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河野大臣「決定」に反する現状への要請

河野太郎大臣「指示」に反する現状に対する要請
〜日本のODAによるモザンビーク・プロサバンナ事業〜


2018年6月22日

「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム(プロサバンナ事業)」は、その開始から現在に至るまで、地域住民の反対の対象となってきました。2011年に開始された同事業に対し、2012年10月にはモザンビーク最大の小農運動UNAC(全国農民連合)が抗議声明を発表、反対の立場を明らかにしました。そして2017年4月には、11名の地域住民が、日本側実施機関であるJICAに対し異議申立を提出するにいたりました。その一方で、同事業の抱える課題については外務省からも一定の理解が示され、2017年12月のODA政策協議会で「まさに協議をしているがゆえに、現状を見ていただくと何も進んでいないというのがここ一、二年の話だと思うのです」と述べられたとおり、事業(マスタープラン策定)は一時中断されていました 。

こうした中、本年3月1日、河野外務大臣に「相談した結果」および「大臣の判断」 として、「反対派を含む参加型意思決定ルールに基づく議論の実現」をプロサバンナ事業における今後の支援の条件とすることが、外務省国際協力局梨田和也局長の代理・牛尾滋審議官から、日本のNGOに伝えられました 。その直後の意見交換において、「反対派を含めた対話をする」という条件が整わないのであれば、「ゴーじゃないですよ」との確認がされています 。

しかし、3月下旬より、モザンビークでは、上記の大臣「指示」に反する行為が行われ、事業が「再開」されました。これに異議を唱える声が出されましたが、「再開」は強行され、これにJICAが資金援助をしていることも明らかになりました。具体的には、次の事態が生じています。
 
1. 3月下旬、JICAの資金援助で事業に関する会議が設定されようとしていたことが発覚、 「プロサバンナにNo! キャンペーン」から河野大臣宛に抗議の書状が提出された(3月23日)。
2. 同書状は、JICAの異議申立審査結果に対する申立人からの「意見書」が未だ提出されておらず、審査プロセスが終了していない事実が見過ごされていること、またプロサバンナ事業関係者が「再び市民社会に介入して」いることを指摘 。
3. その後も会合開催の強行が予想されたため、上記「キャンペーン」は、会合の主催者である農業食料安全保障大臣宛に4月3日付で書状を送り、同じ文面の声明が発表された 。
4. 並行して、日本の市民社会組織が、外務省との事実確認を開始、梨田局長に予定されていた会議の中止を申し入れ(3月22日~4月3日)。
5. しかし、4月4日に、会合がJICAの資金によって実施された。さらに、JICAの資金提供により5月末から8月までにマスタープラン策定作業が進められることが明らかになった(別添表)。
6. その後、4月4日会合の会議録に、「我々は前進しなければならない。私たちとして、みなに同じ考えを持ってもらうことはない。一部の人々は(プロサバンナの)前進を望まないかもしれないが、私たちは前に進まなくてはならない」と書かれていることが確認された 。

これに対し、外務省は、4月4日の会合が「賛成派反対派双方が参加の意向を示されて、現に参加された」と主張し、その根拠として主として次の三点をあげています 。(1) 招待状への「キャンペーン」参加団体からの受領印、(2)「反対派」からも参加、(3)当初1時間の予定が1.5時間となった 。しかし、(1)の受領印は、現地の慣例に従い、書類を受領したことを示しただけのものであり、当然ながら会合の正当性を認めるものでも、参加の受諾をしめすものでもありません 。(2)は事実に反します。一方で、一人でも多い「反対派の関係者」の会合出席を確保しようと、様々な介入が行われたことが明らかになっています 。(3)については、会合の設定・実施プロセスの正当性(透明性・民主性・インクルーシブネス)とは無関係です。

4月4日の会合は、異議申立人や地域住民、あるいは「キャンペーン」関係者に一切の告知や事前相談なしに開催が決められました 。このことと上記の「事態」は、同会合の設定、準備過程と実施において、現地住民・市民社会組織が一貫して批判してきたプロサバンナ事業の不透明で非民主的な行動と、分断・介入および排他的な姿勢に改善がみられないことを明確に示しています。その結果として、8月までのプロセスが決められ、それに日本の税金が使われようとしており、大臣「指示」が反故にされていると言えます。

一方で、現地農民や農民・市民組織は、河野大臣「指示」が、日本政府がこうした住民不在の援助に終止符をうち、住民を開発主体と認め、かれらと真摯に向かい合い、対話し、ともにより良い農村の実現のために努力する意思を示したものであると考えていました。また、「キャンペーン」が、4月3日の声明で「モザンビークの小農による農業の課題と将来に関する、真に開かれた、民主的で、インクルーシブな対話に対し、意欲があり、開かれ、用意があることをここで再度宣言いたします」と述べているとおり、対話そのものを否定していませんでした。

その中でのこの度の事態は、かれらの期待を裏切り、これまでもたれてきた事業の性格への疑念を一層強め、信頼醸成の可能性を打ち砕くものでした 。

以上から、私たちは日本政府とODA執行機関であるJICAに対し、

1)大臣「指示」に立ち返ること
そのために、
2)現在進行させているプロセスを直ちに中止すること
3)この件にかんするJICAの資金拠出を凍結すること

に早急に取り組むことを求めます。

なお、上記異議申立に関する審査報告書は、「JICA 側の対応に一切の課題がなかったと判断するものではない」と総括しており、JICAに反省を迫っています 。それにもかかわらず、過去に批判を浴びてきたのと同様の手法が繰り返されていると現地からの抗議がある以上、再発防止策を明らかにすることが不可欠です。

現地の農民、農民組織、市民社会組織は「対話」自体を拒否しているわけではないことを踏まえ、まずは以上の3つのステップによって信頼を回復し、大臣「指示」が遵守される条件が確保されることを強く求めます。

(特定非営利活動法人) アフリカ日本協議会
(特定非営利活動法人)日本国際ボランティアセンター
モザンビーク開発を考える市民の会
ATTAC Japan
No! to landgrab, Japan
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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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