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【公開書簡】モザンビーク23団体から3か国首脳への「プロサバンナ事業の緊急停止を求める公開書簡(2013年5月28日)」発表

モザンビークのプロサバンナ事業の対象地となっている北部地域の農民らが中心となって起草した「プロサバンナ事業の緊急停止を求める日本・ブラジル・モザンビークの3か国首脳への公開書簡」が5月28日に発表されました。

モザンビークの主要農民組織のほとんどすべて、北部地域の宗教や地域、市民社会組織の多く、宗教組織などの23団体が署名しています。国際署名もブラジル・日本を含め42団体が賛同署名中です。

すでにいくつか記事になっていますので、ぜひご一読ください。

**「公開書簡」の内外の記事一覧は次のサイトを。
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-28.html

■共同通信 記事(2013年5月29日、横浜)
「モザンビーク人農民らは農業事業の停止を呼びかける」

"Mozambican farmers call for halting agriculture project"
YOKOHAMA, May 29, Kyodo
→http://english.kyodonews.jp/news/2013/05/227493.html

■The Japan Times (2013年5月31日、再配信)
以上の記事が全文読めます。

→http://www.japantimes.co.jp/news/2013/05/31/national/mozambique-farmers-seek-halt-to-aid-project/#.UagW7tKpVSQ

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【原文ポルトガル語・日本語訳(2014年6月修正)】

モザンビーク共和国大統領 アルマンド・ゲブーザ閣下
ブラジル共和国大統領 ジルマ・ルセフ閣下
日本国総理大臣 安倍晋三閣下


プロサバンナ事業の緊急停止と再考を求める公開書簡


アルマンド・ゲブーザ大統領
ジルマ・ルセフ大統領
安倍晋三総理大臣

モザンビーク共和国政府は、ブラジル連邦共和国政府並びに日本国政府との協力の下、2011年4月にプロサバンナ事業を開始しました。当該事業は、三か国の政府による三角協力で、モザンビーク北部のナカラ回廊の熱帯サバンナにおける農業開発を促進するためのものであり、プロサバンナ事業の導入並びに実施の計画は、貧困との闘いを優先する必然性、そして我々の国の経済的・社会的・文化的発展の促進に向けた国民的及び人間的要求に根差したものとされています。

しかし、このような説明は、モザンビーク政府が、外国直接投資を誘引する政策を正当化する際、あるいは鉱物資源開発・天然ガス・モノカルチャー植林・一次産品生産のためのアグリビジネスの大きな投資事業を導入する際に、選択してきた主要な言説です。

我々農民男女、ナカラ回廊沿いのコミュニティに暮らす家族、モザンビークの宗教組織並びに市民社会組織は、貧困との闘い並びに主権や持続可能な発展促進の重要性と緊急性を認識し、プロサバンナ事業に関する我々の懸念と提案を表明するべき決定的な時機にあると確信しています。

プロサバンナ事業は、モザンビークの法律の基本的要件並びに原則の一つであるべき「環境インパクトアセスメント調査」を議論し承認することなく、そして実施することもないまま、すでに「クイック・インパクト・プロジェクト」の一部を通じて実施されています。「同アセスメント調査」では、本来、このような規模の事業の導入は、カテゴリーAと分類されるべきものです。

プロサバンナ事業の広がりと大きさは、憲法で我々に保障された情報・協議・参加へのアクセス権の行使という点において、法律を遵守しておらず、民主的で透明で幅広く深い公衆(農民男女、家族、民衆)との討論を欠いており、さらには我々の生活に直接影響を及ぼす社会・経済・環境上の諸権利に関わる事柄についてのインフォームドコンセントの不在に特徴づけられています。

我々は、2012年9月以来、モザンビーク社会の多様なセクターとともに、広範な討論と集会を実施して参りました。我々がアクセスできた複数の関連文書によると、プロサバンナ事業は、モザンビーク、ブラジル、日本政府による巨大事業で、ニアサ州・ナンプーラ州・ザンベジア州内19郡の1450万ヘクタールを対象とし、ナカラ回廊沿いの熱帯サバンナにおいて農業開発を行うためのものといいます。

我々は、この事業の対象郡においてコミュニティレベルでの討論を積み重ねる一方、モザンビーク政府、ブラジルと日本の外交上の代表者、両国政府の国際協力機関(ブラジル協力庁ABC、国際協力機構JICA)との議論を行ってきました。その結果、プロサバンナ事業では、ようやくアクセスできたごく限られた情報や文書にすら、深刻な情報の食い違いや内在的な矛盾があることに気づかされました。同様に、事業の設計上の欠陥が根拠をもって確認されるとともに、「協議、住民参加」と呼ばれるプロセスが不正に満ちていること、現在地域にあるコミュニティが土地収奪(ランド・グラビング)や強制的な立ち退きの脅威に晒されている実態も明らかになりました。

モザンビーク大統領閣下、ブラジル大統領閣下、日本国総理大臣閣下、国際協力は、より公正で連帯に基づく世界の形成を目的とし、人びとの利益や願望を下支えするものでなくてはなりません。しかしながら、プロサバンナ事業はこれらの原則に反しており、かつその実行者らは、この国の農業開発に直結する問いをオープンな形で議論しようという意欲をまったく、あるいはほとんど示してはおりません。

アルマンド・ゲブーザ大統領閣下、何百万人ものモザンビーク人男女とともに、閣下がその青年期の大部分を、植民地支配から人びととその土地を解放するために闘ってきたことを想い起こしたいと思います。その困難な時代から農民たちは大地にしっかり根差してモザンビーク国民のための食料を生産してきました。そして戦争で破壊された国を、公正と連帯に基づいて独立した社会へと転換するために尽力してきました。

ゲブーザ大統領閣下、モザンビーク人の8割は家族農業を生業としており、家族農業は食料生産の9割以上を担っています。プロサバンナ事業は、多国籍企業が地域に進出する上で最良の条件を整えるための道具となっています。そしてそれは、不可避的に家族農家の自律的営みを困難にし、小農の生産システムを壊し、土地なし家族を生み出し、食料安全保障を揺るがし、我々が国として独立したことの最大の成果を失ってしまうことにつながります。

ジルマ・ルセフ大統領閣下、モザンビークとブラジルの民衆の連帯は独立闘争の困難な時期に始まっており、それはモザンビークが経験した16年間の戦争とその後の再建期にわたっています。他ならぬジルマ大統領閣下自身が、ブラジルの軍事独裁による抑圧の犠牲者であり、自由の価値を御存知です。現在もブラジルで作られる3分の2の食料は、ブラジル政府がプロサバンナ事業によってモザンビークから食料を輸出しようとしている企業によってではなく、小農男女によってつくられています。

ジルマ・ルセフ大統領閣下、モザンビーク小農が支持し生産のインセンティブとする「モザンビーク食料取得計画(Programa de Aquisição de Alimentos de Moçambique)」を、ブラジル政府がないがしろにすることを正当化できるでしょうか。受け入れがたい結論ですが、プロサバンナ事業によって促進される全ての融資、物資、人的資源は、すべてアグリビジネスの発展のために注がれるのではありませんか。国民同士の連帯を促進しなければならないブラジル、モザンビーク、日本の国際協力が、不透明な商業的取引き促進の道具となり、モザンビーク国民の食料生産を担っているコミュニティの土地を奪うことを正当化できるのでしょうか。

安倍晋三総理大臣閣下、日本はJICAを通じて、我々の国の農業やその他のセクターの開発に貢献してきました。しかし、我々は、現在の日本政府のモザンビークに対する農業分野の協力は承認いたしません。日本は、ナカラ港から農産物輸出を可能とするためナカラ回廊の巨大インフラ設備に投資していますが、プロサバンナ事業に対する財政的・人的な支援についても同様に、日本は小農による農業にこそ集中的にコミットすべきであると我々は考えます。なぜなら、唯一小農農業こそが、モザンビークの人びとのため適切な食料を必要な量だけ生産することができ、それによって持続可能な発展が促進されると理解するからです。

モザンビーク、ブラジル、日本の国民の立派な代表者の皆さん、我々はグローバルに天然資源を収奪し、支配しようとする多国籍企業や巨大金融組織の拡張と増幅する要求によって特徴づけられた時代に生きています。それらは、我々を商品に替え、我々をビジネスチャンスと見なしています。

閣下殿。以上に基づき、我々モザンビークの農民男女、ナカラ回廊沿いの農村コミュニティに暮らす家族、宗教組織、市民社会組織は、次の点について緊急に非難し、拒否いたします。

■プロサバンナ事業における巧妙なる操作。同事業に反対し、農業部門の持続可能な発展のための代替案を提案するコミュニティや市民社会組織に対する脅迫。
■ブラジルや日本や国内の企業だけでなく、他国の企業を含む、地元コミュニティの土地の収奪への差し迫ったプロセス。
■家族経営農業による生産システムを破壊し、農民男女を巨大多国籍企業や国際金融機関によって寡占的に支配された生産プロセスに統合することを狙った、輸出のためのモノカルチャー生産(とうもろこし、大豆、キャッサバ、綿花、サトウキビ等)に基づいた生産や生産性の増大に、事業の土台を置くこと。
■深刻な内部矛盾を生み出したブラジル農業開発のモデルをモザンビークに輸入すること 。

以上に提示された非難に対し、我々モザンビークの農民男女、ナカラ回廊沿いコミュニティの家族、宗教組織、市民社会組織は、それぞれの国民によって付与された正当なる代表者としてのモザンビーク大統領閣下、ブラジル大統領閣下、日本総理大臣閣下の資格において、小農家族に無責任でネガティブな影響をもたらしうるプロサバンナ事業の介入に対し、緊急手段を採るよう、火急の介入をお願いし、これを求めます。無責任でネガティブな影響とは、具体的には次のようなものです。

■土地の収奪や住民移転の結果として、モザンビークにおいて「土地なしコミュニティや家族」が生じること。
■ナカラ回廊沿いにおける社会の激変や社会環境をめぐる紛争の頻発。
■加えて、農村コミュニティの家族の困窮状態の拡大や深刻化、あるいは生存や自給のための代替案の喪失。
■小農家族生産システムの破壊と、その結果生じる食料問題。
■農薬、化学肥料などの過剰あるいはコントロールされない利用による生態系、土壌、水資源の汚染。
■アグリビジネスによる巨大プロジェクトのための広大な森林の伐採と、その結果としてのエコロジーバランスの崩壊。

我々、本公開書簡に署名する農民男女、ナカラ回廊コミュニティの家族、国の宗教組織や市民社会組織は、プロサバンナ事業が設計され、我々の国のコミュニティや大地に導入されつつある手法に対し、憤りと拒絶の意を公的に表明します。
我々は、生産システムに基礎をおいた農業の発展を守るのであって、生産物を守るのではありません。家族農業による生産は、経済的な側面を超え、地理的な空間、社会的・人類学的次元を含むものであり、これらは人類の歴史において持続可能であることが明らかにされてきたものであります。

本公開書簡に署名した社会運動諸組織は、政府や国家の長としての責務において、モザンビーク、ブラジル、日本の国民の代表として、アルマンド・ゲブーザ大統領閣下、ジルマ・ルセフ大統領閣下、安倍晋三総理大臣閣下に対し、次のことを要求します。

■プロサバンナ事業のためナカラ回廊の熱帯サバンナで実施されているすべてのプロジェクトやアクションを即時停止するため、必要なすべての処置を命ずること。
■モザンビークのすべての層の人びと――とりわけ農民男女、農村住民、回廊沿いコミュニティ、宗教組織、市民社会組織――が、現実のニーズ、願望、優先順位、主権発展のためのアジェンダを自ら決めることを目的とした、幅広い層の人びととの公的な対話の積み重ねのための民主的でインクルーシブなメカニズムを確立することを、モザンビーク政府が命ずること。
■プロサバンナ事業のために割り当てられた人的資源や資金のすべてを、持続可能な「家族農業支援国家計画」の制定とその実施のため再配すること。同計画は、農業を生活の糧とする1600万人以上ものモザンビーク人の食料主権を支援し保証するため、25年間にわたり、全モザンビーク共和国の農民家族らから擁護されてきました。
■ 健康な食の促進や飢えの改善のための持続可能で唯一の解決法として、モザンビーク政府が食料主権、環境保全型農業、アグロエコロジーを優先させること。
■モザンビーク政府が、小農農業への支援を中心に据えた農業政策を採択すること。具体的には、農村金融、農業普及サービス、灌漑システム、在来種や気候変動に強いタネの評価、農道、農作物の市場化のための支援とインセンティブのための政策です。

以上の声明に基づき、モザンビークの農民男女、ナカラ回廊コミュニティの家族、宗教組織、市民社会組織は、三か国間の協力が、民衆の真の利益と願望に基づいたものとなること、そしてこの協力がより公正で連帯に基づく社会の創造を促すことに役立つものになることを求めます。我々は、すべてのモザンビーク人男女が、子どもたちが大地を身近に感じることができ、共に集い、その主権が国民の下に発現し存在する国家の建設に従事するといった、より良く実行可能なモザンビークを夢見ます。

マプート 2013年5月28日

署名団体(モザンビーク)
1. Acção Académica para o Desenvolvimento das Comunidades Rurais (ADECRU)
2. Associação de Apoio e Assistência Jurídica as Comunidades (AAAJC) -Tete
3. Associação Nacional de Extensão Rural (AENA)
4. Associação de Cooperação para o Desenvolvimento (ACOORD)
5. AKILIZETHO-Nampula
6. Caritas Diocesana de Lichinga-Niassa
7. Conselho Cristão de Moçambique (CCM)- Niassa
8. ESTAMOS – Organização Comunitária
9. FACILIDADE-Nampula
10. Justiça Ambiental/Friends of The Earth Mozambique
11. Fórum Mulher
12. Fórum das Organizações Não Governamentais do Niassa (FONAGNI)
13. Fórum Terra-Nampula
14. Fórum das Organizações Não Governamentais de Gaza (FONG)
15. Kulima
16. Liga Moçambicana de Direitos Humanos-LDH
17. Livaningo
18. Organização para Desenvolvimento Sustentável (OLIPA-ODES)
19. Organização Rural de Ajuda Mútua (ORAM)-Delegação de Nampula
20. Organização Rural de Ajuda Mútua (ORAM)- Delegação de Lichinga-Niassa
21. Plataforma Provincial da Sociedade Civil de Nampula
22. Rede de Organizações para o Ambiente e Desenvolvimento Sustentável (ROADS) Niassa
23. União Nacional de Camponeses-UNAC

賛同団体(国際)
1. Alter Trade Japan Inc.- Japan
2. Amigos da Terra Brasil
3. Articulação Nacional de Agroecologia (ANA) -Brazil
4. Associação Brasileira de ONGs (Abong )
5. Association for the Taxation of Financial Transactions for the Aid of Citizens (ATTAC) -Japan
6. Africa Japan Forum (AJF) -Japan
7. Alternative People's Linkage in Asia (APLA) -Japan
8. Association of Support for People in West Africa (SUPA) -Japan
9. Central Única dos Trabalhadores (CUT) -Brazil
10. Comissão Pastoral da Terra (CPT) -Brazil
11. Comissão Pastoral da Terra (MT) -Brazil
12. Confederação Nacional de Trabalhadores de Agricultura (CONTAG) -Brazil
13. FASE - Solidariedade e Educação -Brazil
14. Federação dos Trabalhadores da Agricultura Familiar (FETRAF) - Brazil
15. Federação dos Estudantes de Agronomia do Brasil (FEAB)
16. Fórum Mato-grossense de Meio Ambiente e Desenvolvimento (FORMAD) -Brazil
17. Fórum de Direitos Humanos e da Terra do Mato Grosso (FDHT-MT) -Brazil
18. Fórum Brasileiro de Soberania e Segurança alimentar e Nutricional (FBSSAN) -Brazil
19. Fórum Mudanças Climáticas e Justiça Social do Brasil
20. Fórum de Lutas de Cáceres - MT-Brazil
21. GRAIN International
22. Grupo Pesquisador em Educação Ambiental, Comunicação e Arte (GPEA/UFMT)-Brazil
23. Grupo raízes -Brazil
24. Instituto Políticas Alternativas para o Cone Sul (PACS) -Brazil
25. Instituto Brasileiro de Análises Sociais e Económicas (Ibase) - Brazil
26. Instituto Caracol (iC) -Brazil
27. Instituto de Estudos Socioeconómicos do Brasil (Inesc)
28. Japan International Volunteer Center (JVC) -Japan
29. Justiça Global-Brazil
30. La Via Campesina- Região África 1
31. Movimento dos Trabalhadores Rurais Sem Terra-Brazil
32. Movimento Mundial pelas Florestas Tropicais (WRM) -Uruguai
33. Movimento de Mulheres Camponesas (MMC) – Brazil
34. Movimentos dos Pequenos Agricultores (MPA) -Brazil
35. Mozambique Kaihatsu wo Kangaeru Shiminno Kai - Japan
36. Network for Rural-Urban Cooperation -Japan
37. ODA Reform Network (ODA-Net) - Japan
38. Rede Brasileira Pela Integração dos Povos (REBRIP)
39. Rede Axé Dudu-Brazil
40. Rede Mato-Grossense de Educação Ambiental (REMTEA) -Brazil
41. Sociedade fé e vida-Brazil
42. Vida Brasil
(2013年5月31日現在)


*本「公開書簡」日本語訳は、次のポルトガル語による原文をもとに和訳され発表された訳文を、2014年6月に改訂したものである。
http://farmlandgrab.org/post/view/22136-carta-aberta-para-deter-e-reflectir-de-forma-urgente-o-programa-prosavana
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MozambiqueKaihatsu

Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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