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【公開】プロサバンナに関する質問主意書・答弁書(2016/12月)

第192回国会(臨時国会)の質問主意書と答弁書が公開されています。
プロサバンナ事業に関するもので、重要な情報が沢山掲載されていますので、是非ご一読下さい。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/192/syuisyo.htm

質問主意書

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/192/syuh/s192061.htm

質問第六一号

モザンビーク農業開発のための三角協力プロサバンナ事業に関する質問主意書
平成二十八年十二月十三日
石橋 通宏

 二〇〇九年九月に、日本、ブラジル、モザンビークの三カ国政府によって合意され、その後プロジェクトがスタートした「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発プログラム」(以下「プロサバンナ事業」という。)については、二〇一二年十月、モザンビーク最大の小農運動を率いる全国農民連合(UNAC)が抗議声明を発表して以来、二〇一三年五月には「プロサバンナ事業の緊急停止」を求める公開書簡が三カ国首脳宛に提出されるなど、現地農民や市民社会の懸念や反対の声が繰り返し表明されてきた。また、現地の反対派農民や市民グループは、彼らに対する言論弾圧等の人権侵害や介入が頻発していると訴え、これまで三カ国の市民社会グループによる計三十もの声明や要請・嘆願書が出されてきたところである。
 そのような中、今年に入ってから、独立行政法人国際協力機構(JICA)による情報開示により、日本政府の出資によってプロサバンナ事業のコミュニケーション戦略(以下「コミュニケーション戦略」という。)が策定され、その契約にもとづき「処方箋」等を含むいくつかのレポートの集合体として完成した「コミュニケーション戦略書(ProSAVANA: Estrate′gia de Comunicaca~o)」(二〇一三年九月。以下「戦略書」という。)が策定され実施に移されてきたことが明らかになっている。
 以上の経緯を踏まえ、以下、質問する。

一 現在までに、プロサバンナ事業に投じられてきた日本政府(JICAを含む)の公的資金(財政支出)の総額を年度毎の内訳を含めて明らかにされたい。

二 前記一の中で、同事業の三本柱の一つである「マスタープラン策定支援プロジェクト」(PD)に対し、日本政府がこれまで投じてきた公的資金(財政支出)の総額と、そのうち、PDの当初予定された終了時期であった二〇一三年九月以降に投じられた公的資金(財政支出)の総額を併せて明らかにされたい。

三 PDが、当初予定された終了時期に完了せず、現在に至るまで、およそ三年以上に渡って継続している理由を示されたい。

四 日本政府またはJICAが、コミュニケーション戦略の策定及び実施のために契約した企業名、契約日、契約期間、契約金額及びこれまで支払った金額を示されたい。

五 コミュニケーション戦略の事業は、日本政府またはJICAが単独で実施している事業か、または、協力パートナーであるブラジル政府及びモザンビーク政府も関与をして実施している事業か、事実関係を明らかにされたい。仮にブラジル政府及びモザンビーク政府も関与している場合には、それぞれが同戦略の策定・実施のために拠出した資金の総額を明らかにされたい。

六 JICAは、二〇一三年八月に「プロサバンナの戦略確定事業」という名称でCV&A社と契約を締結し、この契約に基づいて戦略書が策定された。戦略書は二〇一六年十二月七日に、JICAによって、同機構の公式文書であることが確認されている。戦略書には、以下の?から?の記述があるが、これは事実であるか確認されたい。なお、原文はポルトガル語であることから、日本語訳に誤りがあるという場合には、その誤りを具体的に指摘し、当該箇所の政府としての公式な日本語訳を明らかにされたい。

?【戦略書三十四ページ】「市民社会諸組織のモザンビークのメディアに対する影響力については、継続的なコミュニケーションを保持することで、特にモザンビークにおける組織の実効力を減らしていくものとする。」
?【戦略書三十四ページ】「コミュニティとの直接的なコンタクトを行うことによって、コミュニティあるいは農民を代表するこれらの組織の価値/信用を低下させることができる。」
?【戦略書三十五ページ】「モザンビーク市民社会諸組織の重要性を奪うことによって、モザンビークで活動する外国NGOの力を削ぐことができる。」
?【戦略書三十五ページ】「ブラジルのセラードとナカラ回廊の結びつきを遠ざけることにより、これらの国際NGOが去年来使用してきた主要な論点のいくつかに関して信用を低下させることが可能となる。」
?【戦略書三十五ページ】「それでも、その影響力が継続するならば、以下のアクションを勧める。モザンビークで果たされている外国の諸組織の役割について問題化する、あるいは批判する(この批判については、モザンビーク当局によって推進される)。」

七 プロサバンナ事業については、二〇一四年五月十二日の参議院決算委員会における私の質疑に対し、岸田文雄外務大臣並びに田中明彦JICA理事長(当時)が、現地農民や市民社会からの抗議や反対の声があることを認識していることに加え、当該組織との「丁寧な対話」を行っていく旨の答弁を行っている。しかし、その直後の二〇一四年七月付のCV&A社からJICAへの「活動報告」によれば、JICAが戦略書を策定したCV&A社に「戦略の実行」を行わせていたことが明記されている。「小農支援」を謳う我が国の農業開発協力のための事業で、日本のODAのための公費(日本国民からの貴重な税金)を使い、外務大臣やJICA理事長の国会答弁にも反する形で、JICAがこのような戦略書を策定し、さらにCV&A社にその中身を実行させていたことの正当性・妥当性について、日本政府としての見解を明らかにされたい。

八 戦略書の策定後、モザンビークでは、プロサバンナ事業に異議を唱える農民・市民(組織)への政府による付きまといや威嚇、脅迫などの弾圧が行われてきたことが、三カ国の市民社会によって繰り返し指摘されている。例えば、現地NGOは、二〇一五年五月十一日、ナンプーラ州マレマ郡では、二〇一五年四月のマスタープランの公聴会で疑問を口にした農民組織の代表が、地元政府関係者に付きまとわれ、プロサバンナ事業に同意し、村の家々を尋ねてプロサバンナ事業への賛同を呼びかけなければ投獄すると脅迫されたことを公表しており、日本のNGOによる二〇一五年八月の現地調査でも、この事実が確認されている。このような人権侵害の具体的ケースは、日本のNGOを通じてJICA及び外務省に逐次、報告されてきたと理解しているが、日本政府として、プロサバンナ事業に関連して生じているこれらの人権侵害事案に対し、報告を受けて以降どのように対処してきたのか、または今後対処するつもりなのか、明らかにされたい。

九 二〇一六年四月十二日にJICAモザンビーク事務所で開催された会議で、JICAが「ステークホルダー関与プロジェクト」の名称で資金を拠出して設置した「市民社会対話メカニズムMCSC−CN」の責任者であるコーディネイターAnto′nio Mutuoa氏が、三カ国の事業担当者に行った説明が明らかになっている。会議記録によると、同氏は、「我々は、「プロサバンナにノー キャンペーン」に参加するNGOやその支援者に対し、「(精神的に)働きかけるミッション」を実行に移す一方、むしろメカニズムのビジョンと手を組むよう(促す)活動に従事している。これを、マプト市(首都)でも州レベルでも、すでに実行した。」と述べたという。この会議記録には、JICAモザンビーク所長の署名も残されているが、この会議記録ならびに同氏の発言内容は事実であるか、あらためて確認されたい。

十 モザンビークの農村モニタリング研究所(OMR)によると、本年八月、JICAによってモザンビーク国内で公示された「マスタープランに関する農民や市民社会組織を含むステークホルダーの意見聴取と同プラン最終化」のためのコンサルタント契約に関し、JICA関係者がモザンビーク元農業副大臣を伴って同研究所を訪れ、応札を強く要請したとのことであるが、これは事実か確認されたい。事実である場合、競争入札の前提を蔑ろにする不正な対応と考えるが、日本政府の見解を示されたい。なお、同研究所は応札をしていない。

十一 本年十一月十五日のJICAの説明によると、前記十の公示事業(マスタープラン最終化)について、四社が応札した結果、JICAは前記九の発言を行ったMutuoa氏がコーディネイターを務めるモザンビークNGO「Solidariedade Mocambique(ナンプーラ州)」とコンサルタント契約を結び、六カ月で二十万六千百三十九・七五米ドル(約二千二百万円)を支払うという。現地の物価水準並びに去年から現地通貨価値が暴落していることを考えると、NGOへの同種の事業契約としては異例に高額な水準と考えられるが、この予算の内訳(積算根拠)とその妥当性を示されたい。

十二 現状、依然として、明確にプロサバンナ事業に異議を唱える農民や市民社会組織が多数あり、とりわけナンプーラ州農民連合が強い反対の立場を取り続けている中、公的な援助機関としてのJICAには、中立かつ公正さが求められるはずである。にもかかわらず、農民団体や市民社会の参加・参画を得るためのJICA事業において、四応札者の中から、前記九の会議記録に示されているような反市民社会的活動に従事し、プロサバンナ事業推進のために政府とともにブラジル等でも活発に宣伝活動を行うMutuoa氏の所属団体を選定し、巨額の契約金を与えるような決定を行った理由を示されたい。

十三 前記十一のJICAとSolidariedade Mocambiqueとの契約について、本年十一月八日、三カ国の市民社会組織は、「公正さを欠く」だけでなく、「JICAによる市民社会への介入と分断の促進」と強く抗議する声明を現地の新聞で発表したが(O Pais紙、Verdade紙)、その中で示された具体的批判についての日本政府の見解を示されたい。

十四 前記の通り、二〇一二年十月にUNACが最初に抗議声明を発出して以降、四年が経過するが、大変残念ながら、今に至っても、プロサバンナ事業は、本来のあるべき農業開発協力事業からかけ離れたところで、日本国民の貴重な税金が使われているのではないかという強い懸念を禁じ得ない。この状況について、日本政府としていかなる評価をし、そしてここから得られた教訓を、その他の地域も含め、今後の日本の国際協力事業の実施にどのように活かしていく所存か、政府の見解を示されたい。

  右質問する。

答弁書

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/192/touh/t192061.htm

内閣参質一九二第六一号
平成二十八年十二月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三 


参議院議員石橋通宏君提出モザンビーク農業開発のための三角協力プロサバンナ事業に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 「熱帯サバンナ農業開発プログラム」(以下「プロサバンナ事業」という。)に関して独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)が支出した金額について、現時点で確認している範囲では、平成二十二年度が約三百万円、平成二十三年度が約三億四千六百万円、平成二十四年度が約二億四千三百万円、平成二十五年度が約四億五千三百万円、平成二十六年度が約五億三千三百万円、平成二十七年度が約六億三千六百万円であると承知しており、これらの総額は約二十二億千四百万円となる。
 このうち、ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト(以下「マスタープラン策定支援プロジェクト」という。)に関する支出の総額は、約六億四千八百万円であると承知しており、平成二十五年九月から平成二十八年三月までの支出額は、約三億千六百万円であると承知している。

三について

 マスタープラン策定支援プロジェクトについては、その基本的な方向性について一部の現地住民の理解を得られておらず、JICAにおいて、モザンビーク政府に対し農民組織や市民社会団体との対話を粘り強く続けるよう働きかけるなどの取組を引き続き行っているところであり、現在まで完了するに至っていない。

四について

 モザンビーク政府、ブラジル政府及びJICAの間で作成されたプロサバンナ事業に関するコミュニケーション戦略(以下「戦略」という。)の実施に関連して、JICAが行った契約の?契約日、?契約期間、?契約金額及び?支払額を、相手方企業の名称ごとに挙げると、次のとおりであると承知している。
 CV&A社 ?平成二十四年十二月十四日 ?二か月 ?十三万四千五百五十モザンビークメティカル ?十三万四千五百五十モザンビークメティカル
 ITMZ社 ?平成二十四年十二月二十一日 ?三か月と十四日 ?十六万千百九モザンビークメティカル ?零モザンビークメティカル
 COLINASMOZ社 ?平成二十五年一月十一日 ?同年三月三十日まで ?三十万千二百七十五モザンビークメティカル ?三十万千二百七十五モザンビークメティカル
 CV&A社 ?平成二十五年八月一日 ?三か月 ?一か月当たり二十八万六千六百五十モザンビークメティカル ?八十五万九千九百五十モザンビークメティカル
 CV&A社 ?平成二十六年六月二十日 ?三か月 ?一か月当たり二十七万四千九百五十モザンビークメティカル ?八十二万四千八百五十モザンビークメティカル

五について

 戦略に基づく活動は、ブラジル政府及びJICAとの協力の下、モザンビーク政府が実施するものと承知している。モザンビーク政府及びブラジル政府がこの活動のために支出した資金の総額については、承知していない。

六について

 御指摘の文書は、CV&A社が作成した、戦略の実施に当たっての参考文書であり、JICAとしての見解を示す文書ではないことから、政府として、その詳細について説明する立場にない。

七、八及び十四について

 政府として、プロサバンナ事業をめぐる様々な意見があることは承知しており、モザンビーク政府に対し、現地住民の人権に配慮し、農民組織や市民社会団体との丁寧な対話を粘り強く続けるよう働きかけるなどの取組を行ってきている。政府として、こうした取組を通じ、戦略に基づく広報活動を含むプロサバンナ事業が現地住民の理解を得られる形で実施されるよう努めていく考えである。
 また、他の政府開発援助事業の実施に際しても、引き続き、開発協力大綱(平成二十七年二月十日閣議決定)に基づき、相手国・社会に与える影響等に十分な配慮を行っていく考えである。

九について

 政府として、個人の発言の内容について確定的に説明する立場にない。

十から十三までについて

 御指摘のコンサルタント契約については、政府として、御指摘のようにJICAが特定の者に対して応札を要請した事実はなく、また、JICAが企画競争により選定した者との間で行ったものと承知しており、適切に行われたものと認識している。また、当該契約の金額には、その受注者が契約において定められた業務を行うために必要な経費が積算されているものと承知しているが、その内訳の詳細を明らかにすることは、当該受注者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、差し控えたい。

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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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