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【質問書】財務省・NGO定期協議会(隠れ債務問題、三井物産融資等)

第72回財務省・NGO定期協議

モザンビークの「隠れ債務」問題と円借款、三井物産への融資について
2019年12月24日

これまでの本協議会の議論を踏まえ、以下について質問し、議論する。
1.「隠れ債務」問題
1.1) これまでの経緯
1.2)新展開:明らかになる現前大統領・与党の関与
2. 円借款の現状について
三井物産への融資(ナカラ回廊開発)
3. 天然ガス開発への支援
4. 三井物産への融資と貿易保険(ナカラ回廊開発)
4.1)鉄道拡張工事並びに鉄道運用による住民への悪影響
4.2)利益の第三国流出問題
4.3)ナカラ港関連
4.4)損失と操業停止について
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1. 「隠れ債務」問題
1.1) これまでの経緯
 アルマンド・ゲブーザ前大統領下のモザンビーク、またフィリペ・ニュシ現大統領が国防大臣を務めていた2013年から2014年にかけて、国防省内諜報局(SISE)幹部らが設立した3企業(Proindicus社、Ematun社、MAM社)に対し、クレディスイス銀行とロシアのVTBから20億ドル(2000億円)を超える融資が行われた。この巨額融資に対して、当時の財務大臣ミシェル・チャンは国家信用を与える文書に署名したが、この融資は公的な場で協議も報告もされないまま行われ、2016年4月にIMFによる指摘により「隠れ債務」として問題化した。融資資金の一部で漁船や武器などが購入される一方、その大半が消えたままで、IMFは同月、モザンビークへの融資を停止した。これを受けて、ヨーロッパをはじめとする14カ国は一般財政支援を止め、米国も対モザンビーク援助の見直しを発表した。

 日本のNGOは、2016年3月より、本協議会において、2006年に借款放棄したモザンビークの「債務持続性」の問題を鑑み、モザンビークへの円借款を見直すよう提言してきたが、IMFの一報を受けて2016年6月に円借款の停止を要求した。日本政府は、2016年9月、円借款の拠出を停止していることを明らかにした¹ 。

 その後、モザンビーク政府は2017年1月に「隠れ債務」の返済不履行を宣言し、「一部でフォルト」に陥った。この時点で、モザンビークの債務は、GDPの120%に接近、アフリカで一番早いスピードで債務危機に近づいていることが報じられた。他方、モザンビーク政府、とりわけ「主犯格」の諜報局長アントニオ・ド・ロザリオは、IMFらの融資再開の条件である、本件の全容解明に背を向け、スウェーデン政府によって提供された国際税理士事務所(Kroll)の調査にも協力しなかった² 。そのために、IMFをはじめとする融資再開の目処が立たない中で、与党フレリモ(Frelimo)は、議会にて、この「隠れ債務」(Ematun社分)を国家債務として繰り入れる決議を行った。つまり、議会と国民の知らぬところで進められ、支払われ、消えた融資の返済の責任を、モザンビーク国家とその国民・納税者に押付けるとの議決を行ったのである。

 これを受けたモザンビーク市民社会は、「私は払わない(Eu Nao Pago)」キャンペーンを開始した。一方のモザンビーク政府は、この返済を北部で進める天然ガス開発への海外直接投資(FDI)によって賄う、その際には利息を上乗せするとの交渉を債権者と進めた。

 これに対し、本年6月、モザンビーク憲法評議会は、この債務への国費での返済は憲法に反しており、モザンビーク議会の決定は「権力強奪」に相当するとの判断を公表した³ 。しかし、この翌日、評議会委員長は「一身上の都合」で辞任し、1ヶ月にわたる委員長不在、そしてニュシ大統領の新委員長の指名後、この違法判断は無視される形で現在に至る。つまり、政府自身により、三権分立の基本が踏みにじられている状態にある。

1.2)新展開:明らかになる現前大統領・与党の関与
 ここにきて、新たな事実も発覚している。
 昨年12月16日、FBIの調査に基づいて、ニューヨーク連邦裁判所が、本件の裁判を開始した。1月3日に公開された訴状によると、起訴されたのは以下の8名であった⁴ 。
Privinvest Group: Jean Boustani、Najib Allan
クレディスイス社: Andrew Pearse、Surjan Singh、Detelina Subeva
モザンビーク政府: Manuel Chang(元財務大臣)、Antonio do Rosario(国防省元諜報局長)、Tofilo Nhangumele(3企業のマネージャー)

 20億ドル(2000億円)の融資の内、その1割にあたる少なくとも2億ドル(200億円)以上がPrinvinvest社を通じた迂回ルートを通じて賄賂に使われ、うちチャン元大臣らモザンビーク政府関係者に支払われたのは1.5億ドル(150億円)、クレディスイスのピアースに4500万ドル(45億円、内20億円を部下のスベヴァと分ける)、シンハーに570万ドル(5.7億円)、VTBのMakram Abboudに2000万ドル(20億円)であったと、裁判記録をもとにブルムバーグが報じている⁵ 。

 Prinvinvest社はアブダビ(UAE)に拠点を置き、海洋関連の施設建設や設備(船舶)などを提供する会社である。諜報局が関与する形での3社の設立と船舶などの購入契約、これに対するクレディスイス社とVTBの融資アレンジ、購入後の賄賂の提供は、同社のジーン・ボウスタニによって2011年に着想され、ゲブーザ元大統領とロザリオ局長の側近。トフィロ・ニャングメーレとの間で準備されたものであった⁶ 。この実現に不可欠だったのが、融資を獲得するためのモザンビークの国家としての信用書への署名であった。これを、当時の財務大臣マヌエル・チャンが行っている。

 米国検察は、昨年12月、チャン元財務大臣の海外渡航を察知し、南アフリカ警察に協力を要請し、元大臣はジョーブルグ空港で身柄を拘束された。身柄引き渡しを要求する米国に対して、モザンビーク政府はこれを阻止するために、南アフリカの裁判所に訴えを起こし、現在も同国での裁判が続いている。なお、モザンビークの与党フレリモと南アフリカの与党ANCは反アパルトヘイト運動の時代からの同志組織である。そのため、前法務大臣がモザンビークへの身柄の引き渡しを宣言したが、その直後に法務大臣が交代し、この決定を見直し、裁判所が判断することとなった。

 この件に関し、それまでほとんど公式には動きを見せてこなかったモザンビーク検察は、チャン元財務大臣の拘束後に動きを活発化させ、本年2月、以上のモザンビーク政府高官3名に加え、14名(計17名)の容疑者リストを発表した⁷ 。

債務承認への関与
1. Manuel Chang (財務大臣[当時])
2. Maria Isaltina Lucas (財務省元財務部部長、Ematunディレクター、現財務副大臣)
3. Ernesto Gove (モザンビーク銀行総裁[当時])
4. Piedade Macamo (財務部副部長)
5. Gregorio Leao (諜報局長[当時])
6. Antonio Carlos do Rosario (諜報局幹部、3社すべての指名された代表)

政府の要職にありながら融資を受けた会社から利益を受けていた者
1. Antonio Carlos do Rosario
2. Maria Isaltina Lucas
3. Henrique Alvaro Cepeda Gamito (財務省アドバイザー、Ematumディレクター)

違法な政府信用による資金を管理していた
1. Antonio Carlos do Rosario
2. Maria Isaltina Lucas
3. Henrique Alvaro Cepeda Gamito
4. Victor Bernardo (Proindicus社の初代代表)
5. Eugenio Henrique Zitha Matlaba (Proindicus ディレクター)
6. Raufo Ismael Ira (Proindicus and MAM ディレクター)
7. Jose Manuel Gopo (Proindicus ディレクター)
8. Felisberto Manuel (Ematum チーフエゼクティブ)
9. Ivone Lichucha (Ematum ディレクター)
10. Agi Anlaue (Ematum and MAM ディレクター)
11. Herminio Lima Alberto Tembe (Ematum ディレクター)
12. Cristina Alice Valente Matavel (Ematum ディレクター)
13. Nazir Felizardo Passades Aboobacar (MAM ディレクター)

 このモザンビークでの裁判プロセスを根拠に、チャン元大臣のモザンビークへの引き渡しが要求されるようになった。さらに、モザンビーク検察は、ロザリオの他に、ゲブーザ大統領の息子Ndambi Guebuzaなどの最重要容疑者の収監を命じた。

 ゲブーザの息子の名前は、すでにNY地裁での裁判記録に残っていたが、FBIが押収したメール記録から、Privinvestグループからの賄賂は、より広範囲に配られていたことが判明した。つまり、以下のモザンビーク政府関係者とその家族20名と1企業(Angela Leaoとアントニオ・ド・ロザリオが設立した党私企業Jaciro International社)に支払われたことが明らかになったのである⁸ 。

 つまり、アルマンド・ゲブーザ大統領とその周囲がこの件に密接に関わっていたこと、その見返りに賄賂を受け取っていたことが明らかにされたのである。さらに、11月20日には、Prinivestグループのボウスタニが、連邦裁判所で証言し、暗号を使った送金指示の内容を具体的に明らかにした。これにより、2013年の与党フレリモ内選挙(党首=大統領候補を選ぶ選挙)、2014年の総選挙を支援するために、フレリモ党に4百万ドル(4億円)、フィリプ・ニュシ現大統領(当時は国防大臣)に百万ドル(1億円)の送金が指示されたことが判明した⁹ 。

 以上から、モザンビークの与党、前大統領だけでなく、現大統領、現役閣僚・元閣僚、政府高官、その家族まで、国家権力の中枢にいる人物や組織が、深く関与したことはほぼ決定的となっている。その数は、分かっているだけでも、40名近くに上る。また、2014年の総選挙の資金も、この「隠れ債務」によって調達されていたことが明らかになった。この他にも、現在の財務大臣Adriano Maleianeの名前も出てきており、依然として真相解明にはほど遠い状態にあるといえる。

 このように、「隠れて消えた債務」の問題は、現在と過去のモザンビークの国家運営の腐敗の根深さと広がりを明らかにするとともに、国際マネーの政治(選挙)への介入も露になった。しかし(あるいは「だからこそ」)、ニュシ政権は、今年6月の憲法評議会の違法判決も無視し、10月には国費を用いた「隠れ債務」の国際債権者への返済を開始した。新旧大統領をはじめとする多くの政府高官が「隠れ債務」から多額の見返りを受ける一方、そのツケがモザンビーク国家全体と国民に押付けられている。

 これを可能としているのが、日本の官民(三井物産とJOGMEG)をはじめとする世界各国の企業による天然ガス開発への投資である。ガバナンスを不問にする形で続けられる資源開発が、モザンビーク政府の三権分立、民主統治の破壊を助長している現状にある。

 本年10月15日に行われた総選挙では、ニュシ大統領が再選され、フレリモ党は議会の圧倒的多数を占める勝利を得たが、裁判が選挙後に設定されたことにより、以上の情報を大半の有権者が知らないまま選挙が行われた。

 11月21日と22日、モザンビークの第二野党MDMと最大野党RENAMOは、米国での裁判で明らかになった事実を踏まえ、ニュシ大統領の辞任を要求した¹⁰ 。また同月27日、議長に対し「緊急特別委員会」の開設を要請したが、議長は「司法が対応すべき」と消極的な態度を示している¹¹ 。

なお、こうした状況に対し、IMFの経済諜報ユニット(Economist Intelligence Unit :EIU)分析官が、モザンビーク政府が債務持続性のすべてのクライテリアに反する状況にあり、この隠れ債務問題の解決なしには、IMFの融資プログラムを進めないと報道のインタビューに答えたことが明らかになっている¹² 。特に「与党フレリモがこの国際違法スキャンダルの直接的な受益者であったことが国際捜査で根拠をもって明らかになっている」と懸念を表明した。

【質問】
以上を踏まえ、以下質問する。

① ニューヨークでの裁判で多くのことが明らかになった。財務省は、これまでの協議で、「IMFと同様…」をくり返してきたが、モザンビークの「隠れ債務」問題について、現状に対する認識・見解と、それを自らの政策にどう反映させようと考えているか明らかにされたい。
② 本件について、モザンビーク政府に対し、何らかの情報照会などしてきた事実の有る無しを示されたい。
③ 以上の通り、「隠され消えた債務/融資」の真相がようやく明らかになりつつある中で、憲法評議会の判断を無視して債権者への国費での支払いが行われていることについて、一般論でも良いので、財務省の考えを示されたい。

2. 円借款の現状について
 一方で、上記「隠れ債務」により生じた状況を受けて、日本政府は2016年度以来、モザンビークに対する新たな円借款の拠出を停止してきた。これを踏まえ、6月10日の定期協議の際に、TICADに向けた新たな投資や融資の動きについてNGO側より確認をしところ、JBIC鉱物資源部第2ユニット長・高橋直樹氏からは「TICAD が 8 月に開催されるが、モザンビークに対して新たな投資や融資の案件が予定されているのならば、具体的に申し出てもらいたいという質問に対して、申し訳ないが、現時点で具体的なことは何も申し上げることができない。頂いた質問へのご回答は以上である」との説明がなされた(議事録30頁¹³ )。これについてNGO側から再度確認したところ、財務省国際局開発政策課・渡邊毅裕課長補佐より「代理で出席しているため、その点は改めて回答したい」との回答があった。

【質問】
④ 1.で示したとおり、モザンビークの「隠れ債務」問題は真相が究明されるごとに、政府要人の関与が明らかになり、またその汚職・腐敗状況の深刻さが分かる。そのような状態で、融資再開はないものと思うが、実際の状況とともにその判断も背景・理由を示されたい。

3. 天然ガス開発への支援
 以上の「隠れ消えた債務」において、モザンビーク北部カーボデルガード州で進められる天然ガス開発が、「債務自体をなかったことにする」上で重要な役割を果たしつつあることが分かる。つまり、ニュシ政権は、債権者に天然ガス開発への投資による歳入を支払うことで、債務の返済を行い、問題の消滅を図っているともいえる。

前述の通り、日本企業(三井物産など)と政府系機構(JOGMEG)がこの天然ガス開発(第4鉱区、筆頭権益社Anadarko社→Total社)を進めている。三井物産の投資額は25億ドルとも言われている。

 しかし、天然ガス油田開発地域のカーボデルガード州では、2年前から武装集団による武力攻撃が継続しており、すでに200名を超える死者が発生してきた¹⁴ 。総選挙前後に攻撃が激しくなり、現在約65,000人の避難者が生じ、近辺では食料不安も生じている¹⁵ 。これに対して、モザンビーク政府は、ロシアに軍事協力を要請し、9月には同国の民間軍事会社ワグナル社が展開したが、武装集団からの激しい攻撃を受けており、撤退の可能性が出ているという¹⁶ 。これに代わって、フランスやアメリカなどの諜報機関が協力を提案しているが¹⁷ 、一部の投資企業は事業縮小を検討し始めている¹⁸ 。

 一方、この武装集団を「諜報」「軍事」アプローチだけで対応すること自体が問題を深刻化させているとの指摘も多い。カーボデルガード州が、ニュシ現大統領の出身地であり、ここに天然資源開発が集中する一方で、住民が大規模な立退きや環境劣化に直面するとともに、貧富の格差が拡大する中、社会的不満が広がっていることが根本原因の一つであるとの指摘は、モザンビーク内外の研究者や市民社会だけでなく、米国外交関係者すら口にしている。

 事態は、カーボデルガード州だけでなく、隣州ナンプーラ州やニアサ州にも広がっており、一州を超えて、地域全体の不安定化が不安視されている。モザンビーク北部のこの天然ガス開発地帯が、ナイジェリアの石油地帯「デルタ化/ビアフラ化」しつつあるとの認識も度々示されるようになってきた¹⁹ 。まさに「資源の呪い」現象が生じていると考えられる。

【質問】
⑤ 治安・軍事状況が悪化を判断するにあたってのソースを示してほしい。また、そのような地域・国への投資・融資のガイドラインがあると思うが、それを示してほしい。
⑥ 三井物産and/or JOGMEGなど、日本勢のモザンビーク北部への天然ガス開発関係の投資に、何らかの日本の公費(融資、貿易保険)が行われている、あるいは行われる予定であれば、それを具体的に説明されたい。また、JOGMEGへの国費負担、JOGMEGの本件投資への公費負担相当額を示されたい。
⑦ 天然ガス開発地域の急速なる状況悪化を踏まえれば、現状あるいは未来の融資や貿易保険には大変なリスクが生じていると考えるが、どのようなリスク分析をしているのか示されたい。

4. 三井物産への融資と貿易保険(ナカラ回廊開発)
 2017年11月28日、JBICは三井物産によるナカラ回廊開発事業への約1000億円の貸付契約を締結した。これには日本貿易機構の貿易保険約1000億円も供与された。この件については、4点に分けて議論し、質問する。
4.1)鉄道拡張工事並びに鉄道運用による住民への悪影響
 2014~2016年のNGOによる現地調査からナカラ鉄道整備事業による悪影響・被害が生じていることが確認され、これについて本協議で報告と対策を求め、協議を継続してきた。これについて、前回協議では、以下の点について回答が持ち越された。議事録を転記するとともに、回答を要請する。

【質問】
⑧ 「60 箇所の具体的な内容について、2018 年を終えたところでできる限り情報提供したい、について。これは 72 箇所に増え、申し訳ないが、詳細については今事業者に確認をしているとこ ろ。またこの情報がまとまればご報告をさせて頂く」(議事録30頁)
→報告をお願いしたい。
⑨ 「(昨年11月22日の)政策協議会での発言について。補償に関して、問題解決のための対応をスピードアップするよう伝え、両社が対応すると回答をしたと協議会でお伝えしたが、この対応がどうなったかについて。今日、先ほど話にあげたように、事業者としてはこれまで以上に住民説明会をしっかりと行い、コールセンター で現地住民の直接の質問に答える中で、各種「クレーム」というと少しおかしいが、現地での苦情を受け 付けていると確認をしている」(同上)
→何件のクレームがあり、どのように対応したのか。
⑩ 「新しいコミュニケーションとは具体的に何を指すのかを示して 欲しいという質問。こちらに関しては、融資を決定した立場として弊行は定期的にモニタリング実査を 行なっており、年に一回は現地に行って住民と対話をすることを続けていきたいと考えている。直近で、 先ほど申し上げた 2018 年 11 月に訪問をしたが、今月もナンプラに訪問をして実査をする予定である」(同上)
→調査報告書の提供を要請する。次回はいつか?日本のNGOも一緒に調査が可能か?

4.2)利益の第三国流出問題
 前回新聞記事を共有した。つまり、CLIN 社が、本来国庫に納付すべきであった2018年度の第3四半期の収益のうち11億ドル(1100億円)を、モザンビークから流出させ、UAE(アラブ首長国連邦)に拠点を置く両社の支社に送金したとの指摘の記事であった。CLIN 社が、財務諸表等を公開していないので、11 億ドルについて目的やどのような資金運用をしているかが不明であるとのことで、確認を求めた。これを受けて、以下のやり取りがなされた。

● JBIC 高橋:この報道に関しては弊行も確認して、不当に利益、益金を課税逃れのために第三国に移したということであれば問題であろうと、事業者にも確認した。結果として、事業者の説明としては利益金を課税回避の ために第三国に移転した事実はないということであった。これが確認した内容である。
● JVC渡辺:それ以上の確認はする予定はあるのか。
● JBIC 高橋: まず事業者として、そういった説明を我々にしているということで、虚偽の情報を報告するとなれば融資契約上も大きな問題となってくると思うので、そこが事実であるかというところも、フォローアップ というか、例えばこの会社の財務諸表に関しては弊行も確認できる立場にあるので、まだ完成していな いが、2018 年の財務諸表を見ればそれが本当であるのか嘘であるのか、ある程度分かるかと思うので、 そういったところもしっかり確認していきたい。

【質問】
以上を受けて、以下質問する。
⑪ 財務諸表を確認した結果、どうなっていたのか詳しく教えてほしい。
⑫ 税金から融資を受けている企業が、不透明な資金運用をしていることについての見解

4.3)ナカラ港関連
 ナカラ回廊開発には、ナカラ港・ターミナルの開発が含まれている。これについては、どこまで融資と連動しているのか分からなかったためにこれまで質問してこなかった。これを踏まえ、以下質問する。

【質問】
⑬ ナカラ港やターミナルの事業開発のプロセスで住民移転などがあったのか。あれば鉄道と同様の資料を提供されたい。(地域、人数、補償額など)
⑭ これに対して、何らかの抵抗などなかったのか。
⑮ この港湾設備やターミナルは融資の対象となっているのか。なっていれば具体的に、全体のいくらを占めるのか。
⑯ 具体的な港湾設備やターミナル建設の計画案と現状の資料の提供

4.4)損失と操業停止について
 11月27日付の三井物産のプレスリリースおよび新聞報道において、モアティーズ炭鉱/ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業において減損損失が見込まれ、見直しを迫られていると発表された²⁰ 。ポルトガル語新聞では、3ヶ月の操業停止が予定されているとの報道がなされている²¹ 。
 一方で、ニュシ大統領の再選を受けて、ニュシ大統領周辺が、モザンビーク内の利権について、ゲブーザ前大統領から自らのグループに利権を移そうとしていることが報道されている²² 。そのタイトルは、Mitsui to inject fresh impetus intoNacala corridor?(三井物産はナカラ回廊に新たな支出をするのか?)とされており、大変懸念されるものとなっている。

 記事では、「政府は、SCDNの地元株主の中でも、前大統領アルマンド・ゲブーザが出資するMoçambique Gestores社の傘下にグループ化された株主を排除したいと考えている 。なぜなら、これは現在の(訳者加筆:フィリペ・ニュシ)政権にとって何の利点ももたらさないからだ」として、「モザンビークの運輸大臣であるカルロス・メスキータ(Carlos Mesquita)は、物流回廊の行き詰まったプロジェクトについて不満を抱いており、2014年以来、この回廊に関与してきた三井物産を説得し、その責任を単独で引き継ぐよう求めている」と記されている²³ 。

 なお、以上とは別に、新しい情報として、11月1日付のAfricanintelligence誌が、モザンビーク国立研究所(INM)とJOGMECが、ニアサ州で最大8億5,000万トンの鉱石を含むとされる石炭の新しい埋蔵量を発見したと報じた²⁴ 。
 以上を踏まえ、以下質問する。

【質問】
⑰ 収益状態をどう把握し、JBICとしてどう考えているのか、
⑱ 3ヶ月の操業停止は事実か。
⑲ 融資返済計画への影響はどうか。また、返せなかった場合は貿易保険はどうなるのか。
⑳ Africanintelligence誌の11月1日の報道は本当か(三井物産に運輸大臣が要請をしているのか)についての回答。


【注】
¹ 財務省NGO定期協議会(2016年6月14日、9月15日)https://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/prosavana-jbm.html
²  https://clubofmozambique.com/news/attorney-general-names-hidden-debts-suspects-aim-report/
³ https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/dividas-ocultas-os-milhoes-de-galinhas-e-a-inocencia-de-jean-boustani
https://clubofmozambique.com/news/us-says-chang-received-12-mn-full-indictment-report-hanlon/
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-18/ex-credit-suisse-banker-pearse-says-love-helped-fuel-his-fraud
https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/dividas-ocultas-os-milhoes-de-galinhas-e-a-inocencia-de-jean-boustani
⁷ Reuters 2019年2月15日https://af.reuters.com/article/topNews/idAFKCN1Q41JL-OZATP?feedType=RSS
https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/empresa-acusada-de-subornos-coloca-ex-pr-guebuza-em-lista-de-transferencias
https://www.youtube.com/watch?v=5ylW8l3dSgE
¹⁰ https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/dividas-ocultas-o-movimento-democratico-de-mocambique-mdm-quer-que-pr-coloque-lugar-a-disposicao
https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/dividas-ocultas-renamo-pede-que-o-pr-se-demita
¹¹ https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/comissao-permanente-avalia-pedido-da-renamo-para-reuniao-urgente-do-parlamento
¹² https://noticias.sapo.mz/actualidade/artigos/fmi-nao-vai-aprovar-ajuda-a-mocambique-sem-resolucao-dos-emprestimos-ocultos
¹³ http://jacses.org/492/
¹⁴ https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019061300001.html?iref=wrp_rnavi_new
¹⁵ http://www.thenewhumanitarian.org/feature/2019/12/4/Mozambique-Cabo-Delgado-hunger-displaced-crisis?utm_source=The+New+Humanitarian&utm_campaign=eda09fe3b6-RSS_EMAIL_CAMPAIGN_ENGLISH_FOOD&utm_medium=email&utm_term=0_d842d98289-eda09fe3b6-75541417
¹⁶ https://www.africaintelligence.com/aem/consultants/2019/09/24/violence-and-insecurity-nyusi-wants-to-avoid-cabo-delgado-from-becoming-next-niger-delta-at-all-costs,108373983-bre
¹⁷ https://www.africaintelligence.com/ion/corridors-of-power/2019/11/15/french-to-help-with-surveillance-in-cabo-delgado,108381934-art
¹⁸ https://www.africaintelligence.com/ion/corridors-of-power/2019/11/29/gas-companies-review-their-security-arrangements-as-nyusi-loses-the-north,108384100-bre
https://www.africaintelligence.com/aem/exploration--production/2019/11/19/rovuma-lng-exxonmobil-delays-fid-for-more-reasons-than-one,108382389-art
¹⁹ https://www.africaintelligence.com/aem/consultants/2019/09/24/violence-and-insecurity-nyusi-wants-to-avoid-cabo-delgado-from-becoming-next-niger-delta-at-all-costs,108373983-bre
²⁰ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52654600X21C19A1EAF000
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52673550X21C19A1DTA000/
²¹ https://www.cartamz.com/index.php/economia-e-negocios/item/3777-vale-anuncia-encerramento-da-mina-de-moatize-por-tres-meses-em-2020
²² https://www.africaintelligence.com/ion/business-circles/2019/11/01/mitsui-to-inject-fresh-impetus-into-nacala-corridor,108379843-art 
²³ 日本語訳 http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-428.html
²⁴ https://www.africaintelligence.com/AMA/corridors-of-power/2017/01/24/japan-wants-ever-bigger-deliveries-of-local-coal,108198272-ART


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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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