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【議事録】TICADサイドイベント「SDGsとアフリカ開発?」(2019/8/29)

TICAD Ⅶ関連公式サイドイベント
「SDGsとアフリカ開発?~私たちの暮らしから考える~」


議事録

1.日時:2019年8月29日(木)15時30分~17時
2.場所:パシフィコ横浜1F TICAD展示ホールB
3.主催:認定NPO法院 WE21 ジャパン、共催:国際NGO・GRAIN、
協力:モザンビーク開発を考える市民の会
4. 地球環境基金(油ヤシ・プランテーション産業拡大に対応するためのコミュニティ能力強化と地域プラットフォームの形成)、(公益財団法人)庭野平和財団、(一般財団法人)大竹財団
5.登壇者
■ コスタ・エステバオン(モザンビーク農民)
■ ボアヴェントューラ・モンジャーネ(モザンビーク活動家)
■ エマニュエル・エロング(カメルーン農民)
■ 浜田順子(WE21ジャパン理事)
■ 海田裕子(WE21ジャパン理事長)
■ 平賀みどり(経済学博士)
■ 小池絢子(WE21ジャパン民際協力室)
■ 渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)
6.参加者:98名

当日プログラム→https://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2019/08/20190829-africasdgs.html
*本議事録は、当日の同時通訳音源ではなく、海外ゲストの英語・ポルトガル語発言を踏まえ作成されています。

0) 開会
■渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)
主催者の小池氏お願いします。

■小池絢子(主催者挨拶)
本日のテーマはアフリカ開発。TICADⅤがきっかけ。6年前に同じサイドイベント。モザンビークのプロサバンナ事業を始めて知った。JICAのODAで行われていた。「税金で行われているということは皆さんの問題」、モザンビークの方が話された。それから6年間この問題を追ってきた。本日はアフリカから開発の影響を受ける当事者の方々が来ている。皆さん自身が当事者として聞いてほしい。最後のディスカッションで何ができるかを考える。世界の問題に対して考えることがSDGsのテーマに繋がる。

■渡辺直子(開催趣旨)
経緯を説明する。全員の紹介も交える。本日の話題が触れるのは三カ国。アフリカの南にあるモザンビーク、中央にあるカメルーン、そしてエマニュエル氏からはガボンについても言及がある。この写真は何が起きているか。モザンビークで、大豆栽培企業に奪われた土地に立つ現地の農民。元々は緑豊か。森、水場、畑、お墓、家、樹々があったが奪われた。なぜ起きているか。今日問題提起したいことと関係している。

次にJICA(日本国際協力機構)の広報誌JICA Worldの記事。「途上国の農業開発無しで日本人の食生活はまかなえない」と書いてある。日本への輸出用の大豆、そして日本のODA(政府開発援助)で行われるプロサバンナ事業が言及されている。これらについては、コスタ氏とボア氏から問題提起がある。

それでは次に、油ヤシの実写真。これについては、エマニュエル氏から話がある。カメルーンの写真であるが、左が油ヤシのプランテーション。右はプランテーションが家屋の隣まで迫る。現地で何が起きているか。また、ガボンについてもエマニュエル氏から、中央・西アフリカで起きていることと日本の関係が紹介される。

TICAD(アフリカ開発会議)はアフリカの開発について話す場。こういうことが起きているアフリカの将来を私たちはどう考えるのか。そのためには、まずどういったことが起きているか知ることが重要である。今日は、それを考える場にしたい。
登壇者を説明する。コスタ氏はモザンビーク農民組織(ナンプーラ州農民連合)のリーダー。土地収奪が頻発する地域で土地、住民、農民を守るため抵抗運動を続けている。ボア氏は農民組織(ビア・カンペシーナ)の国際部で働いていた。現在ポルトガルの大学で博士課程に在籍しており、アカデミックな観点から検証し声を上げたい。エマニュエル氏はカメルーンで抵抗運動を率いる農民組織のリーダー。平賀みどり氏は経済学者であり、モザンビーク、カメルーン、ガボンで今起きていることが、世界のどのような文脈で起きているかを明らかにしてくれる。まずは、その前にWE21理事浜田氏から、私たちの暮らしに身近なパームオイルと私たちの関わりについてお話がある。

1)報告1 パームオイルと私たち
■浜田順子
パームオイルについて、8年前に教材を作成した。その際、パームオイルと私たちの繋がりを勉強した。それらの資料を元に発表する。カップ麺、ポテトチップス、クラッカー。食料品の油にパームオイルが使われるが、ほとんどの場合、表示がない。植物油脂にもパームオイルが使われている。歯磨き、シャンプー、食器用洗剤にも使われる。パームオイルが使われている理由は、沢山取れ安価だからとされている。風味を変えない。また、石油の高騰と二酸化炭素排出規制により、バイオ燃料としても利用される。私たちの生活に深く関わるパームオイルであるが、どこでどのように作られるのか。

マレーシアでは高速道路の両側にパームヤシのプランテーションの畑が広がっていた。元々生物多様性の豊かな所が全てパームヤシの畑に。インドネシアの西カリマンタン州。平らな土地で農作業路がまっすぐ続く。見渡す限りパームヤシ。マレーシアのヘアワセ州。起伏があり等高線に沿った作業路は少し曲がっている。道路沿いにパームヤシが植えられる。これはパームヤシの収穫の様子。成長が早く大きな大木になり実を採るのも大変な作業。これが実。これは収穫の様子。力仕事で男性がする。女性は下の方で運搬作業をする。

マレーシアでは政府が積極的にパームヤシの開発を進める。少数のマレーシア資本の企業が独占して進める。インドネシアでは大企業がやっている。政府が先住民族を組織化し農業協同組合にして土地をまとめて開発している。開発側と元々土地利用してきた住民側で土地を巡る紛争が生じている。不利な内容とは知らずに契約書にサインを書かされる。保証金が支払われない。代わりの土地が引き渡されないなど、働く人々と家族の平等と権利の問題が起っている。そして、大量に投入される農薬による健康への影響、パームオイル精製工場から排水などの多くの問題がある。

解決するための取り組みはあるのか。2004年、「持続可能なパームオイルのための円滑会議RSPO(Roundtable Sustainable Palm Oil)」が開かれた。パームオイルの生産、加工、流通する際に生物多様性を確保するための原則が策定された。右下にあるマークは持続可能なパームオイルの支援をしているもの。売り上げの1%がボルネオの環境保全に充てられる。認証ラベルの制度はある。しかし、認証のパームオイルは価格が割高で、使用は一部に限られる。制度は作ったとしても全てが解決した訳ではない。森林破壊を止めることができてない。もっと認証の基準を厳しくすべきという意見もある。今は途上の段階にある。

このようにパームオイルの問題をWE21ジャパンとして考えてきた。今回はモザンビークなどの大豆生産の話もあわせて、深めて聴ける。私たちとアジア、アフリカの国で起きている問題に密接な関係があることを学び、できることを繋げていきたい。

■渡辺直子(司会)
身近な問題と繋がっているということを覚えておきたい。次に平賀氏からお願いします。

2)解説 グローバルフードシステムと日本
■平賀みどり
パームオイル、大豆油などの植物を中心に、なぜ沢山安く出回っているかという政治経済の話をする。食べ物は命の過程であるはず。自然の営みであるはずの農業が、なぜ人の健康、住居、地域社会を壊す食料システムになったのか。日本の食べる側からの話をする。

植物油は世界的に右肩上がり。大豆油中心で、まだまだ増えていく。日本では油はごま油やオリーブオイル、そしてパームオイルは二番目に多く食べている。大豆油も食べている。これが認識されていないのは、「パームオイル」として売られていないから。(パームオイルや大豆油は、)加工食品や業務用に使われ、見えない形で食べている。日本はほとんど毎日沢山の油を食べている。そのほとんどを海外から輸入している。植物油の自給率は2%。日本の自給率は4割以下だが植物油は2%。原料のほとんどを海外からの輸入に依存しているものを安く食べていることになる。

世界では中国が世界の大豆の6割を輸入。一昔前は日本が3割を輸入していた。大豆大輸入国。大豆は日本にとって大事だと言われるがそうではない。100年前日本人は大豆を食べていた。大豆を食べることで、大豆の中に含まれる油も食べていた。ただし、搾った形では食べていなかった。今はより多くの油を搾った油から食べている。昔も大豆に含まれる油を食べていたが、搾った形の油は食べていなかった。この点は世界的に共通している。ポイントとして押さえていただきたい。

「アフリカでは大豆やパームオイルは食料の安全保障のため、需要が増えているから増産しないといけない」。そう言われるが、命の糧である食べ物と産業発展、経済成長のための原材料、商品作物の「コモディティ」とは違う。大豆を例にあげると分かりやすい。日本ですら大半の大豆の加工の結果は納豆、しょうゆ、みそではない。潰して油や粕にして色々な食品の加工食品の原材料となる。
日本が油を輸入するようになった経緯。明治150年の近代化が始まった時から。食べ物のためではなく畑の肥料として、満州から大豆粕を輸入した。輸入した大豆を海辺で、大きな工場で搾って油と粕にした。その後財閥も加わり製油産業が始まって今日に至る。1970年代にブラジルに進出。ブラジルに日本の商社が投資した。食料安全保障のためという話もあったが、本当に食料のためだけなのか。主なプレイヤーとしての総合商社は昔から今も食料システムに大きな役割を果たしているが、それぞれ戦略がある。基本的に一昔前は海外から日本に食料を輸入していた。今は北南米から原材料を得て中国やアジアの企業に輸出する三カ国貿易で儲けている。アジア一のアグリビジネスになる戦略である。出ていく先は、中国、アジアが多いが、世界全体、アフリカにも日本の企業が出ている。

以上から言いたいことは、日本の企業がアフリカやブラジルに進出している背景である。供給側、輸出する側に投資すると共に同じ企業が中国の需要側、食品産業に投資している。中国の食品家畜産業に投資して需要を増やしているのである。つまり、日系商社は供給側と需要側に投資してビジネスチャンスを増やしている。商社を紹介したが、日本の大手企業についても、扱うものは違っても同じことをしている。企業側が油の需要を増やしているのである。そのための市場開拓は当然の動き。日本政府もこれをバックアップしている。

食料システムだけでない。グローバルフードバリューチェーン。日本の食産業が海外で構築するのを日本政府が推している。生産現場は、インドネシアであり、森が焼かれ油ヤシ農園になっていっている。ブラジルで森が燃えているように、生産現場は大変な事態に陥っている。同時に、「もっと油をもっと肉を」とのキャンペーンは続いている。例えば、インスタントラーメンが世界を繋ぐ。インスタントラーメンは小麦粉と油からできている。そして、日本のから揚げが世界を変える。極め付けはエコ(環境保全)のためにパームオイルを燃やして電気を起こそうという計画が進んでいること。

まとめに入る。考えてほしい。何のために更に大豆、パーム油を増産させようとするのか。大豆の大規模生産は100年前の満州から戦後アメリカに、70年代ブラジルに移った。大豆はアジアの伝統的な食べ物から多種多様な工業原材料となった。戦時中、大豆は重要な軍事物資、工業の原料であった。このような増産を推進しているのは大手の産業・企業である。大豆の生産、輸出拡大は食料確保のためではない。結局は近代化のためであった。

日本では広まっていないが、食をめぐる社会科学の研究が英語圏で進んでいる。私たちは、好き嫌いにかかわらず資本主義経済のシステムの中で生きている。食料は農業だけで終らない。農場を出た後の産業が絡む。産業発展を目指す世界に暮らしている。最後にパームオイル、大豆の増産が必要と言われている点について触れたい。生産現場で何が起こっているのかを知り、なぜ必要なのかを考える必要がある。いつも「日本の食料安全保障(Food Security)のため」と言われるが、本当に私たちの胃袋を満たすためなのか。あるいは、関連産業発展の原材料としての商品作物(コモディティ)としての生産なのか。「Secure(保障)」は、誰の何のためのものなのか。企業が悪というよりは、利潤を追求する組織として存在する現実がある。現在の経済システムは経済成長を求めている。これに、良い悪いとは無関係に食べ物も組み込まれている。人間の本能が、「リッチになれば肉や油を食べたくなる」という話ではない。経済成長したら肉の需要が増えるという単純な話ではなく、資本主義という食料システムに注目してほしい。この食料システムの中で、地域の生産現場が壊れていっている。政府も企業にも私たちの税金が使われている点を忘れないようにしたい。

3)報告2 油ヤシ・プランテーションで起きていること
■エマニュエル・エロング
本日は土地収奪とコミュニティの権利の侵害についてお話しする。大規模プランテーションによりアフリカで引き起こされている問題。始めに出身国のカメルーンについて話す。カメルーンでは、人口の6割が農村部に暮らす。ほとんどの農業は伝統的手法で営まれてきた。このようなアフリカの農村の人たちが、大規模外資系企業の進める大規模パームオイルプランテーションによって、脅威に曝されている。

2008年から、投資家やアグリビジネスのカメルーンへの流入が急激に増えた。人々は先祖代々受け継いだ土地から追い出されれるようになった。墓地、学校が破壊され、冒涜された。補償も事前協議もない。企業によるヤシの木は我々の自宅の2メートル先に植え付けられた。一方で、我々はプランテーションの近くにトイレを作ることも禁じられている。こちらの写真が私の村。教会も外資系企業に破壊された。お墓もプランテーションの敷地内に置かれることになった。これが我々の村が直面する問題である。プランテーションの近くに家屋がある。家屋のギリギリまで木がプランテーションで植えられている。こちらの写真が私の畑。キャッサバを植えている。もう一つ畑でのヤム芋を植えている。しかし、プランテーションが土地を奪ったため、土地が足りない状態が生まれている。土地が足りないからプランテーションの近くの土地を利用しなければならない。

このように、コミュニティの権利が尊重されていない状態が生まれている。農村地域の住民たちは自分たちの家族を養うために十分な農地が確保できなくなってしまった。生物多様性も失われた。狩猟用の動物や魚も減少。使っていた川の水も化学物質で汚染されてしまった。また工場からの排水でも汚染が起きている。昔は十分に食べて売ることができる農作物があったのに、今はない。何千ヘクタールもの森が伐採され、森の人々の暮らしも失われた。

2000年に政府がボレロと言う会社に土地の使用権を渡した。なんと、7万8千566ヘクタールもの面積の土地である。これに対して、我々は闘った。その結果、2005年、ボレロ社は、コミュニティに2万ヘクタールの土地を返す約束をした。それにもかかわらず、現在もこの土地を賃貸料すら払わずに使い続けている。私は1,150人が参加するコミュニティ組織のリーダーとして、この土地を取り戻す活動を進めている。まず、165ヘクタールを我々のコミュニティのために取り戻す活動をしている。この写真は我々の闘いの状況を示している。ボレロ社に対する抗議活動の様子。

抵抗はカメルーンだけではない。ガボン、シエラレオネでも行なわれている。我々は、西・中央アフリカの被害を受けるコミュニティの組織化と連携を進め、informal allianceという団体を形成している。これが地域のネットワークとして、抗議活動をサポートしている。この抵抗活動を始めることで、アフリカでのパームヤシ・プランテーションの拡張に歯止めをかけている。パーム・プランテーションにより被害を受けている住民は、毎日抗議活動をして権利を守り、要求を届けようと努力している。これは、その声を届けるためのデモンストレーションの様子。あるいは、バリケードの設置して企業の活動を妨害している。

政府(行政)が監視役を果たしていないことが問題である。これに対しても抗議を続けている。カメルーン政府に対して、コミュニティは会社の監視役を果たすように促しているが、これは果たされていない。この写真はボレロ社が雇っている警備員で、武器も持っている。この男女は連行され刑務所に入れられた。コミュニティと警備員との闘いが続いている。プランテーションの作物を盗んだとして精神的、肉体的に暴力が加えられているが、実際は、家族を養うためにプランテーションの隣の土地で自分の油ヤシを育て収穫しただけだった。

企業側と契約を交わしたとしても、契約内容が守られない現実がある。政府は我々のコミュニティを守るべき立場だがやってくれていない。だから、住民自身が抵抗に立上がっている。そのおかげでプランテーションの拡張に歯止めをかけている。カメルーンだけでなく他の国の住民や、さきほど紹介したinformal allianceという団体と協力している。

このような国境を超えた抵抗運動の結果として、アフリカの120万ヘクタールに上るオイルパームのプランテーション事業は失敗し、放棄されている。オイルパームの作付面積は46万3千ヘクタールに上るが、土地使用権面積全体の17%に留まっている。他に、ゴムやその他の作物のプランテーションも問題となっており、5万5千ヘクタールに作付されている。過去10年間で作付された面積は22万608ヘクタールに上る。

こちらはシエラレオネのコミュニティ。住民が土地を戻してほしいと要求している活動の模様。informal allianceの活動の一環である。こちらもalliance所属の他の団体の活動。家族の為に土地を返してほしいと訴えている。このように、国境を越えたネットワークで協力を通じて、我々は抵抗を続けている。

次にガボンの事例には、日本企業が関わっている。三菱商事は日本企業であるが、ガボンでオイルパーム・プランテーション拡大を進めるオラム社の20%の株を持つ。2015年、シンガポールで110億ドルを投じて取得したものである。オラム社のプランテーションはアフリカで加速的に拡大している。取得された土地の17万4千ヘクタールの内すでに7万1,500ヘクタールにオイルパームが作付されている。これは、アフリカの全ての大規模オイルパーム・プランテーションの15%に相当する。そのすべてがトップダウン事業となっている。ガボン政府との共同事業であるにもかかわらず、土地紛争、労働問題、環境問題が起き続けている。ガボンのオイルパーム・プランテーションでは、環境が破壊されている。沼は汚染されている。プランテーションの警備員が武器を持っているため、住民に対する弾圧が起きる。武器を持つ警備員に住民が抵抗するのは大変難しい。それでも、コミュニティは組織化を始めている。女性たちも自治の権利を護るため活動をしている。これは、土地収奪とコミュニティ権利侵害の状況の写真。このような写真を見れば何が起きているのかがわかる。


3)報告3 アフリカで大豆生産?
■ボア・モンジャーネ
鍵となる作物としての大豆の生産がモザンビークで進んでいることから話を始める。日本政府と企業が、この点で重要な役割を果たしていることについて。これらのアクターがモザンビーク政府に、モザンビーク国内で大豆生産を広めることに働きかけていることついてお話しする。この写真をよく見てほしい。その背景から話す。

アフリカの多くの国と同様、モザンビークは農業国である。人口の大部分は小農であり、生きていく糧として土地を頼りにしている。土地と生活は密接に結びつき、小農にとって土地は必要不可欠なものであえる。皆さんにとって家や家屋、仕事が不可欠なように。モザンビーク政府は、これまでの伝統的な農業生産を工業的な農業に変換しようとしている。食料生産より換金作物を優先している。こうした背景の中で、大豆の生産が推し進められている。モザンビーク政府は、日本政府の他、世界銀行、アフリカ開発銀行などの国際機関と組んでいる。彼らはTICADのパートナ機関でもある。

我々の政府の考え方の前提に、モザンビークの小農による農業は遅れており日本のように近代化しなくてはならない。農業を大規模な換金作物を中心とした農業に代えないといけないとの考えがある。その結果として、大豆ラッシュが起きている。モザンビークの換金作物は伝統的に綿花、カシューナッツであった。大豆は最近導入が始まった。なぜか。まず、世界的に大豆の消費量が増えていることがあげられる。それを受けて、モザンビークでの大豆生産が拡大している。

南部アフリカに行ったことある方。モザンビークに行ったことがある方。ぜひ後の議論に参加下さい。

次に、特定の農業プログラムについて話す。モザンビークで大豆生産が拡大している背景の一つに欠かせないプログラムであるプロサバンナ事業について話す。これは、2009年から始められた事業。日本のイニシアティブにより始められた。日本のアイディアは、ブラジルと一緒にパートナ―を組み、過去ブラジルのセラードで行われたプロデセール(PRODECER:日伯セラード農業開発協力)という似た事業をモザンビークに持ち込むことにあった。プロサバンナはナカラ回廊、人口密度が高い地域で実施が予定されていた。この地域は、モザンビークの中で最も人口が集中しており、生物多様性が豊かで、水源も豊富、そのために小農がたくさん暮らす地域で、たくさんの農業生産がおこなわれていた。なぜこの地域に、プロサバンナ事業が導入されることになったのか。土地が肥沃であり、このスライドを見たら分かるように、地理的にも地政学的にみても戦略的な地域だからである。次のスライドに詳しいが、ここにナカラ経済回廊があり、この回廊を辿っていくとずっと東側に海と港がある。ナカラ港は大きな船が入港でき、輸出できるという地理的条件が揃っていた。つまり、プロサバンナ事業は、この内陸部地域の消費を目的として始まったものではなかった。我々が2011年に調査したところによると、この地域には400万人が住んでいて、大半が依然として小農だった。

このスライドに目を向けてほしい。左が、先ほど話したブラジルのプロセデールの前と結果。右がモザンビーク。双方の下に、大豆の大きなプランテーションの写真。ナカラ経済回廊開発によって、モザンビークの土地を、大きなプランテーションにと形を変えていくというビジョンである。「これこそが『開発だ』」、と。

この写真はジャーナリスト・チームによってドローンで2016年に撮影されたもの。現在のモザンビークの二つの現実を表している。小農による農業と工業的な大規模農業との相克を表した写真といえる。これが撮影されたのは、ザンベジア州のグルエ地区であり、プロサバンナ事業の対象地の一つである。左側は小農から土地が取り上げられ大規模な大豆生産がおこなわれている様子。真ん中の四角い施設は企業のもの。右側は小農が営む畑。彼らは立ち退きに抗ってきた。左側はプロサバンナ。ナカラ回廊全体を左側の風景に代えていく。右側は地域の自然が残っていることが分かる。全てコミュニティや自然が破壊され、一律の大豆プランテーションに変わりつつある。問題は大豆だけではない。また、先ほどプロサバンナといったが、ナカラ経済回廊計画のことで、鉄道を使った物流が重要視されている包括的な事業。化学工業事業なども対象である。そして、これには天然ガスの採掘も含まれている。モザンビーク北部には、世界最大規模の埋蔵量の天然ガスが眠っており、現在大規模な天然ガス油田開発が進められている。その結果として、コミュニティの中で様々な暴力行為、武力衝突が生じている。この地域はプロサバンナ事業の対象地とも近い点に注目したい。武力衝突は、天然ガスが採掘されている地域で起っており、この影響はプロサバンナの対象地域にも広がり、小農にも影響が生じると考えられる。

このスライドはJICAの農業開発セミナーで使われたスライド。JICAが言うのは、大豆を加工することで様々な商品が作れるということ。そして、消費する市場は日本である。

TICAD(アフリカ開発会議)というプラットフォームは日本が、アフリカ政府に対してロビー活動を行うために使っているものである。日本のビジョンをアフリカで展開させるためである。これは今朝撮った写真。JICAによるセッションでハイレベルな政府関係者、大臣などが集まっていた。(JICAの)SHEP(市場志向型農業振興)というプログラムをアフリカ中で始めるための集まりであった。彼らによると、このプログラムを通して小農がよりビジネス志向を持った農業を展開する等々、プロサバンナが示してきたものと同じである。つまり、TICADというプラットフォームは、「遅れたアフリカ」に対して、日本が自身のビジョンを展開するために使っているものといえる。ここら辺の話は、プロサバンナの事業対象地に暮らす小農のリーダー、コスタ氏に話を聞いてほしい。プロサバンナ事業や大規模農業開発事業によって、何が起きているのかについて。

■コスタ・エステバオン
私は、モザンビークのナンプラー州農民連合の代表です。今日は、一小農として、モザンビーク北部で起きている土地をめぐる問題についてお話しする。我々が目撃してきたのは、2009年、2010年頃から、モザンビークの土地に投資にくる投資家が増えていったことである。土地への投資家の到来は大きな問題を生じさせている。特に、小農の間に懸念が広がってきた。私の仲間(モンジャーネ氏)が述べたように、モザンビークの人口の7割を小農が占める。我々にとって、農業は生活の糧であり、土地は命、祖国であり未来である。

それにもかかわらず、我々の政府が様々な国際フォーラムで言ってきたのは、たくさんの土地が余っている、未耕作地なので投資してほしいということであった。しかし、実際は、余っている土地などは存在しない。我々は土地が足りず、モザンビーク人同士の間でも土地紛争があるくらいの状態である。

現在、モザンビークの全ての地区やコミュニティで、土地をめぐる衝突がある。アグリビジネスの到来により起っている。このようなことを招いた我々自身の政府によって我々は苦しめられている。と同時に、日本政府のプロサバンナ事業への関与によっても苦しめられている。モザンビークの人々は土地へのアクセスに苦しんでいた。日本がプロサバンナ事業を通じて大規模な地域で事業を推進しようとしている。しかし、この事業を展開できるだけの土地はどこにあるのか。先ほど述べたように、すでにコミュニティ内で土地紛争が生じている。そんな中で、このような大規模農業事業を実施したときにどんな問題が生じるか。

リバウエ郡ナキトでは、JICAは、あるMr.ルイというビジネス事業主に対して一千万円の融資をプロサバンナ事業のクイック・インパクト・プロジェクトの一環として実施している。このMr.ルイによって住民は土地を取り上げられ、昼夜を問わず苦しんでいる。我々ナンプーラ州農民連合としては、このケースにずっと関わってきた。このMr.ルイには2800ヘクタールの土地が(政府から)与えられている。コミュニティの人々はこの内50%の土地を取り戻そうとしている。が、政府は今まで何もしてくれていない状態にある。

我々の土地法では、土地は小農に属している。我々は日本の政府に訴えるだけでなく、モザンビークの政府に対しても訴えてきた。プロサバンナ事業を実施しないでくれと。しかし、モザンビーク政府は、我々の土地に関する法律を変えようとしている。小農からの土地収奪は法的には違法だが、違法でなくするために法律を変えようとしている。

以前にも言ったが、農業は生存のために不可欠なもので生活の全て。プロサバンナ事業が進められると、多くの小農は生きるすべを無くす。生きていくこともできず、子供たちを養えなくなる。深刻な問題である。

4)フリーディスカッション
■渡辺直子(司会)
エマニュエル氏、ボア氏、コスタ氏からパワフルな現場からの報告だった。平賀氏と、浜田氏の導入と併せて私たちのつながりを現場と合わせて考える機会となった。質疑の時間をとる前に海田氏からコメント。

■海田裕子(コメント)
WE21の活動は、世界の資源の80%を、20%の国々が利用していることと、日本の中で大量消費大量廃棄する資源循環の仕組みに疑問視して始まった活動。20年経ったが構図は変わっていない。活動を続ける中で、寄付していただいたものを販売し、収益を海外支援に充てている。活動を通じて学んだことは、世界中で同じことが起きているということ。土地収奪、開発や発展の言葉の下で、現地の人々が普通に生活すること、文化や生まれ育った土地を大切にすることが蔑にされることを実感した。特に、フィリピン、タイ、カンボジアで実感してきた。同じことがアフリカでも起こっている。我々はそういう方たちを大切にすることが日本の我々の生活を変えていくことに繋がると信じて活動している。一番言いたいことは、支援を続ける中でJICAや政府の草の根の支援事業に助成をいただいていている。そういった事業があるが、現地の声があっても無視した援助もある。このような援助を続けるのではなく、草の根の支援に力を入れていただきたいということを、日本の皆さんを通じてお伝えしたい。これからも、私たちの問題として、アフリカの方々と活動を続けていきたい。

■渡辺直子(司会)
質問があればお願いします。

■質問者
企業側にも立たず、どちらのサイドにも立たない中立な疑問。エマニュエル氏に聞きたい。どういう環境になったら一番、ベストな状況か。

■エマニュエル・エロング
コミュニティと協議の場を持ってほしい。企業とコミュニティの間で。企業側はコミュニティのことを考えず、政府とだけ話をしている。
(再質問に対し)企業側は、コミュニティの社会生活を実現するためのコミュニティへの投資をせず自らの活動における利益だけを追求した。だから、企業側は住民と協議する必要がある。我々の要求を踏まえて投資をしてほしい。

■質問者
TICADを主導する日本政府、日本国民に一番求めることは。

■コスタ・エステバオン
私個人からというより、プロサバンナ事業に影響を受けている小農を代表して答える。私が日本政府に対して求めるのはプロサバンナ事業を停止すること。実施局面に駒を進めないこと。モザンビークの伝統と文化を尊重してほしいということ。プロサバンナ事業のために余っている土地はない。土地はモザンビーク小農のものであり、モザンビーク小農によって耕されなければならない。JICAや日本政府がモザンビーク小農を支援したいのなら、プロサバンナ事業を通してではなく、小農に直接支援を。

■エマニュエル・エロング
ガボンについては三菱商社が投資。ガボンの人々は、日本政府に対してコミュニティと協議の場をもつことを求めている。彼らは我々の土地を取り上げ、コミュニティの権利は認めず、我々の畑農業ができなくなった。ガボンは小さな国だが森林が多くある。開発は必要だが、今行われている開発ではない。日本政府はガボン政府と話しつつ、コミュニティの代表を含めた三者協議をしてほしい。今現在のプロジェクトを、我々は望んでいない開発。

■ボア・モンジャーネ
もう少しストレートな質問をしたい。みなさんにお聞きしたい。民間企業に務めている方もいるだろうが、帝国主義の歴史的背景をもった先進国が元植民地支配下にあった途上国に関与する方法として、真にフィランソロピーの観点を重視したアプローチはありえるか、という点である。私は開発学を歴史構造的に学んできたが、先進国が公正なる形で途上国と本当に関われるのかというと、そうでないと思う。だから言いたい。日本はアフリカを放っておいてほしい、と。日本がやるべきは、人と人の協力が中心にある国際協力である。しかし、日本政府は企業を送り込んでいる。

エマニュエル氏はオイルパームのプランテーションで起きていることを話してくれたた。日本の皆さんがパーム油を消費しているということは人々の血で染められたものを消費しているということ。日本の皆さんにお願いしたいのは、日本は様々な一次産品や原材料を搾取しているという点にもっと意識を持ってほしいということ。

■渡辺直子(司会)
ありがとうございます。最後に、先程何度も、どういう生活を望むのかとエマニュエル氏に聞いても、「対話を」と返ってきていた。なぜか。例えば、昨年11月に来たときにコスタ氏が言ったのは、我々は利益の話をしたいのではない、尊厳と主権と権利の話をしたい。昨日ボア氏も同様に、未来は利益を追求することに基づいて話すのではなく、ヒューマニティ(人間性)に基づいて話すことだと言っていた。対等な関係で未来を考えるべきだと訴えたことが多くあった。今後とも一緒に関わって考えていきたい。

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MozambiqueKaihatsu

Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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