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【最終段階】JICA月報黒塗り問題、2年半に及んだ不服申立の最新「意見書」の公開

本日の最後に、2018年4月12日に提出された「意見書」の冒頭を共有します。
なお、このJICA文書公開をめぐっては、次ように膨大な時間が割かれており、すでに2年半が経過しているという状態にあります。また、この開示請求は、プロサバンナ事業に関心を寄せるNGOが共同で行っているもので、代表者として一名が情報開示請求をしてくれています。

2015年7月:月報 情報開示請求
2015年8月:補正
2015年10月:JICAによる開示(9割黒塗り)
2015年11月:不服申し立て
2016年3月:情報公開審査会から事案として受付・意見書提出要請
*JICAの「理由書説明書」添付
2016年3月:意見書提出
<<まったく音沙汰なし>>
2018年3月:情報公開審査会から下記の文書の同封・意見書提出要請
*JICAの「補充理由説明書」送付
2014年4月:「意見書」送付


【背景】JICA「月報」全黒塗り問題と情報公開審査会の厳しい答申(2015年9月)
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-326.html

【公開】JICA「月報」まっ黒塗り(所謂「ノリ弁」)の現物
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-327.html

以下にあるとおり、真っ黒塗りに近い状態のものが420枚の公文書の83%にのぼるほか、半分近くが黒塗りのものをあわせると93%が不開示状態にあるとのことで、情報公開の仕方としておかしいのではないかとの問題提起が、南スーダン自衛隊派遣日報を事例として比較検討されています。

この観点からも、いろいろな方に関心をもってみていただければと思います。

****
諮問事件:平成28年(独情)諮問第20号
「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定事業に係るコンサルタント業務従事月報等の一部開示決定」への不服申立(2015年11月)に関するJICA(独立行政法人 国際協力機構)による補充理由説明(2018年3月)
に対する意見書


2018年4月11日

1. 前提
a.公文書管理と情報公開法の運用のあり方に関する社会的注目の高まり
南スーダンに派遣された自衛隊による「日報」問題以来、公文書管理や情報公開法とその運用のあり方への社会的関心が高まってきていることは、これまで公文書管理・情報公開に関心を寄せ、開発援助文書の取り扱いの問題に取り組んできた立場から、大変歓迎されるべきことと考えております。

その観点から、2015年7月30日にJICAに対して開示請求を行い(補正8月11日)、同年11月10日に不服申立に至り、貴審査会において現在まで2年半にもわたってご検討いただき、この時期に最終段階に至った本不服申立は、重要な社会的役割を有するものと確信しています。

b.「補充理由説明書」に継続するJICAの情報公開法・制度への軽視姿勢
しかし、ご同封いただいたJICAによる「補充理由説明書」には、唯一の開発援助の一元的執行機関として、国民や納税者に説明責任を果たし、援助事業と機構の透明度を高めようという前向きな意欲が感じられず、むしろ不開示を徹底する意図で理由が加えられている点に(「補充理由説明書」4等)、驚きを禁じ得ませんでした。

また、後述するように(2.(2))、今回の「補充説明書」では、その法的根拠として記載されている法の項目が間違っている可能性があります。また、以前にJICA理事長から提供のあった二点の文書(「開示通知書」並びに「理由説明書」)の内容と一致しない記述が、今回の「説明書」でなされていると考えられます(2.(1)(2)で後述)。これらの指摘が妥当であれば、情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)を守るべき独立行政法人としての法制度への理解と敬意を欠いていると指摘せざるを得ません。

ご承知のとおり、本事件で扱われているJICAコンサルタント機関提出の月報(請求番号1511)では、全420枚中、添付資料約30枚と半分近くが黒塗りの表紙42枚を除く、およそ350枚がほぼ真っ黒に塗られる「ノリ弁」状態で開示されていました。すなわち、全公開文書の83%にのぼる文書がほぼ真っ黒塗りだったことになります。黒塗り文書は、半分近くが黒塗りされた表紙を含むと、全体の実に93%に及びます

この(不)開示の措置が、貴審査会による2015年9月9日の「答申」後に行われている点にも、JICAの姿勢に強い疑問を持たざるを得ません。これについては、2015年11月10日付の「不服申し立て書:(独立行政法人)国際協力機構(JICA)文書の情報開示再請求、不開示部分の開示要請」の1〜3頁に記した通りです。

c. 本意見書の位置づけ
本意見書は、上記「不服申し立て書」に代わるものではなく、今回の「補充理由書」を受けて、同書(申し立て書)に加える形で提出するものです。したがって、ご検討に際しては、両方の文書を前提としていただきますようお願いいたします。

なお、同封いただきました「補充理由説明書」と過去の「通知書」、「理由書」、そして、開示文書一式(420枚)を一点ずつ照らし合わせましたが、この新たな判断をもってしても、上記の「ノリ弁」文書の多くが不開示のまま据え置かれることをJICAが主張していることが分かりました。とくに、今回情報開示請求を行った「コンサルタント業務従事月報」が月報と呼ばれるには不可欠な情報である業務概要、業務内容、現地調査進捗状況が、依然としてほとんど不開示のままであるばかりか、不開示理由を追加するなどされています(後述)。

以上から、大変残念ながら、JICAが情報公開法の趣旨を正しく理解し、過去に貴審査会からの答申で指摘されてきたことを十分理解し、昨今の公文書の適正管理と行政の透明性を求める国民からの声に真摯に向き合い、それを反映させる形で情報開示業務に当たっているとは考え難い状態が継続していると考えます。

また、2015年11月の「不服申し立て書」で指摘した不開示決定やその法的根拠の問題については、今回の「補充理由説明書」を受けた現在でも、妥当性を有すると考えるため、必ず「不服申し立て書」をご参照いただくよう改めてお願いします。

以上を踏まえ、2. 以降に具体的な問題点を示します。

d. 参考資料:南スーダン日報の開示状況
本状では、上記の「不服申し立て書」、JICAによる今回の「補充理由書」のほかに、以下の文書を前提に作成されています。

① 2015年10月9日にJICA理事長名で送られてきた「法人文書開示決定通知書」(JICA(RD)第10-09004号)
*とりわけ、別紙2の「不開示決定内容一覧」
② 2016年3月7日に貴審査会から送られてきたJICAによる「理由説明書」

また、月報の不開示部分の妥当性を検討するため、他の政府機関や法人の公開文書(月報や日報)を探していたところ、冒頭の南スーダンに派遣された自衛隊の日報がメディアによって公開されていたので、これを一部参考にいたしました。

Buzzfeed 2017年2月9日
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/south-sudan-nippo?utm_term=.tr9XApxVJq#.kh76B7E3Wg

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「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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