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【提出】JICA理事長宛「公開質問状」(州農務局長の発言)

日本のNGO5団体から下記の「公開質問状」がJICA理事長宛に提出されています。
大変懸念される状況が現地では続いているとのことで、心配です。
JICAには2月15日までの回答を要請しています。

ぜひご一読下さい。
また、「州農務局長」の位置づけが不明とのことだったので、有志で図を作りました。末尾をあわせてご確認下さい。

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2018年2月8日

独立行政法人 国際協力機構(JICA)
理事長 北岡伸一様

cc. 外務省国際協力局
局長 梨田 和也様

公開質問状
プロサバンナ事業の州農務局長の発言内容について


 平素より日本の市民・NGOによる政府開発援助事業へのモニタリングについて、ご理解とご協力をありがとうございます。

 昨年(2017年)10月24日〜25日にモザンビークの首都で、プロサバンナ事業対象郡の小農代表を含む200名近くの市民社会関係者が参加して開催された、第三回「3カ国民衆会議」(主催:プロサバンナにノー!キャンペーン)に、JICAモザンビーク事務所並びに在モザンビーク日本大使館からご臨席ならびにご発言いただきましたことにお礼申し上げます。

 本状では、この会議直後(11月上旬)に行われた記者会見で、ナンプーラ州農務局長ペドロ・ズクーラ(Pedro Dzucula)氏による発言が現地社会に不安を広げている点について指摘するとともに、その内容に懸念される点が多く含まれていることを受けて、事態の緊急性と深刻さに鑑み、公開にて質問いたします。なお、ズクーラ局長は、JICAの招聘により度々来日し 、プロサバンナ事業の推進において要となる役割を果たし 、昨年4月に住民11名がJICA環境社会配慮ガイドラインに基づき行った異議申立でも問題が指摘されていることはご承知のとおりかと存じます 。

 なお、昨年の記者会見時のズクーラ局長の発言については、昨年12月13日に開催された第2回ODA政策協議会 、ならびに3月1日に開催予定の同協議会に向けた議案書でも指摘と確認を要請しています 。本状は、事業の直接の運営主体かつ責任母体でもあるJICAに対して、事実確認のために具体的な回答を要請するものです。記者会見の録音記録によると「2月上旬」にマスタープランの見直しが完了するとのことで、大変恐縮ではありますが、質問部分について、2月15日(木)までのご回答を要請いたします。

 以下、質問いたしますので、ズクーラ局長記者会見の録音記録 をご確認の上でご回答下さい。

1. マスタープランの見直しプロセス
① 録音の「2月に終了予定のナンプーラ州市民社会プラットフォームなどによるマスタープラン見直し」と「終わり次第のプランの承認」ですが、農務局長の説明の真正性、および違っている点があれば何がどう違うのかを具体的に示して下さい。

② また、今年度(2017年度)において現在(2月5日)までの期間に、PD(マスタープラン策定支援)事業で進められている活動を具体的に説明して下さい。なお、12月時点の外務省の説明では、「何も進んでいない」とのことでした 。

③ PD事業に異議を申立てた事業地の住民・小農運動などは、異議申立以降PD事業の実施・計画について何の説明も受けていないとのことです。一方で、JICA理事長宛の「異議申立に係る調査報告書」では、「透明性の欠如を埋める努力の推進」「参加型意思決定の手続き」などの提言がなされています(以下参照) 。この提言をJICAとしてすでに実行に移したのか、その場合何をどのように行ったのか、あるいはまだだとしたら、今後実行に移すのか、その場合の内容を具体的にご説明下さい。

(ア) 「主要なステークホルダーの一部がMCSCを通じた対話メカニズムに参加しない現状から、現時点ではこの枠組み自体が十分に機能していない」…「まずは、意見聴取の手続きが一方的であるとの印象をもたれないよう、農民代表も含めた利害関係者の間で、マスタープランの作成に至るまでの参加型意思決定の手続きルールについての共通理解を確認し…既存の農民組織の意向を十分に踏まえながら意見聴取を進めることが肝要である」(32−33頁)との前提が示された後、以下が提言されている。

A) 「情報不足・透明性の欠如を埋める努力の推進」:「申立人は、…こうした点を十分に考慮して、UPCなど現地農民を代表する組織のイニシアチブの下」…「JICAは働きかけを続けること」(33頁)。

B) 「参加型意思決定の手続きルールに基づく議論の促進」:…「申立人の声に深く配慮し、JICAは、モザンビーク政府が利害関係者間で合意できる参加型意思決定の手続ルールについて議論を深める過程を見届けること」(33頁)

④ また、ナンプーラ州の小農運動を含む異議を唱える人びとや市民社会組織の知らぬところで、マスタープランの見直しが進められているとすれば、国会における岸田文雄前外務大臣と田中明彦前JICA理事長の「丁寧な作業」「丁寧な対話」の約束に反すると考えます 。万一、この国会答弁が変わった理由があれば、何を・いつ・誰が・なぜ変えたのかご教示下さい。

2. 人権侵害について
① 「三カ国民衆会議」へのナンプーラ州からの参加者に対するズクーラ農務局長による下記の発言が事実かどうかについて、JICAとして録音を確認の上、ご回答下さい 。なお、同州からの会議参加者の全員がプロサバンナ対象郡の住民で自ら畑を耕す小農(主に女性)でした。

(ア) (首都に行った者は)「別の(政治的)動機」をもち、「別アジェンダ」のために動いている。彼らは開発否定者である。…プロサバンナを知りたくもなく、マスタープランを議論したくもない人達のこと。これらの人びとの大多数は生産者ではなく、畑ももっていないからだ。

② これまで、同局長によるプロサバンナ事業に異論を唱える人びとに対する言動については、JICA・外務省に対し、調査と人権救済、再発防止を繰り返し要請してきました 。しかし、新聞記事や逐語記録があるにもかかわらず、「事実が確認できない」などとされてきました。今回は発言の録音が公開されています。また、下記の2014年7月31日の録音も見つかったため 、これらの音源をJICAとして確認の上、どのような対応をしたのか(する予定か)をお教え下さい。

(ア) 「外国からの陰謀」(2014年8月26日、ノティシアス紙)、「野党の陰謀で、飢えさせて政権を倒すことが目的」(2014年7月31日、NGOによるインタビュー)。

③ 異議申立審査の「調査報告書」では、最後に次の提言がされています。理事長としてこれをどのように理解し、具体的にどのようなアクションをとった(とる予定)かお教え下さい。

(ア) 「モザンビーク政府による適切な取り組み」:JICAは、モザンビーク政府の行動が、申立人から「強権的」「人権侵害的」と受けとられることのないよう、慎重な配慮がなされるよう引き続き要請すること(34頁)。

 また、JICAの事業担当部署(アフリカ部・農村開発部)は、「環境社会配慮ガイドライン」を抄訳し、相手国政府の主要カウンターパートに周知していると主張しています 。しかし、このような言動が改められることなく繰り返されていることから、2010年に導入され、国際評価も高かった「環境社会配慮ガイドライン」の評価を下げる結果となっています。

 ご承知のとおり、昨年10月にナンプーラ市では野党系市長が暗殺され 、今年10月に地方都市選挙が予定される中、農村社会を巻き込んだ政治的暴力の可能性が指摘されており 、政府高官による上記の発言は、当事者の身を危険に曝すばかりか、地域社会の不安を掻立て、政治・社会状況に悪い影響を及ぼします。理事長のリーダーシップの下、早急なるご回答とご対応を求めます。

 別添として、昨年11月上旬の記者会見の録音の逐語仮訳を添付しまずが、貴機構として録音を直接ご確認の上、ご回答いただければ幸いです。

署名団体:
(特定非営利活動法人)アフリカ日本協議会、(特定非営利活動法人)日本国際ボランティアセンター、ATTAC JAPAN、No! to landgrab, Japan、モザンビーク開発を考える市民の会


(注)
1) 2015年8月にもプロサバンナ推進のためにJICAが招聘したモザンビーク食料安全保障農業省の政府派遣団の一員として来日。

2)Notícias (2014年8月26日) “Prosavana diz que vai avançar apesar da “propaganda falaciosa” que “vem da fora do país” 「プロサバンナは『外国からくる』『誤ったプロパガンダ』にかかわらず前進する」http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/20171112/20140826.pdf

3)プロサバンナ(マスタープラン策定支援プロジェクト)ProSAVANA-PDへの地域住民11名による異議申立書のJICAによる日本語訳(ただし正確ではない) https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/objection_170517.pdf

4)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/shimin/page22_000790.html

5)12月のODA政策協議会時の外務省からの提案に従い、この記者会見の録音を提供し、現在その確認がなされているところと承知している。

6)Press conference by Nampula DPA Director on ProSAVANA (November 2017)
https://www.youtube.com/watch?v=VWS_TW0ZKJY

7)外務省議事録 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000326817.pdf

8)JICA理事長宛「環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申し立てに係る調査報告書」(2017年11月1日)https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/report_171101.pdf

9)参議院決算委員会(2014年5月12日)http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/186/0015/18605120015007c.html
参議院決算委員会 (2015年4月20日)http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/189/0015/18904200015006a.html

10) Press conference by Nampula DPA Director on ProSAVANA (November 2017)
https://www.youtube.com/watch?v=VWS_TW0ZKJY

11)ナンプーラ州農民連合に対する度重なる電話など(第9回[2014年5月20日] http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/9kai_shiryo/ref9.pdf)。第13回「ProSAVANA事業に関する意見交換会」(2015年10月27日、12月8日)にあたって事前に次の文書を提出し、対応を要請した。 資料1-「プロサバンナ事業で招聘されたモザンビーク政府一行との面談」に関する日本の市民社会による記録・問題提起・要請 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/13kai_shiryo/ref1.pdfしかし、十分な回答が得られなかったため、第14回時(同年12月8日)に再度提出を行っている。
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/14kai_shiryo/ref5.pdf

12)この録音もすでに外務省に提供していますが、非公開のため、外務省国際協力局国別開発協力第3課からお取り寄せ下さい。

13)JICA事業部署の説明文(2017年7月)。 https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/material_170704_01.pdf

14)O País (2017年10月5日) “Murder of Nampula mayer represents a hard blow to the construction of a state of democratic rights” http://clubofmozambique.com/news/murder-of-nampula-mayor-represents-a-hard-blow-to-the-construction-of-a-state-of-democratic-rights/ また、ナンプーラ新市長を選出するための選挙においても混乱が続いており、国内外で懸念が広がっている。 http://clubofmozambique.com/news/nampula-election-catholic-church-protests-aim-report/
http://clubofmozambique.com/news/electoral-rolls-for-nampula-by-election-are-a-mess-centre-for-public-integrity/
http://clubofmozambique.com/news/mozambique-complaints-of-irregularities-at-the-nampula-by-election/  http://clubofmozambique.com/news/election-called-unacceptable-full-results-another-cne-error-by-joseph-hanlon/

15)http://clubofmozambique.com/news/council-of-religions-worried-about-conflicts-mozambique/ また、昨年11月から現在も続くナンプーラ新市長の選挙における上記の混乱(多くは与党と選挙管理委員会に関する問題)のほか、選挙キャンペーンの初日に暗殺された元市長と同じ野党(MDM)の支持者がポスターを貼っている最中に暗殺されるという事件も生じているとの報道がなされている。http://clubofmozambique.com/news/nampula-mdm-member-killed-on-first-day-of-election-campaigning

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「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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