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【要請】JICA環境社会配慮ガイドライン改定(プロサバンナに関する異議申立)



2017年8月28日に、JICA理事長宛(審査部、助言委員会コピー)で、NGO4団体から「JICA環境社会配慮ガイドライン改定に向けたレビュー調査に関する要請」が出されています。

http://www.ngo-jvc.net/20170912-environment-guideline.pdf

この要請の添付資料17が、プロサバンナ事業に関する事例を取り上げており、地域住民11名による異議申し立て審査の問題が、末尾に7点列挙されています。大変重要な指摘だと思うので、転載いたします。

【添付資料17】


該当事業4:モザンビーク共和国・ナカラ回廊農業開発マスタープラン支援プロジェクト/ProSAVANA-PD

異議申し立てを踏まえた論点




JICA環境社会配慮ガイドラインが開始して7年が経過しますが、現在までに6件しか異議申立が行われていない状態です。現地の住民や市民社会組織の支援を行ってきた経験を踏まえるならば、この数の少なさは、JICA事業に問題が少ないからではなく、住民や市民社会組織にとって、(1)本ガイドライン(異議申立制度を含む)の存在を知り、(2)その中身を理解し、(3)実際に手続きを行うことが極めて難しいという現実があるためといえます。今回「ガイドラインの運用・適用面」での議論がなされるにあたって、これらの点は大きな課題といえます。

このため、下記の申立人の要請にもあるように、「ガイドラインの運用・適応」に関する議論においては、(1)JICAの事業によって最も影響を受け、(2)実際にガイドラインの遵守・不遵守の判断を迫られ、(3)その運用の最大の行為である「異議申立」を行うことが想定されている地域住民こそが、この見直しプロセスの当事者として中心に据えられなければならないと考えております。これは、ガイドラインから7年の年月が経過し、これを積極的に活用しようとした人達が現れたからこそ得られた視点です。助言委員会として、見直しにあたっては、これらの人びとの声を中核に据えて実施していただけるようお願いいたします。

以上を受けて、この度、今年4月に対象地の住民11名によって異議申し立てが出され、本審査が進められている「ナカラ回廊農業開発マスタープラン支援プロジェクト(ProSAVANA-PD)」の申立人と代理人に面談し、どのような点で課題を感じ、検討をしてほしいかについてヒアリングを行いました(本年8月半ば)。

異議申立の進捗状況
https://www.jica.go.jp/environment/present_condition_moz01.html

異議申立書(和訳)
https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/objection_170517.pdf


下記に、その際の聞き取り内容をまとめました。

なお、下記の諸点は、代理人と審査役の面談(本年8月3日)時に、代理人が一部について問題提起し、審査役自らが制度改善に向けて取り組んでほしいとの要請を行いました。審査役からは、自らのマンデートの範囲を超えているため文書にして提出してほしい旨提案があったとのことです。これを受けて、代理人から問題提起の文書が、審査役事務局にすでに送られています。現在、この文書の審査役以外への共有が可能かどうか代理人・申立人に確認を行っています。しかし、時間が限られているため、上記の機会に聞き取った内容の中で、本件に相当するであろう点についてお伝えします。

異議申立人・代理人からの聞き取り結果(抜粋)

1. JICAガイドラインの理念に感銘を受けた。一方で、その適応・運用に大きな問題がある。

2. 例えば、私たちは、2014年から異議申し立てを行おうと考えたが、政治的プレッシャーばかりでなく、情報のアクセシビリティなどの様々な障害があり、それができなかった。しかし、JICAに要請文や声明を送り、事態の改善を働きかけてきた結果、事態は悪化の一途をたどったが、一方でガイドライン違反を明確に示すJICA文書のリーク・公開、契約事実が明らかになった。これを受けて、弁護士やモザンビーク・日本の市民社会のサポートを得て、今回の異議申し立てを行った。

3. 現在(8月18日時点)も審査が行われているところであるが、審査開始後も多くの課題・障害に直面している。これらの課題の原因としては、制度上の構造的問題が大きいと考える。また、ガイドラインの運用・適用にあたって、過去の経験を踏まえた改善が、十分に議論され、結果に反映されていないこともあげられる。

4. 以上から、今回の「見直し」は大変喜ばしいことと考える。

5. JICAガイドラインが、地域住民やその環境を守るためのものであることは重要である。私たちもその「見直し」に参加し、これに積極的に協力したい。

6. 代理人経由ですでに審査役に問題提起をしたことも含めて、以下に具体的に検討されるべき点を列挙する。(*他にも多数問題提起があるが、これらについては将来的に何らかの形で提出したい。)


① 問題が発生した事業を中断する方法(制度)の欠如

*ゼロオプションはあるが、中断はない。

② JICAガイドラインと異議申立手続き要綱のアクセシビリティ
* 被援助国の公用語版の欠如
* デジタルデバイド
* 説明会の要望に対する拒否

③ 審査役制度(審査役と審査役事務局)のJICAからの独立性の問題
* 「審査の独立」がJICAの「事業部署」に限られていること
* 審査を受ける側と実施する側が同じ「JICA組織の中」に置かれている以上、本来「独立」していない

④ パワーの非対称性を踏まえた審査の公正・公平性の問題
* ガバナンスの問題のある国でこそ事業に問題が発生しやすいことを踏まえたガイドライン・運用になっていないこと

⑤ 審査と「対話」が合体している問題
* 誰の何のための審査なのか?
* 「解決」を誰の何のためのものと設定するのか?
* この「解決」が新たなハラスメントになる(被害を生む)可能性についての理解はあるのか?

⑥ 審査(特に現地調査)の進行プロセスの不透明性
* 手続要綱に詳細がないことからくる混乱や不透明性
* 運用の恣意性の余地の問題

⑦ 事業(審査)対象の国・地域・社会・人びとへの理解の欠如からくる混乱・バイアス・(地域住民にとっての)不利な状況
* これを制度としてどのように改善可能か?
例)事業調印前の十分な状況把握・検討を不可欠とする仕組みの導入
例)審査役に地域事情に詳しい者を一名は加えること等



以上

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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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