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【邦訳】カトリック大司教区・正義平和委員会「マスタープラン公聴会の即時停止と無効化の要求」

カトリック教会と現地市民社会の声明を最終日本語訳に差し替えました。

原文(ポルトガル語)
https://adecru.wordpress.com/2015/05/11/exigimos-a-suspensao-e-invalidacao-imediata-da-auscultacao-publica-do-plano-director-do-prosavana/

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共同プレスリリース
カトリック・ナンプーラ大司教区正義平和委員会並びにADECRU


「プロサバンナ事業のマスタープランの公聴会」の即時停止と無効化の要求

“予言者の口を塞ぐとしても、石が声をあげるだろう”

社会的約束と使命に動機づけられたカトリック・ナンプーラ大司教区正義平和委員会とADECRU(農村コミュニティ開発のためのアカデミック・アクション)は、人権と人間の尊厳の擁護のため、モザンビーク・ブラジル・日本の諸政府を代表して、モザンビーク農業食料安全保障省(MASA)によって推進されたプロサバンナ事業のマスタープラン「ドラフトゼロ」に関する公聴会の諸会議に参加し、これを注視してきた。これらの公聴会は、2015年4月20日から開始され、5月にも継続されることになっているが、不安と憤りを禁じ得ないでいる。この公聴会は、ナカラ回廊のコミュニティ、市民社会、農村運動による反論の余地のない批判と根本的な要求 ——つまり「プロサバンナにノー」といい、この国の農業開発において最も優先されるべきものの定義のため、民主的で透明性が担保されインクルーシブな対話のメカニズムを設置することの要求———への3カ国政府の正式で表面上の回答であった。

2015年4月20日から29日まで行われた公聴会の郡レベルで招集された会議は、ナンプーラ、ニアサ、ザンベジア州の19の郡都と行政ポストの一部で行われたにすぎないが、その終了を受けて、ADECRUとナンプーラ大司教区正義平和委員会は、深い憂慮と憤りをもって、以下を表明する。プロサバンナ事業のマスタープランの「ドラフトゼロ」の公聴会における、農業食料安全保障省の代表者ら、郡行政関係者らによる意図的な混乱、政治化、排除、透明性の欠如、脅迫、部族主義化、党派政治化、及び操作を拒絶し、関係機関に同公聴会の即時停止と無効化を要求する。

全38の公聴会の内、我々が参加した24の公聴会(ナンプーラ州:ナマイタ、ムトゥアリ、ルルトゥ、コラネ、ネイタ、ナイルビ行政ポスト。ラパレ、モゴヴォラス、メコンタ、モナポ、ムエカテ、マレマ郡、ザンベジア州:グルエ、アルトモロクエ郡、ニアサ州:マジュネ、サンガ郡)で得た情報とデータに基づき、このプロセスを評価し総括するならば、この公聴会は数多くの深刻な不正行為に満ちたものであった。そして、これまでモザンビーク、ブラジル、日本社会によって公にかつ広範囲に非難されてきたプロサバンナ事業の手順と構想において繰り返された悪習の蔓延が再確認された。

まず、すべての公聴会において、当該公聴会プロセスの法的・司法上の根拠に関する質問がなされたが、一人の政府関係者もこれに回答することができなかった。 例えば、ナンプーラ州に派遣された農業食料安全保障省の代表者、エウラリア・コメとニナ・マンガニェラ、そして州レベルのプロサバンナ事業の責任者(ジョアキン・トマス、アメリコ・ウアシケテ)は、当該協議を可能とする法的な根拠について質問されると、大きな困難に直面した。公聴会プロセスは、法の統治への敬意を欠き、法的に不適切な状態のまま開始され、実施されたのである。プロサバンナ事業は、その開始以来、その構想、立案、実施において、数々のそして次から次へと生じる不正の下で、問題のある形で進められてきたが、この公聴会のプロセスで生じたことは、このように事業の形成期から蔓延してきた治し難い悪習が反映されているといえる。

このように、マスタープランに関する公聴会を実施するにあたっての法的根拠が不明であるにもかかわらず、農業食料安全保障省は国民の情報アクセス権(知る権利)によって確立された「民主的な参加の原則」、「透明性の確保の原則」、そして「最大開示の原則」といった第6,7,8条に無惨に違反した。同省は、プロサバンナ事業のマスタープラン初稿に関する公聴会が4月20日から29日まで開催されることについてのプレスリリース(2015年3月31日付)を、郡行政府や行政ポストの事務所、公共スペースやコミュニティ内に公開し、掲示することもしなかった。

情報の「最大開示の原則」は、次のように確立されている。「この法律が適用される公的および民間機関は、この法律とそれが適用された法令の下において、例外なく、市民が自分の力で公益に関する情報を入手できるよう、法的に許可された様々な手段によって情報を開示し、市民の情報アクセスがますます可能になるようにする義務を負う」。

情報アクセス権に関する法律(情報公開法)では、「民主的参加の原則」は次のように定められている。「公共の生活における市民の恒久的な民主的参加は、公益に関する情報へのアクセスを前提とする。これらの情報へのアクセスは、市民が公共の事項の管理(統治)のあり方に関して自らの意見を持ち、それを表明することを可能とすることを通じて、公権力を行使する主体の意思決定プロセスに影響を及ぼす」。

農業食料安全保障省の代表として参加したエウラリア・コメは、法的根拠に関する再三の質問を回避しようと空しく努力した。しかし、同省は、2006年7月19日に公布された省令第130/2006号によって「環境影響評価(AIA)のプロセス」として「公衆参加のプロセス要綱」を定めており、これによって確立された「公衆参加プロセスの基本7原則」を有しているが、今回の公聴会プロセスはそのいずれの要綱も遵守しなかった。当該要綱には、7原則が次のように明記されている。a) このプロセスの期間中における、適切な情報へのアクセスビリティと入手可能性の担保、並びに技術的な支援を含む学習能力の提供の原則 、b) 幅広い参加の原則、c) 代表性の原則、 d) 独立性の原則、e) 機能性の原則、f) 交渉の原則、g) 責任の原則である。

「代表性の原則」は、次のように定められている。「公聴会あるいは協議のプロセスにおいて、市民社会のすべての特定セグメント並びにその他の関係者−—特に直接的な影響を被る人びと−—が代表されるようしなければならない。この活動によって影響を受ける地域の人口の少なくとも20%の参加が保証されなければならない。公聴会等が、活動地域から地理的に遠い所で開催される場合は、この活動に関係したり直接影響を受ける機関/組織の少なくとも50%の参加が保証されなければならない。」

「交渉の原則」は、次のように定められる。「影響を被る者と関係者の中の異なる利益を有する者が互いに近づき、信頼の基盤を形成することを可能とするメカニズムとして理解されなければならない。また、この活動によって生じる結果や導入によって起こると予想される悪影響に関する情報の開示を伴わなければならない。異なる社会集団の利害の衝突を管理し、低減することを支援しなければならない」。

「責任の原則」は、「公聴会や協議のプロセスは、すべてのアクターの懸念に対して忠実で責任ある形で行われなければならない」とされている。

我々、ADECRUとナンプーラ大司教区正義平和委員会は、農業食料安全保障省が、郡行政府やSDAE(郡経済活動振興部)を使って、 関係者の参加を大幅に制限し、条件付けたことを確認した。つまり、公聴会参加希望者のSDAEでの事前登録や、公聴会の会場入口で参加者に招待状を提示することを要求したことは、これらの協議への住民の参加を不可能とした。これは、最も深刻な形でニアサ州において生じた。

ADECRUとナンプーラ大司教区正義平和委員会が参加したすべての公聴会において、参加者の過半数が公共セクターや政府の職員で占められた。この中には、国家公安警察(SISE)の郡トップばかりでなく、各人による自己紹介で表明されたように、FRELIMO(与)党の下部組織であるOMM(モザンビーク女性組織)並びにOJM(モザンビーク青年組織)のメンバーらが含まれた。

4月20日に開催されたナンプーラ州ラパレ郡都での最初の公聴会以来の実態としていえることは、プロサバンナ事業の関係者らも農業食料安全保障省の代表者らも、示された質問の大半に答えようとはしなかった点が挙げられる。そして、各公聴会の開催前に、密室での事前会合にレグロ(伝統首長)と上記のグループの人びと(政府・与党関係者)が集められ、この協議に出席しようとするごく僅かの数の小農の表現の自由すらも限定し、押さえ込むための任務を担うよう訓示がなされた。いくつかの公聴会での郡長による開会の挨拶は、威圧的なスピーチが圧倒的であった。例えば、モナポ郡都では、次のようなスピーチが郡長によって行われている。

“プロサバンナ事業は政府のプログラムであり、前に進められなければならない。反開発者らの声など聞く事はできない。プロサバンナは、農民を利用することによってお金を稼ぐ市民社会の人びとによってではなく、モナポの人びとによって論じられなければならない。したがって、モナポでは、この事業は賛成されなければならない」。
サルヴァドール・タラパ(モナポ郡長)

ADECRUとナンプーラ大司教区正義平和委員会が 監視した24のマスタープラン初稿に関する公聴会の大半が、少なくとも30分以上遅れて開始された。例えば、モヴォゴラス郡都のナメティルでは、公聴会は9時に開始予定であったものが、1時間半遅れて10時30分に開始された。同じ郡のイウルトゥ行政ポストでは、13時に開始予定であった会議は13時46分にようやく開始された。さらに深刻な事態としては、事前に公表されていた日付や時間が変えられていた点である。これは、特にニアサ州とナンプーラ州で発生したが、市民社会の代表らの参加や批判を避け、また彼らの意見への他の参加者の賛同を防ぐ狙いで行われたと理解される。例えば、4月25日に行われるはずであったニアサ州マジュネ郡ナイルビでの公聴会が、突然1日早めて開催された。マレマ郡ムトゥアリでは、4月27日の13時に開始されるはずであった公聴会が28日に変更される一方、マレマ郡都で4月28日に開催されるはずの公聴会が前日に開催されていた。

法律違反による正当性の喪失、そしてモザンビーク社会の広範なるセクター、とりわけナカラ回廊の小農諸組織やコミュニティによるプロサバンナ事業の拒絶は、農業食料安全保障省やモザンビーク政府自身にすら法的根拠が分からない「公聴会」として設定され偽られる会議をもってしても、回復させることはできず、致命的な結果をもたらしつつある。この公聴会は、法に反し、環境影響評価の定める原則のごく一部すら遵守せず、国民から情報アクセス、インフォームドコンセント、民主的な参加の権利を奪い去った。

我々は、政府が法律の違反者になってしまったことに遺憾の意を表するとともに、社会的に、また憲法によって勝ち取られた国民の権利を受け入れない政府の姿勢に抗議する。そして、ブラジルと日本との三角協力を押し付けることで生じるであろう、およそ450万人ものモザンビーク人、とりわけ民衆や小農コミュニティが被る破滅的影響を拒絶するものである。

プロサバンナ事業とマスタープランの公聴会プロセスで生じていることは、500年以上にわたる外国による占領に対して抵抗し、土地と男女の解放のために十年もの年月を闘ったモザンビークの小農やコミュニティが、歴史において成し遂げてきた到達点への侮辱である。

プロサバンナ事業やブラジル・日本のアグリビジネスの導入を正当化するため、現地の小農やそのコミュニティを 、生産性の低さ、森林喪失、人口増加において非難している点は、重大な誤りであるばかりではなく、自由な農村男女の知性への侮辱であり、これは破棄されなければならない。ブラジルや日本のアグリビジネスを促進するために、住民や小農コミュニティの土地に侵入し、これらを土地から排除することは、モザンビーク共和国憲法第14条にある通り、外国による占領を促進することと同じであり、抵抗されなければならない。第14条は次のように記される。「モザンビーク共和国は、外国による支配に対して、モザンビーク民衆が行った英雄的闘争と抵抗を賞賛する」。

三か国政府は、小農の食料主権を優先し、小農によるアグロエコロジー的な農業に投資をするべきである。この農業とは、栽培作物に注目するのではなく、地域の生産システムに根ざし、家族生産のロジックを破壊するものではあってならず、経済的な側面にばかり焦点をあわせるのではなく、次のものへの配慮を包含すべきである。つまり、地理的な空間利用のロジック、社会的で文化人類学的な諸次元、農村金融へのアクセスの政策、農業普及サービス、公共的な灌漑のシステム、気候変動への耐性を持った在来の種の見直しと奨励、生産能力向上のための農村インフラの整備、農村での市場化への支援とインセンティブの付与を実現する政策である。これこそが、モザンビーク人の主権に根ざした、持続可能な解決策である。

PEDSA(農業セクター開発戦略計画)は、2011年に発布され、国のすべての地域を対象範囲とし、ナカラ回廊の農業開発のための戦略的基礎とアプローチを形成した。プロサバンナ事業の提案者らは、「プロサバンナは、モザンビークの生産と生産性の向上、食料の安全保障と多様化に貢献するものであり、国の人的開発を促進するものである」という、PEDSAによって既に定められ保証されている目的を、自己弁護における最大の主張として悪用している。しかし、プロサバンナ事業の国民的プライオリティに反する真の目的は、マスタープランからわざと外されていることは周知の事実である。

技術的な側面において、マスタープランのドラフトゼロの策定を導いた方法論の基礎は、初歩的で欺騙に満ちたものであり、これが有効とされるために必要となる最低限の科学的厳密さすら欠いており、公聴会にかけられるに値しない。このドラフトは、その策定者らが、モザンビークの農業開発をめぐる文脈、障壁、プライオリティを深く理解していないことを露呈している。

そして、農業生産性のみが中心目的となっており、そもそも何故生産性が低いのかの様々な理由についてまったく考慮しておらず、ただ休閑農耕のみが主犯とされている。このような結論は、誤ったものであるばかりでなく、情報操作されたものであり、かつ科学的な根拠が薄弱で、バイアスに基づくものである。過去の多くの研究が示している通り、休閑農耕は、肥沃な土壌を保全するものであり、そのことにより生産性が向上することについては、過去20年間のトウモロコシ、豆類、落花生の栽培がもたらした経験からも明らかである。

さらに、このマスタープランは、休閑農耕を打倒することを宣言しているが、これは土地の利用権の個人登記や化学肥料の大量投入とインセンティブ付与が手法として書き込まれている。このような手法の最終目的は、投資を奨励するための土地を捻出することにあり、公共政策の名の下に正当化される土地収奪メカニズムを提供することになる。以上については、当時の農業省(MINAG)によって発表された文書である「プロサバンナ事業のコンセプトノート」を想起させるが、同ノートでは、ナカラ回廊に土地銀行を作り出すことで、アグリビジネスを促進しようという目的が明確であった。

プロサバンナ事業のマスタープラン初稿に関する公聴会のプレスリリースによると、「この調査研究は3カ国の技術チームによってなされ、2012年から2013年までモザンビークの市民社会組織や生産者らと話し合われた」と書かれている。これに対し、ADECRUとナンプーラ大司教区正義平和委員会は、このような受け入れ難い大いなる虚偽を否認する。なぜなら、そのような調査研究の結果は一度も公表されないままであり、そのデータや成果文書の行方すら不明だからである。したがって、我々は、この機会に、農業食料安全保障省が記す通り、本当にこのようなものが存在するのであれば、これらの調査結果の即時開示を要求する。また、プロサバンナ事業に関する如何なる議論も(これにはマスタープランの公聴会も含まれるが)、同省やモザンビーク政府の代表者らだけでなく、上記のプレスリリースで記されている通り、「3カ国技術チーム」の出席の下に行われるべきであると主張する。なぜなら、モザンビーク政府あるいは農業食料安全保障省の関係者のいずれもが、マスタープラン文書の内容を理解していないのは、多くの場合で明らかだったからである。

現在、モザンビークの国民は、平和と民主主義の定着と深化において、厳しく決定的な課題に直面している。我々は、社会正義と平等の実現の岐路にあるが、これはモザンビーク・カトリック司教会議(CEM)の常設委員会が行った次の勧告(2012年)の通りである。

「したがって、我々は、民主的共生、平和、共通の利益に影響を及ぼす問題を解決するため、参加型で取り組み、真剣に国民のウェルネスに資するため和解する必要がある。また我々は、公的責務を有するすべての者に対し、公益の追求のため、正義と透明性を担保するよう一段と努力することを要請する。何故なら、この国の財産には所有者も主人もおらず、すべての国民こそがその所持者だからである。(中略)したがって、あなた方に使命を託した人びとの名において、すべての市民社会組織と政治勢力と協力し、同じモザンビーク人同士の間で拡大するばかりの社会的不公平を撲滅するよう努力することを要請する」。

ADECRUとカトリック・ナンプーラ大司教区正義平和委員会は、この国と世界に対する人権と人間の尊厳の擁護のための社会的使命と約束を再確認する。

ナンプーラ市、2015年5月11日

カトリック・ナンプーラ大司教区正義平和委員会
農村開発のためのアカデミック・アクション

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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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