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【公開質問状】プロサバンナ事業における「市民社会の関与プロジェクト」及び JICA契約現地企業MAJOL社について

独立行政法人 国際協力機構理事長 北岡伸一様
外務省国際協力局長 山田滝雄様

2016年1月25日

公開質問状

プロサバンナ事業における「市民社会の関与プロジェクト」及びJICA契約現地企業MAJOL社について


 日頃よりNGOの国際協力活動にご協力下さり、誠にありがとうございます。
 私たち日本のNGOは、これまでプロサバンナ事業をめぐる様々な課題、とりわけ現地当事者である農民及び市民社会との対話のあり方、またそれに伴う情報公開のあり方に関して状況改善を図るべく、外務省ならびにJICAと意見交換会を行ってきました。

 その結果、2014年5月12日に、岸田文雄外務大臣や田中明彦JICA理事長(当時)など責任ある立場の方々から「丁寧な対話」と「丁寧な作業」の重要性を確認する発言がありました。しかし、この度、現地社会で大きく問題となっていたマスタープラン・ゼロドラフトに関する「公聴会」に関連し、JICAが行った現地コンサルタント企業(MAJOL社)との契約について、不透明な内容と関与があり、様々な混乱や問題を引き起こしていることが明らかになりました。現地農民組織及び市民社会より、至急情報の収集と事実確認を行ってほしいとの依頼を受けました。つきましては、早急に以下の質問へのご回答を頂きたく、公開質問状としてここに送付する次第です。

 なお、コンサルタント契約の事実については、前回の第14回意見交換会(2015年12月8日)の際に、NGO側から照会したもので、その役割と活動計画について情報共有を求めましたが、JICAからは「今は答えられない」と繰り返されるのみでした。その際も、NGO側は、この契約の不透明性への疑問とこれによって引き起こされうる混乱への懸念を表明しました。その後、実際に契約コンサルタントの言動によって、現地でさらなる混乱と問題が生じてしまったことは、極めて残念でなりません。

 こうした事情を踏まえ、以下の質問について、2月2日までにご回答をお願いいたします。なお、JICAの担当者の方には、1月18日に面談した際(外務省同席)、口頭にて事実確認をお願いしており、既にその作業は進んでいるものと考えます。

質問1:MAJOL社との契約の具体的な内容を教えて下さい。
 MAJOL社との契約について、契約内容(契約者、期間、金額、目的、内容、工程表)をお示し下さい。また、MAJOL社によって現地(ナンプーラ市)で招集された「対話のためのワークショップ」(2016年1月11日〜12日)において、JICAとの契約により以下の業務を遂行していることが同社より参加者に説明されました。真偽について業務指示書と照らし合わせご回答下さい。

① 【業務1】ステークホルダーとの個別協議(independent consultation)、政府の当該各部局とのインタビューの上で、「ステークホルダー関与レポート」を作成する。
② 【業務2】ステークホルダーとの準備会合(複数)を組織し実施することで、一つの対話プラットフォームの設置がなされる。
③ 【業務3】上記の対話プラットフォームにおける最初の会合で議論をファシリテートし、ToRとその機能の合意がなされる。
④ 【業務4】契約期間内に、プロサバンナPDの協議プロセスのための提案が出されるように、対話プラットフォームの会合における議論をファシリテートする。

なお、現時点でも契約内容についてお答え頂けない場合には、その理由をお教え下さい。

質問2: MAJOL社がこれまで現地市民社会に行ってきた以下の言動について、それぞれ事実確認の上、ご回答下さい。

(1) MAJOL社は2015年11月より、市民社会・農民組織と「個別協議」を行っていますが、その協議対象先の団体名・組織名をすべて教えて下さい。また、その協議先をどのように選定したのか、その基準と選定手法についてお示し下さい。

(2) 上記「個別協議」の際に、MAJOL社のコンサルタントらが、「JICAの方針・考え」として下記の①~③を引用し、発言したことが記録されています。これらが実際に「JICAの方針・考え」であるか否かについて、ご確認の上でご回答下さい。

① JICAとしては、もし市民社会と良い形で仕事ができないのなら、プロサバンナは中断し余所に行くとまで言っている。日本の市民社会と国会の一部に対して、この事業を継続することたからだという。
② もう一度市民社会をテーブルに着かせることで、この壁を壊す(事業を前進させる)のが、「このキャンペーン(MAJOL社との契約による諸活動)」の裏のモチベーションである。JICAは、この「混乱(mess)を片付けて、早く仕事ができるようにしたい」と言っている。また、もし国会が合意した予算が実行に移されないのであれば、JICAは援助機関として失敗したことになる。となれば、JICAは将来的にどの援助予算も確保できなくなる。
③ JICAとしては、「プロサバンナをやるか、やらないか」について、モザンビーク人同士で席に着いて話し合ってもらい、間違いを知りたい。反対意見の人の意見も聞きたい。その上で、「プロサバンナを前に進める、あるいは閉じるか決めたい」と言っている。

(3) 2016年1月11日〜12日の市民社会組織を招集してのワークショップにおいて、MAJOL社は市民社会に対し以下の説明を行ったことが記録されています。これらのMAJOL社の発言を、外務省・JICAは承知していますか。また、話された内容は3カ国政府が合意したものであるか否かついてご回答下さい。

① プロサバンナに対する闘いで「市民社会は勝利した」。したがって、現在の問題はこれをどのように活用するかであり、市民社会はプロサバンナの対話にコミットし、交渉し、関与する必要がある。
② 「プロサバンナにノー」と言うことは、9,325,000,000Metical(約245億円)のお金を無駄にするということだ。日本の国会でこの件は議論されており、ここで君たちがプロサバンナの前進に同意しないと、全部の資金が消えることになるが、それでもいいのか?
③ 市民社会で別の農業開発計画を立てて、それを市民社会や農民が有効に使うべきではないか? そもそもJICAはモザンビークの現実を理解していないから、市民社会や農民組織の関与が不可欠だ。関与することで彼らを変えることができる。
④ 市民社会は、このお金と機会を利用(take advantage)すべきで、この機会を逃すと永遠に失ってしまう。JICAにはカネがある。だから、プロサバンナを前進させ、「(プロサバンナ)委員会」を作り、関与し、これを利用しよう。

質問3: 「対話のためのワークショップ」(2016年1月11・12日)に関連して、以下の点についてご回答下さい。
(1) 不適切な開催時期
 モザンビークでは、11月から4月までが雨季で農繁期となります。また、多くの団体・機関は12月半ばから1月後半まで長期休暇となります。このような時期に、農民組織や市民社会組織との「対話のためのワークショップ」の開催とその準備が急がれた理由をお教え下さい。
 なお、干ばつの影響で農民たちは大変な状態にあります。とりわけ北部では、雨が1月半ばまで降らず、現在、農民たちが急いで種を蒔き、食料危機を回避するために必死の努力を行っており、最も重要な農作業の時期となっています。

(2) ワークショップ開催通知の遅れ
 これまでのプロサバンナ事業における重要な「対話の相手」として、モザンビーク最大の小農組織であるUNAC(農民組織連合)がありますが、その事業対象州の支部(ニアサ州農民連合UPCN、ナンプーラ州農民連合UPC-N )が、1月11日(月)より開催されたワークショップの招待状を受けとったのが開催直前の1月7日(木)でした。
 このため、農民代表への周知、参加が困難であり、航路での移動が必要なニアサ州の農民連合に至っては一人も代表を送ることができませんでした。農民組織代表らの参加が重要視されるワークショップの開催手続きとして、深刻な問題と言わざるを得ません。 週末を含めた4日前に開催通知がなされた点について、その理由と見解をご説明下さい。また、他団体への通知時期も同様であったのかどうかご回答下さい。
 なお、同ワークショップは3州の4プラットフォーム/フォーラムが主催したことになっていますが、招待状はMAJOL社名で作成され、差出人も同様です。

(3) MAJOL社による現地メディアへの働きかけの可能性
 上記現地ワークショップの3日前の1月8日には日本の市民社会に対する誹謗記事、ワークショップ開催中の12日朝には1日目の結論として「プロサバンナの継続と前進が出席者によって同意された」という事実とは異なった記事が、政府系新聞「Noticias」で掲載されました 。同紙は、モザンビークで最も影響力のある新聞のひとつであり、これによって誤った情報が流布されたことになります 。
 一方で、ワークショップにおいて、「JICAが会議結果の新聞掲載を負担するので、コミュニケを作成しなければならない」との発言が確認されています。
 なお、先般JICAによって開示された「プロサバンナ事業における社会コミュニケーション戦略」等の文書によると、JICAが契約する現地コンサルタントが「モザンビーク内で新聞記事、テレビ・ラジオ番組の準備と執筆/制作に従事すること」が書かれています。
 これらの点を踏まえると、MAJOL社との契約に現地メディアへの働きかけや支払いが業務内容及び予算として含まれている可能性が示唆されます。真偽についてご回答下さい。

(4) ワークショップにおけるMAJOL社上役の暴力的発言及び行動
 ワークショップ1日目の休憩時間に、MAJOL社の上役(対外契約なども担当)が、会議の手続きや議事上の問題について質問したUNACスタッフに対して罵倒し、殴り掛かろうとしたところを同僚(MAJOL社)に抑えられて別室に連れて行かれ、会議再開の冒頭にこの同僚よりUNACスタッフに対し謝罪がなされたとのことです。同上役はその後ワークショップ(2日目も含む)に現れませんでした。
 私たちは、どちらの側に立つものでもありませんが、対話のためのワークショップにおいて主催者側のコンサルタントが暴力的言動を行ったという事実は、理由の如何に関わらず、コンサルタントの資質を疑わざるをえません。また、このコンサルタントを契約したJICAの責任も問われるものと思われます。事実を確認の上、お考えと今後の対応をお聞かせ下さい。

質問4:プロサバンナ事業が政治化されることへの日本政府の見解を教えて下さい。
上記の「質問3(3)」で示した政府系新聞「Noticias」紙の記事を書いたCarlos Tembe氏より、2016年1月21日に日本の市民社会関係者の個人アドレス宛に以下のメールが送られてきました。

モザンビークでは、プロサバンナ(への反対)はクーデターを行うために使われているという説があります。どの政党か私は知りませんが、別の政党が政権の座に着くために、フレリモ政権を引きずり降ろそうという試みだと言われています。あなたはこれにコメントしたいですか?

 まず、面識のない記者から個人アドレスにこのようなメールが送られてきたことに驚きと怖れを感じています。また、メール文によれば、同新聞社は「プロサバンナへの反対はフレリモ政権へのクーデター」という認識に基づき、記事化する意図があるようです。このような「説」はモザンビーク政府あるいは同国与党による理解でしょうか。私たちは、開発事業を政争の道具としてはならないと考えます。もし事実であれば、事業の存在によって、人々が危険に曝される可能性があり、社会配慮・紛争予防の観点から根本的見直しが必要です。至急ご確認いただき、ご回答をお願いします。

 なお、ご承知の通り、モザンビークでは、2013年から紛争の再燃が懸念される状況になっており、1月15日には、北部テテ州から4千人を超える難民がマラウイに流出したことがUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によって発表されています。20日には、最大野党レナモの事務局長の暗殺未遂事件が起き、同国の政情不安について世界中が注視しているところです。

 以上のような現地の政情並びに混乱状況を鑑みても、このまま契約事業(「市民社会の関与」)を進めることは現地の混乱をより深めるものとなります。JICA・外務省としての今後の対応についてお答え下さい。さらに、本契約事業に限らず、プロサバンナ事業の中断・中止といった抜本的な対応を真剣に考えるべき時期にきているように思われます。この点につきましても改めて考えをお教え下さい。


(特活)日本国際ボランティアセンター
(特活)アフリカ日本協議会
(特活)オックスファム・ジャパン
モザンビーク開発を考える市民の会
ATTAC JAPAN
No! to Land Grab,Japan

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「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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