思っておりますので、冒頭、感謝と共にお願いを申し上げておきたいと思います。
実は、私自身はもうかれこれ2013年から、当時参議院のODA調査団でモザンビーク行かせて頂きました。その時、外務省、JICAの皆さんにもご協力を頂いて、若干短時間の再会だったんですけれども、モザンビークの農民団体にも面会しました。その時に初めて、舩田さんの新聞記事等も読ませて頂きながら、このプロサバンナ事業の課題、問題点について改めて学ばせて頂きました。以来、もう6年半になりますけれども、この問題にずっと対応、取り組みさせて頂いて、JICAの皆さんとも何度となくやり取りをさせて頂いてまいりました。
大変残念ながら、といいますか、この間、私自身は最初のそもそものボタンの掛け違い、このボタンの掛け違いが、残念ながら今なお解決されていない、にもかかわらず、事業が強引に進められている部分もあって、現地の当事者たる市民グループの皆さん、農民団体の皆さんに、ご理解を頂けないままに、むしろ大きな反対の声が今なお上がっている、という状況が解決されていない、と理解をしております。ただこの間も、国民の皆さまの貴重な税金が、多額の税金がこの事業に費やされております。関連事業も含めてですね。ですので、改めて我々議員の側での開催となります。
来年度予算も先週決定されました補正予算も含めて、巨額の税金が投入されるわけでありますけれども、まさにその大きな、国民の貴重な皆さんの税金が使われているこの事業が、いったい本当に適正に行われているのかどうか、現地の皆さんの、農民グループの皆さん、小農の皆さん、裨益者としての皆さんに応援を頂けるものになっているのかも含めて、改めて我々しっかりと勉強させて頂いて、来年、通常国会での予算審議にも参考にさせていただきたい。そういう意味で、今日は企画をさせて頂いております。ですので、ぜひJICAの皆さん、外務省の皆さんも含め、改めてこの間の皆さんの運営主体として、責任ある形で、今日はぜひ、我々議員に対するということはイコール国民の皆さんに対して、この間の皆さんの取り組みなり、税金の使い方なり、現地の事業運営なりをご説明頂くという主旨で今日はやらせて頂きます。そういった観点で、ぜひしっかりと説明を、我々に対しても、して頂ければと思っておりますので、限られた時間ですけれども、最後まで宜しくお願い申し上げたいと思います。
それでは井上議員からも冒頭のご挨拶頂ければと思います。
井上哲士議員(参議院議員):
共産党の参議院議員の井上哲士です。今日はJICAと外務省の皆さん、そしてご参加の皆さん、本当にありがとうございます。年末の慌ただしい中での取り組みにご協力頂きまして心から感謝述べたいと思います。
今も石橋議員からありましたように、国民の税金を使って行われている事業でありますから、それは本当に現地の皆さんからの合意、そして利益となっているのかどうかをチェックすると言うのは非常に大きな国会の仕事であります。特に、参議院はこれをし続けてまいりました。今日は奇しくも二人の参議院議員でここに参加しているわけですけども、私もODAの特別委員会にずっと参加しておりまして、この間、例えば今回の事業と深く関わりのあるブラジルのセラードも現地で見せてもらいました。
一昨日ラオス、ベトナムの議会間交流会から帰ってきたんですけれども、ラオスに行った際も、ビエンチャンのタゴン灌漑農業の改善事業の現場にも行きまして、JICAや事業をやってらっしゃる皆さんから直接声を聞きました。それぞれの事業いろんな中身があるわけですけれども、何よりもやっぱり、現地の皆さんの利益と合意ということが必要であります。そのことは皆さん自身の(JICA)環境(社会配慮)ガイドラインにも定められておりますし、この間の国連で議論をされてきた小農権利宣言であるとか、家族農業の10年という流れの中で、きちんとそれに沿っているものになっているのかどうか、というのをしっかり見てくのが私たち立法府の大きな責任だと思っております。
そういう場として、今日はこういう形で持たせて頂きました。この間、現地の小農の方からも日本にも来ていただいた時に、直接いろんなお話も聞いております。今、石橋さんからもボタンの掛け違いというお話もありましたけど、現実の問題として、様々なことが起きているわけですから、ぜひ今日は具体的な、真摯な議論をやることによって、この問題の新たな節目にしていきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いします。
石橋議員:
はい、ありがとうございました。井上議員はこの間本当に何度となく国会でも様々な委員会等で質疑を、この問題に関して頂いております 。そういったやり取りも踏まえて、また後ほど、様々質問等出していただけると思いますので、よろしくお願い致します。
それから今日は、資料としては配付されているのかどうか分かりませんが、私自身も今月、質問主意書を出させて頂きました 。この問題に関して幅広く質疑をさせていただきました。残念ながら納得いける回答を頂けたとは到底思ってないんですけれども、その中でもとりわけ今日この後お話があろうかと思いますけれども、ぜひ皆さんにも知って頂きたい点があります。
現地で裁判所が明確にこの問題についての判決を出されております。その件についても質問主意書でいろいろお聴きをしたんですが、残念ながら外務省、これ答弁書作ったのは外務省でしょうけど、JICAの方からも、とても当事者としての責任ある答弁とは思えない回答しか、現地で対応する話ですね、という答弁しか聞かれておりませんので、これでは到底答弁になりません。なので、この件もぜひ後ほどまとめてお考えを聞きたいと思っておりますので、この点も冒頭、少し申し上げておきたいと思います。
それでは最初にですね、すみません申し遅れました。今日9人の国会議員、この問題ずっと取り組んできた衆参国会議員で今日勉強会ということで主催させて頂いておりますが、ちょっとすみません年の瀬でこういう時期でありますので、後ほど川田隆平議員等々、駆けつけられる人は駆けつけてくださると思いますけれども、時間もありますので冒頭我々で進めさせていただきますが、多くの議員がこの問題に関心を持って取り組んで頂いていることは、改めて市民グループの皆さんにもお伝えしておきたいというふうに思います。
以上を申し上げて、今日この勉強会を開催して頂いて重ねて多くの皆さんにご協力頂いておりますが、勉強会の背景ですね、この間の経過も含めて、龍谷大学の大林先生からまず冒頭、ご説明を頂ければと思いますので、先生宜しくお願い致します。
大林稔(龍谷大学/モザンビーク開発を考える市民の会):
ご紹介頂きました、龍谷大学の他、「モザンビーク開発を考える市民の会」に参加しておりまして、今日はその会の立場でお話をさせて頂きたいと思います。まず私たちの会についてですけれども、よく勘違いされるのは、僕らは何かを陳情したりとか何かを考えて要求したりという団体ではありません。現地の農民を応援するために作られたもので、元々はプロサバンナ事業に暮らしを脅かされていたモザンビークの農民たちから要請を受けて、彼らを応援して欲しいということで、日本の有志が作った団体が、先ほどの「市民の会」でございます。そして農民からの要求を日本の公的な海外援助にかかわる人たちにお伝えして、その答えを農民に返すと言うのが私たちの主な役割です。ですから主催の議員の先生方がこういう勉強会を組織され、そこに呼んで発言の機会をくださったことに大変感謝しております。ありがとうございます。また多数の皆さんに来て頂いてですね、私もあがり症なもんなんで、とても緊張しておりますけれども、ありがとうと、言いたいと思います。
次に、今回の会議について、僕たちが議論して欲しいという会議についての期待についてご説明をしたいと思います。まずその前にちょっとビデオをひとつ観て頂きたいと思います 。
ありがとうございました。これTBSで報道されたものなんですけれども、実はこのビデオ、たった2分間なんですけれども、大変広く関心を得まして、TBSでニュースをアップしたサイトがあるんですけれども、そこで一時期再生回数が1位になりまして、しばらくの間ナンバーワンに留まっておりました。その後です。このビデオをお見せしたのは、その後のことを議論したいからですけれども、今日議論して頂きたい記事が、国際協力機構JICAのホームページにアップされました。
ご承知のとおりJICAというのは日本のODA、公的援助の主な部分を扱っている公的な組織です。これですね 。この文書は、JICAの、今日も配布されていますね。私たちはこれを読んで大変驚きました。というのは、何よりこれは批判された人物、先ほど映っていた人物ですけれども、この人を危険に晒す内容だったんです。彼の個人名が出ているし、彼とその主張を批判するという内容になっております。
実は先日モザンビークで市民社会のリーダーが一人暗殺されました。事件は被害者が選挙の不正を調べている時に起きて、犯人は現職の警官でした。ちなみに被害者はプロサバンナ事業への反対声明に署名した一人でもありました。この農民が、先ほどの方がやってきた時に、彼はその日本に来るってこと自体がかなり危険な行為だということを自覚して、ある意味で覚悟してやっています。毎回彼はそうして、ある程度の覚悟を持って、日本にやって来ています。実際にこれまで訪日した農民を含めて農民運動のリーダーたちは、様々な形でモザンビークの政府や関連する企業から脅迫を受けております。
そしてこのホームページの掲載文というのは、かなり、そういう危険な行為をする人たちに非常に危ないシグナルを送っているものなんですね。というのは、事業の援助機関がこの人を名指しで批判しているということ。これは現地のそういうことを画策する人達がいたとすればですね、非常に危険なシグナルとして受け取られても仕方がない。
ちなみに日本国内でも公共事業に住民が反対したり異を唱えたりすることはたくさんあります。しかし、この様に一個人を特定して、事業主体の省庁とか自治体が、この人が言っていることは嘘だとかいう様なことをメディアで、公にするってことはまずない。私の知る限りではないと思います。
そのため、日本のNGO、私たち含めて多くのNGOが、連名で、この声明というか掲載記事の削除と謝罪をJICAに求めてきました。しかし、掲載が始まって以降3ヶ月経つわけですが、未だにこの文章はホームページに掲載され続けております。私たちは今日の議論を通じて、この声明、その掲載された記事のですね、危険性と削除の必要性が広く共有されて、JICAが必要な行動を取る決断をする、ということを期待しています。
さらにもう一つ大事なことは、この声明そのものの内容についてです。なぜかというと、この文章に、農民たちが「プロサバンナにノーだ」と言っている本当の理由は全く触れられていません。反論するというのであればですね、まさにその点について反論すべきだと思うんですが、それについては書いていません。農民たちがなぜここまでJICAあるいは日本の国際協力に対して不信感を持ったかという理由が、今日の議論を通じて皆さんに共有されて、JICAが正しい対策を取ることを期待しております。
(JICAの)声明は、農民の主張に対してたくさん批判点を挙げていますけども、実はその多くの点は、事実に明らかに反しています。さらにその他の部分も含めて、農民たちがJICAや外務省に何度も要請し、我々が経由して伝えたことについて、ホームページの文章は一切触れていないです。私たちはその文章全体がですね、こうした重大な事実から目を逸らすために書かれたのではないかと疑っています。
それは何かというとですね。一つ目はJICAが自ら農民や市民社会の分断工作に手を染めたということですね。これは日本の名において行われた行為として恥ずべきことだと思います。これについてJICAは未だに説明責任を果たしていません。これは現地の農民から何度も要請があって、私たちはその説明を求めてきたんですが、現在もそれについて説明責任を果たしたとは言えない状況にあります。
もう一つは、JICAが、モザンビーク、現地の裁判所の判決を無視しているということです。これも書いてありません。現地の裁判所は農業省、つまりプロサバンナを所管する農業省が国民の人権を侵害しているという判定をしました。具体的には農民、市民が知る権利がある情報を農業省は秘匿していると、隠したまま事業を行っているというふうに判定したわけですね。そして農業省内の担当の部署には「プロサバンナ調整室」というのがあるんですが、これは元々JICAがJICA内に設立した組織で、現在は農業省の中にありますが、JICAがお金を出し、JICAがコンサルタントを送り込んでいる組織です。そういう意味では非常にJICAの色が濃い組織ですね。そういう意味では、判決は、ある意味で農業省、特にJICAが深くかかわっている「プロサバンナ調整室」に対して向けられてものです。
その判決が出た後、判決では情報を開示しなさいという判決が出たのですが、農業省は現在もこの判決に従っていません。そういう意味では知る権利という人権侵害を犯し続けているわけです。これに対して日本の援助機関であるJICAは沈黙を続けております。農業省に対して必要な要請も行っていないし、JICA自身もそういう情報開示に対する責任を取っているとは言えない。
というわけで、住民分断と法の支配の無視、この二点。この二つの点にかかわるJICAの姿勢そのものが農民たちへのJICAへの信頼を打ち壊している。ひいては日本に対する信頼を打ち壊しています。これが、彼らが無理をして代表を遠い日本まで送り込む、そのため苦労して来た大きな理由であります。そして農民代表が日本のテレビでプロサバンナを批判した背景には、こうした二つの大きな事実が深く関わっていると思います。
JICAはこの二つの点について真剣に反省して、農民たちが納得できる行動を取る。このことが、農民の信頼を回復する第一歩だと思います。これなくしては、JICAとの対話という話も成り立たない、と思います。自らの想像で作り上げた批判に反論するのではなく、本当に応えるべき点に真摯に応えるということがまずなされるべきことであると思います。今日はこの二点についても、JICAが国民に負託された原則に立ち戻って、国民に期待された援助機関として真剣に議論することを期待しております。以上です。
石橋議員:
はい、大林先生ありがとうございました。それではですね、最初に、今ご指摘を頂いたこのJICAのホームページの件について、ちょっと絞って、JICAの方からご説明頂ければと思いますが、あと他に論点も頂いています。
冒頭私も挨拶の中で質問主意書にも触れさせていただきまして、今ご指摘のあった、現地の裁判の判決の件は、そこでもお聞きしているんですが、残念ながらちゃんとした回答を頂けてないので、後ほど改めてやり取りさせて頂こうと思っております。できるだけ深く論点についての意見交換に後ほど時間を使いたいので。最初にこのホームページに関する件、これは井上議員からも私からも重ねて、早急に削除するようにということで要請かけましたけれども、未だに削除されておりません。そのことも含めて、JICAから、まずはこの点についてご説明を頂きたいと思います。ちょっと論点多岐に渡りますので、まずこの点に絞って、5分、10分以内でやってください。それでやり取りを準備させて頂きたいと思いますので、まずは、じゃあ牧野部長宜しくお願いします。
JICA牧野耕司(農村開発部):
JICA農村開発部長の牧野と申します。宜しくお願いします。アフリカにもう35年ほど付き合っておりますけれども、非常にアフリカを愛しています。第一点目について、コスタさんの個人攻撃をしているのではないかと、人権の問題だという点に関しましては、決してJICAとしては個人を攻撃しているというわけではなくて、コスタさんが仰った内容について意見を述べたということだけでございます。むしろコスタさん自身については、非常に我々敬意を持っておりまして、私個人も経緯を持っておりまして、三回、四回来日してご意見を述べていると、これはすごいことだと。ですので、決して個人に対する誹謗、批判ではなくて、意見に対する我々の考え方を述べたということだけでございます。二点目には、コスタさんが来日の前後、来る前にはコスタさんがどの様な主旨で来日するかということが既に公表されていた、というふうに理解していますし、来日された後にはこのような形で報道もされて、名前、そして顔自体が出ていたということですので、すでに公表済のものだというふうに伺っております。三点目には、この、特に院内集会、それからあとこの様な報道などにたくさんの、コスタさんが仰ったことをはじめとした意見、あるいは質問がJICAに寄せられまして、それに対して、我々としての意見述べると言うことが必要であるというふうに考えまして、この様な形でウェブサイトに掲載したという経緯がございます。
石橋議員:
簡潔にありがとうございます。あの、もし意見あったら、ぜひ出席の皆さんからも頂ければと思います。これ最初の段階でね、現地からいろいろやはりご批判やら、ご意見やらを農民グループの皆さんから出されている。それに対して、JICAなり外務省なり真摯に回答頂きたい、説明を頂きたい、と要請してきた。それに対応してくれているのは評価します。ただ我々も止めてくれと言っているのは、こういう形。先ほど大林先生も仰られたように、これは彼個人の意見じゃないですね。現地でこの問題に対して反対の声を上げておられる多くの皆さんの意見を過小評価されたいようですが、少なくとも、多くの農民団体の皆さん、相当数の加盟人員を持っておられる、いろいろな小農グループの皆さん、市民グループの皆さんが声を上げておられる。それは皆さん全員呼んでくれるなら全員呼んでもいいけど、全員呼べない。だから代表して来ておられる立場で、彼らの代弁者として、こういう意見、こういう疑問点、こういう問題点ということを挙げられている。
にもかかわらず、皆さんが、個人攻撃として、個人名を特定して、こうやってJICAが出されるのは、これは違うでしょう。あくまで、そういったご意見を現地から頂いているということについて、真摯に説明を頂くならぜひそうしてくださいよ。このようなやり方がダメだと、我々は言ったはずです。ですから部長もしそう言うのであれば、これ明らかに一旦削除をして、こういう形でJICAが個人名を特定して、あたかも当事者の一個人が云々という形での表現ぶりでの説明は即刻撤回して下さい。重ねて、本人を本当に危険に貶めています。危険に晒しています。それはわかるはずです。
JICAの皆さん、本当に牧野さん、アフリカで30数年間ご経験をされているのであれば、どれだけ、政府の事業に対して、一般市民が声を上げることが、命を懸けた危険な行為なのかということは、一番よくご存じのはずだ。そのご存知であるはずのあなたが、JICAが、こういうことをしちゃいけない。だから我々はお願いしたはずです。反論あればどうぞ。
JICA牧野:
現地では様々な意見があるんだと思います。反対意見も多いかもしれませんけれども。我々の理解では、賛成する、プロサバンナについて、全部じゃないかもしれないけども、一部については賛成する、あるいはプロサバンナについてこの部分については反対するけれども、この部分は賛成する方と、一人の人間でもいろんな考え方はあると承知しております。ですので、この方が一人で全ての北部三州を代表しているということはなかなか言えないと思いますし、そうじゃないご意見もあると思います。ですので、この方が仰ったこの内容は我々はこう思います、というように言及したということでございます。
石橋議員:
いや、答えてもらってない。だから、そういう反対意見なり、様々なご意見があり、それをああやって、危険を冒しても、代弁者としてここにきて、発言をされている。それはそういう意見だということを真摯に受け止めてください。それに対して説明責任を果たしてください。でも、個人名を特定してJICAがある個人を攻撃する必要は全くありません。それは、個人を危険に晒す行為だというのは、重ねて今お答え頂かなかったけど、それは牧野さんあなたが重々ご存じのはずだ。いやご存知じゃなかったら、とても専門家というふうには、ごめんなさいね、失礼ながら呼びたくない。けれど、それはご存じのはずだ。だったら、JICAがそんなことしちゃいけない。ということで申し上げている。
JICA牧野部長:
私から初めにご説明申し上げましたけれども、そもそも来る前には、どのような方がいらっしゃるということは公表されて、しかもテレビに顔も名前も出ているわけですよね。どうしてこれ以上危険なことがあるんでしょうか。
石橋議員:
重ねてJICAの皆さん、皆さんのポジションをご理解されてないね、全然。皆さんこの巨額の国民の、日本国民の税金を使って、この事業を、この間ずっと、現地のそういった反対の声も、どこまで聞いていただけているか知らないけれども、推し進めてきた立場です。皆さんがどれだけ権威ある立場なのか、権力ある立場なのか、それはご存知のはずです。
そういった権力のある側の皆さんが、個人名を特定して、こういって皆さんの公のホームページに、こういったことを載せてはいけないのではないか、ということを申し上げている。皆さんその立場をしっかりわきまえられた方がいいと思います。皆さんが何をされているのかということをね。でなかったら皆さん重ねて、これだけの国民の貴重な税金を使って現地の皆さんの裨益のためにやっておられるなんて、言って欲しくないなという気がしますけれど。
JICA牧野部長:
私はそうは思いません。個人を誹謗しているという話ではなくて、意見に対する意見ということですので、どうしてそれが攻撃になって、やがて本人の、身の危険になるというのかよくわかりません。
井上議員:
事業者が、一般的ないろんな意見じゃなくて、個人名を挙げてやっているってことが、誹謗中傷のつもりはないと仰っていますけれども、結果として、彼を危険に晒す、とご指摘もありました。そういうことになっている、と。ないしは、そういう可能性があると。そういう認識もお持ちでないということですか。
JICA牧野部長:
仮説に対して答えるつもりはございませんが、具体的にはどのようなリスクが発生しているのかまず教えて頂ければと思います。
石橋議員:
ご出席の皆さんに発言頂くと、とめどなく出てくるのかもしれませんが。この七年間、残念ながらどれだけ、現地で、先ほど分断という声も頂きましたけれども…
JICA牧野部長:一般論ではなくて、ですか。
石橋議員:
いや一般論じゃない。一般論で言われているわけでは決してありません。現地の皆さんは、実際にそういう方々と、ずっと寄り添って、サポート、支援をしながら対応されてきた。だから発言されているわけです。全然一般論で言われているわけではありません。で、ちょっと発言お待ちになられている方おりますので、では舩田さんどうぞ。
舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所):
この件は、詳しく渡辺さんの方から事実関係、ここにある七点のJICAのご見解、ご反論ということについて、NGO側の渡辺さんの方から、具体的に指摘させて頂きますので、そちらで、と思います。が、そもそも、農民運動、そして市民社会のリーダーとして発言したのに(なぜ個人扱いか)、という批判も当然なんですが、実はこの七点挙げてらっしゃるうちの四点までが当日誰も言っていない、そして報道すらされていないことを基に反論されている。つまり、先ほど大林代表が仰ったように、虚偽の土台に基づいて、コスタさんだけを名指しをして批判しているという点で、非常に深刻な問題があると思います。
もう一つなんですけれど、牧野さん、算数というか。例えば、コスタさんは、ナンプーラ州という事業最大の対象地域の三万人の農民の代表なんですね。選挙で選ばれた。一方で先ほど、何度も何度も、賛成している農民もいる、いろんな意見があると仰っていた。ですが、出されているのは、当時も、前回も、今回も4800人ということで、別に数でどうってことを言いたいんじゃないんですよ、でもまさにJICAが言ってらっしゃるのは、コスタさんをなんと「反対する少数派」と書いてらっしゃるんですね。つまりこれを虚偽、半分以上が虚偽の内容に基づいて、公的機関であるにもかかわらず書いてらっしゃる。さらに、コスタさんは、皆さんが支援している4800人の農民より遥かに多い数の、一州だけで、農民を代表されている方である。にもかかわらず「反対派」と称している。つまりその様に矮小化して嘘つき扱いして、さらに名指しで批判しているというのは、普通に考えてあり得ないと思うんですけれども。どうなんでしょう。
石橋議員:ちょっとここだけ、今お答えください。ここでコメントだけ。
JICA牧野部長:
ご説明ありがとうございます。たしかに、そのコスタさんが代表している農民組織のメンバーの数というのは非常に多いと承知しております。ただその、全員がプロサバンナを賛成しているのか、あるいは一人も…。
舩田クラーセン:
すみませんそんなこと言ってなくて、なぜ「少数派」と書いたのですか。コスタさんのことを名指しにして、「反対派は少数派だけれど」となぜここに書いたんですか。普通に算数したら「少数派」ではないですよね。
JICA浅井誠課長(農村開発部プロサバンナ担当):
農村開発部の浅井です。ここで「少数」と申したのは、私たちが聞き取っている範囲の中で、JICAの事業の中では「少数」、反対の声が多くないというふうに…。
舩田クラーセン:
これJICA今日配っていただいた(ホームページ掲載文)。聞いている声というのは5500人ですよね。で、支援先は4800人。足したらいくらですか。
JICA浅井課長:一万弱。
舩田クラーセン:
一万弱ですよね。で、コスタさん、何度も言いますが、三万人の農民の代表ですね。
JICA浅井課長:
ですので、今までも申し上げましたけども、三万人の方にプロサバンナ事業を私たちが行っていることが本当に受け入れないのかどうかというところは、ぜひ私たちも伺ってみたいと思います。
舩田クラーセン:
いや、だから、コスタさんの小農運動、ナンプーラ州農民連合、三万人の選挙で選ばれた代表、連合のポジションは「プロサバンナにノー」です。ご存知ですね。浅井さんもう三年目なんだから。
JICA浅井課長:はい。皆さんがいつもそういう形で、ご紹介して…。
舩田クラーセン:
「皆さんが」じゃないです。コスタさんが来て、話しましたね。(浅井:はい)ここに座る前に、政策協議で話しましたね。(浅井:ええ)しかもコスタさんだけじゃなくて「プロサバンナにノーキャンペーン」という、いろんな団体が入ったところの代表者も来て、JICAと個別に協議しましたね。(浅井:はい)その時に「ノー」って皆言いましたね。(浅井:ええ)だから、おかしいですね。まぁこれ以上やってもしょうがないと思うので渡辺さんの説明入っていただいた方がよろしいと思います。
JICA浅井課長:
もう一言よろしいですか。全国の農民団体とでも言いましょうか、UNACというのは。UNACとこれから呼ばせて頂きますけれども、私たちが意見交換をさせていただいた中には、そのUNACに所属する農家さんもいらっしゃる。その方からは必ずしもノーと理解すべき様な発言は頂いていないということもあり、そこは私たちが実際に見聞きしたこととして、三万人が全て反対ですというところについては、私たちは違う声も聞いていますということを申し上げております。
舩田クラーセン:
すみません、一個だけ。それは事実と違う。それが分断と言うんですよ。なぜJICAがその人たちにアクセスできたかというとお金をばら撒いたからですね。これ後で渡辺さんが説明されます。UNACとして、プロサバンナ対象三州のあの小さな団体のトップを集めて、先週会議をされたのをご存知ですか。ナンプーラ州で会議がありました。
JICA浅井課長:存じ上げておりません。
舩田クラーセン:
UNACとして会議をしまして、プロサバンナに対する、小さな団体も含めて意見を聴取しました。そして統一の見解を作りました。声明としてはまだ出てきていませんが、我々のポジションは2012年の声明から変わっていない、そして2013年の公開書簡から変わっていない。それはつまり「プロサバンナにノー」であり、「緊急停止を求める」、ということですから、ちょっと認識改めて頂ければと思います。あの、本当に、内容に入っていきたいと思います。
JICA浅井課長:
あと一点、「反対派」と呼ぶことについて、というご指摘があったので、それについて簡単に回答申し上げたいと思うんですけれども、現地でのキャンペーン、”No to Prosavana”であったりと舩田さんの方からご紹介ありましたが、そういうところで、”No to”というところで「反対」という言葉を使わせて頂いています。
舩田クラーセン:
「反対派」の話じゃなくて「少数派」と言ったことについてどうですかだったのですが、もういいです。
JICA浅井課長:
二点頂きました。そこのところは、最初に少数という話と、反対と言う言葉二点ご質問頂いたというふうに理解しております。
石橋議員:
ちょっと浅井さん、こんがらがっている。わざとこんがらがせてるかもしれないけど。今、渡辺さんに論点整理をしてお話を頂きますが、これ聞いていただいている皆さんもね、今の浅井さんの考え方は由々しき発言です。
例えば、実は僕は元々日本の労働組合の出身です。今日市民団体の皆さん多くいらっしゃっていると思います。僕の組織は、例えば15万人の組織です。15万人の組織は当然ですが、皆でしっかり議論をして、そして方針建てます。その方針を、組織のトップが、「組織の方針」としてしっかりと発言をします。それが組織です。皆さん、15万人の意見聞いてないからそんなこと知らないや、と仰ってるのと同じ。それは由々しき発言です。JICAとして。
これだけの農民団体が、僕らもずっとお会いしてる、UNACはじめ、多くの市民グループが反対の声を上げている。組織として反対されている。組織としてこの間一生懸命声を上げておられる。代表者の皆さんは命を懸けて発言をされている。それを、いや全員の声聞いてないもんって仰っている。それは違うよ。そんなこと言ったら成り立たないよ。
浅井さん、我々の労働運動、労使関係否定するの。市民運動否定されるの。そんな発言しちゃダメでしょう。もしそれに寄って立ってるなら、まずもってJICAの姿勢そのものがおかしい。そのことは申し上げておきたい。えっとすみません時間ないので。
JICA牧野部長:決して浅井はそういうことを言っているわけではございません。
石橋議員:多くの皆さんそう聞こえたと思うよ。
JICA牧野部長:UNACの組織としての考え方もある、ということは承っております。
石橋議員:いや承ってない。
JICA牧野部長:
いろんな意見がある。その中でも非常に大きな組織の一つの考えとして、そういったものを持っているというふうな理解を申し上げただけでございます。
石橋議員:
聞いていただいている皆さんが判断して頂けると思うので。ただ、先ほど重ねて、JICAはそんなこと言っちゃダメだ。絶対に。成り立たないよ、そんなこと言ったら。それでは、いくつか、これそもそも虚偽、そもそも違うということもあるということなので、渡辺さんの方から説明頂いて、その後改めて。
渡辺直子(日本国際ボランティアセンター):
日本国際ボランティアセンターの渡辺です。今日は議員の皆さま、この様な場を設けて下さり本当にありがとうございます。そして一般の参加者の皆さまも、本当にお忙しい中ありがとうございます。また、外務省・JICAの皆さんも、本当に年末のお忙しいところお時間割いて下さって本当にありがとうございます。
私の方からは、特にこの声明、JICAが出された見解ですね。これに対する反論とかということではなく、自ずと反論になってしまうかもしれないんですけれども、今日たぶんここに初めて参加された方もいらっしゃるのではないかと、あるいは、前に参加していたとしても、この件をずっと、我々よりも毎日何かこの件にかかわっているわけではないので、たぶん今このやり取り見ても、何が問題なのか多分わからないこともいろいろあると思うんですね。というわけで、この間どういう経緯で何があったのかということを、私の方から少しご報告をさせて頂きます。
皆さんお手元にJICAからの資料があるんですけれども、先ほどの報道に対して、牧野さんからのご説明は特にこの点には触れられてなかったんですけれども、ひとつひとつ私の話を聞きながら、少しタイトルだけでもご確認頂ければなと。七つの論点をご提示されておられます。これが一体本当はどういうことなのかということで、ご説明をさせていただきます。
先ほど、この件が何なのかということを実は私たち結構当然のようにODAという言葉を使うんですけれども、実はあまり浸透していないんだなということが、この間自分が大学でお話させてもらったりだとか、いろんな市民の方と話す中でよくわかりましたので、最初におさらいなんですけれども。ODAというのはOfficial Development Assistanceといって、我々の税金を使って「国から国へ」支援をする枠組みです。私たちのようなNGOは「人から人へ」ということで、ODAを使って事業をすることもあるんですけれども、ODAの特徴というのは国と国のやり取りということがメインになるということがあります。契約ですね。ただこの際に、やはり援助というのは人々のためのものなので、人々の声を聞かないといけないと言うのは当然の前提としてあります。
プロサバンナは、じゃあ一体何なのかということなんですけれども、こちらですね。モザンビークという国、アフリカ大陸の南の方にある、あの地図の赤いところにある国なんですけれど、それの北部の三州、ニアサ州、ナンプーラ州、ザンベジア州の21郡の1100万ヘクタール、これどれくらいかというと日本の全耕作面積の2倍以上、を対象として農業開発をしましょうねということで始められました。今もそのようにいわれています。JICAさんの資料などによると、約400万人の農業従事者に直接的・間接的裨益すると言われています。
どのように、そもそも始まったのかということですね。これ2009年7月のラクイアサミット、G8の時のラクイアサミットの時の日・ブラジル首脳会談で、時の総理の麻生首相とブラジル、ルーラ大統領が話した時の概要です。プロサバンナの生みの親というのは、日本とブラジルです。モザンビークではありません。ここで、「日・伯両国は、セラード農業開発という世界に誇れる協力の実績を有しているところ、この協力で培った知見を活かし、アフリカでの三角協力を進めることで一致した」と。この資料(JICAホームページ掲載資料)5番に、「プロサバンナ事業はブラジルのセラード開発をモザンビークで再現するもので、モザンビークの実態に即していないために様々な問題を引き起こしているとの指摘」について、これは違いますよということが書いてあるんですけれども、(プロサバンナの)起源はそういったところから始まっています。これも2009年の9月に、「モザンビーク熱帯サバンナにおける農業開発三角協力に関する会議」、議事録があるんですけれども、ここでも日本、ブラジルのパートナーシップに基づいて、このモザンビークでの事業が行われますよ、と。なので、発端は日本とブラジルのパートナーシップの枠組みにおいて始まっています。
(これは)その際の「事業の前提と構想」です。当時の「前提と構想」なんですけれども、これはモザンビークの小農が「低投入で低生産の農民だ」と。土地が有効活用されていないので、スケールの大きな農業開発を行って、海外にそのための農業分野への投資を呼びかけましょう、ということ。(JICA掲載文で)「セラードの再現ではない」ということが言われているんですけれども、JICAのサイトに、このような、当時JICAが1970年代にブラジルで行ったサバンナを一大穀倉地帯に変えたセラード開発のようにモザンビーク変えますよ、ということがホームページに載っていました。今は削除されています。
その中で先ほど投資を、という話があったんですけれども、構想としてもう一個大きな点。ブラジルのセラードの経験を活かす、そのために必要なものとして言われていたのが投資です。これは「ナカラ回廊農業投資促進に向けた日本、ブラジル、モザンビーク官民合同ミッション」、当時のアフリカ部部長の乾(英二)さんのプレゼンなんですけれども、そこでやっぱり日本、ブラジル、特にセラード開発の経験、技術が活かされる、と。その中で、ポテンシャルのある農作物としてはノンGMの食品大豆、搾油用大豆ということで、大豆に焦点が当てられています。この辺りの経緯につきましては、今日NGOの側からお手元にお配りしました資料の2-2から2-5に掲載をされております。今、詳しく見ている時間はないんですけれども、後ほどぜひご覧頂ければと思います。
あとは資料の10ですね。日本とブラジルの間の公電のものがあって、ここでも日本とブラジルの関係、セラードのことが強調されています。(プロサバンナは)この様な起源で始まって、当初、中でも大豆を生産しましょうということで、今はそういったことが否定されているわけなんですけれども、2013年4月2日、私が参加したJICA主催の投資セミナーなんですけれども、ここで日本の企業が、日本人はこんなに大豆を食べますと。なので、プロサバンナというのは日本の消費者のためにノンGMの大豆を持続的に得る必要があるので行います。なので、モザンビークで大豆を生産して下さい、投資を呼び込んで。そしたら、我々商社が買いますよということで、宣伝がなされていました。これもお手元の資料1で配っているんですけれども、当時のJICAワールドの2010年5月号で、「途上国の農業開発なしに維持できない日本人の食生活」ということで、ブラジル・セラード開発の経験をモザンビークへということ、また、日本と世界の食の安全保障のためにモザンビークで大豆を生産して輸出するということが謳われています。
これをよく表す図というのが、これモザンビークの北部三州の「ナカラ回廊」と呼ばれているものなんですけれども、このナカラ回廊開発というものがJICAによって行われておりまして、こういった全体像の中に農業というものが位置付けられています。これ何かというと、沿岸部で天然ガス開発、内陸部で、これJBICが関わっているんですけれども、石炭開発があって、港湾開発と鉄道整備だったり道路の整備だったりインフラ整備をして、採ったものを外に出していきましょう、輸出していきましょう、と。そういったものを官民連携で行いましょうねというのが、(プロサバンナ)事業の始まりです。こういう中で農民たちは反対の声を上げるようになったということがあります。
先ほど、土地が奪われる可能性があるということをコスタさんは2013年当時も、ビデオで言っていたんですけれども、実際にこの頃モザンビークの現場で何が起きていたというと、モザンビークの北部では、2011年頃から大豆栽培をするアグリビジネスによる土地収奪が頻発していました。この土地は、かつて彼らが耕していた畑があり、森があり、小川があり、お墓があり、家があり、というところだったんですけれども、そういったアグリビジネス、海外から来たアグリビジネスによって取られていった。それを本来は自国の政府がこの農民たちの権利を守るべきなんですけれども、むしろその会社の筆頭株主が大統領だったりとか、そういった形で、現地のガバナンスが悪化していく中で起きている。そういったことと表裏一体で行われています。こういった現実が、モザンビークの小農を当時取り巻いていた。こういうことから事業に反対の声を上げました。先ほど見て頂いたような構想でやれば、絶対に自分たちの土地が奪われるに違いない、と。
しかも、情報がやはり出てこない、ということを、当時も彼らは言っていました。そういった反対の声を上げる一方で、自分たちの実践というのが既にあるんだ、そこに基づいた発展というのを自分たちはやっていきたいだけなんだ、一旦停止してくれないか、と当時、モザンビークの農民たちは言っていました。
この結果何が起きたか。実施主体側、日本、ブラジル、モザンビークの政府、JICAも含む、実施主体側は、止めはしなかったんですね。止めてください、一から考え直してほしい、ゼロからスタートして欲しいということを言ったわけなんですけれども、その声には応じない。代わりに、確かに、口頭では、説明では、いやいや、プロサバンナっていうのは「小農支援なんですよ」、と。あるいは、「投資を促進するものではないんですよ」、と。なので、「対話が重要なんです。だから小農と対話をしながら進めるんです」ということを、ずーっと言ってこられました。じゃあその結果何が起きていたか、どんなことが現場で起きていたのかということで、少しご覧いただきます。
プロサバンナというのは、実は三本のプロジェクトから成り立っています。プロサバンナ・プログラム/事業というものは、一つはプロサバンナPIといわれる、一番上にある大豆やトウモロコシなどの改良品種、種子の改良品種の研究などをするような技術移転能力向上プロジェクト。もう一つが、一番下にあるプロサバンナPEMといわれる、そのコミュニティレベルの開発モデルを策定する。これは、JICAさんがいつも得意にされている小さい規模での事業をやって、モデルを作ってそれを広げていく、そういったものだと思うんですけれども、こういったものが行われている。もう一つが、そういった大規模農業開発を長期的に、モザンビークを発展させていくにあたって長期的な農業開発計画を策定しますよ、と。それがプロサバンナPDといわれるものです。
これご覧のとおり、本当は2013年に策定が終わる予定だったのが、未だ終わっておりません。農民たちが反対の声を上げて、結局今見て頂いたようなやり取りですね、言うことが全くすれ違いで農民たちの声が全く届いていない、そういう状況が起きている中で、全く対話も成り立たないような状況というのが作られてきたために、そのまま進められず、まだできてきません。その結果、多額の税金が投じられているということがあります。これ当時から見て頂くとわかるんですけれど、民間投資入れましょうねということが、やっていないよと言いつつすでに行われている。ということが、わかるかなと思います。
じゃあ対話が大事なんだ。そのための支援なんだ、と言って何が行われていたのか。現地で、やはり、自分たちの周りで知らないうちに大企業が入ってきて、大豆栽培企業が入ってきて土地を取っていると思うのと同じように、プロサバンナについて対話をしたい、情報をくれということを言っているうちに、なにか自分たちの周りに変なことが起きるんですね、農民たちに。
なので、私たちも日本の市民の責任として情報をきちっとJICA、外務省に求めるということをやってきました。ですけれども、その結果出てくるのが、こういう皆さんも知っている「のり弁」といわれる、これ真っ黒の結果が出てくるんですね。なので、我々からすると、事業の特徴の一つ目として、情報隠蔽、不透明であるということが一つ、言えるかなと思います。こういう風に情報が隠されている中で、じゃあさっき言った対話のために何が行われてきたのか。一言でいうと、「JICAによる小農の抵抗を削ぐための戦略と活動」というふうに言えると思います。これはモザンビークの市民社会からは、介入と分断、先ほど舩田さんから「それこそが分断だ」と仰っていたんですけれども、そういったことが実際に行われていて、そういった声が上がっています。
今日は三点について皆さんにご報告をさせていただきます。一つ目が「コミュニケーション戦略」と言われるもの、もう一つがモザンビーク市民社会内部の調査、そしてその結果生み出された「市民社会対話メカニズム」というのがどういうものなのかということ。これらは全てJICAがお金を出して、私たちの税金が投じられて行われているものです。
一つ目、コミュニケーション戦略、プロサバンナとは介入分断であるという点。コミュニケーション戦略というのは、ここには2013年8月1日の契約のことが書いてあるんですけれど、実際は2012年の10月に農民たちが反対の声を上げ、11月から私たち日本の市民社会が動き出した、その一か月後の2012年12月からこの計画始まっております。これ何だったのか。対話が大事、小農のためだよね、と言いながら実際何が行われていたのかというと、JICAがお金を出して、現地のコンサルタントを雇って、「コミュニケーション戦略書」というものを作りました。
コミュニケーション戦略とは何なのかというと、その報告書に書かれていることです。戦略、どういった戦略かというと、「プロサバンナがコミュニティとの直接のコンタクトをすることによって、コミュニティ、あるいは農民を代表するこれらの組織の価値、信用を低めることができる」と書かれています。先ほど見て頂いたようなやり取りも、まさにそのようなのかなと思います。「市民社会組織のモザンビークのメディアに対する影響力については、プロサバンナがメディアと継続的にコミュニケーションを持つことで特にモザンビーク組織の実行力を減らしていく」といったことも、JICAがお金を出した現地のコンサルタントが作ったものに書かれています。他には、「モザンビーク市民社会諸組織の重要性を奪うことによって、モザンビークで活動する外国NGO、我々のことですね、の力を削ぐことができる」、あるいは「ブラジルのセラードとナカラ回廊の結びつきを遠ざけることにより、これらの国際NGOが使用してきた主要な論点のいくつかに関して信用を低下させることができる」と書かれています。先ほど、「セラードを再現するものではない」と(JICAが)説明しているものにありましたね。こういったコミュニケーション戦略に則って行われています。そして、書かれている通りのことが起きている。さらに、「それでもその影響力が継続されるならば、間接的に、外国の諸組織、我々の役割について問題化する、あるいは批判する」、それは「メディアを通じて行う」、ということが書かれています。
実際に、現地のメディアでJICAがコンサルタントとして契約した、2200万円をそこに払っているんですけれども、地元団体が地元紙の取材に、反対する市民社会関係者を批判して、プロサバンナを推進する、賛成なんだという発言を展開するような記事も何度か出ています。これが一個目ですね。
もう一つは先ほどの二番目と三番目。「市民社会関与プロジェクト」というものも行われました。これもJICAが現地のコンサルタントを雇って行ったことです。2015年10月当時ですね。現地の側から、小農団体、あるいはNGOから、JICAに雇われたというコンサルタントが私たちの団体を一軒一軒回って一人ずつ指名で訪問してきて、プロサバンナについて意見を聞いてくる、と。ものすごく変なことが起きている、と。なので、調べてくれないかと言われて、私たちは、JICA・外務省と、その時、意見交換の場を持っていたので、聞いてみたんですね。でも、結局何も教えてもらえなかった。「今は言えない」と言われたんですよ。
その結果何が起きていたか。これも開示請求などによって出てきたことなんですけれども、これJICAのコンサルタントへの業務指示書です。何が書かれているかというと、モザンビーク市民団体・個人のプロサバンナへの立場の調査を指示。対立関係の主な要因を把握して、プロサバンナに関する会話に意欲を示しているステークホルダーを見つけ、協議に招待、と。これは結果的に、プロサバンナに反対の声を上げているステークホルダーが排除されていくプロセスでもありました。
どういうことかというと、これは実際にコンサルの中間報告から取ってきたものです。このように色が実際に付いているんですけれども、何をやったかというと、一つ一つの団体を回って、色分けをするんですね。何によって色分けをするかというと、プロサバンナに対する姿勢です。「赤」は”No to Prosavana”、「紫」が条件によっては対話に応じるだろう。「黄色」がそんなに利害関係ない。「グリーン」が”Supportive Prosavana”、プロサバンナについて前向きだよという団体なんです。結果として、この先ほどの業務指示に従って、赤いところを排除して、緑の団体と、「市民社会と対話をして進めていますよ」と言うための「市民社会対話メカニズム」というものが作られました。
これ本当に簡単な概要図なんですけれども、どういうふうに行われたかというと、例えばナンプーラ州農民連合というのはコスタさん、先ほどのコスタさんが所属している農民連合です。ニアサ州にも、ザンベジア州にもあって、それぞれの州にNGOや農民組織などのネットワーク組織があるんですけども、そこ(各州ネットワーク)のグリーンの団体を取り込んで、「市民社会対話メカニズム」というのを作って、市民と、あるいはNGOと対話をしながら進めています、と。その結果、この図見てわかるように、赤だった団体は削除され、排除されている。ここに丸がついているのはUPCナンプーラ、コスタさんのナンプーラ州農民連合ですが、ここに赤がつけられているというのがわかります。この結果こんなふうに分断され介入が行われたということがあります。分断じゃないとJICAは当時説明されていたんですけれども、この中間報告に書いてあるのが、これら「ノー」と言っている団体というのはインタビューした32組織の中の4団体に過ぎないので、交渉という意味では基本的に考慮に入れなくて良いということを書かれているんですね。排除しましょうということが。こういったことがあります。
こういったことの結果、現地の農民たち、あるいは住民たちがJICAの環境社会配慮ガイドラインに則って異議申し立てをしました。異議申し立ての結果、「ガイドライン違反なし」という結果は出たものの、その(審査の)中でも、後で触れられると思うんですけども、JICAに課題がなかったわけではないと言われています。それが出ましたが、やはりこれはおかしいんじゃないかと、こんな分断と介入が行われて。そこで、毎年小農やNGOが来日して、直接JICAの皆さんに止めてほしいということを伝えてるんです。でも止まらなかった。
そういう中で、ついに現地の弁護士会というのが、これはおかしいんじゃないかということで、プロサバンナ事業そのものを、農業省をですね、裁判に訴えました。これが先ほど大林さんが言っていた判決です。これ資料の5に判決文の要約が載っているので、後でご覧ください。そこで認められた判決のポイントが、全裁判官が一致してこの訴えを認めて、先ほど大林さんも言っていたように、知る権利からなる基本的人権の侵害と認められた。ついては10日以内に資料の全面開示をしてくださいね、と。事業にまつわる。
プロサバンナ事業が要は違法として認められた。これに対してJICAに対応を求めたところ、基本的にはモザンビークの問題だ、と。これはモザンビーク政府内部の話なので、私どもは確認しておりません、という発言が我々のもとに届けられております。しかもその判決が出るまで裁判のことすら知らなかった、と言われていました。でもこれ本当なのかということで、我々なんかちょっと違うんじゃないかということで、これも開示した資料を調べました。わかったのが、資料の先ほどの5にあるんですけれども、裁判というのは農業省の中の「プロサバンナ調整室」というところが対象になって行われています。「プロサバンナ調整室」って何かというと、元々JICAが作ったものです。モザンビークの農業省の中に。元々JICA事務所にあった、当時の。そこにモザンビーク人の3人がいる「プロサバンナ調整室」というところがあるんですけれども、ここにJICAが雇ったコンサルタント、スタッフが一人派遣されています。その人の業務というのはJICAからの指示で業務をして、JICAへの報告をすることが、業務委託書に、その人の契約書に書かれています。そのスタッフの業務指示書のどこにも、モザンビークの農業省とか他のスタッフの指示に従うと書いてないんですね。なので、この人の役割というのは、あくまでもJICAが雇って、JICAが派遣をし、JICAのために働く人です。その人が働いている「プロサバンナ調整室」というところが訴えられて、違法の判決が出た。しかも情報が開示されていないという。
そういった結果が出たんですけれども、その報告義務があるにもかかわらず、裁判が起こされたことすら知らない、モザンビーク内の問題だ、と。でも、この「プロサバンナ調整室」、実は2014年から2018年に約1億3000万の資金が投じられています。だいたい毎年2000万円単位ですね。本当にこれモザンビーク国内の問題なのか。そういったことが、ここから見えてくると思います。これが業務指示書なんですけれども、ここにはJICAのプロサバンナ調整官による次の活動を支援とか、JICAへの定例報告というのが書かれている。なので、先ほどの判決には、やはり日本が応える義務があるんですね。そういう中で、こういったことがあります。
そのことについて、コスタさんがここに来日した時、ずっと言っていた。今の分断の話もしていた。でもそれに対しての答えはこの中(JICA掲載文)には一切ないんです。自分たちが述べたい見解だけがここのところに載せられている。本当にコスタさんの声に応えるのであれば、そのことについて触れて、述べたらいいのに、そのことについては何ら触れられていない。これをやっぱりどう考えたらいいのか、というのが一つあります。
最後ですね。農業のプログラム、先ほど大規模農業開発ということを言わなくなって、小農支援だということを言い続けて、言うようになったということを申し上げました。また、この中(JICA掲載文)にも、「土地収奪を招いているのではないかという指摘について」というのがあるんですけれども、これがPEMというモデル事業の中で起きたことを少しご紹介させて頂きます。これ、モデル作りは5つのパターンがあって、一つ、小農との契約栽培をする企業に融資をしましょうねという、契約栽培のモデルがあるんですね。そこにJICAが融資をしている。その企業が、地元の農民から土地収奪、農民たちの土地を収奪してできたんだ、と訴えられています。当時から。そのことについて、私たちの現地調査で分かったので、JICA、外務省に伝えて、こういった嘆願書まで農民たちが出していたので、これは融資をする前にきちんと対話をするべきなんじゃないかということで、JICA、外務省にお願いをした。しかし、土地収奪はない、圧力は確認できなかった。その企業というのは土地収奪をしたわけじゃなく農民に話し合いで退去を要請したんだ、と。そもそもプロサバンナとこの問題は関係ない、という説明を、我々はもらっています。これは議事録、当時の会議の議事録から取ったものなんですけれども、じゃあ、どうやって確認をして、土地収奪はないって言っているんですか、と当時聞いたところ、モザンビーク企業と政府に確認して、やってないと言っているからないんだ、と。(土地収奪を)やっていると言われている本人たちに聞いて、やっていると言うわけがないと思うんですけれども、そういった方法でしか確認せずにやっている。
その根幹にあるのが先ほどのこのやり取りに見られたように、現地の小農たちの声をきちんと受け止める、そのことを事実として始める、その声によってきちんとこの問題、何が問題として投げかけられているのかということを考える、ということができていないということが一つ大きくあります。そのことは、実はガイドライン違反に関するこの報告書にも、審査をした方々が書かれています。農民の、その訴えに基づいて考えるべきだということが提言されているんですね。それが未だに行われていないということがあります。世銀のレポートなんかでも、土地収奪が起きる背景というのは政府のガバナンス、現地政府、その国の政府のガバナンスに取り組まないといけないということを言われているんですけれども、それでも、こういった問題が放置されている。そういう中ですでに起きている土地収奪に対応できずに、本当に小農らの土地が守られるのだろうか、という疑問は誰でも持つ。ましてや、小農らが、やはり不安になることは当然だと思います。そういう中で、日本政府としては、(JICA環境社会配慮)ガイドラインでも、「法の支配」ということを謳っていますし、外務省の2019年12月12日のODA政策協議会の資料なんですけれども、来年度の概算要求、ODA関連部分の予算の柱というところに「法の支配に基づく国際秩序の強化」ということが書かれていて、本来ここ強化しないといけないところなんですけれども、今見て頂いたような状況があります。
最後のまとめ部分なんですけれども、じゃあいったい、まとめとして、「プロサバンナって何なんだろう」と言った時に、やはりもう一回、おさらいなんですけれども、ブラジルのセラード開発から出発をしていて、投資+大豆生産+インフラ整備→輸出という構図がありました。そこから、小農からの懸念と反対の声が上がったので、「小農のための事業」を、あるいは「対話を」という説明がなされるようになったけれども、じゃあ実際にその通りになったかというと、実際に起きたことは、過去がなかったことのようにされて、訴えている小農をここで見たように嘘つき呼ばわりする。そういったことが起きている。あるいは、「対話が重要」、「小農のため」と言いつつ、同じ時期から、隠れて、今見て頂いたような「コミュニケーション戦略」と「分断介入」と「賛成派づくり」、ということが行われている。そういったことがあります。一方で、その土地収奪に対して救済を求める訴えについては無視され続けている。
なので、やはり、小農から見たプロサバンナというのは、当初、農民たちはモザンビーク政府に対してこの事業を止めるように、と言っていたんですけれども、今やもうJICAなんですね、相手が。そのJICAによる介入と分断、排除効率化、抵抗潰し、人権侵害、隠ぺい。こういったことが訴えられている。だからこそ彼らは毎年のように日本にやってくる。これに私たちの税金使われているので、我々の問題でもあります。今日そのため、この様な場を、議員の皆さまが持ってくださったことはありがたいなと思います。この部分は資料の1‐1あたりにあるので、ご覧下さい。
ちなみにですね、これは先ほど触れたのでもう飛ばしますが、コスタさんというのは3万人の代表なので、4800人から見て「少数派なのか」ということも一つ、この情報に対する実際の状況として加えておきます。今見てきて頂いたようなことに、約35億という多大な税金が投じられてきています。そういう中で、私たち日本の市民から見たプロサバンナって何なのかっていった時に、やはり、その税金を使って行われている事業が現地の裁判に訴えられて、違法判決と非常に残念な状況です。それにもかかわらず、「モザンビーク国内の問題」として真摯に応えていない。これどういうことかっていうと、被援助国のガバナンスをやはり不問にしていて、すなわち、その人たちの人権を軽視しているとしか思えない。先ほどのやり取り見た中で、そうとしか思えないんです。これはやはり、(現地)政府がやってないからやってないんだとか、(現地)政府の問題なんだ、と言うんですけど、司法判決が出ているということは、三権分立で司法の判断というものを尊重しないといけないんですね。にもかかわらず、(現地)政府がやってないからやってない。あるいは政府の声だけを聴いて対話をする。あるいはモザンビーク政府がやっていることなんだということで済まされる。これをどう考えたらいいんだろうかということが一つあると思います。
その一方で、声を上げる小農リーダーを名指しで小農を危険な状況に追いやっていて、やはり今日、本当にやり取りを通じて、このまま事業を続ける資格と能力があるのかということを問いたいです。問う前にぜひ、JICAの皆さんにはここにいる納税者の皆さんへの説明責任果たしていただきたい。これはやはり、モザンビークの市民の権利だけではなく、我々(日本の)納税者、市民の基本的人権の問題でもあるということで、最後に触れさせていただきます。少し長くなりましたが私からは以上です。
石橋議員:
渡辺さんありがとうございました。これまでの経緯を含めて問題点整理してお話しいただきましたので、今回初めてこの問題を聴いていただいているみなさんにも経緯含めて分かりやすく理解いただけたのではないかと思います。
時間が若干押しましたが、今日、外務省国際協力局の国別開発協力第三課長黒宮さんにご参加いただいています。急きょお願いしたにもかかわらず、今日お忙しい中、時間を取っていただいてこの場にご出席いただきました。1時間ちょっとと言っておきながらひっぱっておりますけれども、時間を取っていただいてありがとうございます。外務省の絡みも話があったので、外務省から一言言っていただければと思いますので黒宮さんにマイクお渡しして頂けますか。とりわけ私の質問主意書に対しても、これだけ裁判でああいった判決が出ていること、本来JICA・外務省としてもODAのあるべき姿、重ねて内外で発言いただいていることについて、疑義が出ていることも含めて、外務省の見解を聞いておきたいと思いますので。時間の許す限り。
黒宮貴義課長(外務省国際協力局国別開発協力第三課):
時間が押していますので、今日聞いた話、今日これから議論される話についてきちんとフォローさせていただきたい。今の時点でいただいたお話についてこの場でというのは難しいので、そういう形でお願いできればと思います。
石橋議員:
一点重ねてですが、現地で裁判所が明確に判決を出されています。この事業に対して、農業省に対して。事業主体である日本政府として、外務省・JICAとして当然我々は国民の貴重な35億という税金を投入してやられている事業について、その主体として責任があるはずです。ところが答弁書でも一切責任が感じられません。「現地の話です」というので2行で終わっています。とうてい我々立法府としても納得できる政府の対応ではありません。この点についてだけはちゃんと説明して帰ってください。
外務省 黒宮課長:
この点につきましては質問主意書ではそのような形でお答えしておりますけれども、私どもでは国内手続きであることに加え、モザンビーク農業省は行政裁判所の判決に対する通知文書を受領してから10日以内に、行政裁判所に対してこれまでプロサバンナ事業に対して情報開示してきたという旨を説明する書簡を根拠資料とともに大臣名で出したというふうに、私どもとしては把握しています。これから農業省については書簡の中で今後プロサバンナに関する情報開示請求があれば対応していく旨表明したということを承知していまして、それに対してモザンビーク行政裁判所からは、特に今のところ反応がないと伺っています。裁判とは別の話になりますが、弁護士連合会が訴訟を起こしたということですが、同じようにモザンビーク国内で憲法に基づいて設置されているオンブズマンに対しても同じような申し立てを行っているというふうに承知しています。この点についても現地農業省はオンブズマンに対して情報公開の事実を説明し、それを受けてオンブズマンは農業省の説明を認めて弁護士連合会の訴えを却下したという風に承知しています。そういう形で、モザンビーク国内で色々な議論があるという話であると承知しています。
石橋議員:
ちょっと時間もないでしょうからここで全部をやりとりできません。聴いていただいている皆さん、ウェブサイトで検索いただければ質問主意書も含めて手に入るのでみなさん自身でご確認いただきたけたらと思います。
黒宮課長から説明いただいた、「承知している」というのは全く違うということは質問主意書の中で既に述べています。外務省はそう言われるけれども、裁判所がちゃんとその情報提供を受けていないというのはちゃんと明確に言われているわけです。だから我々も訊いているわけです。そのことも含めて政府としての責任をきちんと果たしてほしいということで言っているので。承知をしているのではだめなんです。承知が違うんです。違う承知をしているのでは駄目なんです。だから対応してほしいというお願いをしているわけですので。JICA・外務省として真摯に対応いただかないと駄目だと思う。そこのところでの回答がないので、重ねてやりとりさせていただきますので。それはお願いしたいと思う。
舩田クラーセン:
去年からずっとやりとりしていて、黒宮課長が着任される前も全く同じ回答をされて、(モザンビーク)弁護士会の方も、NGOの側からも反論させていただいたんですが、それを踏まえた回答に、今もなっていない。何年も全く同じことを何度もおっしゃっているんですが、判決は読まれましたか。
外務省 黒宮課長:詳細までは読んでいません。
舩田クラーセン:
読むべきですよね。日本の援助が、渡辺さんからあったように、JICAが作った「調整室」が訴えられた。それを所管するモザンビーク農業省が被告なわけですね。ということは、援助が、要は、裁判所によって「認容判決」ですから、基本的に憲法に違反している、と言われているわけです。ですからやはりJICA経由で訊くのではなく、外務省として、日本の国益を守るために、ぜひ全文を訳して読んでください。
判決文11ページほどあるんですが、そこに書いてあることは何か。JICAの方、分かりますか。何が書かれていますか。先ほど紹介したこと以外に書かれている重要な点があります。なぜモザンビーク農業省が訴えられたか、なぜ裁判で負けたか分かりますか。裁判で。浅井さん、呼んでいますか、全文。
JICA 浅井課長:読んでいます。でもそらんじているわけではありません。
舩田クラーセン:いえ、そらんじていなくていいです。なぜ有罪になったか、なぜ負けたのか。
JICA 浅井課長:そらんじているわけではないので。
舩田クラーセン:
そらんじてなくていいのですが、理解しなければなりませんよね。浅井さん、3年目です、(プロサバンナを)担当して。3年の間にこの裁判が起って判決が出た。私達、何年も浅井さんをここに呼んで、何が書いてあるか聞いてきた。そらんじなくていいので、エッセンス、なぜ農業省は負けたのか。
JICA 浅井課長:無言
舩田クラーセン:
弁護士会の人権侵害だ、憲法に基づいて憲法違反であり人権侵害であるという訴えを、全面的に全裁判官が認めた。これは書いてありますね。
JICA 浅井課長:無言
舩田クラーセン:
そこも理解しないで、外務省にあんな風に説明させてはいけない。恥ずかしいです。
JICA 浅井課長:
私が今とっさに答えられないのは恥ずかしいことかもしれませんが、記憶を新たにするにも、舩田さんにご紹介いただければ有り難いです。
舩田クラーセン:
だから、こんな無責任な。みんなの税金で、この件を担当されて。このプロサバンナ事業の最大の…。司法が言ったのですから。モザンビーク国には三つ(権力が)あり、司法権というのは政府でもある。その司法が言ったことすら言えないというのは問題なんですが。なぜ有罪だったか。それは、モザンビーク農業省は、反論のために、裁判ですから訴えがあります、弁明する、あるいは反論するための場がある。しかし、一度も来なかった。裁判所の呼び出しに一度も応じなかった。ゆえに、モザンビーク農業省はこの罪を認めているということで有罪になっている。
ですから黒宮課長にああいう答弁させちゃだめですよ。つまり、判決、有罪判決が下りてから10日以内に農業省が我々は違反していませんということを根拠書類とともに行政裁判所に出したら、いけないんですよ。分かりますか。裁判で本来すべきことを農業省はやらないから有罪になってしまったんです。意味分かりますか。もう裁判が結審して判決が下りて確定しているのに、今更証拠がありますと出しているということ自体が、モザンビーク農業省が、行政府が司法を馬鹿にしているし、無視している行為である、ということがまず一点。
そして、このことは何回も外務省にもJICAにも指摘していて、全文を読んでいるというのに、覚えていないだけで、また黒宮さんにそういう説明をここでさせたというのは、JICAなのか、浅井さんなのか、牧野部長なのか分からないが、モザンビークの司法を馬鹿にしている。馬鹿にしながら援助しているというのは、ゆゆしき問題だと思います。だから黒宮さんの今の反論は反論になっていない。残念ながら。だから判決を外務省のポルトガル語の担当の人に訳してもらって、もう一回考えてください。
最後に、黒宮さんが行かれる前に、国際協力局長がプロサバンナ事業のPDを一度止めたのはご存知ですか。2017年に。この件は渡辺さんが詳しい。
外務省 黒宮課長:環境社会配慮ガイドラインとかがあった時ですか。
舩田クラーセン:
その前です。それは2017年の5月、訴えがあった直後ですが、その直前にもう止め始めていた。そのことはご存じないですか。前の課長さんの話なので知らないかもしれない。
外務省 黒宮課長:とりあえず今伺います。
舩田クラーセン:はい、じゃあお願いします。
渡辺:
我々はこの問題をずっとODA政策協議会で問題提起してきているわけですけれども、その中で今日も触れたコミュニケーション戦略と介入と分断についてご報告して問題提起したところ、当時の国際協力局長がこれはまずいということで、終わった後に私のところにご挨拶しに来られた。そういうことはめったにないです。しかも局長が来るということはほぼあり得ない。私みたいなペーペーのNGOスタッフに。その際、一回話をきちんとさせてもらえないかと言われたので、協議会とか公になる場、議事録が残るのとは違う場で当時の課長、課長補佐と局長とで、また、NGOのメンバーで話をさせていただいて、協議を続けた結果、それは12月です。
そこから3月くらいまで協議を続けて、一旦、こういった分断を進めているコンサルタントとの契約を全部止める、すなわちそれは事業が止まるということを意味する、そういうご決断をされました。そのことはご存知ですか。
井上議員:
今の経緯は、私3月19日のODA特別委員会で質問いたしまして、外務省・JICAが答弁をしているんですね 。ですから、より丁寧な、反対派の意見も含めてより丁寧な対話することが必要だということで止めた。そして外務大臣が再開の条件として「反対派を含めた参加型意思決定を含む議論の実現というのを条件とした」ということも、外務大臣が、自分が相談を受けて考えてやったと国会で答弁しているんです。それは省内できちっと共有して認識してもらわないと困ると思う。
外務省 黒宮課長:
まさに先生がおっしゃいましたし先ほどご指摘がありましたが、今日まさに先ほどの渡辺さんのプレゼンの中でもありましたが、マスタープランに関しては2013年までだったものが未だにできていないというのは、まさにおっしゃる通りで、まさにそれこそがそういう形で色々と話を伺ったり、いわゆる参加型意思決定ですとか、そういう形で話を聞いて時間をかけてやっているという、まさにそういうことでございますので、それにつきましては私自身もきちんと認識しています。
渡辺:
先ほどご報告したのは、そうやって声を聴くと言いながら何が起きてきたのかということで、コミュニケーション戦略と分断の市民社会対話メカニズムの話をさせていただいたのでそこをもう一度確認していただく必要があると思います。
石橋議員:牧野さんの発言を。
JICA 牧野部長:
もともと渡辺さんの発言へのレスポンスの一つとして始まったかもしれませんが、行政裁判については、おそらく今日いらっしゃる方は初めて話を聞く方もいらっしゃると思うので、実際にはポルトガル語を私はできないが、日本語で訴訟の目的と結論だけのところを読ませていただいて…。
舩田クラーセン:それは配っています。ですので、大丈夫です。
JICA 牧野部長:そこはリピートしなくてよろしいですか。
舩田クラーセン:大丈夫です。配っていますから。
JICA 牧野部長:残念だが。
舩田クラーセン:
担当者がなぜ(裁判に)負けたのかを答えられないのに、今更我々が配っているものを、JICAが代わりに読むというのは時間の無駄ですから。お帰りになってお読みください。資料はネットに上げますので。
JICA 牧野部長:寂しい。
舩田クラーセン:だったら(裁判結果を)リスペクトしてください、ということです。
石橋議員:
この後また論点いくつかやり取りさせていただきますので、その時にまた必要であれば説明頂ければと思う。
舩田クラーセン:
黒宮さんが帰られる前に、渡辺さんがおっしゃっているのはそういうことではなくて、(外務省国際協力局)局長に、「コミュニケーション戦略書」とかお渡ししたんですね、JICAの文書を。リークされたものや公開されたもの。そしたらびっくりされたわけですよ。何これ、と。日本の援助がこんなことに使われていると知らなかった、と。もちろん、局長の前の局長の時代のことだということもあるんですが。外務省にJICAはすべて話しているわけではないです。そうですね。そのことが今日はっきりしたじゃないですか。裁判についても。
同じように、JICAがやっていた裏工作というものについても局長はご存じなくて、現物を見た時にこれはあり得ないねということで、何とかして自分の代で止めなきゃと言って止めてくださったんです。ただ局長が変わって、またちょっと変わってきたというところを、今日ぜひ帰られてから他の人にも訊いて頂きたい。そしてJICAとの連携の際にはNGOの情報も参考にされた方が、省にとっても良いのではないか。日本の国益にとっても良いのではないかと思います。ファクトを必ずつかんでほしいと思います。よろしくお願します。
石橋議員:
今、舩田さんの言われたポイントの農業省が裁判所の呼び出しに一度も応じていなかった、一切の反論を口頭でも文書でも行っていなかったというのは質問主意書に書いてありますからね。
外務省 黒宮課長:その点は承知しています。
石橋議員:
書いてあるのですから、それは外務省としてもちゃんと事実確認をしたうえで答弁してもらわなきゃ困るのに、それができていないということを今ご指摘いただいているので、改めてきちんと判決文を読んでいただいて。読んでいただいたうえで、残念ながら、もしJICAが必要な情報を外務省にあげていないということであればゆゆしき事態なので、外務省としてもきちんと責任ある対応をしていただきたい。また時間とって協議させていただきますのでよろしくお願い申し上げます。
今日はありがとうございました。お忙しい中来ていただいてありがとうございます。
それでは、もうすでに何点か論点入っていますが、まだ残り時間がありますのでいくつかやり取りさせていただきたいと思いますが、まだ残り時間残っていますのでいくつかやり取り頂きたい。その前に冒頭ご紹介しましたが、川田龍平参議院議員が出席いただいておりますので、一言自己紹介を。
川田龍平議員(参議院議員):
みなさんこんにちは。参議院議員の川田龍平です。私は今、行政監視委員長でして、なかなか質問に立つ機会がないんですけれども、ただ委員会としてしっかり行政の法律に即してやっているのかどうかということを監視していく機関です特に、今年参議院の選挙で3人参議院議員が増えました。242人だったところを245人になっております。3年後にまた3人増えて248人になるんですね。
みなさんあまり知らなかった人もいると思うんですけれども、実は増員になっていまして、この行政監視委員会というのも30人のところを35人に定員が増えております。職員の増員もありまして今まで7人だったところの調査局の人員も9人に増えております。そういった税金を増額してやっている行政監視機構、監視委員会ですので、しっかりこれを活用していきたいと思っております。桜を見る会がテーマに上ると与党が委員会を開かないようにしようとするんですが、しかしやっぱり行政を監視していくのが委員会の役割ですので、ぜひ通常国会から頻繁に開けるようにと思っています。野党が今まで委員長を取っていなかったので、なかなか2年に一回くらいしか開かれなかった委員会でもありますので、ぜひしっかり開いていきたいと思っています。
今年の3月1日から参議院のホームページ開いていただきますと、トップページの右の中ほどのところに、「行政への苦情窓口」というのがホームページ上に設けられています 。請願署名の場合は署名を集めて紹介議員が必要になって委員会でも全会一致での採択があって採択、署名が成立するんですが、苦情制度というのが、制度としては残っているんですが、苦情窓口に関しては氏名、住所、電話番号を書いていただければ、署名も紹介議員も要りませんので、メールでもフォームからでも手紙でもファックスでも受け付けております。ぜひ国民の皆さまから、行政に対する苦情をあげていただいて。
行政の不作為、行政の怠慢、行政のさらに言えば能力不足によって生じる権利侵害すべて含まれますので。ぜひ苦情窓口の苦情として挙げていただく方法がありますので、こういった方法があるということを知っていただいて、世界におけるオンブズマン制度の行政府ではなく、立法府におけるオンブズマン制度だと思っていただければ分かりやすいと思いますので、ぜひ利用していただければと思います。長くなりましたがよろしくお願いします。
石橋議員:
はい、ありがとうございました。川田議員から紹介ありましたものも、ぜひ皆さん活用いただいて、いろんな意見をあげて頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします。それではですね、間色々挟みましたけれども、先ほど渡辺さんからこの間の経緯、問題点のご指摘をいただきました。それがJICAの先ほどのホームページでの特定の個人を名指ししての批判、それが根拠のないものであるということにつながるご意見だったと思いますので、JICAの方からもコメントがあろうかと思いますが。
我々の方からも、やはりいくつもの論点について改めてきちんと説明していただかないといけないと思っている。井上議員からもあろうかと思いますが。我々も、この間ずっとこの件をフォローさせていただいてきた。先ほど浅井さんの発言の問題を指摘させていただきました。多くの小農のみなさん、市民団体のみなさん、モザンビークで組織をあげて反対の声をこの間一貫してあげて来られてきた。かつ、私が間違っていなければ当初は、まずは一旦立ち止まってほしい。一旦立ち止まって、そしてしっかりと市民社会との対話をしてほしいということだったはずです。それが残念ながら実現されないままに皆さんが次々と、今渡辺さんがご指摘のような対応をされるものだから、当事者、市民団体のみなさんも農民団体のみなさんも、これじゃだめだということで次第に反対の声を大きくあげてこられたというのが経緯だったと思います。にもかかわらず、反対する農民が少数だとホームページ上で断言して言われるのは我々としても理解できないし、とうてい納得ができないので、ここはどういう理解でこれを言っておられるかというのは改めて確認していただきたい。
それから土地収奪の件も今渡辺さんからの説明にもありました、現にこの問題が起こる以前から、これはモザンビークに限りません。多くの途上国で土地収奪が起きてきたわけです。開発の名のもとに。国際的な多国籍企業なり、そういったところが、国策の名のもとにもしくは開発の名のもとに、土地収奪をあちらこちらでやってきたわけです。それは事実。それはJICAのみなさんも重々理解されているはずですね。そしてモザンビークでも土地収奪が実際に残念ながら行われてしまっていた。そこに対して、やはり当事者の皆さんが深刻な重大な懸念を示されるというのは当然だと思う。
そこに対して真摯な回答を残念ながらこの間いただけていない。ここも重大なポイント、問題だろうと思います。先ほども重ねてこの間、反対の声を時には危険を冒して声をあげて来られた方々が実際に危険に晒されてきた。これまた我々も色々現地から報告も受けている。あげてくれといわれれば、またあげてもらえるだろうが。確認をしていただければと思いますが。それをもし無視されているようなら当事者としてゆゆしき問題だと思います。
最後に裁判の件は、JICAとして裁判でこういう判決が出たことについて当事者としてどういう責任なりを感じておられるのか。外務省と一緒になって「これは現地の裁判の話です」と言われている。甚だ当事者としての責任を回避したというか逃げ回っているとしか思えない。先ほど言っていただいたJICAが税金で派遣をしている人が内部にいるので、「知らなかった」というのは、我々はとうてい信じられない。もし、本当に知らなかったらこの方は責任を果たしていないし。JICAがそれだけ貴重な税金を使ってやっていることがとうてい妥当性がないことを証明しちゃっているので、到底そんな無責任なことをJICAやっていないと思いますが。だとすれば皆さんが無責任なことをやっているのか、我々に嘘をついているのかどちらかしかないので、どっちですかと改めて問い直さなければいけませんが。いずれにしても明確に憲法違反だということも含めた判決。深刻に受け止めないといけないはずでこれに対してどういう対応をされているのか、改めて確認したいと思います。
井上議員:
先ほどあったように一旦停止をして、「反対派も参加」ということを条件とした。ところが、結局その後行われていることは、参加をしているような形だけということが行われてきたんじゃないか。
先ほど渡辺さんのプレゼンにもあったように、いろんなことを使って、国際NGOに探り入れようとか、みなさんがお金を出して雇ったコンサルタントがいろんな工作をやっている。もともと理屈ではやるであろうと分かったうえで、依頼をしてやっている。そのことが結局、形だけでやる形で、一層の分断を招いているという。皆さんの事業をやるために、そういうコンサルタントにお金を出してやってきたということについて、その報告書、内容を含めて、どう皆さんは考えて、どう評価をされて、どう扱おうとしているのか、ということも確認しておきたい。
石橋議員:
部長、申し上げたいでしょうから、論点絞って、理解深めるためにやり取りさせていただきながらと思いますので。まず一番今もの申されたいところからスタートしてください。
JICA 牧野部長:
色々話を聞かせていただいて、どこから始めようかと丁度悩んでいるところですが、まずはっきりさせていただきたいのは、JICAとしても小農の声を受け止めるということは重要だと思っています。これは渡辺さんが発表の中でおっしゃっていたと思いますが、JICAとしましても、小農の声を大切にしっかりと受け止めるということは極めて重要だと考えています。その上でいくつか論点が先生方、それから、舩田さん、渡辺さんから示されましたが、それに対して真摯に答えてまいりたいと思います。
まず第一に、三角協力として始まって、当時のプレゼンテーションでは、大きな農業開発を行うんだとして海外からも投資を呼び込む、あるいは大豆が大切だという話をしたのは、確かに当時のプレゼンテーション、企画の段階では事実だったと思います。
ですが、当然これを聞いて分かるように、ブラジルの成功の体験をアフリカの一つの国でコピーするなんてことは、当然できないわけです。当然それは人が違う、それから自然環境が違う。ですので、一から、参考にするかもしれないけれども、一から全部考え直してやるというのは当然です。ですので、確かに「JICAワールド」やいろんなプレゼンテーションでそんなものを示したのは事実ですが、その後は大きく軌道修正していて、小農、やはりアフリカの農業開発というのは小規模の農民主体の開発、あるいは発展が大事だというところの軌道修正をしているといえる感じです。
実際、事業を始める前の企画の段階は、先ほどのプレゼンテーションですが、実際事業を始めた時、プロサバンナ事業は一体何からできているかということを渡辺さん親切に示していただいたが、研究、二つ目がもうちょっと大きなピクチャを描こうというマスタープランづくり、三つ目がコミュニティ、それから小さな農家、小規模農家の生産性・生計を向上させようとする技術協力の3点セットという。ご覧の通り、一番上、PIは略語になっていて分かりにくいと思いますが、これは研究です。モザンビークの農業研究所と我々は協力関係にあって、まずは北部の土壌や大豆のみならず、いろんな可能性のある作物の栽培方法、これを実際に検証していこうじゃないかと。最終的に、ある程度合った栽培というものを提言するということを始めたんですね。それは問題意識としては当然モザンビークの北部というところで他のところと比べても極めて厳しい農業開発所。非常に厳しい環境で、人々も社会的に異なる状況がありますので、そういった自然環境、あるいは社会開発上のことを踏まえた上でやるにはまずは研究が必要だということですから、まずは一番初めに研究をやったということです。それから2点目のコミュニケーション…。
石橋議員:ここでいったん切りましょう。何かコメントがあれば。
舩田クラーセン:
ありがとうございます。今おっしゃったことを正しく理解しているかどうか確認させてください。今おっしゃったのは、2009年に確かに日本、ブラジルのパートナーシップ・プログラムとして(プロサバンナを)始めて、そして三角協力、最初のアフリカの事業展開地域としてモザンビークを選んで、2009年に三カ国でプロサバンナを合意しました。この正式タイトルは「モザンビーク熱帯サバンナにおける農業開発三角協力」、「三角協力による熱帯サバンナ農業開発事業」ということだった。そして、渡辺さんが見せてくれたように、先ほどの図ですね。ブラジルの成功をもとに、「再現」とは言わないにせよ、それが良いものだったから、何らかの形でモザンビークで活かそうとした。これはJICAがやろうとしたんですね。そのために2009年に、まずブラジルと合意しましたね。それは正しい理解で良いですか。
JICA 牧野部長:はい。
舩田クラーセン:
良いということですね。けれどJICAは、「当然ながら」それをモザンビークで展開するというのは無理があるから、「小農向けにしました」とおっしゃりたいんですね。それは、何年何月にその判断されたんですか。
JICA 牧野部長:そこまでは分かりませんけども、正確に何年の何月かは分かりません。
舩田クラーセン:
アフリカ部は分かると思うんですけれど、アフリカ部の方いらっしゃいませんか。最初は農村開発部じゃないから分からないんです。アフリカ部の方分かりますか。
石橋議員:若林さん、分かりますか。
JICA 若林基治次長(アフリカ部):無言
舩田クラーセン:
行政、人がころころ変わる度に、私たちが情報刷新しなきゃいけないというのは、我々お金もらってやっていないので、ちゃんと給料もらっている人たちで、情報共有をしてほしいんです。だんだん、さっき渡辺さんがおっしゃったように、歴史が書き換えられたり、なかったことにされてしまって、全然違う話になっているんです。
プロサバンナは「セラードの成功をアフリカへ」と言って始まったんです。いくらでも、それは資料が出てきます。今見せてもらったように。これ100くらいある資料の二つくらいです。だからちゃんと理解してください。
農民が反対をするまでは、JICAはその路線で来た。当時の乾アフリカ部長のパワーポイント見せましたね。2012年の4月末に、ブラジルと日本の官僚と民間企業、アグリビジネスの人が40とか60人規模で現地に行って、投資、どうやってブラジル型モデルをモザンビークでやれるか、あるいはそのビジネスできるかというのを、プロサバンナの予算でやっているんです。だから、企画段階ではそうだったけれど、実施段階ではモザンビーク小農支援にした、というのは、うそですよ。これが事実です。乾さんに訊いてください。先ほどいつ転換したんですか、というのに、牧野さん答えられなかったじゃないですか。いつ転換したのか教えてください。何月何日。
石橋議員:何年何月。
舩田クラーセン:ごめんなさい。間違えました何年何月。何月何日ではなく、何年…。
JICA 浅井課長:ここから、右から左に変わりましたということでもなくて。今牧野が申し上げたかったのは…
舩田クラーセン:(乾部長の2012年6月のプレゼンテーション)これは事実ですね。
JICA 浅井課長:
この資料のプレゼンテーションをJICAが作って発表したということですか。
舩田クラーセン:
2012年4月の段階で、投資の促進のためにプロサバンナの予算で、JICAと日本の官僚と日本の企業19社で行きましたね、現地に。(浅井:はい)それは企画段階ではありませんね、プロサバンナの。
JICA 浅井課長:ええ。これは2009年以降に行われたことであるのは間違いありません。
舩田クラーセン:ですから実施局面、2011年にプロサバンナの3つのプロジェクトが実施に入りましたね。
JICA 浅井課長:企画段階という言葉で始まったから、全部ウソだと言われるのは、ちょっと。
舩田クラーセン:
いや、そういう話はしていない。じゃあ次に行きますけれど、乾さん、農民の反対の声が上がるまでこの路線で来たんです。農民が反対して、我々も立ち上がり、国会議員の先生たちもこれはおかしいだろということで、JICAなりに見直していただいたと思うんですね。それは批判するよりもほめる出来事なので、そのことは前提にしつつお伺いしたいのは、先ほど、一から考え直したとおっしゃいましたけれど、私の空耳ではなく、一から考え直そうと思ったんですね?つまり、ブラジルのセラードをアフリカの…
JICA 牧野部長:
論点が変わっているようですが、浅井が言いかかったことを続けさせていただきます。私も答える説明責任があるので先に答えさせていただきます。いつ、何年何月というのにあまり意味はなくて、変わったということが重要なんじゃないでしょうか。というのが第一点目と、それからきれいに今日までがこの方針で明日から変わったということは、おそらくなくてですね。
舩田クラーセン:そういうことは言っていません。
JICA 牧野部長:
当初の計画段階の考え方とそれからちゃんと科学的に、モザンビークで研究を一からやって、やり始めましょうね、というオーバーラップしているときというのはあると思う。あまりきれいに何月何日というのはなく、重要なのは方針をおっしゃる通り、変えて今に至るということが重要なのかなと思っていまして、過去の10年ぐらいやっていることをまた繰り返してやるというのは意味がないんじゃないでしょうか。
舩田クラーセン:
はい、違います。私が言いたかったのはそのポイントではありません。JICAがモザンビークに事務所を構えたのは何年ですか。
JICA 浅井課長:質問の意図が分かりません。
石橋議員:それはJICAのもともとの事務所それとも?
舩田クラーセン:
なかったんです。JICAがモザンビーク事務所を設置したのは何年か、アフリカ部、分かりますか。
JICA 若林次長:2003年。
舩田クラーセン:
2003年ではありません、2001年です。つまり何が言いたいかというと、JICAがモザンビークに進出したのは2001年。農業開発事業というのは間接的にはしていたけれど、自前でこんな大規模な農業開発事業をしたのは初めてなんです。「する」と決めたのも初めて。何が言いたいかわかりますか。
つまり、JICAは、よくわかっていなかったんです。モザンビークの農村がどういう状態にあって、モザンビークの北部が、人が住んでいないという前提で企画を立てた。緯度とかが、ブラジル・セラードと同じだからブラジルが参考になる、とか書いた。あるいは、貧しい国だから投資を促進して、そしてアジアや日本のマーケットに大豆を流しましょうとか。そういう、すごく大きな事業を企画した。けれど、JICAは、モザンビークの数あるドナーの中で一番最後に来たドナーなんですね、援助国なんですね。
一番最後で、しかもポルトガル語できる人ここに何人いますか。(JICA:無言)
モザンビークの公用語ポルトガル語です。でも、ほとんどいない中で、そのようなよく知らない、当時はアフリカへの援助もJICA自身はあんまりしていなかったし、特にポルトガル語圏ですね、知らないところで何となくブラジルと同じ公用語のポルトガル語だから緯度も近いし熱帯サバンナだし、マーケットとしてはブラジルよりアジアに近いからやりましょう、と大風呂敷を広げちゃったわけです。知らないまま。
農民たちは、モザンビーク北部は、モザンビークで最も農業が盛んで人口が多いところです。ここで、何でそんなことができると思うの、というわけで騒いだわけです。そしたら、この計画をやったらやっぱり反対になるね、ということでひっこめたんです。
そんなにモザンビークのことを知らなくて、大風呂敷を広げて、ブラジルを持ってきた責任が、JICAにあるわけです。そんなに前提が間違っていたのに、今更ブラジル・セラードじゃないとか一生懸命取り消しています。今日も取り消されましたね。「変わったんです」。変わったことをほめてくださいと、まさにおっしゃった。
援助のプロとして、おかしいです。そんなの始める前に、税金を使う前に見たら分かることをちゃんと調べて、モザンビークにはモザンビークに合った農業支援をしようとしていれば、こんなことにならなかった。それを2009年に合意し、お金を既に使っている。2012年の4月でも、まだこの状態。これをし続けて、ついに現状とあまりにも違う。農民たちの反対にあったから、ちょびちょび変えてきたというところ。
何が言いたいかと言うと、税金の無駄遣いというのが一つと、それ援助のプロとしてあり得ないんじゃないですかというのが二つ。
そして最後に、このJICA(サイト掲載)の反論文、見てすごく驚いたんです。トップを見てください。援助事業の名称変わっているんですよ。三角協力という言葉自体がなくなっちゃった。ブラジル隠し、そして今回、質問主意書でブラジル側がどれくらいコミットしているんですか、お金を出しているんですかと石橋先生がお聞きになったと思うんですけれど、一切答えていない。事実は何か。三つの事業の柱の中でPEMというものがありますね。PEMにブラジルはお金出していますか。
JICA 浅井課長:PEMに対してブラジル側が自前の予算で活動をやっているというのは…
石橋議員:ちょっと語尾がはっきりしないからちゃんと言って。
JICA 浅井課長:ブラジル側がブラジル側の予算で事業をしているということは知っています。
舩田クラーセン:しているんですか。では、なぜ共同評価に一緒に参画していないんですか。
JICA 浅井課長:
ご説明します。案件名について三カ国協力の文字がなくなっていたということですが、いずれにせよ私たちODAでは二国間協力での実施機関となっていますので、ブラジルと連携しながらやるという意味で三角協力、こちらは一般的に使用されている名称ですけれども、その中で、私たちがいただいている予算を使う場合には、あくまで日本とモザンビークとの関係で合意形成を実施している。これが鍵括弧の中の名称が間違っていたらと思い、改めて確認しますけれども、私たちが外務省も含めて協力している案件名称でその中に三角協力という言葉がついていないというところで。
舩田クラーセン:
合意文書には入っているけれど日本語名には入っていないということですね。でも、私が一番言いたかったのは、ブラジルを連れてく意義をさんざん主張してきたが、ブラジルがほとんど消えているということ。
もう一つは何が言いたいかと言うと、変えてきたのであれば、2012年10月に農民がちょっと待ってくれ、2013年5月に安倍首相に対してこの事業を一旦止めてくれとお願いしたときに、自分たち自身(JICA)が変えるんであれば、一旦止めればよかったんですね。それほどまでに当初計画と物事が変わるのであれば、本当は。それは、私たち国民に対しての説明責任があるだけじゃなくて、現地の人々にも説明責任があるわけです。
乾部長が現地に行ったときに、メディアをいっぱい呼んで、テレビやラジオや新聞で延々とプロサバンナは何かというのが流れている。それには、セラードを参考にセラードみたいに農業開発をします、と言い続けているわけです。それをJICAとして駄目だと思って、モザンビークの農民のためにモザンビークから考えましょうと言って変えたんだったら、立案・合意文書の事実が消えたということなんだから、それは農民が言う通り、一旦止める。そして、これはやはり間違っていたので一旦止め、新たに一緒に考えればよかったのに、それをせずに何となく続けてきてしまった。
続けても農民たちがおかしいおかしいと言い続けるから裏に回って分断の工作をした。話が散漫になると駄目なので、私から次に牧野さんにお聞きしたいのは、今日渡辺さんが紹介したJICAの資金を使ってのコンサルを雇っての分断工作というのは、牧野さんたぶん初めて触れることだと思いますがどう感じられましたか。
JICA 牧野部長:
コミュニケーション戦略はCV&A社というところに委託した契約と理解していまして、そこで出てきた提言については案ということで、彼らの考え方を述べたものが報告書となって出てきていると承知している。それについては、JICAの理解が考え方と異なる部分結構ありましたので、それはそれで受領しただけという形になっていると理解している。その後に、分断工作とおっしゃっている部分については、この戦略案に沿ってやったということではなくて、JICAとしては明確な指示をして、適正なプロセスで情報発信をするということをしていると理解している。
渡辺:
ありがとうございます。さきほど時間がなかったので、あまり詳しくは触れなかったんですけれど、ここの赤字で書いてあるんですが、「コミュニケーション戦略策定プロジェクト」が終わってから、完成後に戦略書を実行に移すため、「特命随意契約」というのをJICAはお金を出して結んでいる。同じコンサルタントと。報告書が完成してそれを成果物と認めてお金払っています、そのコンサルタントに。そのことの説明はどうなされますか。
JICA浅井課長:
はい、このご質問も、先生から国会の場で、JICAの答弁者がどう答えたかどうか記憶が定かでないですが、質問頂きました。こちらの方は、広報の部分の活動について行うものである、という説明を差し上げたかと思います。もう一点申し上げますと、そこのところについて、2017年4月に環境社会配慮ガイドラインの後、調査されるときにもあったと思います。審査役も、お示しいただいた契約書のTORも確認いただいております。
舩田クラーセン:
それは回答になっていなくて、JICAさんとして、コンサルタントに「コミュニケーション戦略書」を作らせた。これは事実ですね。数百万円かけて作られた契約書の提案、ドラフトがまず来ますね。それは事実ですね。ドラフトが来て、それに対して、通常JICAとしてコメントなどを寄せますね。通常の仕事として、コンサルタントから来たレポートをそのまま世の中に出すことはあるんですか。
逆の聞き方をすれば。これはまずいものだから、こんな書きぶりを公共事業でやっちゃいけないから修正してください、というのが普通のJICAの仕事ですよね。そういう監督責任をJICAが果たしていないとすれば、我々納税者としては大変不安に思うので、来たものをそのまま流すということはなく、何らかの形でコメントなどをつけますね。
JICA 浅井課長:はい。ドラフトの段階で提出されたものについては。
舩田クラーセン:
ということは、コミュニケーション戦略書がJICAに提出された時にJICAさんとして何らかのコメントをお渡ししたけれど、それが反映されていないということなのか。あるいは、JICAとしてこのコミュニケーション戦略書の内容で良いと考えたのか。あるいは、その他。どれでしょう。
JICA 浅井課長:
そこのどんなやりとりがあったかというところは、これまでも確認できていません。
舩田クラーセン:
でも、こんなこと書いてあるんですよ。小農を支援する。一から考え直してモザンビークの小農支援としてプロサバンナは生まれ変わりました、ご批判を応えて変えたんです、ほめてくださいみたいなことを、牧野部長は言ってくださったんですけれど。税金使ってやっているのは、「小農運動の力をそぐ」とか「価値を低める」ということが書いてある。JICAとして、こんなもの、日本の納税者に公に出せない文書だなと思いません? 普通。監督責任を放棄されたということなのか、こんなこと書いてあるけど良いと思われたのか、あるいは何でしょうか。
しかも、これは一度浅井さんに記録の残る場所で訊いたことがあるんですが、JICA文書ですねと確認しました。その時浅井さん、「そうです」とおっしゃいました。これは先ほど牧野さんが「コンサルが作ったコンサルの考えです」とおっしゃいましたが、JICAがそれを受け入れて「JICAの文書」として公開したものです。情報公開請求で。そしてJICAの予算を払ったものなんですから、「JICAの文書です」。ということは、過去に浅井さんがおっしゃったんですが、この矛盾はどういうことですか。
JICA 浅井課長:
まず、コンサルタントが作った成果物、私たちが発注してコンサルタントが業務完了しましたということ届け出た。それを検収しました。牧野も申しあげたとおり、コンサルタントの作成物であって、後半のところ、検収して業務完了手続きということはJICAが保管する文書ということですので、おっしゃるところは何ら矛盾しない。
舩田クラーセン:
それは国会議員のみなさんが、後で追究していただいたらいいと思いますが。二点目ですが、こんなものを書いたということは事実ですね。そして、それがJICAのコンサルタント業務のファイナルのレポートとしてJICAは受理した。これは事実ですね。(浅井:はい)そんなものを書いたコンサルタントに、「特命随意契約」をあげたのも事実ですね。(浅井:はい)この特命随意契約のタイトルは何でしょうか。
JICA 浅井課長:すいません。勘弁してください。
舩田クラーセン:
何のために、CV&A、「小農の価値を低める」なんていうことを、JICAのお金を使って、プロサバンナ事業のお金を使い、書いたコンサルタントを再契約したんですか。しかも特命随意契約は、すごく不透明ですよね。
JICA浅井課長:
随意契約が不透明かどうかについては、私はコメントしませんが、この社と特命随意契約をしたことは事実です。それはなぜかと申しますと、先ほどの繰り返しになるところはご勘弁いただきたいのですが、2回目のCV&A社と契約をするというのが一般的には広報活動、情報の発信ですとかというようなものを業務とする内容であって、その内容についてプロサバンナのそれまでの経緯とプロサバンナ事業をJICA、モザンビーク政府が行おうとしていることをよく理解をし、かつ、理解をしてほしい方々にどのような形で、広報の手段、紙媒体が良いのか、ラジオなのか、インターネット上なのか、そういうことを提案できる能力を持っているところがここだと判断したと。
舩田クラーセン:
1回目の契約はそれですよ。2回目の契約の最終成果物は先ほどからお見せしている「小農の価値を低める」、「NGOの力を削ぐ」、「セラードの話は切り捨てる」みたいな「コミュニケーション戦略書」です。それは正しいと認めてくださいました。
その上で、その翌年にした契約の目的は何だったかというと。2回目はコミュニケーション戦略を定義するっていうタイトルの契約です。何故、私がJICAのプロジェクト名まで把握して、JICAの担当者が知らないのかわからないですけれど。三つ目の契約は?
JICA 浅井:
知らないのではなくて、舩田さんがご指摘になることを私はくみ取れないんです。複数の契約をしておりますと述べました。
舩田クラーセン:分かりました。三回目の契約の名前を教えてください。
JICA浅井課長:記憶ゲームのようなことは勘弁して下さい。
舩田クラーセン:
記憶ゲームではないです。重要なポイントです。三つ目の契約の目的は「コミュニケーション戦略を実施する」です。「実施」と書いています、そうですね。
JICA浅井課長:はい。その「実施」の部分のところを、私は広報活動の部分と申しました。
舩田クラーセン:それは解釈ですね。なぜなら…。
JICA浅井課長:
解釈なのか分かりませんけども、最初の方の一点目のところロゴ作成の特別契約があったというところは間違いありませんし、一回目の契約というのは、そのことを指していたんだというので、今私は理解しました。
舩田クラーセン:
はい。一点(回)目の話じゃなくて、二回目に、このような「戦略書」を作ったコンサルタントを重用する。もう一回契約して、「戦略書」のコミュニケーション戦略を実施する、という契約を結んだ以上、誰が見ても、その第二の契約で作った「戦略書」を展開するという風に受け止めるのが普通だと思います。が、それに対抗するような、反証できるような材料は持っていらっしゃらない。
そもそも、JICAがこんな文書を作ったりしますか? JICAの職員は作りませんよね。「小農の力を削ぐ」とか「信用を貶める」とか、CV&Aがやった、やってないはさておき、JICAの職員としては許せますか? 個人として。こういうことを日本の援助、JICAの資金でやられたということについて、担当者は答えにくいと思うから伊東さんどうでしょう。こういうのってありですか。私はちょっと信じられないです。みなさんみたいな農村開発部って、小農や農民の支援するためにあるんですよね。その部の人間としてこういうのってありですか。「小農の信用を低下させる」と書いてあるわけです。
JICA 伊東圭介(農村開発部次長):
今一般論のご質問をされていると思うのですが、すみません、私目が悪いので読めないのですが、今言われていること一般論でいえば、我々が、小農を分断するとか貶めると言うのは、当然考えていない。
舩田クラーセン:
では、読み上げます。手元に資料3の1があります。「コミュニティあるいは農民を代表するこれらの組織の価値/信用を低めることができる」、「プロサバンナがメディアと継続的にコミュニケーション持つことで、特にモザンビーク組織の実行力を減らしていく」。一般論でもいいですけど、こんなのありですか。
JICA伊東次長:
先ほども申しあげましたが、一般論として、「農民の価値を貶める…」、そもそも、貶めるということ自体を我々職員が考えることはない。実際の表現は分かりませんが。
舩田クラーセン:
書いてはいけないことではないですか、こういうこと。書いてもいけないし、思ってもいけないし。
JICA 伊東次長:
思ってもいけないとか、そこまでは個人はいろんな考えを持ちますからあれですけど。先ほどのご質問に答えるとすれば、JICAの職員として農民の価値を貶めるみたいなことを考えるかというと、考えてないと思う。
舩田クラーセン:
はい。先ほど、UNACにもいろんな立場があります的なことを浅井さんがおっしゃって、石橋先生はまさに運動への介入、分断を想起する言葉だから撤回せよとおっしゃったんですが、それを撤回する気ありませんか。つまり、モザンビーク小農を支援したいんです、こんなにお金が使っているという公共の援助機関が、その分断を思わせる発言をしたり、分断を促進するような言動をするというのはゆゆしき問題だと思うのです。それを指摘されて、浅井さんとしては、先ほどの発言まずかったなと思われませんか。
JICA 浅井課長:
率直に申し上げて、まだまずいと言う風に考えるには至っていません。
先ほどのやり取りの中で限られた時間ですから、石橋先生に私の言わんとしたところを正しく伝え切れたかは自信がありません。その上で、今のやり取りの中から、伊東へのご質問もありましたが、こういう表現があった報告書を成果物として受け取った事実はあります。伊東も申しあげました通り、こういうのが適切かどうかというところについて、適切だとは彼自身言っておりませんし、私もそのようには思っておりません。
舩田クラーセン:
ありがとうございます。それはたいへん重要な一言だったと思うんです。が、この「コミュニケーション戦略書」、「小農の価値を低める」と書かれているものは、モザンビーク農民も農民組織も持っています。ポルトガル語なので、読んだうえで反対しているんです。読んだうえで、モザンビーク政府じゃなくてJICAに対して、もうやめてくれと言っているんです。
だから、JICAのスタッフとしてもやっぱりあれはいけなかったね、というようなものを作ってしまった責任、それを当事者が知ったうえで、それでも(小農を)支援しています、我々は小農を応援しているんですと言うことの矛盾と暴力。これを理解してもらったうえで、最後に。浅井さんがおっしゃったことは問題があります。
つまりUNACにもいろんな意見がありますということをおっしゃいましたが、実はもう一つJICAの文書があります。MAJOL社というJICAが契約して色分け、反対は赤であるとか賛成は緑ですと色分けを作ったMAJOL社が、何を最終報告書で書いたか。浅井さんがその時もう担当でしたか。
JICA 浅井課長:私は2016年8月から着任しております。
舩田クラーセン:
では、浅井さんじゃない方がやったんですけど、組織としては責任があると思うんです。ここに書いてあるのは何かと言うと、UNACの内部への働きかけを日本がずっとやっているという話をしていて、MAJOLとして交渉プロセスに完全に取り込むということをしてきたけれど、JICAが希望するUNACの取り込みはうまくいかなかった。けれど、JICAは心配しなくていい、と書いてある。なぜならばUNACというものはモザンビーク全農民の数の、調べてみれば、2.5%しかないからそういうふうなことを強調すれば矮小化できますと書いています。
二つ目に書いてあることは、モザンビークの農民を代表する代表性の問題を論点にすればいいと書いています。代表性をどうやって問題にするかというと、農民自身が選んだのが国会議員だから、議員をプロサバンナに取り込めば、モザンビーク農民の代表は議員だから、プロサバンナは農民の代表性があると言えるはずだ、と書いている。
これJICAがお金で契約したコンサルタントの最終報告書です。これはリークされたので、完全な形でドラフトが読めますが、JICAが我々に開示した文書ではその部分が根こそぎ削られていました。つまり、JICAは裏で先ほどおっしゃったモザンビーク最大の農民連合組織の後ろから介入して、何とか取り込もうとするために現地のコンサルタントを雇って活動し、そのコンサルタントが報告書に書いてJICAに報告している。だけど世間にばれないように削ったということなんですね。だから先ほど浅井さんがおっしゃった内容も、ある種、介入の結果の発言ですから、こういう事実はもうバレているんだからもうやめてください、と私は思います。
石橋議員:浅井さん、先に。
JICA 浅井課長:
途中だったのは、先ほどの「貶める」というレポートですが、あれは成果物として検収した、受け取った事実はある。であるからこそ、コンサルタントはこういう提案はしたけれど、私たちが受け取ったことをもって意思決定が済んでいる、それ以降それにしたがって書いてあることを全部やるのとは違う、と言うのはご説明してきたはずです。
それから、今のご指摘のところ、ご指摘はご指摘として承ります。他方で、先ほどはドラフトで出てきたものを修正しないのか、今、先ほど舩田さんはリークというものはいつの段階のものか私たちは分からないので判断できませんけれども、裏でJICAが最終の前にコメントして修正があったらそれは改ざんではないかのようなご指摘はどうなのかと思う。
舩田クラーセン:
そんなことは言ってなくて、書かれた事実があるということは、行動された事実があって、JICAの資金をもって、コンサルタントへの指示をもって、UNACの分断工作、取り込み工作に関わったことが記されているんだけれど、JICAは最終報告から削ることによって、これを見えなくしましたねと言っただけです。改ざんなんて言ってないです。私からは以上です。
石橋議員:
改ざんなんて言うことは一言もおっしゃっていない。事実を時系列でおっしゃっただけなので言いすぎです。
JICA 浅井課長:お詫びします。私がそういう風に受け止めたというだけです。違うということで。
石橋議員:過剰反応です。正しく答弁してください。はい、牧野さん。
JICA牧野部長:
コミュニケーション戦略案の話について確かに我々は受領していますが、案そのものに理解を示しているということではございません。先ほど一般論として言ったと思いますが、分断云々の話については、我々の理解とは違うと理解しています。コンサルタントの報告書とはいったい何か、ということだが、コンサルタントのオリジナリティは、やはりあると思う。コンサルタントに委託したからといって、出てきたドラフトについて全て我々が拒否して、全部書き換えると言うことは、一般的にもございません。ですので、案はいただきましたけれども、その通りに我々は思ったわけでもないし、その後のコミュニケーションの実行についてもその通りに行ったわけでもありません。
石橋議員:
はい、あのちょっと色々反論もあるかと思いますが、みなさんも、ちょっとどのように評価されるか、ぜひお考えいただければと思います。すいません、今日、主催議員の一人ですが、社民党の福島みずほ議員、参議院議員がお見えになったので、どうぞ自己紹介。なにか疑問あったらどうぞ。
福島みずほ議員(参議院議員):
社民党参議院議員福島みずほです。どうもよろしくお願いいたします。
コンサルタントが作った報告書は自分たちの見解とは違うとおっしゃったけれども、JICAがお金を払ったコンサルがこういうコミュニケーションで分断工作をやっていたという分析を出しているわけだから、それについてJICAは責任があるのではないですか。コンサルタントの報告書がそういうふうに言っているということは、おそらく、分析が正しいかどうかは別にして、そうなのでしょう。そうすると、その、JICAそのものが分断工作をやっている、そういうふうにやっているということは、お認めになられます。
ちょっと質問変えますね。コンサルの報告書は間違っているんですか、間違っていないのですか。
JICA牧野部長:
はい、あの、間違っている部分もあれば、間違っていない分析もあるのだと思います。
福島議員:
じゃ、分断工作という言葉はちょっと強いかもしれませんが、その部分に関しては正しいのですか、正しくないのですか?
JICA 浅井課長:すいません。農村開発の浅井と申します。
福島議員:はい。
JICA 浅井課長:担当の浅井です。
福島議員:もちろん、わかっています。
JICA 浅井課長:
その部分というところなんですが、確認のためにお伺いさせていただきます。先生、分断工作という表現については、過激と先ほどおっしゃいましたか。かもしれないのですけど、私たちはいろんな、この作業の中で現地の人たちが、どのような方達がどのような意見をもっているのか、というのを正確に把握しようとしたそういう調査です。
福島議員:
じゃ、私が分断といってあれですが、この部分の、さっき問題の削除した部分については、JICAは正しいという認識ですか? それは否定されないという認識でよろしいですか?
井上議員:
JICAと見解が違うとか、言われていますけど、個々の個別問題じゃなくて、かなり基本的重大問題だと思うんですよ。そこで、違うとおっしゃっていますけど、この部分は、JICAは不合理だと、違うとどこかで明確に出されているんですかね。
JICA 浅井課長:
ごめんなさい。私の手元にある、この部分、みなさん配布資料のところにある、色がついた表のところを指しておっしゃっているということですよね? その部分は、最後の報告書の提出された成果品の中に入っている資料だということですよね。
井上議員:
JICA は受け取ったけど、これはJICA の立場と違いますよということを明らかにされているんですか?
JICA 浅井課長:この報告書についてですか? それは記録を確認させてください。
福島議員:いや、ないんじゃないですか。
JICA 浅井課長:
いや、あの。コンサルタントの成果物とJICAの意思決定が違いますというのは、先ほど牧野が申し上げた通り、そういう考えを述べさしていただいた機会がございます。今私が確認させていただきたいと言ったのは、それがこの当該レポートなのかどうかについては、正確なところを確認させてくださいとお願いさせていただきました。
福島議員:
重要な事は、そのコンサルタントの報告書が、そういう事を地元でやっていて、分析して書いていると言うことですよ。それに関して、JICAはそんなの名誉毀損で、そんなことやってないよ、とは今まで言ってないわけじゃないですか。少なくても、今日言った、否定したと言うことをおっしゃらないわけで。ということは、コンサルタントがちゃんと報告書をつくったのは、客観的事実なんじゃないですか?
ちょっと申し訳ないが、誰が賛成で誰が反対か地域で色分けしてやるのって、原発の立地でやっているCRと全く一緒ですよ。でも、地元がそういう反対の意向があるんだったらそれを尊重するとか、問題そのものに問題があるんじゃないかっていう意識をJICAは持って欲しいんですよ。このプロサバンナ計画については農民の人たちも来たり、様々な反対意見があるじゃないですか。それを受けとめるっていうことをしない限り、国際社会の中で、国際協力の中で信頼を持てないですよ。
モザンビークはかつて、ODAで、例えば農薬の輸出などをしているのを日本政府はやめました。だから、やめるって言う英断をすることがむしろ評価を高めるということも、ぜひ考えていただきたい。これ原発の立地でやっているCRと一緒じゃないですか、どうですか。
JICA牧野部長:
先生、コミュケーション戦略の提言として何かを実行したことを書いたわけではなくて、この後、レポートを作ったあとに、ぜひJICAがこういうことをすべきだというコンサルタントの提言書でございます。ですので、その中でJICAが分断してしまって、それを実績として書いていると言うわけではございません。今後の提言として一部、われわれにとっては理解し難いという部分があると言うことを申し上げております。
福島議員:
ただこのCRは噴飯ものですよね。だって、こういうことをしろって、結局分断して強行せよっていう指南をしているわけで、そういうコンサルタントの報告書が出ているそのことそのものが問題じゃないですか。どうですか。
JICA牧野部長:それに対する実行はしていないということです。
石橋議員:
ちょっと時間も経過をして他の論点もいくつかあるので、こればっかりに時間を費やせないので。ただ、重ねて今われわれが指摘をさせていただいているのは、例えば、もしこれがね、われわれは、明らかにこれはだめだと思う。認めちゃいけないし、こんなこと書かしちゃいけないし、コンサルが貴重な国民の税金を使ってやっているコンサルが、こんなことを書いたら即刻アウトですよ。即刻アウトだと言う判断をJICAがすべきなんですよ。すべきだったんですよ。
これリークで出てこなかったらどうするつもりだったのか。情報開示請求うんぬんで出てきたからあれでしょ。出て来なかったら、スルーしてやったかもしれない。いやそれはって言われるけど、この7年間聞いておられる皆さんね、いろんな大事な資料なりが、リークとか、こちら側のアクションで初めて出てきて、不都合なことが書いてあるのがわかって、わかったもんだから、後追いでJICAの皆さんがアクションをとったというのがいくつかありますね。これも説明してくださいと言ったら説明してくれると思います。
そもそもさっきの、ごめんなさい、セラード三角協力とかいろいろ言われて、舩田さんが何年何月の時点で方針変えたのか、と言う話もしましたけど、実はこれ大事なんです。いつ方針を変えて、それをどうやって変えたのか。ちゃんと対話をもってどうしましょうか、ということをフラットにして変えたのではない。もしくはそれを変えて、ほんとにその中身が変更されたのかどうかもわからない。そもそも、マスタープランの話がありましたけど、これもマスタープランのドラフトなるものが作られていたこともわかったわけですね。こんなものが作られていたのかと現地の皆様も憤慨された。これも重々ご存知だと思います。これはリークだけだったんだよね?止まっているはずなのに、マスタープランのドラフトが作られていたと。重ねて言いますけど、こういうことを繰り返されてきた。だからいつの時点で誰がどうやってそれを変えたのかということを重ねて聞いて、ちゃんとお答えいただけないということは、ごめんなさい、われわれ議員としてもそういう真摯な対応していただけなかったのではないか、ということを考えざるを得ない。
今の話もそうです。重ねて、その度重なる、これもJICAが責任持って発表されたコンサルなり、それが絶対に書いてはいけないような、あってはいけないことを、こうやってまとめられて書いてある。これは断固切るべきです。断固受け取ってはいけません。むしろ憤慨してしかるべきだと思います。でも受け取っている。
今年、政府が都合の悪い年金報告書を受け取らなかったこともありましたね。そういうことは平気で受け取らない。しっかり受け取ってね、部分的にはあれだと言われるけど、そもそもこういうことを書くようなコンサルなり、ダメですよ。すぐ切らなきゃ。でもそれをやっておられないのは、われわれとしても、JICAの対応としていかがなものかと考えざるを得ないということを申し上げたいと思います。
JICA 浅井課長:
ありがとうございます。受け取るべきではなかった、と言うところのご指摘は私どもも真摯に受け止めているところでございます。ですので、私どもも、今記録をご説明できるような状態になっております。
全体として、JICAの対応がどうだったのかにつきまして、先ほど発言しきれなかった部分についてお時間を頂戴するのを許していただければと思うのですけども。こういうことがありましたと。事例の報告書がありましたと、例えば、UNACを無視すればいいじゃないかと言う感じの記載もありますけれども、実態として私たちはそれが長い時間をかけたと言うご批判もいただきましたけれども、決して無視をしないで何とか耳を傾けて欲しいと言うことで、これまでドラフトなるものをパッと書いて完成版です、という風にはしてないというところは、合わせてご注目をお願いしたいと言うことです。これが一点。
もう一点申し上げます。2009年に一連のところでありました、マスタープランが始まって2012年、プロサバンナにノーなど、私手元にないのでみなさんお手元にあるのが正しいところだと承知いたしますけど、2015年に現地での公聴会、モザンビーク政府主導でですね、最終的には5000何人という公聴会、これもご批判いただいていますけども、行いました。ご批判をいただいたやり方も含めて住民の意見をきちんと汲み取っているのかということで、ご批判をいただきましたので、これまたご批判をいただいてしまいましたけども、市民社会調整メカニズムというもので、JICAが調査をしてきちんと汲み取れない、モザンビーク政府農業省がきちんと公聴会を企画してもきちんと汲み取れないのであれば、現地の人たちに企画から実行までやっていただくというところが市民社会調整メカニズムのアイディアが出てくるきっかけでございました。これが2016年の2月です。
先ほど外務省の国際協力局長との話があったのが、2016年の年末だったように記憶しております。局長がきちんと対応するようにと言う話でしたかね。すいません、あの一語一句は正確ではないですけど、そういう考えを示されて、JICAの方に指示を頂きました。2017年2月に、当初計画されていた、先ほど申し上げました市民社会調整メカニズムが企画していた公聴会なるもの、当初はコミュ二ティ・コンサルテーションと言う呼び方をしていたものですけども、そこは3州207カ所で住民説明会をしようかという計画でしたけども、これも一旦中止に至りました。
同じ年、2017年4月に異議申し立てをいただきまして、11月に結論が、調査結果の報告書が出ていると言うことです。そこで、2017年11月の調査結果報告書に参加型手続きによるやり方ですね。対話の仕方そのものも参加形で決めなさい、というふうにJICAに対して提言をいただいたという風に理解しております。
われわれはこの後、年明けの2018年以降、どんなやり方が、皆さんが納得して参加できる対話なのかということをあちこちで会を持ちながら行いました。これが私たちの認識でありますし、取り繕うつもりもありませんけども、そういうふうにやってきたところです。意見の違う人たちの声を聞く、どういったやり方が良いのかというところを考えてやってきた一連の活動でございますけれども、これは介入とか分断と言われても、じゃ私たちはどうしたら良いのかというところが悩んでしまうというのが、正直なところでございます。
最後は私の主観ではございますけども、それまでの経緯のところ、改めてコミュニティ(コミュニケーション)戦略で書いたところを提言していないところも1つ、私たちの行動を持っての証拠ということで担当からは申し上げさしていただきます。
JICA牧野部長:
クイックに大事なところですので、補足説明させていただきますと、石橋先生が、私が申し上げたプロサバンナの方針変わったじゃないかと、対話をして変えたわけじゃないんですよね、という点ですが。
石橋議員:
どうやって変えたのですか、ということも明確にしていただかないといけませんね、と申し上げた。
JICA牧野部長:
私のはじめの説明は、どちらかと言えばJICAの問題意識を持って変わったと言うことだけを説明したんですけど。つまり、ブラジルのセラード、それから当然モザンビークの三州は全く環境異なるので、ちゃんとしっかりまず研究から行いました、と申し上げましたけど、そういう自分たちの問題意識の変容もあったと思いますけども、ここで重要なのは、もちろん現地、それから日本のNGOの皆様のご意見を真摯に聴かせていただいて、その上で書いた、と言うところもあるんだと思います。
それから、2つ目の研究の次のマスタープランの中身について、本当はそのわれわれの目がまだ届いていない、ドラフトと言っていいのか、コンサルタントが書いた部分がリークされると言う話があったと思うんですけど、その後発展していく過程で、先ほど浅井が申し上げた、回数は言わなかったかもしれませんけれども、100 回に及ぶそれから約5500人の方々の、農民の方々が参加していただいて、たくさんの反対意見をいただいて、それから反省する部分もありましたけども、反対いただいたご意見についてはしっかりとこのマスタープランの報告書の中で数ページにわたって記載した上で、それを踏まえた提言を書かせていただいている。
例えば、土地の収奪の問題というのが、このプログラムによって懸念されているのでないかということとか、それから、新たな農法というのは伝統的な農法にあってないんじゃないのか、つまりサステナビリティがないじゃないのかと言う懸念を、隠さず明記しまして、それに対して正面から具体的な提言をマスタープランで行っていくということでして、決して農民の皆様の意見を全て無視して勝手に作っているとか、そういう話ではございませんし、大きな方針の変化、それからマスタープランの中身についても農民の方々のご意見を踏まえた上で作っているつもりでございます。情報公開につきましても今後いっそうきちっとやっていきたいと言うふうに思っております。以上です。
石橋議員:相当反論があるかとは思いますが、はい、渡辺さん。
渡辺:
はい、ちょっと事実と違うかなと思うところがあるので、私から指摘をさせていただきたいと思います。先ほどですね、2015年4月の公聴会の話がありました。これもいろんな意見が出て、結局どういうふうにやると反対する人々の声を聞きながらやれるのかと言うことで進めていったのが「市民社会対話メカニズムだ」、と言うことをおっしゃっていた。ですけれども、そういうふうに約束をしてくださったので、こちらとしても、どういう動きをされたのかなと、どういう形でこちらに相談が来て、農民だったりの声が聞く形ができるかな、ということで様子を見て、待っていたんですね、連絡を。でも、一向に来ない、どうなっているんだということを現地から言われていたので、意見交換会の中でも聞いていたところ、「モザンビーク政府が考えているから待ってくれ」と言われた。
そうこうしているうちに、先ほど冒頭で説明をさせていただいたように、何故かわからないけれども、JICAのコンサルタントが一軒一軒、小農組織や現地の市民社会を訪問して、プロサバンナに対する意見を聞いている、と。何かおかしい。これ何なのか聞いてくれないか、と現地に言われました。これについて、第13回の10月27日の意見交換会で聞いたところ、当時の飯村学(アフリカ部)参事官から、「今われわれの知っているところでは農業省がどのような形で、どのように話を進めるか、一生懸命議論している」と。「私が返答するのもおかしいが、モザンビーク政府が約束していると言うことだし、われわれもそうなるよう最大限の努力中」と、私たちに直接お答えくださっています。12月ですね。
けれども、実際に何が起きていたかの経緯を見みると、これは10月27日の話です。今見たのは。実際に、市民社会対話メカニズムを進めるために、一軒一軒モザンビークの団体を回って、そのプロサバンナに対する意見を聞くための調査を開始するということは、10月7日に、JICAからすでにショートリストの3社を対象に(コンサルタントに)応募要請がいっているんですよね。10月7日です。なのに、10月27日に、「農業省が一生懸命議論している」と。その上で、11月2日、すでにMAJOL社と契約しています。その後、12月8日に私たちと意見交換会の場があったので、どうなっているんだ、と。前回聞いてまだ答えられないと言っていたけど、どうなっているんですか、と言ったところ、「状況は変わっていない」、「今は教えられない」と言われたんです。ここでやはりおかしいと言うことで、情報公開請求をしました。石橋議員にもご協力をいただいて、開示請求をやって、こういった経緯が分かった。でも、その中で出てきたものは、先ほど舩田さんがご説明されたように、一部の情報については隠されていました。それは、リーク文章、あとで正式文書とJICAがお認めになったリーク文書で、隠されていた部分があったり、そこでこのような先程の4色の分断があることがわかった。
ということで、なので、すごく事実がねじ曲がって伝えられています。一生懸命聞こうとした、やっていたという事は。このように、われわれが何かおかしなことが起きているという事実確認をしたにもかかわらず、「今は答えられません」、あるいは「農業省がやっています」、と。でも、実際には、JICAがその前に(コンサルタントの)ショートリスト化して、応募用紙渡しているんですよ。それで契約もしているんです。そういったことも、一つ一つがおかしいと言うことをわれわれずっと指摘しているんです。こういったことをちゃんと事実確認してください。お願いします。
JICA 浅井課長:
JICAの者が当時、第13回意見交換会でご指摘のような発言をやったということは間違いありません。先程の繰り返しになりますけども、MAJOL社の業務内容については、先に私が申し上げたような目的でやったということにも間違いはございません。
石橋議員:はい。どうぞ。差し支えなければ、自己紹介をしながら。
松平尚也(農家、京都):
松平と申します。京都で小農的な有機農業を15年間実践しながら、現在は京都大学で小農や家族農業、あるいは持続可能な農業について研究しております。今日皆様お忙しい中集まって議論をした内容の感想を一言で言うと、当事者をないがしろにされたプロサバンナ事業は、絶対に中止、あるいは停止、再停止すべきだと思います。その最大の理由が、のれんに腕押し、押し問答の中で本当に感じるのは、対話やコミュニケーションあるいは市民社会対話メカニズムと言われておるんですけど、どう考えても当事者の意見がちゃんと吸い上げられていない。
さらに、今日、実はこの時期、昨年ですね、国連で小農の権利宣言が採択されました。日本は国連加盟国として遵守する義務があるんですが、その中には、小農を政策段階から参加させる事を義務付けられる、あるいは小農の「種子の権利」、あるいは「土地の権利」と言うものが謳われております。こういった国際的な潮流、今小農とか家族農業が未来の持続可能な農業、あるいは食料、食料生産を支える担い手とされている中で、一部の少数派が言っている、だとかですね、そもそもですね、このホームページで、コスタさんが言ったことを虚偽的な内容で掲載し続けているこのこと自体が、プロサバンナ事業の矛盾、あるいは停止すべき最大の理由かと思います。
ですので、先ほどから様々な取り組みをされているんですけども、ぜひ提言したいのは、国連の小農宣言に則って、この事業、ぜひ市民社会、NGO農業者、当事者とですね、もう一度考えて、必要であればやる、必要でなければ中止、停止すると言う英断をぜひお願いしたいというのが、私の意見であります。
原貫太(フリーランス国際協力師):
フリーランスで活動しております、原と申します。普段アフリカのウガンダ共和国で草の根の活動しております。質問は一つでして、今の質問というか、感想に付け加える形になるんですけど、これだけ反対があって、現地の抵抗運動があるという状況の中で、継続することによって一体誰が得をしているのかっていうのがすごく気になっています。
最初から海外から投資を呼びこむということが前提になっていて、どうしても一市民の視点から考えるとそういった大企業にどんどん利益が入っていく。やはり僕も普段ずっとウガンダという国で生活をしていて、農家の方達と一緒に草の根で活動しているんですけど、やっぱり一番現地のことをわかっているのは本当に現地の方たちで、アフリカ人は何もできないという前提で物をとらえるのではなくて、現地の人たちが一番問題を解決する術を知っていると思うので、彼らに任せればいいんじゃないかな、と思っちゃうんですけど。
にもかかわらずこれだけ反対されているのに、なんでそこまで継続をしたいのか。継続をすることによって誰が得をするのかということをお聞きしたいです。
石橋議員:
今お二方からご質問とご意見いただきました。ぜひお答えいただきたいと思いますが。今日すいません、ご出席していただいている皆様に改めてお断りしておきます。今日こういった形で、議員勉強会と言う形で開催させていただいていまして、こちら側に座っていただいているみなさまは、われわれが今日協力をお願いしたグループ団体のみなさんで、質問ご意見をいただく前提でお招きをさせていただいております。今日多くの皆さまに参加していただいて、質問なりご意見なりされたいところでしょうが、すいません今日の趣旨で、今日提言させていただくのはわれわれに限らせていただいております。また、改めて今日聞いていただいたこと、疑問に思っていただいたこと、ぜひわれわれに提案していただくなり、質問投げていただいて、われわれが代わって皆様の疑問質問には、JICAみなさまや外務省の皆さまとやりとりをしていきたいと考えておりますので、そういうことでご理解ご容赦いただければと思います。その上で今お二方から大変重要なご指摘いただいたと思います。部長、コメント・ご意見あればぜひ。
JICA牧野部長:
大変貴重な意見をいただきましてありがとうございます。小農を計画の段階から巻き込むべきだという事は全くその通りだと思います。われわれなりに努力してきたつもりですけども、今日の議論では、全然足りない、やってないという話でしたので、僕は真摯にやっていきたいと改めて思いました。
それから、これだけの反対があって、誰が一体得をするのかというコメントだったと思いますけれども、それはやはり現地の農民のためだと思います。ご承知の通り、人口の約70%の方々が農民であります。われわれも村に行きますと、みんな子供も含めて非常に楽しそうに生活しているなという風に思うんですけど、一度干ばつが起きた、あるいは個人的に病気になっちゃったというと非常に厳しい。そもそも病気になっても、クリニックに行く足もない。行ったとしても自分のお金を払うことができないとか。干ばつになると、なけなしの何かを売る。例えば、鍬を売っちゃったら、その次の植え付けの時には鍬が使えない。貧しさがどんどん貧しくなっていく、と言う段階で、ここで従来からの非常に厳しい状況に加えて、気候変動というのがこの数年間このモザンビークを含めてきております。特に干ばつ、あるいは地域によっては洪水ということもあって非常に厳しい状態にある。この状況をほっといていいのかということでございます。
それから、2023年に天然ガスが現地に出るということが約束されていて、おそらく今1%、2%、3%くらいですかね。経済成長ありますけど、これが一気に10何%に跳ね上がるという風に言われています。これでわれわれが危惧しているのは、資源の呪いとかっていうことでございますけども、非常に資源に偏った経済の構造にならないのかということをしっかりわれわれも、早い段階で支援と言う形で取り組んでいかなければと思っております。そのためにはやはり国民の70%の方々が農民、つまり農民が自分たちのやり方をベースにしながら、より良い生産性の向上、それから生計と言うのを早く達成しないと、貧富の差というのがどんどん大きくなるのではないかということで、2023年というのはもうすぐでございます。これについてぜひ支援していきたいと思っております。以上です。
石橋議員:牧野さん、まっとうなお話と論点の違う話を、ごっちゃに言われているので。
枝元なほみ(料理研究家):
洪水が起こったりとか、気候変動があったりとか、農民が大変だっていうの、そのまんま日本の農民に言ってください。助けてもらえない日本の農民、その人たちが税金払っているんです。その税金を使っているのが、あなた達じゃないですか。ほんとにさっき誰が得をするって言うことに関して。みんなわかってるよ、もう。綺麗事いわなくても。大企業が得をするような方向にどんどんいっている。格差分断している。格差分断しないようにとか、ずっと綺麗事言っても、もう私たち聞く耳持たない。もう結構。
なんかね、大変だなと思うの。お仕事だから。今日来ていらっしゃるでしょう?こんな仕事、こんな部、こんな国の担当じゃなかったら、もうちょっとよかったなぁと思うかもしれないけどね。でもね、そういう人たちって、なんか戦争の前の将校みたいな感じ。仕事だからしょうがないって言うまま、突っ込んじゃっている人みたいにみえたの。私なんかね、前に侵略じゃないかって言いました。ほんとにそれ、想い変わってないの。
そのことに、どんどんどんどん突き進んでいって、または、止められないから。日本のこういうのってほんとに止められない。やめると自分たちがダメだったっていうこと認めるみたいに思えるから。でも止めることのほうがいいことだっていっぱいある。今やめるっていう決断することが。
世界中の人から見て、私たちから見てすら、おかしいと思うのに、なぜ、いろんなこねくり回したキレイないい意見をいいながら、仕事だからしょうがないから、綺麗な意見をつなぎながら仕事を続けちゃうの? そのまま行ったら、私たちなんか恥ずかしい。加担しちゃうことになるなと思うんです。私の税金で侵略していることを。加担していることになっちゃうから、私泣きたかった。今日ずっと。綺麗事言うの、もうやめて。やめるっていうことがいいっていうことだってことを考えてください。農民にとって。そうしようよ。私たちだって、私なんか仕事なくなるかもしれないけどこんなこと言っているんだから。そんな風に自分の仕事だからしょうがないって思うの、もう辞めちゃった。止めないと日本は変わらないと思うよ。そう思いました。
荒谷明子(農家、北海道):
北海道で農業しております荒谷と申します。私たちも小農なので、「小農のために」っておっしゃってくださっていること、すごく信じたいなと思っておりますし、日本の国が私たちの税金で行っていることなので私自身も当事者と思って聞かせていただきました。なので、本当に「小農のため」とおっしゃってくださったので、小農の立場でどうしてほしいかということをお話したいのです。
私たち入植して25年なんですけど、入植して2年後にセメント会社がプラントを立てるということが、近所で持ち上がったとき。開発行為ですよね。それに対して地元の人たちが最初は反対したんですけれども、だんだん、こちらの農家にはこういう利点が生じるということで、地域の分断が起こりました。その時に思ったのは農法だとか収入だとか生産性だとか、非常にそれも農家にとっては大切な、生活の面で重要な点なんですけれども、農村で分断が起こってしまったらもうそこに住むことができなくなります。それは本当に農法うんぬんの前に、1番大きな問題で、それが実際にモザンビークで起こってしまっているという現実は、皆さん本当に努力されてそれを避けようとしてきたと私は信じたいですけれども、実際にそれが起きてしまって、現地の裁判所でもこれは違法であるということになってしまった時点で、その組織がどんなに心を変えてこれからは皆様の声を聞いて一からやり直します、と言っても信用していただくのは非常に難しいと思います。
それでしたらやっぱり今撤退して、なくして、そして今、市民団体の人たち、客観的に見ていても皆さんよりもいろいろなことをご存知ですし、市民や現地の人たちからの信頼も厚いと思います。なので、本当に小農のために、おっしゃったような灌漑だったりとか、農業の発展、品種改良そのものを現地で進めていきたいのならば、NGOの方を通して実現をしていくのが1番良いことのではないかと思いました。
山中一耕(農家、長野県):
長野県で有機農業をやっている山中といいます。私も小農の1人だと思ってやっていますが。まずモザンビークにはモザンビークの人たちの暮らしや食があると思っています。それで食と農業というものは直結するものと思っています。人々はそこに暮らす人たちの食を守り育む活動をして暮らしを成り立たしてきていたと思います。毎年、毎年、種をとってその種をまいて作物を作り生きてきたとそういう風に思っています。小農がやる農業というのは、これ私の考えですけども、小さくても大地にしっかり根付いた農業だと思っています。自分たちが食べるものを自分たちで作っていく農業だと思っています。
JICAの考えている農業では、小農の人たちが喜びを感じながらやっていける農業だっていう風には思いませんでした。支援と言う名のもとに、分断と土地の収奪とかいろいろ大きな問題が起こり、現地で暮らしてきた農民の人たちが本当に大勢困っていると言うことを知って、本当に私も小農の1人だと思って、他人事とは思えません。さらにそれをやっているのが私たちの税金で、それをモザンビークの人たちにやっていると言うことを知って、本当に心苦しく思いますし、申し訳ないと思っています。私はモザンビークに、今の状態では遊びに行けないです。恥ずかしいと思っています。以上です。
石橋議員:すいません時間が押しておりますので、短めにお願いします
レイモンド・エップ(農家、北海道):
こんにちは。北海道から来ました、一緒に農業やっています。25年間北海道で色々な穀物などをつくりました。私、2008年から住んでいて、なぜこのプロジェクトが始まったか。2008年、4つのF、Fee,Fuel,Food,Fertilizer(値段、燃料、食べ物、肥料)の値段倍高くなりました。そして多分日本政府がこれからマーケットのーーだったら、値段どんどん上がってくると思います。もしプロジェクト始まったらですね。簡単に、安く変わると思います。私このプロジェクト考えたら、鉄砲を使わないですけど、これ戦争です。この国コントロールする、技術で、種で、肥料で、農業のノウハウで、農家さんこれから借金になったら、少しずつ、農地も大規模なお金で買われ、そして地域の文化も一世代、二世代の間で多分だめになる。いっぺんではないですけど、北海道の歴史から言ったら、日本の歴史で言ったら、それも同じ皆バラバラになった。これから無人トラクターも使います。人間も大事ではないです。なぜコスタさんこのプロジェクトに反対するのか。その文化とその土の健康も考えています。この化学肥料、この色々な技術、この筋もダメになる。このプロジェクトの目的はなんですか。
もう一つの質問、たくさん穀物できたら。このプロジェクトが進んだら、日本のコモディティ(穀物・大豆)価格はどうなるのか。安いコモディティがモザンビークで生産されたら、北海道の農家はどうなるのか。
吉森弘子(たねと食とひと@フォーラム):
一般市民です、たねと食とひと@フォーラムという団体で活動しています。今日もいろいろお話伺ったんですけど、やはり不明瞭な感じ、不透明な感じが抜けきれませんでした。戦後生まれですから、平和と民主主義の国だと思って育ってきて、アフリカへの支援も日本はしっかりやっていると思っている中で、NGOを締め出すとか、今日みたいな黒塗りの資料とか。
それから、大変だろうと思いながらも、なんで説明する側が、こういうふうにビデオをお持ちになるんだろうとかずっと思いながら、変な感じと思いながら。是非これからは、先ほど農家さんもおっしゃっていたんですけど、もっとこうオープンにやっぱり市民とかそれからいろんな平和の団体とかそういう人たちと、いろいろ論議をして、いつどこで決まったか分からないけどこうなったと言われてもなかなか信用できないのが普通だと思うんです。他の国の人たちの人権が守られないと言う事は、自分たちもやっぱり守られていくはずがないと思いますので、ぜひオープンに透明な形で論議を進めていろんな結論を見出していっていただきたいな、という風に改めて思っています。今日はほんとにありがとうございました。
石橋議員:はい、ありがとうございました。ちょっと質問もありましたけど、牧野さん何かお答えいただけますか
JICA牧野部長:
はい、おそらく最後の話す機会だと思いますけども、短く話させていただきますけども。侵略とか戦争と言う言葉を使われていてちょっと驚いたんですけど、たくさんの質問あったので一つ一つ答えるとなかなか難しいですので、またの機会なのか。必要があれば、やりとりになると思いますけど、全体的な話で最後はさせていただきたいんですけど。今回ですね、あまりプロジェクトの中身そのもの、現在やっていることのどういう風に進めているとか、どういう結果が出たのかということの話が全くできなかったので、ぜひ今後ご説明させていただければと思います。
最後質問のところ英語でおっしゃったコモディティ・プライスが日本でどうなるのかという点ついても全くそこら辺リンクしてる話でございますので、決してその当初のプレゼンテーションでやったような大豆をたくさんモザンビークで作って日本にガンガン輸出したりですね、そんな事は今のマスタープランには書いておりませんので、そういうことではございませんということを含めてですね、もうちょっとこうプロジェクトの中身、あるいはプロジェクトの中身へのご批判を含めてですね、今後議論をさせていければいいなと思いますし、我々も喜んで、そこについては議論、説明ですね、させていただきたいと思っています。
それから反対と言う言葉、あるいは批判、賛成ということもあるかもしれませんけども、そういったことの一体対象っていったいなんだろうか、ということをあまり議論ができなかったなというふうに思っていまして、冒頭、われわれ議論を途中までした、当初のプレゼンテーションの非常にこう大きな大土地の開発をやっていくと言う方針から、いまそれは変わってですね、小農の、あくまでも小農のための農業開発と言うふうにやっているわけでありまして、じゃ批判、現地での批判というのは一体どこに向かっているんだろうかと。
つまり、ですので中身ですね、PEMと言われている一人ひとりのあるいはグループごとの生産性、生計の向上ということを真摯にやらしていただいているんですけど、それへのご批判なのか。あるいはそのマスタープランの中で批判も含めて、懸念も含めて書いた上でそれぞれの提言という形になっている。じゃあどの部分なのか、あるいはその初期の頃のプレゼンテーションで三角協力でブラジルのような大土地所有と開発をもっとやることへの批判なのか、ということについてあまり議論ができなかったと思いますので、これについては今後議論を明確にさせていただきたいと思っています。今日は呼んでいただきましてまことにありがとうございました。
石橋議員:はい。なかなか噛み合った話にならないんだけど。はい、渡辺さん。
渡辺:
はい、ありがとうございます。反対と批判の対象は最初に明確に伝えた通り、JICAです。その事は最初のプレゼンテーションで明確にお伝えしました。最初は、この事業の方向性だったりとか、土地が奪われるということに関して声を上げたわけですけれども、一連のコミュニケーション戦略あるいは分断を通じて、それをJICA側がお金を自ら出して計画をしてコンサルを雇ってやっていると言うことで、批判の対象は皆さん方です。そこはきちんとご理解ください。
他にも言いたいことたくさんあるんですけども。ほんとに石橋先生もいろいろ噛み合ってないと言うことをおっしゃっていたんですけども、浅井さんが先ほど仰ったこと。あんまり細かい話になりたくないんですけど。皆さんがすごくすばらしいご意見くださったので、もうやめましょうよ、の一言に尽きるんですね。後は、この文章(JICA掲載文)やっぱりおかしいので、おっしゃっていること、撤回してください。その2点だけです。
ただ現地の農民たちの名誉のために言わせていただきたいのは、JICAの環境社会配慮ガイドラインに対する異議申し立てをやって、ガイドライン違反がないと出てから、どういう風にしたら農民の声を聞ける形ですすめるんだ、ということを聞きたくて話し合いを進めているとおっしゃっていたんですけど、そうじゃないですよね。突然、それまで分断の中心にいた人々、JICAがコンサルとして雇っていた方々と共に、こういった会合を持ちますというレターを送って、直前に。それで、そこに参加をしたら、そこで反対の意見を述べているのに、「それも参加ですよね」、と言うことをおっしゃってきていますよね、実際に。そういうことを踏まえて農民が、2019年の1月にこのやり方ではない、こんなやり方は違うんだということで声明を出しています。それをお届けしています。なので、いま、あたかもガイドライン違反がなかった後に、私たちいいことやっています、がんばっています、というな言い方でしたけど、事実と反しています。それを最後確認させてください。
そういう風に、農民たちの声を聞かずに会を設けて、そこに参加するしないということを行っていることそのものが、分断なんですよ。これが参加だ、と言ったりとか。そういったことをやめてくれ、というふうに農民は言っているんですよ。いい加減それは理解していただきたいんですね。何年この話しをやっているんだと言うことで。そのために税金が使われているんです。
それをやめて欲しいのと、先ほど(荒谷さんが)おっしゃっていたんですけど、農民たちが一番悲しいことだと言っているのは、分断の話です。その事は来日をして伝えています。私たちが欲しいのは利益ではなく主権と尊厳だ、と話をされています。それ直接伝えています。なので、今何の話がしたい、一体そもそも最初にあったような大規模土地収奪とか、そういう大規模農業開発に反対をしているのか、何が批判の対象かわからないと言うことをおっしゃっていたんですけど、その態度そのものが農民のことをきちんと聞けてないことを示しているんですよ。
そのことをまず認識しないとこの事業を進められません。本当に困ります。これで進められたら。なので、一旦やっぱり、ここで税金の無駄遣いは止めていただく必要があると言うふうに思います。気候変動についてあんまり細かいこと言いたくないんですけど、この夏コスタさんいらっしゃいました。そこにカメルーンの農民も来た。そこでもやはり、土地収奪が起きている。気候変動テーマに話をしたんですけども、気候変動があるからどうこうするんじゃないです。われわれが気候変動を起こしている側です。まずそれをなくすのが私たちの責任であって、プラス気候変動が起きたときに、なぜその農業の状況が苦しくなっているかと言ったら、土地収奪とか社会的な問題が先にあるからなんです。そのことを農民が訴えていたんです。牧野さんアフリカに30年以上関わってきてそのことを知っているべきなんですよ。それも知らずに農業開発事業やっているというのはほんとに能力と資格はないです。
あと資源の呪いの話です。これすでに今日JIBICの管轄なので話してないんですけれども、先ほど最初にお見せした話ですね。ナカラ回廊開発の一環でこの事業(プロサバンナ)は行われている。天然ガス開発、石炭の開発、インフラ整備をしているということ言っているんですけれども、その中ですでに土地の強制収容、強制移動、起きています。そのことを伝えているし、去年の民衆会議でも農民たちそのことを伝えに来て、皆さんにも伝えています。なので、資源の開発でこれから問題が起きるからやらなきゃいけないのではなくて、順序が逆で、先ほども言ったように既に事業下で起きている土地収奪に対応できていない。これからどういうふうに対応していくんだということなんです。われわれがここで言っているのは。なので、今日はここで明らかにしたいのは、やっぱりわれわれはこれを止めていただきたい。
その前に、この見解(JICA掲載文)を撤回してください。よろしくお願いいたします。私からは以上です。
石橋議員:
はい、ありがとうございました。われわれエキサイトすると表現が過激になりがちですけど、その辺は少しちょっとご容赦いただいて、しっかり受け止めていただければと思います。その上で、このあと井上議員からも最後まで居ていただきます。締めのご挨拶いただきたいと思いますが、まずは牧野部長に言っていただいたので、すいません。今日裁判に対する姿勢の件などなどまだまだ他に論点があったんですけども、カバーしきれませんでした。ちょっとまだ牧野部長自身ももう少し話すべきだという論点を先ほど提起もされたので、まだまだ今日全然尽くせてないので。今日こうして本当にお時間いただいて、JICAの皆さん、外務省途中で退出されましたが、場を持っていただいたこと、ここには重ねて感謝申し上げたいと思います。本当にご協力いただいてありがとうございます。
ただ、ぜひこれほんとに対話の新たな1歩と言うことで、ぜひまた年明けて引き続き対話の場をこういう形で持たしていただきたいと思います。今日出席できなかった議員の皆様とも、今日の話は共有させていただきますし、また次回多くの議員の皆様ご参加いただけると思いますので、重ねてまたお呼びかけさせていただければ、ご協力いただいて、良い建設的なやりとりをさせていただければということでお願いしておきたいと思います。
先ほどほんとに貴重なご意見いただきました。そもそも7年前から私もずっとJICAに申し上げているのが、やっぱり今日冒頭申し上げた、そもそものボタンの掛け違い。やっぱり皆さん、いろいろ言われるんだけども、結局ボタン掛け違えたままで、次々と違うボタンをはめておられる。ボタン掛け違えたら一旦ボタン外して、つまり、立ち止まって、それでちゃんと正しい道を探らないといけない。それをやらずに車走らせながら、なんだって言っているから全部話が進まない。間違った方向にずっと突き進んじゃっている、としか今日のお話やりとり聞かしていただいても、思えないですね。なので、やっぱり一旦立ち止まる。一旦ストップして、その上で、本当に現地の今でもモザンビークをほんとに貧困に苦しんでおられる多くの子供たちが飢えに苦しんでいる。そういう国です。それに対してわれわれも支援したいんです。良い形で支援しましょうよ。現地の皆さんと真摯に話し合って、どういう支援を日本の国民のみなさんの貴重な税金を使わせていただいて、現地の国民、農民、子供たちが裨益を受ける形で、どういう形がいいのか、これ真摯に議論していただいて、そしてJICAにその役割似担っていただきたい。そのためには一旦立ち止まらないとダメです。
短期的にはJICAに今日決断いただければ、これウェブサイトページはすぐにでも削除していただける話です。すぐに決断してください。そこから始めないと先進めませんよ。これ部長ぜひ、今日この場で決断いただいてもいいけど、持ち帰っていただいて、早急にこのサイトについては削除すること決断いただいて。またどういう形で皆さん国民の皆さんに説明いただけるか、それはまたしっかり議論させていただければと思いますが、このままでは到底受けられない、ということは多くの皆さんの共通の認識だと思いますので、そこは、すぐ皆さんの決断でできる話なので、ぜひやっていただきたい、と言うことを申し上げて、重ねて今日協力いただいたことに感謝申し上げたいと思います。
井上議員:
3時間半近く、こうやって議論をすることができました。JICA、外務省の皆さまにもその点は感謝を申し上げたいと思います。
冒頭でも言いましたけど、ブラジルのセラードにもODAの調査で行ったんですね。このプロサバンナの話を最初にお聞きしたときに、あれだけ違うものを参考にするっていうことだったんですけど、これはまずおかしいなと単純に思ったんです。先ほど、それも「変わっているんだ」、とのお話もありました。けれど、やはり、そういうことを、どういう議論があって、どうやって変えたのかと、その結果どういう風になっているんだということを、きちんと説明されないままに、JICAは「変わった、変わった」、と。そう言われても、なかなかやはり、そこは理解ができない。合意されないと思うんですよ。
さきほど小農の方が発言されましたが、農業にとって、どれだけ「地域の分断」が致命的なのかについて改めて聞いて、なるほどと思ったんです。やはり、そこには丁寧な合意などの行為の努力が必要だと思うんですよ。
一連のコンサル(タント)の一連の発表について、それは「JICAの立場とは違う」なんてこと言われています。けれども、実際には、しかし、そういうことに関わった人が引き続きずっと関わっているんですよ。「赤」「緑」の分断をやった人が、引き続き関わっているんですよ。いくら皆さんがおっしゃったって、農民から見れば、結局ああいう見解持っている人たちを使って、結局やっぱり分断を持ち込んでくると思うわけですよ。その象徴が、今のウェブサイトの問題ですから。
ほんとにね、小農の権利、そういうことを一番に考えていると先ほどもおっしゃいました。そうであるならば、それは態度で、具体的に示していただきたいと思います。それが今日の皆さんの想いだと思うんです。先ほど、まだまだいろんなことを話尽くせないということがありましたので、ぜひまた年が明けたら、こういうこと(勉強会)を繰り返し行っていきたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。今日はほんとに皆さん、参加してくださった皆さんもありがとうございました。
石橋議員:
長い間、聞いていただきましてありがとうございました。また質問、ご意見など、言いたかった方、すいません機会がありませんでした。また、別の機会でご発言いただければと思いますので、重ねてご出席いただいた皆様、ご協力いただいた皆さんに感謝申し上げて、今日の会合は以上で終りにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
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