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【公開:議案書】ODA政策協議会(モザンビーク市民社会の殺害とODA事業)

12月12日に外務省で開催されるNGO・外務省定期協議会のODA政策協議会(年3回開催)で、モザンビーク警察による市民社会リーダーの暗殺(本年10月発生)と日本の対モザンビーク援助政策が協議されます。

以下、議案書を貼付けますので、お読み下さい。

後日、当日の記録を紹介します。

なおリーダー暗殺については、本ブログの以下の投稿をご覧下さい。
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-426.html

***

1. 議題案名:モザンビーク市民社会リーダー殺害とODA事業

2. 議題の背景:
【事件の概要】
 モザンビークの大統領・議会・知事選挙(2019年10月15日)の1週間前、10月7日に、モザンビークのガザ州NGOフォーラム(FONGA)リーダーのアナスタシオ・マタヴェル(Anastacio Matavel)氏が10発の銃弾を打ち込まれる形で暗殺された。犯人は襲撃後、逃げる際に事故を起こし、身元が割れた。5名中4名が、警察特殊部隊要員であった。
 事件の翌日(10月8日)、警察もこの事実を認めざるを得ず、モザンビーク警察長官ベルナルディーノ・ラファエル(Bernardino Rafael)、またその代理として、広報官オルランド・モドゥマネ(Orlando Modumane)は、マタヴェル氏を殺害した5人の犯人の4名までが、「ガザ州警察の機動隊内にある特殊作戦部(GOE; Grupo de Opera;ções Especiais)の業務に当たる人物である」と認めた¹。

【暗殺されたマタヴェル氏】
 マタヴェル氏は、選挙監視を行う市民社会グループ「Sala da Paz(平和の部屋)」のメンバーでもあり、ガザ州全体の独立選挙監視グループのリーダーでもあった。この日は、選挙監視要員の研修をしており、その帰途での事件であった。
 また、マタヴェル氏ならびにFONGAは、2012年5月のTICADの際に公表され、安倍晋三首相に手渡された3カ国首脳に宛てた「プロサバンナの緊急停止を求める公開書簡」に署名しており、2015年5月のプロサバンナ事業の公聴会に関する声明² にも署名している。

【非難声明】
 これに最初に反応したのが、モザンビークの駐米大使館であり、翌10月8日には、声明(添付1)³ を発表し、マタヴェル氏暗殺について「他の国際社会とともに強く批判する()と述べている。同様に、EU高等弁務官事務所も同日、声明(添付2)⁴ で、「市民による監視は信頼できる選挙プロセス実現の基本的要素」であり、同氏の「死をもたらした攻撃を強く非難する」」と述べた。
 モザンビーク内外の市民社会も、添付3⁵ 、添付4⁶ などの声明を出している。

【日本政府の対応】
 しかし、事件から2ヶ月近くが経つ現在も、日本の大使館は沈黙したままである。

3. 議題に関わる問題点(議題に上げたい理由):
① 日本は、サハラ以南アフリカの中でも、モザンビークを「重点国」とし、2009年以来多額の資金を援助や投資支援の形で投じている。2014年1月の安倍首相の訪問、2014年の二国間投資協定(サハラ以南アフリカで最初の締結)⁷ は、さらにこれを加速化させるものであった。
② 安倍首相のモザンビーク訪問は、中部と北部で野党レナモ拠点へのモザンビーク(フレリモ)政府の攻撃が続き、事態が悪化している中で行われた。
③ また、2015年3月のシスタック教授の暗殺以来、ジャーナリストや市民社会関係者の暗殺や暴行、誘拐が相次いだ。この状況下で、プロサバンナ事業において人権侵害が頻発していたことを受けて、JICAや外務省に対して、第三者による調査と人権救済を要請したが、これは行われなかった。
④ 暗殺されたマタヴェル氏は地元のローカル新聞やラジオなどを応援し、「知る権利」を広げ、透明性のある行政・選挙の運営、それを通じての民主的で平和な社会の実現に尽力していた。モザンビークでは、このように、市民社会も参加する形で、民主的な統治の実現に寄与しており、司法の動きも重視されてきた。そして、この間議題にしてきた、マプート行政裁判所によるプロサバンナ事業に関する違法判決(知る権利侵害)などに示されている通り、三権分立と法の支配の有効性が実証されている。しかし、これについて、JICAや外務省は、法の支配やガバナンス支援を掲げる一方で、実際には、本件を「国内問題」「行政組織間の問題」として放置し、無理解と矛盾する言動を露呈させている。
⑤ 日本の市民社会としては、これまで繰り返し指摘してきたモザンビーク政府の市民社会への弾圧が、最悪な形で証明されたことになる。
⑥ プロサバンナ事業においては、JICA資金により、2016年2月に、モザンビーク政府による反対運動者の人権侵害を煽るような『コミュニケーション戦略書』が作成されていたことが、情報開示請求により、明らかになっている ⁸。
⑦ これらを受けて、モザンビーク住民11名が、JICA環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立を行い、人権侵害に関する審査を要請した。しかし、この審査では、訴えられている側のJICAコンサルタントNGOがヒアリングを仕切るなど(3度審査役と面談)、人権侵害を具体的に訴える人への配慮なきまま(声を無視する形で)審査が進められ⁹ 、結果として「モザンビーク政府の人権侵害の事実を確認できない」とした¹⁰ 。
⑧ また、2015年には、JICAがプロサバンナ事業に反対するモザンビーク市民社会の内部調査をさせ、介入・分断を行った事業「ステークホルダー関与」を主導していた現地コンサルタントEduardo Costa氏(MAJOL社)が、事業終了後すぐの2016年7月からモザンビーク農業省下にあるプロサバンナ本部に派遣されていたことが分かっている。つまり、市民社会内部の情報をもった人物を、あえて、人権侵害が訴えられている政府側にJICA・日本の援助は派遣したことになる。
⑨ また、本協議会でも、ファクトに基づく協議を重視する基本から、モザンビーク政府関係者の反対運動の無理解・誹謗中傷・威嚇発言などの録音などを提供し、第三者による調査や人権救済などの対応を求めてきた¹¹ 。2018年3月1日のODA政策協議会時には、外務省の牛尾滋審議官(当時)も録音された発言は人権侵害に相当するとの見解を述べた¹² 。しかし、外務省、JICAは録音内容の確認については、半年以上も対応を引き延ばしたばかりか¹³ 、録音の時期について認めない州局長の側の主張をくり返してきた。しかし、この州局長の主張が虚偽のものであり、JICAの報告が間違っていたことが現地の新聞で明らかになっている¹⁴ 。その後、当該局長をはじめとするモザンビーク政府関係者らは日本のNGOへの録音提供者の「犯人探し」を行う等、更に人権侵害を起こし始めた¹⁵ 。これについて緊急申し入れをしたにもかかわらず、外務省は「プロサバンナ事業について、現地住民の理解が得られる形で実施されるよう、これまでもモザンビーク政府に対し働きかけるなどの対応を行っていますところ、引き続き適切に対応してまいります」との回答を寄せるなど、何ら行動をとらないまま現在に至る¹⁶ 。
⑩ この現実を踏まえ、モザンビークへの援助のあり方を至急再検討する必要が生じている。とりわけ、反対運動が根強く、JICAがモザンビーク政府をアシストする形で市民社会に介入・分断するとともに、事業下における「人権侵害」が訴えられ、それへの対応が日本政府に対して求められ続けてきているにもかかわらず、「認定できず」「国内問題」として放置され続けてきているプロサバンナ事業については、その関係者が暗殺されたことも踏まえれば、プロサバンナ事業については、直ちに停止することが望ましいと考える。

4. 外務省への事前質問(論点を詰めるために事前に確認しておきたい事実関係などがあれば):
① 外務省が把握するモザンビークで市民社会(大学関係者やジャーナリスト)に対して行われた暗殺・誘拐・傷害事件の数とその後の結果(犯人逮捕や裁判等)
② 今回の暗殺事件を知った経緯(日付とソース)、警察官による犯行と知った経緯(日付とソース)
③ この件で、モザンビーク外務省あるいは/および駐日モザンビーク大使館に問い合わせを行ったか否か(その日付と詳細)
④ これまで、モザンビーク政府に対し、何らかの懸念や非難を示したか否か(その日付と詳細)。
⑤ 以下について、報道、必要に応じて、在外公館などを通じ、モザンビーク政府に確認の上、Yes/Noで回答されたい(Noの場合は何故なのかの説明)。また、分からない場合、誰にどう確認した上で不明と結論づけたのかも示されたい。
(ア) 10月8日、本件について、ラファエル警察長官はプレスリリースを発表した。
(イ) 10月8日、本件について、警察長官の広報官モドゥマネは記者会見を行った。
(ウ) 同プレスリリースには、犯行に加わった5名中4名までが、ガザ州警察機動隊特殊部隊メンバーであったと書かれており、記者会見でもこの事実が確認されている。
(エ) 本件を踏まえ、同広報官は、ガザ州機動隊長のAlfredo Naifane Macuacuaと同機動隊内特殊部隊長Tudelo Macuaze Machicho Girrugo の職務を停止したと発表した。
(オ) 犯行に使われた車両は、ガザ州シブート市のHenrique Machava市長の名前で登録されていた。
⑥ この事件に関する非難声明を今後出す予定はあるのか。ない場合は、他国は出しているのに出さない理由
⑦ プロサバンナ事業に反対する人びとの安全をどう守るのかに関する具体的な方策
⑧ 上記のとおり、プロサバンナ事業を停止すべきと考えるが、これについての考え
⑨ 以上の現状から、外務省として、モザンビークにおいて法治国家体制を強化する必要があると考えるか、否か。とりわけ、司法の独立性を重要と考えるか、否か。必要・重要ということであれば、今後の支援についての抱負
⑩ 人権問題のある国への援助指針

5. 議題の論点(定期協議会の場で主張したいことや、外務省に聞きたいこと):
① モザンビーク政府への詳細照会、抗議
② 対モザンビーク援助・投資の見直し
③ プロサバンナ事業の緊急停止
④ プロサバンナ事業に反対している人びとの安全を守る方策
⑤ モザンビークの司法の独立性、法治国家体制の定着について

【注】
¹ https://www.globaldiasporanews.com/assassinos-de-anastacio-matavele-sao-agentes-da-policia-da-republica-de-mocambique/
https://www.cipeleicoes.org/oficial-assassinos-de-anastacio-matavele-sao-agentes-da-policia/
² https://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/data/20150515-prosavanastatement.pdf
³ https://mz.usembassy.gov/u-s-embassy-statement-on-the-assassination-of-anastacio-matavele/
https://eeas.europa.eu/election-observation-missions/eom-mozambique-2019/68510/moe-ue-mo%C3%A7ambique-2019-condena-veementemente-o-ataque-que-resultou-na-morte-de-uma-figura_en
https://justica-ambiental.org/2019/10/10/repudio-a-violencia-contra-activistas/
https://www.civicus.org/index.php/media-resources/news/4116-mozambique-killing-of-activist-dr-matavel-restrictions-on-civic-space-mar-upcoming-elections
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/trt/page22_000958.html
⁸ 【JICA文書】コミュニケーション戦略書(英語版、2013年9月)
資料4-「プロサバンナ・コミュニケーション戦略」と背景
⁹ その他、JICA職員が監督者となる形で弁護士事務所が論点整理を行う、JICA担当部署も文書でも裏付けされていないことを「事実」として認定するなどされた。また、大臣の実際の人権侵害を記録した動画も証言者による証言書も検討することなかった。
¹⁰ ただし、4章「提言」では、「モザンビーク政府に問題がなかった訳ではない」とは認めている。
¹¹ 外務省提供録音→https://www.youtube.com/watch?v=QBtRTCEMQsQ&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=qeKLwB_g_lQ&=&feature=youtu.be https://www.youtube.com/watch?v=VWS_TW0ZKJY 
¹² この発言は後日違う形で議事録としてまとめられている。「要するに、コン サルテーション中止だと言っているときに、進めるなんて発言、すぐ終わるんだ、みたい な発言するのは、全然矛盾していて、それはだから、そういう矛盾していることを言って いるやつがいると。しかも人権無視だよと、いうことも含めて、向こう政府にこれはどう いうことだということで録音テープを渡す。こっちの認識としてはそういうことですよ」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/shimin/page25_000194.html
¹³ https://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2018/06/20180531-mozambiquekaihatsu.html
2017年12月:ODA政策協議会で問題提起、2018年1月:録音データなど共有、2018年2月:公開質問状https://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2018/06/20180531-mozambiquekaihatsu.html
¹⁴ 2018年7月31日ODA政策協議会 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/shimin/page22_001042.html
¹⁵ https://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2018/08/20180830-prosavana.html
¹⁶ 以上サイト掲示「回答」。
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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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