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【議事録5】9/4院内集会(日本の開発援助とアフリカ小農)(池上甲一名誉教授「世界潮流報告」)

以下イベントの議事録の続きです。

冒頭の日本のNGOのプレゼンについてはこちら→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-413.html
以下のイベントの議事録の続きです。

日本のNGOのプレゼンはこちら→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-413.html
モザンビーク小農と市民社会代表のプレゼンはこちら→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-414.html
外務省・JICAと登壇者との公開ディスカッションはこちら→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-415.html
参加者とJICAとの公開ディスカッションはこちら→http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-416.html

(院内集会)
国連「小農権利宣言」「家族農業10年」を受けて考える日本の開発援助とアフリカ小農
〜モザンビーク、プロサバンナの事例から 議事録


1. 日時 令和1年9月4日(水曜日)15:34〜18:30
2. 場所 参議院議員会館 会議室101
案内→https://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2019/09/20190904-peasant.html
当日動画→https://www.youtube.com/watch?v=UqO0s9QH2zY&feature=youtu.be

【5】現状報告「ディスカッションを踏まえた世界潮流報告」池上甲一(近畿大学名誉教授)

司会: 決して満足いく答えが出たわけではない。この事業はこれで終わるわけでは決してないと思う。おそらく進んでいくので進んでいかないようにしなくてはいけない。

先ほど意見交換した後にボアさんはなかなか息の長い長期的な戦いになりそうだとつぶやいていた。本当にこの大きな、国をあげての開発だが、農民にとってみたら暴力に近い行為に対して私たちもどうすればいいか、そういう時に来ていると思う。

池上先生が現地調査をしてきているので、どういう観点でこの問題を見ていけばいいのか、特に農という観点で話を伺いたい。それをヒントにしながら今後私たちは何ができるか、何をしていけばいいか、そのあたりをコスタさんやボアさんを含めて一緒に考える。そういう時間にできればいいと思う。

もう抵抗を続けて10年、非常に大事な時期に来ていると思う。少なくとも、今日意見交換会をして、コンセンサスを取るまではやりません、ちゃんと取りますということを明言しているから、それをまた一つのフックにする。やはり事がおこってからでは遅い。今、予防という観点でどうこの問題を考えていくかという、そういう時期に来ている。


(UPLAN動画2:25:56)
当日配布資料>http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-411.html

池上:今日は直接プロサバンナに関わる話ではなく、全体的な、世界から見た時の小農、家族農業をめぐる議論という観点からの報告になる。今年の5月にローマで国連家族農業の10年の立ち上げイベントがあった。

その時に集まった人たちと話をしている中で、プロサバンナの話をすると、まだやっているのというような反応がかなり多かった。そういう舞台ではああいう問題のある事業はほとんど終わったんではないかと。実際ブラジルもほとんど手を引いているような状況なので。そういう理解を示す背景の一つとして、かつてJICAがセラードで進めてきたような大規模開発がモザンビークで始まった時に最初に考えていた大規模農業開発というのはもはやだめだという認識をかなりの人が持つようになってきている。そのことが影響してきていると思う。

小農や家族農業をめぐる、国際的な研究の潮流について。一応FAOとか国連の話もするが、研究の話がメインになる。ところが、残念なことに日本では家族農業の10年はさておき、小農の権利宣言についてはほとんど拒否、あるいは無視という状況になっている。

小農や家族農業への注目について
・ヨーロッパはかなり小農、家族農業への傾斜が典型的。
・EUで進めている共通農業政策(CAP)というのがある。CAPも小農を支援するという方向にかなり舵を切っており、予算の7割ぐらいはそちらに向かっている。
・フランスの新農業法。アグロエコロジーを中心にしていくということで、農業大国フランスでさえ、そちらに舵を切っている。
・2014年に開かれた家族農業年、今年から始まった家族農業の10年というのはFAOを中心にして進められている。
・昨年12月に採択された、小農の権利宣言、あるいはSDGs(永続可能な発展目標)。その中心的な役割を果たすのが小農、家族農業であると位置づけられている。
・こういう国際機関、あるいは、ヨーロッパを中心とする国々で小農や家族農業に舵を切る、重視する政策が行われているにも関わらず、日本では一部の人たちの主張にとどまっているのが残念ながら現状。

小農、家族農業がなぜ注目されるようになったか
・今進められているプロサバンナの内容は、大きな農業機械や、多投入—化学肥料や農薬をたくさん使うー近代的農業への転換となっている。しかし、今の世界の動きはそういう転換ではなく、近代的農業からの転換が課題だという風になっている。
・そのきっかけになったのが2002年に世銀が始めたイニシアティブで2008年に出された報告書(IAASTD)『岐路に立つ農業』。小規模農業の方が非常に、生計向上と公正さの面では勝っていると書かれている。大規模農業、近代農業では生計向上しないということ、小規模農業は決して遅れた停滞的農業ではないということ、アグロエコロジーが成否のカギを握ると言っている。工業的農業が小規模農業に勝っているという理解は神話に過ぎないということが、2008年の段階で既に指摘されている。
そういう流れを踏まえて国際家族農業年や家族農業の10年が始まった。

国際家族農業年と家族農業の10年
・結論として、家族農業の10年では多国籍アグリビジネス主導の現代食農システムに再考を迫るということと、家族農業は広い、先住民族や漁民、遊牧民などを含める、ということ。
・新自由主義的食農システムは環境収奪的だが、小農・家族農業は環境的にも社会的にも持続性が高い。

グローバル・アクション・プラン
・家族農業の10年では、7つを柱とするグローバル・アクション・プランというのがある。これから日本の文脈に合わせるような形で、ナショナルプランを作るということにもなっている。
・これは政府が作るわけではなく家族農業のプラットフォームが中心となって作る。すぐできるものではなく、長い時間をかけて作る。

小農と農村で働く人たちの国連権利宣言
・小農の国際的農民組合ネットワークであるビア・カンペシーナが原案を作って交渉して採択にこぎつけた。
・small farmer/small holderというような言葉ではなく、Peasantという用語をあえて使ったという点に注目したい。

日本政府の対応
・こういう動向の中で、日本政府は家族農業の10年について共同提案国になったが、小農権利宣言は棄権。外務省は小農権利宣言について「宣言なので我々に履行義務がない」と常々言っている。小農については、小農という言葉で話しかけるだけで拒否されてしまうという状況。
SDGSも義務があるわけではないがやっており、国連の加盟国である以上、少なくとも採択結果については対応を取る責任がある。
・家族農業については農水省のホームページにも、家族農業に関するページがある。しかし、私どもの考える家族農業ではなく、家族経営体という、お金に結び付くようなもの。
・なぜ日本政府がモザンビークにこだわり続けているかということの理由の一つとして、何年か前に安倍首相がモザンビークに行ってグローバル農業を作るということを言った。グローバル農業を作るということの裏返しとして、グローバル・フードバリューチェーンを作ってどんどん輸出する輸出志向型農業をやるということ。小規模農業、小農、家族経営、家族農業ではなくて輸出を目指すような大規模経営体を農業の中心にするという考え方。基本的な政策として輸出型大規模農業をやるという方針を持っている。

小農の権利宣言に対する意図的曲解とそれに基づく批判
・Peasantを貧農、隷属農、あるいは、南側の農民に矮小化しようとする見解があり、その典型的な人として、山下一仁という人がいる。この人は「社会的地位が低い下層階級の貧しい農民、特に中世封建時代または貧しい途上国にいる者」「ヨーロッパでは農奴、日本では戦前の貧しい小作農か水呑百姓」これがPeasantと言っている。ほかにも、兼業農家、農業生産法人、集落営農は小農ではないと言っている。決してそうではない。

小農研究の経緯と到達点
・小農研究はヨーロッパでは1970年代にミルクを道路にぶちまける抗議行動があり、そこから始まっている。1970年代には戦うヨーロッパ小農というものから開始している。
・反植民地主義的な活動とか、国家や資本では生み出せない、自治的な新しい農業のやり方、自分たちの生み出してきた農業のやり方、そういうものを作り出していく。その一つがアグロエコロジー。
・もちろん小農と言っても農作物売らないといけないので市場には関与する。投入は過剰に市場には依存しない。

小農・家族農業、企業的農業、資本主義的農業
小農や家族農業の一番大事なのは、地域社会・地域文化・地域環境・生態系というところをベースにしていること。

新しい小農研究
・小農の農業というのはいろんな価値を高めていき(Deepening)、新しい農の形を進めていく(Broading)、一番大事なのは地域にもう一度つく(Regrouding)。インプットのコストを下げている。家族農業が地域から逃れることはできないということが一番のポイント。

小農と資本主義・市場との関係
・今、日本で圧倒的に力を持っているのは、「新自由主義的資本主義」の市場である。これに対応するような産業的農業やフォーディズム農業がたくさん出ている。
・フェアトレードや地産地消に見られるような経済のやり方というのは、「徳の経済」に基づく資本主義というやり方。
・新自由主義的資本主義が非常に肥大しているところをどうやって変えていったら良いかというのがポイント。

日本政府のアフリカ農業理解
・プロサバンナの背後には、伝統的農業=小農農業は停滞的で遅れているとの思い込みがある。しかし、その代わりに導入されようとしているのは、永続可能とは言えない近代的農業へ転換するというアプローチ。伝統的農業に学ぼうという姿勢はほとんどない。
SDGsのもとになっている、2030アジェンダの転換アプローチとは方向が違う。


【6】オープンディスカッション

池上: 質問の前に、せっかくFAOからいらっしゃったので、家族農業の10年について補足をお願いしたい。

参加者:私が家族農業に関わったのは2004年。その時にローマに国際農業開発基金というのがあって、その基金は小規模農業(small holder farmers)を支援するということで、そこで仕事していた。
私の経験からすると、small holder farmersはいろんな課題があって、目的は貧困撲滅ということでやっていた。

貧困の対象は小規模農家で、彼らはほとんどは都市部ではなくて僻地にいるということで、どういう課題があるかというと、いろんなものへのアクセスが限られているということ。たとえば、情報がない、周りの状況が分からないとか、あるいはリソース、彼らは土地を借りてやっているので、土地を自由に使える自由がないとか。作ったものを売るマーケットがないとか。作っても物を運ぶことができないという課題がある。必ずしも小規模農家であること自体にハッピーではない人たちがたくさんいる。その人たちをどういう風に支援して、彼らがより豊かな生活を送れるかということを、主に目的として支援していた。今は、よりエコロジカルな形での農業支援ということで、大規模よりは小規模の人たちの人権、そういうものを尊重しながら支援している。

古沢: 今日典型的に出ていたと思うが、この前のTICADと同様。日本という国の在り方が課題を示している。つまり、アフリカにいかに巨大な投資をして、そこから経済を活性化し、巨大な富を得るという方向性。

モザンビークのプロサバンナは、これだけ投資してこれだけ儲かるという、まさに看板である。これをどう崩すかという点で大変なこと。経済全体の仕組みがそうなっているから。

一方で、実際には変わりつつある。お金を巨大投資して、巨大開発して、開発プログラムに、というやり方は20世紀の、過去のもの。余計な投資をしないで、これは適正技術、本当にその地域に合ったものをうまく利用して、余計なお金をかけないで、よりうまく回していく知恵が求められている。

ぜひ、プロサバンナは、根本的にパラダイムを変えていくような象徴的な例なので、ぜひ頑張ってやっていきたい。

司会: プロサバンナが止められなければ、SDGsの実現はない。コスタさんやボアさんも一言ずつ。

ボア: ここでは、プロサバンナとJICAの問題は、JICAの問題にとどまらず、さらに大きな枠組みの中での問題でもある。世界的に企業が食をグローバルに支配しようとする動きが生じている。だからJICAとの闘いにとどまらない。より大きな闘いである。グローバルな観点から捉える必要がある。

オルタナティブという言葉の使い方について問題がある。オルタナティブという言葉は主流派に対し、小さいものが闘っているという形で使われることがあるが、小農による農業はオルタナティブではない。小農による農業こそが世界の主流である。だから言葉はもっと賢く、適切に使わないといけない。

コスタ: 今日この場でJICAのみなさんが池上先生の話を聴く前に退出されたことが残念でなりません。私たちはこの課題への取り組みを今後も続けなくてはならない。日本とモザンビークの政府の取り組みに対し、家族農業を守っていく姿勢を貫いていきたいと思う。

池上: 勇気づけられるコメントばかりだった。小農の権利宣言というのは、私たちの権利アプローチです。小農を1つの社会グループとしてきちんと確定するという考え方。

私が申し上げたいのは、日本は人権アプローチ、権利アプローチについて非常に鈍感な国だということです。1950何年かに採択されている、ILO条約、2つほど、非常に重要なもの、未だに日本は準備が整わないということで批准していない。それくらい鈍い。そういう人権という面から見ても、その鈍さが、モザンビークでランドグラブ(土地収奪)は起こっているとは我々は認識していないというような言い訳になってしまう。だから人権アプローチや権利アプローチの重要性というのは、私たちの生活に直結していることだと思っている。改めて記憶しておくのも大事な活動の一つではないかと考えている。

渡辺: 農業の話で盛り上がっているところ、最初のトピックに引き戻すが、今日はどういうことが私たちの税金を使われて起きているかというのをつぶさに見ていただいた。

JICAは外務省とともに自分たちの文書にあることに基づいてこちらが質問をして事実確認をしているにもかかわらず、それと全く関係のない反論をしてくる。たとえばモザンビークの裁判で判決の出たこと、その対象がJICAがお金を出しているところにも関わらず、そういったことがないかのような反論をしてくる。

これが農民たちが日々直面している現実だということです。
農業のビジョン、土地のこと、タネのこと、それを語ることは非常に大事だが、その前に私たち日本の市民としてやらないといけないことがある。考えないといけないことがある、そういったことも今回ぜひ持ち帰っていただけるとありがたい。

今日もこれだけ事実を突き付けているにもかかわらず、事業を止める気配が全くない。私たち納税者として許していいのか。そういったことを今後も引き続き考えていければと思う。そして彼ら(現地の小農・市民社会組織)に連帯しつつ、私たち当事者の問題でもあるので、一緒に考えていければと思う。

司会: モザンビークから来てくださった方々に話聞くたびに、彼らは大きな状況の中で彼らはずっと闘ってくれていると思った時に、私たちは今転換点にあるので、この問題を許してしまうといけない。

篠原: 国民民主党衆議院議員の篠原孝です。
小農という話が出たが、朝日ジャーナルという週刊誌があったのをご存知ですか。そこに1982年、小農か大農かというので対談記事が載りまして、そこで私は小農が絶対いいとは言っていないが、小農を農林水産省は切り捨てて大農が良いというのは馬鹿にならないといとやりました。

池上先生の言われたように、日本は冷たいが、反骨精神にあふれた人たちがいまして、九州の人中心に小農学会というものがある。ご存じの方おられますか。私は学会のメンバーだが一度も忙しくて出席していないが、重要な会員の1人と思っている。

世界が小農宣言しているときに、家族農業が大事だと、協同組合が大事だと言っているときに、それらにすべてそっぽを向いているのが日本国政府。世界は日本の土地を大事にして、そこに合った農業をやるという日本型農業技術を欲しているはずだ。それを広げるのが日本の国際協力、JICAの目的だと思う。それをしていない。ぜひこれをモザンビークでも実現したい。

司会: ありがとうございました。改めてコスタさん、ボアさんに拍手して終わりたいと思う。
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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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