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【日本語訳】10組織・連合によるマスタープラン公聴会に関する声明

プロサバンナ事業のマスタープランに関する公聴会に関する、現地からの2つ目の声明です。この声明は、ナンプーラやモザンビークにある農村開発や自然資源管理、市民社会の主要10団体・ネットワークによるものです。

一部翻訳を訂正しています。
こちらをご確認・拡散下さい。

5月15日に発表され、19日に現地の政府系新聞(Noticias)に掲載されているとのことです。
(末尾にノティシアス紙の紙面の写真を貼付けます)

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プロサバンナ事業のマスタープラン・ドラフトゼロの公聴プロセス(2015年4月)に関する公式声明
 【日本語訳】

モザンビーク共和国の法律では、投資プロジェクトの実施に直接あるいは間接的に関係する機関、経済アクター、コミュニティとの協議は、市民の人権を守るための重要条件の一つとされている。これらの関係者らが、協議に貢献し、知識を得て、エンパワーメントを強化することは、より大きな関与、調整やフレームワークを可能とする。

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農業食料安全保障省(MASA)と州並びに郡の行政機関は、2015年4月20日から29日に、ニアサ、ナンプーラ、ザンベジア各州のプロサバンナ事業が対象とする郡のレベルで、公聴会を開催した。

この声明に署名する市民社会諸組織は、プロサバンナ事業のマスタープランのドラフトゼロに関する公聴会プログラムに責任を有する主体に対して、関係文書の策定と開示、共有、協議のあり方を見直すとともに、公聴会の開催場所について社会的、地理的な観点から再考することを要求し、既に明らかになった数々の過失を正すため、新たな公聴プログラムを開始するよう求める。

以上に至った理由は次の通りである。

不適切で遅れた準備文書の共有

・ プロサバンナ事業を停止し再考するように要請した3カ国政府首脳宛の「公開書簡」、そして同事業によって発表された2013年9月のコンセプトノートに対する市民社会の抗議の後、マスタープランは本年の始めに共有されるはずであり、これを市民社会は待った。
  しかし、マスタープラン・ドラフトゼロは、次のインターネットサイトに、2015年3月付のものとして掲示があっただけであった。http://www.prosavana.gov.mz/files/files/N/0215/BIB27/1.Master_Plan_Draft_Zero_Main _Revisao.pdf(204頁) http://www.prosavana.gov.mz/files/files/N/0215/BIB27/2.PD_Summary.pdf
(39頁の要約)

不適切で不十分な、遅れた告知に基づく公聴会プログラム

・ 郡レベルの公聴会プログラムは、2015年3月31日の農業安全保障省のプレスリリースで告知され、月日に開始した。郡レベルでの情報アクセスの困難を鑑みると、20日間の告知期間は極めて不十分なものであった。
・ いくつかの団体は、公聴会の実施日程を含む公式情報(書状)を、月30日に初めて受け取った。なお、この書状は、農業食料安全保障省の事務次官によって、4月27日付で署名されていたが、公聴会の開始後何日も経ってからの案内であり、書状が届けられたのは公聴会終了の2日後のことであった。
・ プレスリリースの3頁には次のように書かれている。「公聴会の目的は、関係各位、とりわけコミュニティ全般、コミュニティの権威、公共機関、民間機関、学術界、生産者組織、市民社会組織に対し、マスタープランを示し、協議するためである」。しかし、市民社会組織のいくつかは、招待状も通知書も一切受け取っていない。
・ 4月27日付のプレスリリースの3頁には、次のように州都レベルの公聴会の日程が通知されている。つまり、キリマネ市(はや4月30日)、リシンガ市(5月8日)、ナンプーラ市(5月13日)である。

告知された内容を履行しない無秩序な公聴会

・ 公聴会プログラムは、郡都と各郡一つの行政ポストのみで開催され、地区では一つの公聴会も開催されなかった。
・ 参加希望者ら(“聴衆”)への事前の情報提供がないままに、開催時間や場所の変更が多くあり、関係者らの参加が妨害された。
・ 説明はポルトガル語でなされ、(冒頭の)プレゼンテーション部分は現地語に通訳されたが、議論の部分(質疑応答)には通訳がなかった。

包括的ではなく、効果のないプレゼンテーション

・ 公聴会は、郡行政府の小さな部屋で開催され、各郡の全人口を対象としていながら、50人から100名しか参加しないものであった。また、3時間ほどで、204頁に及ぶマスタープランのドラフトゼロが協議されなければならなかった。さらに、ローカルのレベルでの協議を可能とするためには、事前に住民が意見をまとめることが必要であるが、そのために不可欠な文書は十分な時間を持って提供されなかった。
・ 公聴会はどこでも同じような形式で行われた。まず参加者は、到着後に登録を行い、自己紹介がなされ、郡行政長あるいはその代理者による演説が行われた。この後、およそ1時間(通訳を含む)のプレゼンテーションがスライド(パワーポイント)を使用して行われ、マスタープラン・ドラフトゼロの説明がなされた。しかし、これらの説明は、大いに矮小化され、一般化され、楽観的で、表面的、かつ政治化されたものであった。公聴会の時間の多くがこのプレゼンテーションに費やされ、参加者による問題提起や指摘、プロサバンナ事業の関係者や郡行政府の応答やコメントの時間はごく限られたものであった。
・ 公聴会への参加者の大半が、政府職員であった。例えば、行政ポスト長、地区長、SDAEs(郡経済振興局)の技術者や普及員、学校の教員、看護士、そして警察官(その内の何人かは武器を携帯した)である。その他、地元のフレリモ(与)党の書記長らも参加していたが、事前に政府によって選ばれた農民や生産者組織やコミュニティ・リーダーらも参加した。
・ プレゼンテーション実施者は、提示されたいずれの疑問に対してもきちんと答えるだけの理解を示さなかった。これは、プロサバンナ事業の実施における小農の役割やメリットに関する疑問についても同様であった。公聴会に参加した人や団体に、マスタープランを事前に入手し、理解し、協議した者はいなかった。
・ プレゼンテーションで使われた言葉使いは、公聴会の対象たる公衆に対する説明に使われるものとしては不適切なものであった。

不正確で、一般化された表面的な説明

・ これらのプレゼンテーションでは、プロサバンナ事業は、農業セクター、とりわけ家族農業の問題として確認されるすべての問題の唯一の解決策として示された。プレゼンテーションによると、プロサバンナ事業は、小農、環境、農村社会に対し、リスクや危険性がまったくないプログラムで、その目的はナカラ回廊地域住民の生活向上のため農業開発の新しいモデルを導入することと説明された。
・ 政府やプロサバンナ代表は、プロサバンナはモザンビーク人のためのモザンビーク人のプログラムであり、ブラジル政府と日本政府の協力だけに依拠するものであるとのイメージ流布と説明が、組織的に、繰り返し強調された。しかし、これら二カ国の政府や国際協力機関の代表は、ただの一人も公聴会に参加しなかった。

公聴会で出された主要な疑問で回答されなかったもの

公聴会の間、様々な市民社会組織や宗教組織の代表者、そして生産者らによって、多くの疑問が持ち上がった。その中で、最も顕著だったものは次の通りである。

・ プロサバンナ事業の枠組みで既に行われている活動には、何があるのか?
・ プロサバンナ事業の実施によるネガティブな影響やリスクは何か?何故これらは、説明されなかったのか?
・ プロサバンナ事業が、土地の収奪や搾取を予防あるいは回避するために具体的に適応するメカニズムは何で、それをどう保証するのか?
・ プロサバンナ事業は、掲げられたすべてのゴールと目的を本当に実現できるのか?実際に、これらのコミュニティに対して行った約束のすべてを実施するキャパシティを持ちうるのか?
・ 「契約」の署名者らは誰なのか?契約栽培による生産のリスクを低減するために、どのような手法を導入するのか?
・ DUAT(土地利用権)の獲得を支援するための手順は何であり、コミュニティとの協議という条件を履行させるためにプロサバンナが行う支援は何か?
・ 小農らが、その主権に基づき、自らの食料安全保障並びに栽培作物を選ぶ自由を保証するために、プロサバンナ事業は何をするのか?
・ 環境保護のために、プロサバンナ事業では具体的に何がなされるのか?
・ 誰が、どのように、プロサバンナ事業とその活動をモニターするのか?
・ プロサバンナ事業においてジェンダー課題はどのようにアプローチされているのか?
・ プロサバンナ事業は、農産物価格が低いことについて、どのように解決するつもりなのか?
・ プロサバンナ事業は、生産支援のためどのようにインフラを改善するのか?
・ 農民支援や農業普及サービスをどのように改善するのか?

これらの問いに対する回答の大半が漠然としていたため、より多くの者に疑念をもたらす結果となった。これに直面したナンプーラ州のプロサバンナ事業のフォーカルポイント(担当者)は、「表現の自由」「時代の要請」という言葉を使って、自己正当化しようとした。その結果、プロサバンナ事業に関する疑問や、同事業がもたらしうるネガティブな影響に関する明確な回答を求める様々な声が、郡行政代表者ら(郡行政長あるいはリーダーら)に対して出された。一方、これらの郡行政府代表らは、プロサバンナ事業を受け入れるように参加者にアピールする演説を行うのみであった。

郡行政府の代表らは、いくつかの公聴会で、疑問を口にしたり、異論を唱える地元出身者ではない参加者を「侵入者(押しつけ)」と呼び、これらの人物を傲慢な態度で攻撃した。公聴会の場で、モナポ郡長は次のように述べた。「大都市から来た人間は農民の代わりに話す権利を持っているかのように振る舞うが、畑が何かすら知らない。(中略)日当を稼ぐために農民の名を利用している」。そして、「外からきた者」(市民社会、学術界、その他の政府によって公聴会参加者として事前に選ばれていない者)が、プロサバンナ事業の活動についてアジテーション(煽動)を企てているかのような言及がなされた。

結論からいうと、マスタープラン・ドラフトゼロの公聴会は、以下のような過ちを犯したものであった。

・ プロサバンナ事業の諸活動実施後の開催
・ 手法において不十分で遅れた共有
・ 地理的公平性を含む明確な基準なしの、理由なき低い地理的カバー領域(地区の数)
・ 小農や小農アソシエーションの限りなく低い参加。その一方で、公聴会参加者の大半が政府職員によって占められた点
・ 過度に急がれた説明と、参加者らが提起した疑問点への明確な回答が皆無であった点
・ プログラムに関する情報公開、参加者との協議と理解のための公聴会であるべきところが、プロサバンナ事業への動員とプロパガンダの性格を持った会議であった点。

公聴会に、制服を着衣した警察官(一部に武器を携帯)が同席したことは、極めて不当なものであり、脅迫行為と受け止められた。

以上を踏まえ、この声明に署名する市民社会諸組織は、マスタープラン・ドラフトゼロの公聴会を不十分で、未完で、部分的で、プロパガンダ的なものと考え、主要な経済アクターである小農や小農を代表する諸組織との協議はまったく行われなかったと総括する。

この声明に賛同する団体らは、プロサバンナ事業のマスタープラン・ドラフトゼロに関する公聴会の責任主体が、公聴会プログラムの告知・情報共有・協議のあり方を見直すとともに、公聴会が開催される場所について地理的並びに社会的な観点から再考し、以上に特定された過ちを正すために、新たな公聴会プログラムを開始することを要求する。

市民社会は、プロサバンナ事業の規模の大きさと影響の重大さを鑑み、同事業がモザンビーク共和国議会の議題として取り上げられ、議会で協議されることを推奨する。

2015年5月15日


• Observatório do Meio Rural(農村監視研究所 *農村開発政策に関する調査・研究・討論のための研究機関)
• FACILIDADE(Instituto para Cidadania e Desenvolvimento Sustentaval 市民権と持続可能な開発のための研究所)
• AENA (Associacao Nacioinal de Extensao Rural 農業普及員全国協会)
• Plataforma Provincial da Sociedade Civil de Nampula(ナンプーラ州市民社会プラットフォーム *同州内200以上の農民・市民社会組織の連合体)
• HELVETAS(Swiss Intercooperation *スイスの開発協力NGO)
• FONGA(ガザ州NGOフォーラム)
• Solidariedade Moçambique(モザンビーク連帯機構)
• CARE(ケア・インターナショナル)
• WWF(世界自然保護基金)
• Aliança das Plataformas das Organizações da Sociedade Civil na Gestão dos Recursos Naturais (自然資源管理分野市民社会組織プラットフォーム同盟 *モザンビーク13団体の連合組織。全州で活動)

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2015年5月19日付 政府系新聞Noticiasの全面広告記事



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MozambiqueKaihatsu

Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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