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【記事】AgroMoz等アグリビジネスによる土地収奪

モザンビーク現地新聞Verdade紙 2014年10月24日記事(仮訳)
「リオマ郡で何百人もの農民ら土地を追われる」  




モザンビークのプロサバンナ対象地の一つであるザンベジア州グルエ郡で生じているAgroMoz社の大豆生産を目的とした土地収奪に関する続報で す。日本企業についても言及がありますが、ポイントはこの投資が、2011年に強調されたプロサバンナの大豆生産計画の流れに沿って行われている 点です。

AgroMoz社には、モザンビーク前大統領の関連会社、ブラジル大豆企業、プロサバンナのブラジル側コンサルタント機関(元)が関与していると されています。
同社の詳細は、国際市民社会の声明を参照して下さい。
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/data/2013.4.29masterplan.pdf

同社の活動並びに土地収奪については、日本でも現地調査に基づき以下の報告が行われています。
・2013年度の現地調査の報告
「ProSAVANA市民社会報告2013」参照
→http://www.dlmarket.jp/products/detail/263029
・2014年度の現地調査でも調査を行い、報告しています。
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy/prosavana-jbm.html

以下は、2014年10月のモザンビークの現地報道記事の全訳です。



ザンベジア州とナンプーラ州の境界にあるリオマ地区ワクア領の千を超える小規模農民(小農)が、ブラジル企業・AGROMOZ社(*訳者注:モザンビーク前ゲブーザ大統領の企業との合弁)による3千ヘクタールに及ぶプランテーションでの大豆生産のために、土地を追われている。土地収用のプロセスは不透明なままで、住民らは元々もっていた財産に見合わない補償しか受け取っていない。被害者らには、移転先が準備されなかっただけでなく、自給のための食料生産用の新しい農地すら提供されなかった。

ナンプーラ州マレマ郡ムトゥアリ地区の複数の農民フォーラムは、住民移転についての政府のイニシアティブを非難した。このような事態は、アグリビジネスによる(農業)プロジェクトを可能にするための土地収奪の一環として起きている。ナンプーラ州とザンベジア州の二つの郡——とりわけマレマ郡とグルエ郡では、ブラジル農業事業者の出現の結果としてこれが生じており、アグリビジネスはこの地域の小農らの土地を収奪し、彼らを自社の労働者に変容させようとしている。

マレマ郡ムトゥアリ地区イアパカの小農フォーラム代表のペドロ・カルロス氏は、同地区内のナカラリ村と境界を接するリオマ地区ワクアの千近くの小農らの追放について警鐘を鳴らす。同氏によると、2012年、ブラジルが参与するAGROMOZ社の大豆生産プロジェクトのため、リオマ地区で土地を収容された小農の数は千を超え、これらの小農は農業を営むための土地を探してムトゥアリへの移住を余儀なくされているという。
「我々は毎日のように家を建て、畑を拓くための一片の土地を探しにくる家族を受け入れている」と、カルロス氏はいう。また、同氏は、政府による外国からの農業者へのDUAT(土地利用権)の適応プロセスの不透明性は、「土(農)地なし」コミュニティを生み出しており、生存のための代替策が減じた結果、被害住民の困窮化と社会動乱が起きかねない事態となっているとも指摘した。

これら移転先を探す小農らを受け入れているムトゥアリ地区ナカラリ村の書記長アゴスティーニョ・モセルネア氏は、ブラジルによるプロジェクトのための土地割譲プロセスのすべてを目撃したという。つまり、これは、ザンベジア州政府とローカル・リーダーシップにより、ナカラリ・レグロ(伝統的権威)を通じて行われたものであった。モセルネア氏は、プロセスのすべての局面で、他のリーダー達に警戒が必要である旨を警告し続けたが、これは重視されなかったばかりか、お金を受け取るなどしていたためこれを無視した者もいたという。
「このプロセスは2012年初頭に始まったもので、その際AGROMOZ社は、大豆やメイズやフェイジャン豆といった作物の発芽状況を調べるための試験圃場用の土地200ヘクタール程の獲得を予定しているとの説明だった」という。そして、同氏は(当時このようなプロジェクトは)若者の雇用に役立つため地域住民のメリットにもなると考えていた。また、AGROMOZ社は、保健センターと学校を建設するとの約束もしていた。しかし、1年が経過しても、これらは全く実現されていない。

反対に、土地が割り当てられた途端、農民らは2000〜6000メティカル(6千〜1万9千円)を受け取っただけで、地域から追い出されてしまった。この最初の補償供与は地域の小学校の校舎内で行われたが、それは地域の小農らが集まっていたところに、ナカラリ・レグロの推進のもと、グルエ郡行政府からの指示で突然(AGROMOZ社により)行われたものであった。モセルネア氏は、「(これらの住民や土地は)異なるレグロ領(ワクア・レグロ領)に属しているため、ナカラリ・レグロに代表性がない問題について忠告したが、同レグロは話を聞こうとしなかった。彼は(AGROMOZ社より)お金を受け取っており、住民らに退去するように命じた。その結果は、何百という家族が漂流生活を行う事態である」と述べている。

モルセネア氏によると、AGROMOZ社は、2012年は500ヘクタール、翌年には千ヘクタールを超える、住民らが追い出された土地で生産を開始し、小農らによる批判や抵抗を引き起こしている。

■土地を明け渡さなければならなかった住民
マリアナ・ナロコリ氏は、ザンベジア州(グルエ郡)リオマ地区ワクア村で生まれ育った。3人の子どもの母親であるが、上の2人の子どもは学校を辞めざるを得なかった。というのも、AGROMOZ社のプロジェクトによってその土地が奪われたため、移住を余儀なくされたからである。
この農民女性は説明する。
土地割譲のプロセスが始まってから、レグロに集会に参加するよういわれ、AGROMOZ社のプロジェクトのため、住民が土地を明け渡すことは義務であるとの通告がなされた。「見る事もできない文書への署名が強制され、たった4500メティカル(1万4千円)をもらっただけだった。1週間もすると、ブルトーザが現れ、私の家と畑の作物を破壊した。眠る場所すら失い、ナカラリ村に助けを求めなければならなかった。そこで、避難のための小屋を建て、耕すための土地が一片提供された」という。

しかし、(移転のため)遅れて始めた新しい畑では作物は良く育たず、生産は不十分なものとなるだろうとの懸念が表明された。「他に代替案はなく、葦で作る部屋なしの小屋を建てるしかなく、また食べ物を確保するために裏作を行った。そのため、商品作物の生産には間に合わなかった」と述べた。
フェルナンド・キナカラ氏は、リオマ地区の住民であり、AGROMOZ社のプロジェクトの被害者の一人である。5人の子どもの父親であり、先祖代々相続してきた3.5ヘクタールの土地で行う農業に依存して生きてきたが、その土地を失った。AGROMOZ社は、補償金として6500メティカル(2万円程)を定めたが、失った農地に見合った補償額ではないとキナカラ氏は述べる。「そんな酷い額を私は受け入れなかった」という。彼は、そもそもメイズを40袋、大豆を20袋、その他の作物を生産していたが、それらを生み出していた農地を離れることを強制されたという。現在の生産量は、メイズ10袋、大豆2袋に過ぎない。

「他に選択肢がない。このプロジェクトを止めるためのすべてのメカニズムに助けを求めたい」とフェルナンド・キナカラ氏はいう。「保健施設の建設という情報は喜ばしいが、実際には何も起きてない。依然として住民は保健サービスを受けるために長距離歩き続けている」。

■近隣地域への空中農薬散布
地域住民によると、AGROMOZ社は、大豆生産のため500ヘクタールから千ヘクタールに獲得農地を拡大した後、空からの農薬散布を開始した。その結果、このプロジェクトサイトのすぐ近くに住む家族らの食料作物の発達が抑えられたばかりでなく、住民の間に呼吸困難を引き起こした。
「2013年—2014年、AGROMOZ社の従業員がきて、小さな飛行機で農薬散布を行う際には、この薬剤によって引き起こされる中毒症状の可能性を防ぐために家を離れるようにとの説明がなされた」とアゴスティーニョ・モセルネア氏は述べた。(農薬散布後)すべての住民に風邪のような症状が現れ、植物の中に枯れるものが出た。この事態は企業にも認識されており、この状況を調査分析するためのチームが派遣された。少なくとも(枯れた)作物について、企業は必要な交換を行う事を約束したが、実際は何もなされていない。

■政府は小農らの批判を矮小化
Verdade紙は、ザンベジア州農業局長であるエリジオ・バンデ氏にアプローチし、リオマ地区の小農らの懸念についての見解を求めた。同氏は、モザンビークの当該地域において土地収奪は起こっておらず、その(土地収用)プロセスはすべて法的手続きに沿っていると述べた。
このプロジェクトにおける関係者——特に地域住民ら、コミュニティのリーダーら、このイニシアティブの投資家ら−—は、当該地域において2度のコミュニティ集会と一度の公聴会が実施されており、国内市場に大豆を供給する目的でこのプロジェクトに土地が割譲されると、パンデ氏は主張する。そして、政府は、この10月に、AGROMOZ社に対し、リオマ地区の9000ヘクタールもの土地のDUATを40年間の猶予で与えたという。この措置は、土地のコンセッションの付与は2年以上の試験的開発後にのみ行われるとの法律に推奨される事項と合致していない。農薬散布については、モザンビークではこれが許可されており、環境分野における基準を満たしているとの見解が表された。
AGROMOZ社の代表は、その名前をハイネとだけ確認されたが、ブラジル人であり、プロジェクトの実施プロセスにおける不規則性については距離を取る一方、早い段階で大規模な農業生産を実現し高い発芽率を有する種子を特定するため、多様な種類の大豆の種子を試験するための圃場を作り出すことに注力していることは認めた。ハイネ氏は、小農らに提示された問題については何も言及しないまま、今季、ブラジルのAGROMOZ社は1600ヘクタールの農地から2300トンの大豆を収穫する計画であると述べた。

また、ハイネ氏は、プロジェクトによって生じたすべての過ちが、証拠とともに正式な形で示されるのであれば、同社はこれを正すことについて妥協を行うと述べた。また、このAGROMOZ社の責任者は、日本のある企業が同社との際立った量の大豆の取引に関心を寄せていることも明らかにした。ただし、この日本企業の(大豆の)要求量が膨大なために、未だ新しい情報はないとのことであった。

「輸出のためには、さらに多くの化学肥料や行政的手続きのための投資プロセスが必要である」と述べた。ハイネ氏によると、より生産性の高い(大豆の)種子を特定するための実験を必要とする初期段階では、生産したトウモロコシとフェイジャン豆を試験的に地元住民に販売することを目的とする予定だという。

■社会的責任のプロジェクトというが
AGROMOZ社は、企業の社会的責任の名の下、地域の住民が保健サービスを受けるため歩かなくてはならない距離を減らすために保健施設の建設を約束した。しかし、住民によると、(農業投資)プロジェクトが開始されてから数ヶ月後、AGROMOZ社はテントを一つはり、住民に医療サービスを提供したが、そのイニシアティブは継続しなかった。2週間が経過すると、このテントは撤去され、住民ら、とりわけ妊婦らの願いを打ち砕いた。
AGROMOZ社の担当者は、「保健施設と学校を建設する計画がある。我々は、これらの学校や保健施設にスタッフや資材を配置するよう、企業トップから保健省と教育省に対し、しかるべきコンタクトがなされることを待っているところ」と請け合った。

■市民社会はこのプロジェクトに異議を唱える
モザンビークのコミュニティの福祉のために活動するLIVANINGOの天然資源部門コーディネーターのシェイラ・ラフィ氏は、リオマやムトゥアリの住民が直面する状況——とりわけAGROMOZ社に関連して生じている状況——に関して懸念し、注目していると述べた。
「法の下に、コミュニティがその場所から追放され、移転を余儀なくされることは許されない。このような種類の、民衆の福祉に反した行為を取り締まらないのであれば、政府はあまりに無責任である」と述べた。同コーディネーターによると、AGROMOZ社によってリオマで実施された補償のプロセスは法に合致せず、これはマプート市の循環道路事業やテテ州でヴァレ社によって住民の間に引き起こされた事態と類似のケースであるという。
「政府が非合法の移転を認めた時にはもう終わりであり、これは酷い手法であった。もしレグロ(伝統的権威)が土地の割譲を(企業と政府に)強制された結果だったとしても、それはザンベジア州グルエ郡あるいはナンプーラ州マレマ郡の地元政府の責任である。なぜなら、政府こそが、プロセスが透明で正しいものとなるよう保証する条件を作り出すべきだからである」と述べた。

ラフィ氏は、政府と市民社会組織は、投資家がモザンビークの法を遵守するよう強制力を発揮する仕組みづくりに集中すべきであり、これはコミュニティの土地への投資を奨励する国際機関も同様であると主張した。

■被害者らの不確かな未来
さらに、シェイラ・ラフィ氏によると、地域から作物を残したまま追放されたこれらのコミュニティは、その多くがナンプーラ州の親族らの連帯によって生き延びることはできても、尊厳ある未来を描くことができないという。
例えば、小農の数名はAGROMOZ社の作物を盗んだとの容疑で投獄されている。同コーディネーターは問いを投げかける。「畑を失った人びとが、今度は食料を生産するために裏作をしなくてはならない状態にある。コミュニティの擁護と発展のため活動する組織としての我々の疑問は、モザンビークでこのようなアグリビジネスを受け入れることは、モザンビークの人びとにとってどんなメリットがあるのか、というものである」。
ラフィ氏によると、リバニンゴはこの問題をザンベジア州農業局に問題提起し、政府に対し法に反して土地を占領された人びとに土地を返却するよう何か対応を行うこと、最低限、土地を失った人びとに尊厳ある補償を実施することを求めるという。そして、農薬については、農業省に問題を指摘し、これ以上住民に被害を与えないよう空中散布以外の手法を見つけるように働きかけると話し、「多くの家族が、子ども達が呼吸困難などの問題に直面し、その畑が枯れた状態にあると嘆いている。依然として我々は、これが農薬によるものか科学的な情報は持っていないが、これらコミュニティの土壌や水の分析をすれば一定の結論に至ることができるだろう」と述べた。

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「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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