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【議事録】院内集会(11/28)「日本が推進する経済開発モデルと人々の暮らしへの影響」 第一部

院内集会 11月28日(月) 13:00~17:00
「日本が推進する経済開発モデルと人々の暮らしへの影響 
~SDG時代におけるアフリカ小農の視点から~」議事録

プログラム
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-214.html


(司会 津山直子/ アフリカ日本協議会)
 院内集会を開始します。本日は司会を務めます。お手元の資料をご確認ください。まず、最初に今日の院内集会の概要と裏にプログラムが書いてある資料があります。そしてそこに今日、モザンビークから院内集会に参加し、発言をいただく3人についても紹介がしてあります。そのあと今日お話しいただく、西川潤先生のパワーポイント資料、また「3ヵ国市民社会によるプロサバンナ事業に関する共同抗議声明・公開質問」、そしてそのあとにモザンビークから来日しているクレメンテさんのパワーポイント資料、また日本国際ボランティアセンター渡辺直子さんのプレゼン資料をお渡ししています。
 最初の青いご案内にありますように、この集会は日本国際ボランティアセンター、アフリカ日本協議会、ATTAC Japan、No! to landgrab, Japan、モザンビーク開発を考える市民の会、オックスファム・ジャパン、ODA改革ネットワークの共催で開催します。これらのNGOは、2012年以来、モザンビークのNGO・農民組織と共に活動してきた団体です。また、院内集会ということで、呼びかけ議員の皆さまのお名前も掲載されています。この間、議員の先生方も、国会でこの問題を取り上げたり、質問をしてくださったりしています。
 この院内集会は、モザンビークから小農運動のリーダーと市民社会組織の若手リーダーが来日することを受けて、その声に直接耳を傾けるために開催します。モザンビークでの状況はかなり逼迫しています。そのため、今日この3名がここで話すことについては、私たちも非常に厳しい中での決断でした。この3名は、これまでも弾圧とか嫌がらせなどの脅しを受けており、国に帰ってからどのような目に遭うか不安だったからです。それでも、今日ここでお話いただくことを決意された3名に感謝したいと思います。そして彼らが帰った後に危険にさらされないように、私たちは連帯していく必要があります。
 しかし先週の金曜日、私たちは、驚くことをJICAから聞きました。プロサバンナ事業を現在担当するモザンビーク政府(農業食料安全保障省)の高官や元副大臣を、この院内集会に参加させるために公費で招聘したということを知りました。元副大臣らがいる前で、モザンビークの農民らが自由に発言することは不可能です。私たちは、JICAがそのような事態を招いたことを非常に残念に思います。そして、どうしてそのようなことが起こったか、この院内集会全体を通して考える必要があります。また、今まで以上に、農民らのことを守り、連帯していく必要があると思っています。今日はそういった状況がありますので、農民らからの依頼により、録音・動画、また写真撮影はご遠慮いただくようにお願いします。ただし、主催者のほうから何枚か写真を記録のために取ります。
 今日はプログラムに沿って進めていきますが、適宜、駆けつけて下さった呼びかけ議員の先生方を紹介したいと思います。

(辰巳幸太郎議員 / 参議院)
 参議院議員の辰巳孝太郎でございます。今年3月にこのプロサバンナ事業の問題を国会で取り上げました。日本のODAが、このプロサバンナ計画で、現地の人たちの脅迫も含めた形で進められているということを国会で取り上げました。今日は全てのプログラムに参加することはできませんが、用意していただいたレジュメを見せていただき、3ヵ国の政府の間で「社会コミュニケーション戦略」ということでこのような文書が作られていたということに、改めて衝撃を受けております。日本のODA資金の使われ方やODAのあり方について、引き続き皆さんのご意見なども聞きながら、国会で取り上げていきたいと考えております。今日は本当にありがとうございます。

(司会)
 ありがとうございました。今の「コミュニケーション戦略」の問題についてもあとで発表の中で触れていきたいと思います。続いて井上哲士議員よろしくお願いいたします。

(井上哲士議員 / 参議院議員)
 参議院議員の井上哲士です。外交委員会とODA特別委員会に所属し、プロサバンナ事業の問題を取り上げて参りました。言うまでもなくODAは現地の農民の皆さんの利益になるものでなくてはならず、そのためにも農民の皆さんの参加と合意が不可欠であり、彼らの納得がいく形で進められなくてはなりません。しかし、その点についていろいろな問題があるということで、これまで国会で取り上げて参りました。先日このプロサバンナ事業に「市民社会対話メカニズム」というものができて、そこにJICAが資金をかなり出しているのではないかということで、先日外務省を呼んで話を聞きました。すると約5カ月間の契約で20万ドル、つまり2200万円という多額の資金を出しているとわかりました。これを現地の物価で考えると相当な金額になるわけですが、これが本当に市民の声を聞くためのものになっているのかどうか、むしろ逆になっているのではないかということも含めて正したわけです。この他、様々な問題が山積みですので、これからも皆さんと一緒にこの問題を正していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

(司会)
 ありがとうございます。川田龍平議員、よろしくお願いします。

(川田龍平議員 / 参議院議員)
 みなさん、こんにちは。今日はありがとうございます。遠いところから来ていただきましてありがとうございます。私は環境委員会のときに質問させていただいたのですけれども、最近は厚生労働委員会に移ってしまい、質問させていただいていないのですが、今、日本の政府が進めていることはやはり世界の常識からかけ離れてしまっているということを強調したいと思います。TPPの問題もそうですが、日本が進むべき方向というものが本当に世界の潮流から遅れていると言いますか、全く違う方向に向かっているのではないかということを感じています。そういう意味では、日本の外交も間違った方向に行っていると思いますし、本当にこれから日本、あるいは日本国民としてお金の使い方をしっかり追求していかなければいけないと思っています。特に、私たち国民にとって何が必要なのかということが本当の意味で追求されなければいけない国会であるべきにもかかわらず、与党が多数欠で何事も進めている現状に対して、一つ一つ追求していかなければいけないと思っています。今日は最後までいられませんが、勉強させていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

(司会)
 どうもありがとうございました。ODA事業について、モザンビーク市民も含めて私たち市民が得られる情報が非常に限られている中、私たちは情報公開制度を利用し、情報公開を求めてきました。また、国会議員の先生方に協力をいただいて情報を得て、それらの情報をモザンビークの人びとにも伝えていく活動も行ってきました。
 では、発表に移っていきたいと思います。まず、最初に「変容する日本のODA―国益重視へのシフトで忘れられる人類益」というテーマで、早稲田大学名誉教授の西川潤先生から発表いただきます。よろしくお願いします。

【第一部】
「投資・貿易のための援助」は許されるのか?
1.変容する日本のODA―国益重視へのシフトで忘れられる人類益
(西川潤 / 早稲田大学名誉教授)
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/data/201626-prosavana-oda-1.pdf

 ただいまご紹介いただきました、西川です。今日の集会のタイトルは「日本が推進する経済開発モデルと人々の暮らしへの影響~」というものです。日本がどのような経済開発モデルというものを持っているのかということが“?”マークです。それは、今までなし崩しに積み上げてきたようなODAの運用の仕方なのか。あるいは、経済開発スタイルなのか。
 このスタイルでは、21世紀に入ってからの過去10数年、「国益」というものが非常に表象されるようになりました。しかし、「国益とはなにか」については、日本の国民の間で全く議論がないままです。しかし、実際の運用では「国益を重視する」という主張はますます広まってきており、昨年2月に政府が採択した「開発協力大綱」にそれは明確に表されています。
 この「開発協力大綱」以前は、「ODA大綱(政府開発援助大綱)」があり、「政府開発援助白書」が作られていました。ところが昨年からこの名称も変わり、「開発協力白書」というものが出されるようになりました。
 では、「開発協力」とはなにか。つまり、「アシスタント」ではなく「コーペレーション」とはなにかということです。その実態は、安倍総理の3年半で三度のアフリカ訪問に示されています。これは日本の史上では異例です。この「安倍 for アフリカ」を分析すると、国益がどの定義され、運用されているかが明らかになります。今日はその話をします。そして、そのような「国益重視型の援助」が実は国連の場合の「持続可能な開発アジェンダSDGs」に反しているということもお話します。このSDGsに日本は随分出遅れましたが、そうしたグローバルな人類益が忘れられていることを懸念しております。
            
 「開発協力大綱」が昨年の2月に採択されましたが、そもそも日本の援助に理念があったのかということに遡りましょう。日本の援助は理念のない援助で有名でした。それが、1980年代の日米摩擦の時には、日本企業のための援助だということで、だんだん国際的に非難されるようになりました。そこで、外務省のほうで90年代に「ODA大綱」の策定を進めました。私はその頃外務省の「ODA大綱」策定委員会の委員だったのですが、今日外務省の方がいらっしゃるかわかりませんが、その時の外務省の官僚は優秀でした。この委員会では、グローバルな問題をとらえて、それを日本の平和憲法とつなげることで、ODA大綱を作りました。つまり、「ODA大綱」は理念を作るために出されたものでしたが、それが10年くらい運用された後で、2003年に「新ODA大綱」に改定されました。これがなされたのは日本の低成長時代です。経済協力という形で最貧国向けの援助が重視され、日本の援助は有償・無償と半々でした。
 その後、現在の「国際協力大綱」が出てきたのですが、これは安倍内閣の積極的平和主義ともリンクされているものです。国際協調が謳われていますが、これはあくまでもアメリカとの協調のことであり、それが日本の国益とつながっているということになっています。また「駆けつけ警護」のような後方支援としての集団的自衛権の行使など、経済だけでなく軍事大国の方向にも向かっているのがこの「大綱」の特徴です。
 安倍総理は就任後三度のアフリカ訪問を行っています。例えば、「海賊問題」についてですが、現地では「大国の介入のせいで海賊になるしか手段がない」という声があるにもかかわらず、そのような問題の根元にアプローチすることなく、自衛隊を海賊対処などの活動に当たるよう激励していました。また、モザンビークも訪問していますが、ファイナンシャルタイムズによると、アンゴラが中国の勢力下にあるので、日本はモザンビークに接近したと分析されています。政治経済的接近をアピールしたい意図が見える。
 日本の援助のキーワードは、①資源・市場確保、②中国への対抗、③自衛隊の実績づくり、④安保理入りへの票獲得。SDGsはどこに見られるというのか。現在の日本のODAはあまりに国益を重視して、グローバル益を忘れている。日本の食糧援助といえば、4年経つと処分することになる古米をアフリカに送って食糧援助と呼んでいる。そもそも日本の政府が住民の声を聞くという発想がない。
 配布資料にもある『喰いつくされるアフリカ』の書評を書いた。この本には、アフリカから奪い取るシステムについて書かれている。日本内での援助の不透明性もまた被援助国の民主主義を壊している。
 安倍首相のアプローチは、「TPPのアフリカ版」を目指そうとしているように見える。トリクルダウン説を用い、日本で失敗したアベノミクスをアフリカに持ち込もうとしている。資料を参照してほしい。(「南スーダンをダメにする国際援助」に書かれているように、)毎年10億ドルの国際援助を受け、多くの国際NGOも役割を担ってきたが、その結果として真の改革が生まれない、国家が機能しない状況に貢献してしまっている。

(司会)
 ありがとうございました。ODA改革ネットワークの高橋清貴さんから話を頂く前に牧山ひろえ議員がお越しくださったので一言いただけたらと思います。

(牧山ひろえ議員 / 参議院議員)
 参議院議員の牧山ひろえです。勉強会に参加させてくださることに感謝を申し上げます。今、色々な話を聞いて大変勉強になりました。一部の企業だけが潤い、そして多くの方々が忘れ去られるというのはフェアではないと思います。そして、それはODAの精神からは程遠いと思います。ぜひ皆さまから、これからも現場の話を聞きながら、私も発言できるところで発言していきたいと思っています。今日は限られた時間しかいられないのですが、資料を沢山いただいたのでこれからもよろしくお願いします。

(司会)
 国会議員の先生方は、この時間に色々な委員会が入ってらっしゃいます。そうした中での参加ですので、中断して申し訳有りませんが、そういったご挨拶・ご意見を途中で入れさせてもらうことになります。では、高橋さん、日本による投資、ODAの性格ということでお願いします。

2.日本による投資・ODAの地政学
(高橋清貴 / 恵泉女学園大学教授)
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/data/201626-prosavana-oda-2.pdf

 恵泉女学園大学、ODA改革ネットワークというNGOで活動をしている高橋です。今日はモザンビークから農民の方々が来ているので彼らの声を聞いて頂くことと、そして西川先生からODAがどのように変わってきているのかという大きな見取り図を紹介いただきました。私の話は、この間に位置づけられます。
 私自身はODAについて改革ネットワークでチェックしてきましたが、この4、5年ODA事業を閣議決定に上げる前に六人の有識者によってチェックする外務省「開発協力適正会議」に参加しています。実際に、色々な事業をチェックしてきましたが、西川先生からお話があったように、国益が全面に出てくるようになってきたと実感しています。
 今日は最初に、モザンビークの農民の方々が影響を受けている案件、つまりモザンビーク北部で行われているナカラ回廊総合経済開発を紹介して、その後に今日の西川先生のお話を補足する形でODAの見方を紹介します。
 (右上のスライド)これはナカラ回廊総合開発計画ですが、この開発計画の狙いは、かなり広い領域に鉱山、農業、森林、ガス、電気を作れるダムなどの「開発ポテンシャル」があるという認識がされるところから始まっています。そして、これらの資源を組み合わせながら地域的・総合的に経済開発していくということが狙いです。同時に、交通回廊によってそれぞれの地域や都市を道路や鉄道で結んでいく、そのことで経済が活性化されていくということが狙われています。また、内陸部の資源や生産物を輸出していくための一大経済特区のようなものが想定されています。「都市・工業センター」と書かれているように、「経済拠点」を作り、それを産業化・工業化をしながら経済的に豊かにしていくということが示された見取り図と考えられる。この4つの図は、石炭資源があるということが中心のスライドである。これは天然ガスです。これは植林プラテーテェション。これらの資源を回廊で結びつけ、輸出につなげていくという総合開発計画です。
 (次スライド)この計画の中で取り組むべき方策の一つに農業開発があり、今日の話題の一つでもあるプロサバンナもここに入っている。
 (次スライド)先ほどの経済拠点です。いずれもJICAのホームページからの抜粋です。
 (次スライド)これは道路網。この図を少し紹介させて頂きたいのは、要はこういう風な計画作りをするということ。つまり、俯瞰をして−−例えば人口の増加率、土地利用法、自然状況、農業を上から目線で俯瞰して—配置していくという考え方をするわけです。ここには当然一人一人の農民がどのような生活をしているかには関心がもたれない。
 (次スライド)政治学の専門ではないが、地政学という言葉を使いながら考えてみたい。地政学という言葉は最近流行りの言葉だが、これは地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究すること。ここにいくつか重要なキーワードがあり、生存適地、資源地域、交通地域、自給自足、シーパワー、ランドパワー、ハートランドといくつかキーワードがある。国家が、国際関係の生存競争の中で、発展し続けるための拡張政策を正当化する。ODAの役割としては、受取国が経済開発でランドパワーを強化するとされている。この中で、アフリカは巨大であり、面積にしたら日本の80倍にも上り、人口は現在10億3000万人だが2050年には約2倍の21億人にはなると言われている。つまり人と土地がかなりの膨大ということ。それを、空間的に把握をし、経済成長の可能性を加え、人々のエネルギーを加えるとともに、おかしな話だが紛争をたくさん経験しているアフリカだから高い軍事力を持っている。ここから、相当巨大なパワーが生まれることは確実である。なぜ、日本はこのパワーを日本にとっての脅威と感じないのか不思議である。
 (次スライド)西川先生から国家という枠組みで考えるという話があったが、実は私は少しそこからシフトしてきているのではないかと思う。それを私は「エリート安全保障」という言葉で捉えてみた。各国の中外にもエリートはおり、既得権を持つ人もたくさんいる。これらのエリートが国家を横断したトランスナショナルな形で連携し、エリートとそれ以外の新しい分断の線引きが引かれているのではないか。そこで起こっているのは新しい囲い込みなのではないか。それが起こっているのは土地。これは土地を生存適地と資源地域を分けることで、先進国グループのエリートがそれを使えるようにしている。それから同時に人も囲い込んでいく。アフリカの人材を使える人材と使えない人材に分けていくこと。
 このような「新たな分断、囲い込み」があり、バーチャルかもしれないが、エリートが作った一つの境界内部をどう守るのかということが大きな関心ごとなのではないか。実際にそれを守るために色々な言説やタイトル作り、政治的な正当化が実際に起こっている。このことを私たちは考えなければいけない。
 (次スライド)結局、今農民たちが何に反対しているかというと、このことに危機感を持っていると思う。実際に世界中を見た時に、彼らは色々な権力構造や差別に対し、色々な形で集まり、声を上げ始めている。例えばオキュパイ運動がある。世界の農民たちの運動(ビア・カンペシーナ)もそうだし、隣の韓国で起こっていることもそうかもしれない。ここで言えることは、農民らが主権者として、そして集合的な「農民」として自己決定権を求めているということ。この話をただ単に既得権を持つ者や、権力者に反対しているとだけ捉えるべきではない。農民の皆さんが主張していることの中には、生産手段と自然資源の維持があり、これら関して非常に豊かな「社会知性」持っている。これらは環境や社会を作っていく中で非常に重要なヒントが含まれるが、それがモザンビークにはたくさんある。それが失われていくことに対する危機感を持っている。つまり、日本のODAが今やっていることは、農民たちとして自分たちの既得権を奪うだけでなく、それを守っている知性や知識や人々の知恵を同時に引き離すことで失わせてしまうことになるのではないか。日本はSDGsを口にしてはいるが、実は逆のことをやっているのではないか。

3.アフリカ・モザンビークにおけるナカラ回廊開発〜住民への影響
(1) ナカラ経済回廊開発問題
(司会)
 高橋さんありがとうございました。ではこれからモザンビークからお越しの三人にお話をいただきます。最初にお話をいただくのはクレメンテ・ウタウレジさんです。クレメンテさんはADECRU(農村コミュニティ開発のためのアカデミックアクション)のアドボカシーオフィサーです。モザンビーク北部ニアサ州の出身で農家の六兄弟の長男として生まれました。モザンビークには、公用語のポルトガル語の他に、たくさんの民族語がありますが、クレメンテさんはこれらの言語以外にも、独学でBBCアフリカを毎日聞いて英語を習得されました。今回は、農民の方々のため、ポルトガル語から英語への通訳を含めて活躍してくださっています。


クレメンテ・ンタウレジ(プロサバンナにノー キャンペーン)
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/data/20161226-prosavana1-3-1.pdf


 モザンビークの公用語はポルトガル語なので英語で話すのは少し不思議な気もしますが、より多くの人とコミュニケーションを取るために英語で話します。まずは西川先生、高橋先生すばらしいプレゼンテーションありがとうございました。
 私の名前はクレメンテと申します。「農村社会のためのアカデミック・アクション」という名の頭文字をとったアデクルADECRUという名前の団体に所属しています。草の根レベルで農村の人々の運動を支えている活動を行なっています。アデクルの他にも、今回は農民の権利のために活動する様々な団体が集まっている「プロサバンナにノー キャンペーン」の代表としても来日しています。私たちの活動では、政策決定の場で周辺化される傾向にある若者や女性の声を拾って伝え、広げるということを重視しており、海外政策についても調査などを行って、現場で起きていることを政策の場に届けるアボドカシー活動などを行なっています。私自身も農村出身ですけども、私たちの活動で目指していることは、国の開発に農村自体が主体的に取り組んでいける状態になるようになることです。
 まずはモザンビークの地図を見て下さい。この色分けは様々な資源、例えば石炭、森林を示しています。モザンビークの人口は2500万人で70%の人々が農村地帯に住んでいます。81%が農業に従事しています。私たちの食べるものの90%が小規模農家によって生産されるものです。したがって、農業はモザンビークにとって非常に重要なセクターとなっているわけですが、GDPの内訳で見ても31.9%にすぎません。
 今のモザンビークは、二度の戦争・内戦を経て、経済的な復興と政治的な統合を追求してきています。特に90年代以降はODAを含む海外直接投資などを受け入れ始めました。今は農業に関する政策が非常に大きな変化に直面している時期だとも言えます。一つ言えるのは今の政府は、民間セクターを非常に重視・優先し、民間セクターが誘導する形で開発を進めていくという方針を明確に打ち出しています。経済的に豊かな国が、日本もその中の一つですが、モザンビークにきてモザンビークに対する投資することが謳われています。例えば、TICAD V(第5回アフリカ開発会議 2013年横浜開催)では、安倍首相はモザンビーク対して300億ドルの支援を約束しています。ではこの中身は誰が何をすることになっているのでしょうか。民間セクターによる投資が中心とされています。しかし、民間セクターによる投資は必ずしも人々のためではなく、企業を利するものになっています。例えば大規模な土地を集約していく特徴があります。
 2014年以降、政府が様々なアグリビジネスや鉱物資源開発企業との間で交わした合意は50を超えていると言われています。またモザンビークで進む大規模な土地の取得は、2014年時点でスーダンとエチオピアに次いで第3位で、土地の取引件数が非常に多いと言われています。こうした投資の大部分はモザンビーク北部に位置するナカラ回廊に向けて行われています。ナカラ回廊は人口およそ450万人です。この地域では農業が基幹産業となっており、モザンビークの人々の主食、トウモロコシや大豆、コメ、キャッサバなどを生産しており、まさに人々の食べるものを生産する地域です。こうしたところに大規模な投資が上から降ってくる形で行われています。
 政府が描くナカラ回廊開発のモデルですが、このスライドに見られるように、鉄道や港湾設備といったインフラを整備して、ナカラ回廊の内陸部で植林事業や石炭開発事業などの産業を育てて回廊をつないでいくという構想を示しています。

 それでは政府が描くナカラ回廊経済開発モデルの問題点は何でしょうか。どこに問題があるのでしょうか。ナカラ回廊地域、そしてモザンビークの人口の80%は小規模農家だというお話をしました。にもかかわらず、この開発モデルからは、彼らの存在は見えてきません。一体彼らは、この開発モデルの中のどこに位置するのでしょうか。
 例えば、新規に鉄道を敷くにしても、何千人もの小規模農家の人たちが土地を奪われることになります。彼らは土地に依存して、そこに生活の糧を作り出しているわけですが、その土地が奪われるのです。その結果、彼らは都市部に流入していくことになります。例えば日本でも人口の多くが都市部に集中し、その結果として日本の農業が10年後にどうなっていくのかを想像してみて下さい。同じように、この開発モデルの中では、小規模農家の発展は見えてはきません。さらには、このような形で土地が奪われる過程で、人権侵害も発生しています。
 結局モザンビークの中では、国際機関や様々なアクターが入ってきて、様々な企業が大規模な土地をめぐって互いにせめぎあいが行われ、広い面積の土地が取得されていっています。例えば、植林のためだけに51万9000ヘクタールもの土地が取得されました。こうした中、地域の農民は、人権侵害を受けながら土地を奪われ、土地を奪われる結果、食料安全保障が脅かされているという現実に直面しています。

 そしてこの地域では、日本の企業も非常に活発に投資を行っています。例えば石炭に関しては、三井物産がモザンビーク北部に進出しています。ブラジルのヴァーレ社(Vale)と一緒になってテテ州モアティゼ郡で石炭開発を行っています。また炭鉱から石炭を運び出すための鉄道・港湾などの交通網についても出資をしています。
 また、この地域では、日本のODAでプロサバンナ事業が実施されているわけですが、この事業に関しては第2部で詳しく話します。ここで指摘しておきたいのは、プロサバンナ事業の一環で、実際に土地を追われて別のところに移住を余儀なくされている事例があるということです。このように、元々は非常に土壌豊かな土地に住んでいたにもかかわらず、農業をできない土地への移住を余儀なくされたケースがあります。
 民間企業が入ってきて土地を奪うとき、どういった手法を使うのでしょうか。どのようなアプローチを使うのでしょうか。手法はいくつもあるのですが、例えば農民があまり入手しづらいような食用油だったり、牛乳や砂糖などをわずかながら与えて、それと土地とを引き換えにする。もしくは、耕している土地の面積が少ないだろうからもっと広い農地で農業をできるようにしてあげるよと嘘をついて土地を奪っていくことがあります。もしくは、DUATと呼ばれる土地利用の権利があるのですが、これの登記書を持っていない農民が多い中で、政府から有利に得た登記書を見せて自らの土地の権利を主張し、住民を立ち退かせるといった手法が見られます(注:土地法では、DUATは登記書がなくても十年以上その土地を耕している農民に権利が認められる)。
 これも一例ですが、画面左下の絵を見て下さい。こちらはもう誰も住んでいない様子です。元々は人が住んでいた家なのですが、背景に植林プランテーションが見えます。こうした植林企業が入ってきて、土地を奪っていったことによって、元々暮らしていた農民たちは退かざるをえなかった。そしてこの家は放置されて、この右に見える別の土地に移住しなければならなかったというケースがあります。
 ここで結局何が見られるかというと、農民たちは民間投資が入ってくることによって、元々あった土地を奪われて、元々あった水や土地へのアクセスを制限されています。企業が、こうした水や土地などの資源を囲い込んでいっているのです。元々は自分たちで土地を持ち、そこで農業を行い、採れたものを食べると、つまり自らの食料を確保することができました。それが、大規模な土地への投資によって、企業が土地や水の権利を支配していく中で、彼らは自分自身の手で食料を確保することができなくなる。そうなると、今度は収入を得ることによって食料を確保しなくてはいけなくなる。例えば、食料をスーパーや市場で購入しなければならなくなるわけですが、そのためには現金収入がないとできない。しかし、十分な現金収入を得ることはほとんど不可能なので、実際は食料を購入することができない。自給自足が不可能になります。地元住民を「豊かにする」と謳われた民間投資ですが、結局これが入ってくることによって、土地が奪われ、したがって食料生産の手段も奪われ、食料を購入する金銭的手立てが与えられないため、食へのアクセスも困難になっている現実があります。

 最後にお伝えしたいのは、開発、国際協力の目的やその姿勢です。開発というのは支援を必要とする人々のもとへ届けることであるはずです。民間による投資も、「開発のため」、「人々のため」と主張されます。しかし、実際の結果は逆で、投資によってそれまであったものを奪われる現実に、現地の人々は直炎しています。本来、国際協力は地元の人たちのニーズに基づき、その生活を改善するべきものですが、国際協力の名の下に行われている民間投資は、人々の生活を脅かしています。本来の開発や国際協力の趣旨に照らし合わせても、やはりこうした現実に目を向けていくべきだと思います。

 最後に5分程度の映像をお見せいたします。
https://www.youtube.com/watch?v=xXDQjkXAmpY
 この映像は、ナカラ回廊で行われているアグリビジネスや石炭企業による投資が、現地の人びとにどのような影響を与えているかをお伝えするために作ったものです。


(司会)
 クレメンテさん、ありがとうございました。通訳はオックスファム・ジャパンの森下麻衣子さんでした。ありがとうございます。
 クレメンテさんは必ずこのシャツを着てお話をするのですが、このシャツはモザンビークの小規模農民運動を象徴するような生地で作ってあるそうです。説明してもらえますか。

(クレメンテ)
 この布には2つのメッセージがあります。1つは「正義と平和」で、「土地は売ることができないものだ」というメッセージが書かれています。もう1つはハートですが、このハートの中心に描かれているものは、自然資源の象徴であり、食べ物の象徴であるトウモロコシ、そして土地を耕す女性とその子どもです。私たちの心の中心には土地とトウモロコシと女性がいて、その心を取り出してしまえば私たちは生きることができない、つまりこうしたものなしには私たちは生きることができないというメッセージが込められています。

(司会)
 では、今紹介があったナカラ回廊地域の農民代表であるコスタさんとジュスティナさんにお話しいただきます。二人はここにもありますように、モザンビーク最大の小規模農民の組織であるUNAC全国農民連合のメンバーです。同州はモザンビークの中でも最も多くの農民と農作物を生産している地域です。その州の3万人の農民が加盟するナンプラ州農民連合の代表のコスタさん、そして副代表のジュスティナさんです。

(コスタ・エステバン)
 こんにちは。私の名前はコスタ・エステバンと申します。モザンビークのナンプーラ州から参りました。一緒に来たのが副代表で、後で彼女から自己紹介があると思います。私は100%農民です。私はナンプーラ州農民連合の代表を務めております。農民連合というものは農民によって構成されており、そのリーダーたちも農民によって選ばれた農民の組織で、農民による農民の権利を守るための運動です。2014年4月に私たちのナンプーラ州農民連合は結成されました。なぜ私たちが農民連合を結成しなければならなかったのかのお話しをします。
 ナンプーラ州にはたくさんの農民組織やアソシエーションがあり、政府系のアソシエーション、そうでないアソシエーションなど多様なアソシエーションがあります。バラバラではなかなか課題を解決することができなかったので、アソシエーションの農民たちが集まり、どうやったらこのような課題を乗り越えていくことができるかということを話し合いました。そうやって、州のレベルで一つの力を結集して農民の連合をつくることによってこれを乗り越えようと考えたのです。
 州連合には、現在2万9千人を超える農民のメンバーがいますが、その中には男性も女性もおり、そして若者たちが参加しております。また、UNACという全国農民連合の一部を構成しています。そのUNAC、つまり全国農民連合にも、男性、女性、若者を含む十万人を超える農民が参加しております。州の農民連合は様々なパートナーシップを様々な団体組織と結んできたわけですが、その中の一つにカトリック教会があります。今クレメンテさんが着ているシャツ、この布を作ったのもカトリック教会とのパートナーシップの中でした。教会と農民連合が一緒に集い、どうしたら今自分たちが直面している課題を可視化し、解決をもたらしていくかということを話し合った中で、自分たち自身でデザインして言葉も選んで作ったものです。
 ありがとうございます、まずは自己紹介させていただきたいと思いまして今、お話しさせていただきました。

(司会)
 ありがとうございます。コスタさんはまた第二部の方でより具体的なことをお話し下さいます。では、ジュスティナさんお願いします。

(ジュスティナ・ウィリアモ)
 こんにちは皆さん、私の名前はジュスティナ・ウィリアモと申します。私もモザンビークのナンプーラ州からやってまいりました。最初に申し上げたいのは、ここに来ることができて本当にありがとうございますということです。日本の皆さまと私たちの想いや言葉を共有することができて本当に嬉しいです。そして次に感謝したいのは、私たちの仲間であるモザンビークの小農たちです。彼女たち彼らは手に鍬を持って1日たりとも欠かさず畑に出て食べ物を作り続けております。そして私は100%小農です。
 モザンビークで私たちが日々直面している現実について話したいと思います。例えばこれは私で、自分の畑にいる様子です。これを見れば私が本当に農民だということが分かると思います。
 そしてナカラ回廊開発の問題について話したいと思います。私は鉄道の横に住んでおります。この写真は以前の写真です。この列車の写真を見ていただくと古いことが分かるかと思います。このように列車が駅に着くと、私たち農民は自分の生産物を手に持って乗客に売りに行きます。その時の様子です。このように、私たちは、農作物や加工品を売ることによって、子供達を学校に通わせるだけの収入をあげることができました。しかし、もはやそうではありません。このような列車はもうありません。すべてが終わってしまいました。
 新しく敷かれた鉄道はこのような状態のもので、住民は線路の向こう側に行くことができません。橋もないので、向こう側へ渡ることは非常に困難になりました。今走っている列車は何かと言うと、石炭を運ぶ貨物車です。朝から晩まで行き来しています。そして線路の向こう側に病院があるのですが、救急車も人もこの線路を行き来することができない状態があります。子供達はここを渡って学校に行かなければならないのですが、子供達はこれを渡ることができないでいます。このような形で鉄道があり貨物車があるということで、子供達は渡れない日は、学校に行くこと自体を諦めてしまう状態にあります。鉄道を渡るためには、まず貨物が行くのを待ちます。そして本当に急な坂を降りて、それをまた登っていくという作業が必要です。子どもたちの通学を、私たちは本当に心配しております。
 しかし、これが開発だと言われます。それはどう言った種類の開発でしょうか?子供達が学校へいくのを阻まれるようなインフラ整備あるいは病人が病院にいくことができないような鉄道、そういうものをどうやって発展と呼ぶのでしょうか。
 私たちは自分たちの生活が良くなる発展自体に反対している訳ではありませんが、このようなやり方の開発に対して非常に懸念しております。皆様、今日ここにお集まりの女性の皆様、男性の皆様にお願いしたいのですけれど、どうか私たちを助けてください。このような開発というものが、私たちがもたらしている影響について一緒に考えてください。ここから抜け出るための解決を共に考えて下さい。ありがとうございます。
(司会)
 コスタさん、ジュスティナさんありがとうございました。通訳は舩田クラーセンさやかさんです。今日は沢山の方にお越し頂き、質問をしたい方も沢山いらっしゃると思います。質問をされる方はお名前とご所属と、あと簡潔にできれば一つだけ質問をしていくということで、最初3つくらいの質問を受けて、答えてもらうようにしたいと思います。そしてコメントは、今日は時間が非常に限られていますので、なしで質問を簡潔に述べて頂くようお願い致します。では、質問のある方は手を挙げて下さい。

【質疑応答】
(清水さん/日本コンゴ友好親善協会)
 私は、アフリカのコンゴの友好親善協会の事務局長をしております、清水と申します。それで、コンゴの方から日本の農業をやってほしいということを言われて、関心を持って来ています。特に、日本のODAを活用しようかと思い、既にやっている人たちと協力しています。今日の話は、ODAがこれをやったのでしょうか?今日のお話では、ODAは住民のプラスにならないということになるんですけども、それについて聞かせてほしいと思います。

(木下さん/JVC日本国際ボランティアセンター)
 JVCの理事をしております、木下と申します。あとで渡辺がお話をさせて頂きますけれども、私からの質問は、このモザンビークの国の選挙制度に関することです。要は、私たちが常識的に考える国のし組みであれば、農民の人たちが7割を占めている場合、それを代表する議員が国会の少なくとも半分以上は占めていて、農民の問題を解決するとなるのですが、皆さんの声がなぜ国の代表に伝わらないのかという点が不思議です。その辺りの国の仕組みはどのようになっているかということを教えていただきたいです。

(アブディンさん/東京外国語大学助教)
 東京外国語大学で助教しておりますアブディンと申します。クレメンテさんからの話でもありましたけれども、スーダンは土地収奪においては一番被害が多い国ですけれども、その点から質問させていただきたいと思います。
 スーダンでの土地収奪でのパターンは二つあります。一つは遊牧民族の放牧に使う土地、これは厳密にいうと法律では国有地ですが、伝統的にそこで放牧することになっていて、それが大企業や外資系のサウジアラビアなどの国の投資家によって収奪されるパターンがあります。もう一つは、紛争地域で軍隊が.現れ、住民が避難したあとに、機械化農業を行う投資家が現れ、その土地を奪ってしまうのが二つ目のパターンです。皆さんの話を聞きますと、国内の権力関係の中でナンプーラ州またはナカラ回廊地域というのはどのような位置を占めているのかが気になりました。つまり、紺地域の人々は国政において代表する力がないのか、という点です。モザンビークは長らく武力紛争を経験してきましたが、地元の雇用を挙げてそれを反映するような政治家はいないのか、そういうことを聞きたいと思います。

(司会)
 ありがとうございます。では、今の三つの質問について限られた時間ですけども答えて頂きたいと思います。

【回答】
(クレメンテ)
 質問ありがとうございます。それぞれの質問にというよりは、全体を大枠でお答えさせて頂きたいのですけれども、まずモザンビークには議会があり、大体三つの大きな政党があります。与党であるFRELIMOとその他大きな野党であるRENAMOとMDM(モザンビーク民主運動)があります。簡単にいってしまえば、今の議会の大多数が与党FRELIMOに占められているわけです。小農の利益を代弁する議員は少数派であって、多数派ではない。なので、多数派がどんどん物事を決めて進めていく。その結果、小農の声は代弁されていない、多数派ではないからということだと思います。
 スーダンの例で、土地収奪のどのようなコンテキストやパターンで行われているかという話がありました。モザンビークでは独立戦争があって、人や土地の解放のために、この長い独立戦争を戦いました。独立後に成立した土地法で定められているのは、モザンビークのすべての土地は国有地として定められています。ただ、土地法では十年継続してその土地に住んだり耕せば、その土地の利用権が発生すると定められています。その利用権というのは書面登記されている必要はありません。そこを十年耕したということだけでその権利が与えられるのです。ただ、今このように大量の民間投資が入ってくる中で、政府は住民の土地登記を勧めています。ただ、これは実は本来の土地法の主旨と矛盾しています。土地法は登記書というか、紙の証明が無くても十年間そこを耕せば、そこを利用する権利があると書かれているので、登記書を持っていなくてもそこに権利が発生しているはずなのです。ですから、そういったものがないことを理由に土地から追いやったりできないにもかかわらず、政府は住民に土地の登記を勧める一方、民間企業の進入を奨励しているという現実があります。

(司会)
 時間が限られているのですけれども、コスタさんとジュスティナさんから一言ずつ頂きます。また特にODAについては、第二部の方でコスタさんからまた発表がありますので、それも補足として後で行います。

(コスタ)
 先ほどの質問があった、なぜナンプーラ州、つまりモザンビーク北部でこのような事態が起こっているのかについてお話をしたいと思います。ここでいう「事態」とは、一次産品が開発・生産されて、それが輸出に回されるというスタイルの投資が起こっていることを指します。
 さて、なぜすべてがナカラ回廊で発生しているのか?それは、この回廊の先っぽにあるナカラ港という港が、モザンビーク全体の中でも最も大きく重要な港になってきているからです。この港を使おうとする投資家たちが、ナカラ回廊沿い地域に集中して投資しているということが関わっています。そして今日話しに出たブラジルのヴァーレ社、これには日本の三井物産も投資していますが、このヴァーレ社が元々あったナカラ港だけではなく、ナカラ・ヴェーリャという町にもう一つ別の自社の港を作っています。このことが、全地域に影響を及ぼしています。
 理解して頂けるかどうか分からないですが、もう一つこのことに影響を与えていることがあるとしたら政治の問題があります。モザンビークの南部の人々はモザンビーク全体を所有している主人のように立ち振る舞っていて、モザンビーク北部の人たちはそれに対して外国人のような扱いを受けているということです。ですから、北部というのは周縁化された地域といえます。私たちはもちろん議員を選出していますが、議会の中で声がない、声が届かないという問題に直面しています。そして、議会の大半を与党が占拠している状態にあります。ですから、与党のリーダーたちがこうしましょうと言ったら、皆がそれに従います。これでよいですか?答えになっていますか?ありがとうございます。


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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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