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【記録】ODA政策協議会(議題:「安倍総理訪問時のモザンビーク大統領との共同声明」)

以下、「「安倍総理訪問時のモザンビーク大統領との共同声明」についてNGOと外務省が議論した議事録が、外務省のホームページに掲載されたので、該当部分だけ抜粋してあります。


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http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/oda_seikyo_13_3.html

平成25年度(2013年度)NGO・外務省定期協議会
「第3回ODA政策協議会」

議事次第
日時:2014年2月27日(木曜日) 17時00分~
場所:沖縄国際センター(JICA沖縄)
司会:
    【加藤 良太 特定非営利活動法人 関西NGO協議会 提言専門委員】
    【木本 亜里香 外務省 国際協力局 民間援助連携室 外務事務官】
1.開会挨拶
  【和田 充広 外務省 国際協力局 NGO担当大使】
2.報告事項
(1)「NGOとODAの連携に関する中期計画」タスクフォース設置および議論の進捗状況について
(2)「2015防災世界会議日本CSOネットワーク」設立について
(3)女性・平和・安全保障に関する行動計画策定の進捗
(4)NGOとの安全・治安情勢に関する意見交換
3.協議事項
(1)援助効果向上に関する釜山閣僚級会合のフォローアップについて
(2)外務省・JICAにおける先住民族に対する政策のあり方について
(3)2014年のUNDESD締めくくり会合に向けての日本の取り組み課題と今後のESDプログラムの展開に関して
(4)安倍総理訪問時のモザンビーク大統領との共同声明
  【斉藤 龍一郎 特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会】
  【和田 充広 外務省 国際協力局 NGO担当大使】

全協議の議事録
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs_2013/oda_seikyo_13_3_001.pdf

当日配布資料(モザンビーク関連のみ抜粋)
資料4-1:議案書(背景説明):
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs_2013/oda_seikyo_13_3_241.pdf
資料4-2:安倍首相訪問についてのADECRU声明
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs_2013/oda_seikyo_13_3_242.pdf
資料4-3:安倍首相訪問についてのナンプーラ州市民社会プラットフォーム
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs_2013/oda_seikyo_13_3_243.pdf
資料4-4:「ProSAVANA市民社会報告2013―現地調査に基づく提言」【暫定版】要約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs_2013/oda_seikyo_13_3_243.pdf


「安倍総理訪問時のモザンビーク大統領との共同声明」に関する議事録の抜粋
●加藤
ありがとうございます。NGO サイドのご意見ありませんでしょうか?わかりました。外務省側、今に対して、何かございますか?大丈夫ですね、ありがとうございます。続いて、「安倍総理訪問時のモザンビーク大統領との共同声明」ということで、議事次第には斉藤さんのお名前がありますが、いらしておらず、同じくアフリカ日本協議会の大林さんと舩田さんの方から、お願いしたいと思います。

●大林(アフリカ日本協議会)
では私がお話して、続いて舩田さんがお話いたします。アフリカ日本協議会の大林です、よろしくお願いします。
このプロサバンナは先程からお話に出ている現場、現場が最も重要なのです。本当はモザンビークの農民一人一人の問題なのですが、今日は政策協議会ということなので、あまり農民の顔が見えませんけれども、政策の面からいくつか質問をさせて頂きたいと思います。

私の方から2 つあります。大きくいって2 つ、小さくいうと3 つですね。まず、大きいものの一つめは、5 年間700 億円というお金がモザンビークに供与されるわけですけれども、質問書ではこの内容をうかがっています。これをなんでお訊ねしたかというと、プロサバンナの対象地域と、そこに住む農民に直接、間接的に関係する案件があるのか知りたいわけなんです。これに対し、「全く決まってません」というご回答を頂いています。しかし常識的に言えば、来年度からの支出なので、当然既にコミットされているお金もあるはずですし、パイプラインに入っているプロジェクトはたくさんあるわけですから、ある
程度判明している部分、公表してもいい部分があるはずです。700 億円が全くの上乗せなら別ですけれども、僕はそうではないと理解しています。そうすると既に決まっている、あるいは決まりかけている案件があり、わかっている部分とわかっていない部分があるはずなので、わかっている部分に関して教えて頂きたい。わかっていない部分については、全体の何%ぐらいあるのか、また案件とかスキームはなんなのか、特に有償なのか無償なのかについて教えて頂きたい。

それからこれに関して関連質問、この700 億円、年額140 億円になるわけですけれども、ざっと計算するとこれによってモザンビークがアフリカで最も大きい受益国の一つになるのは間違いないと思うのです。この国内地域配分をどのように決定するのかということをお聞きしたい。

それから大きい質問で二つ目ですけれども、土地問題です。これはプロサバンナの一つの大きな側面として、所謂ランドグラブ、農民が土地を奪われるかもしれない恐れがあるという問題が指摘されています。これについては、安倍総理大臣が1 月29 日の参議院の本会議で、上本議員からの質問の回答に対して、「事業の実施にあたっては不法な土地の収奪等が行われないように特に留意し、小規模農家へ最大限配慮した支援を行って参ります」とお答え頂いています。総理は、モザンビーク政府に要請しますとかではなく、日本政府自身が特に留意し、日本政府が行って参りますという風に言明されているわけです。これは私たちの主張を理解して頂いた点で、大変喜ばしく思っているわけです。そこで、これ
は政治的な方針を示した答弁ですから、実務的なことを行っている外務省としては、この点について、どのような処置をとってきたのか、この政策を実現させるためにどのような仕組みを作ったのか、具体的にお答え頂きたい。

●舩田(アフリカ日本協議会)
同じくアフリカ日本協議会の舩田クラーセンと申します。最終的には、今の大林さんが指摘した3 点の質問についてお答え頂くということでお願いします。お手元の資料を先に確認すべきだったのですけれど、この1 ページ目から6 ページ目までに、議題の背景と焦点、つまりここで何故このような質問をするかの具体的な背景について述べています。今の質問をコンテクストの中にいれさせて頂きますと、今年の1 月に安倍首相がモザンビークを訪問されて、先程申し上げた額の援助を約束されました。

この点についてかなり報道がされたので、お手元にいくつかの新聞記事をコピーしたものをお配りしております。それを見て頂ければわかりますが、安倍首相の訪問にあたっては、現地の市民社会組織、とりわけ農民連合や農民組織等から批判的な声があがっております。

お手元に二つの市民社会の声明文の日本語訳がありますが、安倍総理の訪問について、ADERCU という農村関係の市民社会組織は、かなり批判的に見ています。「帝国主義的とか拡張主義的」、「資源を狙ったり、中国との覇権争いというものを念頭に置いた急がれた訪問である」と表現されています。先程大林さんが紹介した、「『大きな(額の)寛大な援助』を約束しているけれど、その背景には利権や外交目的などがあり、現場の人々の暮らしが十分念頭に置かれていないのではないか」、「とりわけ、プロサバンナという事業がアグリビジネスの進出というものに道を開いてしまっている現状について、どうするんですか?」という、かなり批判的な意見が報道もされており、声明も出ているという現状を踏まえ、今回の(安倍総理のモザンビーク)訪問と共同声明を外務省はどのように考え、進めていこうと思っているのかという、まず前提部分についてもお聞きしたいです。

今日和田審議官が繰り返しお答えになっていることと関係しますが、また外交のセクションからも、領事局という治安関係を把握するところからも担当者が来られており、民間援助連携室もいらっしゃるということは幸いで、このモザンビークへの援助あるいは投資、そして今回の共同声明が持っている性格には、ODA 政策に留まらず、投資や外交、中国との競争も含まれてきます。現在モザンビークで起きている政治的暴力的な危機を複合的に考えると、どれぐらい外務省内で、現在アフリカのモザンビークで起きている事情についてご理解があるのかということをお聞きしたいと思います。

この1 年半、プロサバンナに関する意見交換会を外務省とやってきて思うのですが、やはり現地の状況、とりわけ政治状況や社会状況の把握が――厳しめに言うなれば――あまりにずさんであったために、繰り返し現地市民社会の抗議声明が出たり、あるいは知らない間に、外務省の方のホームページを見ますと、治安の問題について掲載がある。

今日、何をもって安全、安全じゃないかを決めるのかという問いがありました。しかし、外務省から頂いた事前回答の中に書かれていること自体が残念ながら、外務省あるいは在外公館の問題かもしれませんが、モザンビークのこの間の政治状況や治安の問題、社会の変化を正しく捉えていないということが露呈している内容となっています。

時間がないので一つ一つは述べませんが、例えば、最も問題点だと思われることは、現在政府軍とRenamo(元反政府勢力で野党)が、議案書に書いてある通り、軍事衝突を去年の10 月から続けております。(外務省回答では、)それがごく一部の地域で発生しているという主旨で書かれていますが、かなりの避難民も出ておりますし、政府軍は軍事暴力に対応するために若者の強制的な徴兵も始めている、そういう状況にあります。何故この軍事衝突問題が、和平後20 年以上経った現在に起こったかというと、もちろんRenamo 側に全く非がないとは申し上げませんが、去年10 月21 日に最大野党であり国会内に51 の議席があるRenamo 党の党首の拠点を政府軍がいきなり攻撃して、党首が逃げる、国会議員が死ぬという事態が起こって以来起きています。

そのことについて日本、中国、インド以外の国々は、抗議声明をRenamo だけでなくモザンビーク政府つまり現ゲブーザ政権に対して出しています。国連事務総長室やカソリック教会、ヨーロッパ連合も批難声明を出しています。それにもかかわらず、ここに書いてある外務省からの回答書では、「政府とRenamo の間においては対話の努力が続けられており、政府は暴力に訴えることなく憲法を遵守した形での国内の安定の確保に取り組んでいる」となっています。

順序が逆なんですね。わかっていながら、たぶんこう書かざるを得ない。安倍総理が行ってしまったので、ということなのでしょうが、これはやはり事実確認という意味で非常に問題があると思います。この回答を英語に訳して世界に発信してしまったら、日本の外務省は大丈夫か、アウトじゃないか、ということになる。そもそも各国政府が、暴力衝突が起こってすぐ1 週間以内に、現政権を含むモザンビーク政府に対して抗議声明を出していた。しかし、日本は、その2 ヶ月後に首相が現地の大統領と握手をしに行っている、その間、政府軍が襲撃したことや暴力を使ったことに対する何の批難声明も出していないという現実がある。

そのことについて、モザンビークの市民社会は非常に疑問に思い、「日本は中国と同じ」、「資源だけが欲しいのだ」、「民主化や平和を重視してない」と言ってきた。そのことについて、今回の議案書で議案の背景の中に書き込み、どのように把握されているのかと聞きました。このように詳しくは申し上げませんが、背景説明を詳しくつけた理由は、皆さんがもしかしてご存知ないのかもしれない、いやそんなことはないと思うのですが、一緒に勉強して頂ければと思いつけました。

資料をみて頂ければわかる通り、現在のモザンビーク政府、とりわけゲブーザ政権、ゲブーザ大統領の周辺が、ガバナンスや平和、民主化、人権の面で、非常に問題を抱えた政府であるということは世界的に報道されていますし、言われてもいる上、国内的にも繰り返し声明が出ているのですが、この状況を把握していますか。

これはODA 大綱の理念に反しているのではないですか。そのような最中に、また巨額の円借款を含めた援助を約束されているということはどうですか、と聞いたわけです。しかし、モザンビーク政府は大丈夫な政府だという回答が返ってきましたが、根拠は書かれていないです。例えば先程あったように「憲法を守っている」とおっしゃるのですが、守っているとおっしゃるモザンビーク共和国憲法の何条のことをおっしゃっているのでしょうか。モザンビーク憲法を読めばわかるのですが、「国民統合を目指す」と書いてあり、そのための手法としては「話し合いで解決していく」と書いてあります。今回それが政府の側によって踏みにじられているという現実があります。

最後に、現地の批判に対してどういう風に対応しますかという質問に対しては回答されていないので、今日このように市民社会からの声明を持ってきましたので、それに対してご意見とご見解を述べて頂ければと思います。

そして事実確認でもう一つだけ。頂いた回答に、「ゲブーザ大統領は今年の総選挙に出馬しないことを表明しており、平和裏に選挙が行われることが期待される」とあるのですが、恐らくご存知だと思うんですが、モザンビーク国憲法並びに選挙法では大統領の三選は禁止されておりますので、これは当たり前のことだということをコメントさせて頂きたいと思います。

●加藤 ありがとうございます。
それでは外務省側、和田NGO 担当大使、よろしくお願いします。

○和田
ありがとうございます。私もアフリカ、特にモザンビークについては、自分の専門でやっているわけではないので、全てにきちんとお答え出来る自信がございませんが、いろいろ事前に頂いていた紙等をもとに関係課と話をしてきましたので、それを踏まえてお話をさせて頂きたいと思います。ただ、いずれにいたしましても、先程お話頂きましたけれども、プロサバンナに関する外務省とNGO の意見交換会という、別途この問題に特化した意見交換会が行われていますが、次回を近く開催するために準備、調整させて頂いていると思いますので、詳しくはそちらで議論して頂ければという風に思っております。

いくつかご質問がありましたけれども、まず700 億円の支援については総理が自ら述べられていますけれども、モザンビークに訪問した際に述べておりますけれども、ナカラ回廊を中心とした開発に向けて今後5 年間で約700 億円の包括的な支援を行い、道路、港湾、エネルギー等のインフラ整備や、人間の安全保障の視点に基づく教育、保健の支援を強化
していくということを言っております。現時点でこれ以上の中身はございません。道路、港湾、エネルギー、インフラ、教育、保健といった分野で、もちろんJICA をはじめとしていろんな案件の準備はしていると思いますけれども、最終的にはフィジビリティーを確認した上で、政府で決定して、今後5 年間の協力を行っていくことになります。現時点でこれとこれとこれでいくらという具体的な中身があるわけでなく、今後具体化をしていくということでございます。

●大林 全額新規ですか?

○和田
これから新規に700 億円の支援を行っていくということでございます。それから二番目にアフリカ全体の中で大きな配分になっていくのではないかというご指摘がありましたけれども、今後のアフリカに対する支援の配分が具体的にどうなっていくかということについて、私、現時点でわかってませんのでなんとも言えませんが、モザンビークは総理が自ら最初に訪問されたアフリカ三か国の一つとして選んでいるわけでございますので、モザンビークに対する支援が重点的に進められるであろうということは想像にかたくないのかなという風に思います。

それから、総理が国会で答弁された土地の収奪といった状況にならないよう支援していくのだということ、それをどうするのかということでございますが、総理自身がモザンビークにいった際に、ゲブーザ大統領との会談で、プロサバンナ事業に関連して、市民社会や農民組織との対話の努力をやっているということをモザンビーク政府がやっているということについて評価をし、慫慂し、そして日本としてもこうした関係者の理解を得ながら、小規模農家が裨益する形で、支援を行っていきたいと言っております。今後この総理の発言、国会での答弁等を踏まえまして、外務省、JICA としても地域住民との対話を行いながら、農民が心配をする土地収奪といったことにならないよう、提言を行っていく考えですし、そういう形で支援の展開をしていくということです。

現時点で何か措置をとったのかというご質問がありましたけれども、今後これから総理の考え方を踏まえて支援を行っていくということです。それから、モザンビークの情勢に対する分析がないというご批判を頂きました。我々の考え方というか、私も専門家じゃないので責任を持ってお答え出来ませんが、モザンビーク政府にいろんな問題点、ガバナンス上の問題点があるというのは、事実だという風に思います。

現にいろいろな衝突事件が過去において起こったということは我々もよく承知をしており、従って例えば渡航情報で危険だということを出した経緯もございます。ただし、我々の認識では、まず現在において政府とRenamo の間において対話の努力が行われているということでございますので、首脳会談において総理から大統領に対してきちんと対話をしていくようにということを、申し上げたということでございます。我々の認識では選挙についても地方選挙についてもいろいろボイコットといった、いろいろな問題が生じたということは承知しております。

最終的に五十三の市長選挙が行われたと。それから政府とRenamo の間の対話も前向きな動きが見られていて、1 月27 日には3 ヶ月間停止していた両者の交渉が再開をしたというようなことも起きてきているということでございますので、モザンビークに対して、日本としては、今後も武力攻撃ではなく、対話を通じて国内の安定に取り組むよう働きかけを続けていきたいという風に思っている次第でございます。

何よりもモザンビークの一人あたりGNI は、もちろん皆さんの方が私より詳しいと思いますけれども、470 ドルと非常に低い状況にあって、世界の最貧国のひとつという風に位置づけられておりますし、人間開発指数についてもUNDP の統計で187 カ国中185 位という非常に低い状況にあって、国民の大多数が農業に従事し、生産性の低い、零細な生産活動に留
まっていて、貧困の問題といったようなことが大きな問題として掲げられているわけでございます。そういった中でガバナンスの問題はもちろんあるんだと思いますけれども、モザンビークに対する支援ということで我々は引き続き行っていきたいという風に考えております。

他の外国が批難声明を出しているとかいろいろなご指摘もございました。日本が出してないんじゃないかというお叱りもありました。他方で、アメリカでのG8 サミット、確か去年でしたが、その際もモザンビークの食糧安全保障について日本とアメリカで共同議長という形で、New Alliance というアメリカがアフリカの食糧安全保障について強力に支援しようというイニシアチブを出したわけですけれども、モザンビークを対象に日本とアメリカで一緒になって、世界のいろんなドナー国をまとめる形で援助協調しながらモザンビークを支援していくということになっておりまして、他の国も、例えばモザンビークに問題があるから支援を停止するとか、そういうようなことが起きているという風には我々は承知しておりません。モザンビークの人たちのいろんな問題の解決に向けて、日本としては、今後とも出来る限りの努力をしていきたいという風に考えている次第でございます。

●加藤
ありがとうございます。まずお二人と、NGO サイドでご発言なさりたい方はいらっしゃいますか?それでは、お願いします。

●舩田
ありがとうございます。二点だけ、本当は全ての点について反論を用意してきたんですけれど、残念ながら議論出来ないので文章で後ほどお送りします。今、外務省サイドに「ProSAVANA 市民社会報告2013―現地調査に基づく提言」を回しております。その他の皆さんのお手元には表紙と目次と要約だけあります。現在、(報告書は)ネット上にあり、1 万回を越えるダウンロード数があるということで、ある種のベストセラーになっているのですが、この報告書に最後におっしゃったG8 New Alliance、日本語でいうと「G8 食料安全保障及び栄養のためのニューアライアンス」についての問題も書き込んでおります。

世界的にいうと、このG8 ニューアライアンスは、「アフリカの再分割」、「新植民地主義」、「マルチナショナルなアグリビジネスの進出を後押しするもの」と呼ばれ、かなりたくさんの団体が抗議声明を出しております。アフリカの農民諸組織が、
モザンビークだけではなく、激しい声明文を出しております。モザンビークについてはお手元にお配りしましたADERCU のものが、(このG8 ニューアライアンスを)かなり厳しい言葉で批判声明を出していますので、まずはそれを是非読んで頂きたいと思います。

こういう風に現地の農民、市民社会、農民組織から見るとおかしな援助が、繰り返し繰り返しモザンビークで出てきているという事態について、やはりここは立場が違えども、もう少しセンシティブになって頂かないと、日本の援助が称賛されるどころか批難ばかりされるという事態が今起きています。それはやはり、現地の事情をよく把握しつくしていない、それからこのようなG8 ニューアライアンスの問題性を理解していないところから生じています。

釜山の話が今日でましたが、2011 年の時点でプロサバンナがこれだけ問題を抱えたものということを予見するのは難しかったかもしれませんが、やはり「ブラジル・セラードをアフリカ・サバンナへ」というのはおかしいんじゃないかとわかる人はわかったと思います。

やはり外交リスクを減らすという意味でも、あるいは現地社会で日本の援助や日本の政府、あるいは日本の人が、農民の権利を奪う側に立っていると思われると、アルジェリア人質事件の繰り返しになります。単に表面的な治安の問題と捉えず、アルジェリア人質事件の問題も同様に、アフリカで起こっている腐敗の問題であるとか、資源の略奪や搾取の問題として捉え、アグリビジネスの進出ということに日本の投資や援助が関わることで目に見えるリスクというのをもっと認識して頂ければと思います。

●大林
先程私の質問の二番目で説明が稚拙で、誤解を招いたようなんですが、700 億円に関して、国内での配分の手法をどういう風にされるかというのを伺ったんですね。舩田さんが綿々と訴えたことと関係があるんですけれども、これは政府間で相手国政府に任せる、あるいは政府間対話だけで決めるのは危険だと私は思います。正直いって今のモザンビークは国民的合意がとれないという状況です。700 億円は恐らく円借款が中心ですから、ということは公共事業が中心ですね。日本でも公共事業の配分というものは大変危険なもので、政治的にいろいろな動きの元になるわけです。ですから、こういう環境の中で700億円という多額の、かなりの部分公共事業をモザンビーク政府に一任して、日本政府が追認するというのは非常に危険な行為だという風に思います。

いくつかの国で暮らしてきましたが、僕がいた国は大体あとで内紛になっており、特に最後に暮らしたコートジボワールは滞在中にクーデターが起きて、そのうち内戦になってしまいました。そういうところでは、常にODA というものはある意味で下手に使うと紛争を助長というか、惹起する非常に危険な道具であるし、うまく使えば平和のためになるものでもあります。

モザンビークでは決して政府だけではなく、色々なステークホルダーが非常にたくさんいます。これは研究者とか、市民組織とか、農民組織とか、もちろん実業界もありますし、色々な職業団体のグループもあります。こういうところに日本側が入って、日本側の政府だけではなく色々な市民社会団体が入って、配分について十分時間をとって、どういうプロジェクトを、どういう地域に、どういう風にやったら公正なのかということを議論し、それを反映させて配分を決めていくという風にするのは、ある意味でモザンビークの平和構築に一番役立つだろうと思います。

PRSP、つまり貧困削減戦略政策でも、市民社会とのコンサルテーションというのは非常に色々問題があったけれども、後に国民の合意形成という意味で非常に役立ったわけです。そういう意味で、単純にモザンビーク政府がいったからこうです、という配分は避けて、広範なステークホルダーが入った会議を是非やって頂きたいと思います。

○和田
ありがとうございます。時間が限られているので簡単に。まず、我々も、まさに総理がいろんなところで民主主義や人権といったものを推進していくということを言われているわけですけれども、民主主義や人権を壊すような形でODA の事業をやって、結果として例えばモザンビークの民主化が後退する、人権が蹂躙されるといったような事態が生ずれば、それはまさに日本のやっていたことは失敗だったと言われるわけですから、そういうことにならないように、どうやって援助をするのかというのは考えてやっていきます。そこは当然そういったことを考えながらやります。それがODA 大綱に基づく援助です。

国内配分でモザンビークに一任して700 億円渡すのは危険だというようなお話がありましたけれども、全てを一任して、渡して、はい自由に使ってくださいなんてことは我々は絶対にやりませんし、ここはひとつひとつの案件に、さっきの別の議題で環境社会配慮ガイドラインのいろんな説明もしましたけれども、そういうことをプロジェクトをやった場合に、それが現地の人たちにどういうインパクトがあるのか、環境問題にどういうインパクトがあるのか、そういうこともいろいろ検討しながら、そのプロセスで必要に応じて当然、市民社会を含むいろんな人たちとの意見交換をやった上で決めていきますので、是非、政府を信用出来ないかもしれませんけれども、信用して頂ければ嬉しいと思います。

それからプロサバンナをやったから土地の収奪が起こるんだというような議論の展開をされていますが、我々は放っておけばモザンビークに対して、いろんな外国のお金持ちの投資家だとかなんとかがガンガン入ってきて、放っておけば、ガバナンスもあまりよくないわけですから、大変なことになるんじゃないかと思っています。

それに対して、我々がむしろ技術協力を行うことで、海外からの大規模な投資家を受け入れるにあたってどのようなことに注意をしながら受け入れていくべきなのか、そのためにはどういう制度が必要なのか、そういうことを教える、教えると言うとちょっと偉そうに聞こえるかもしれませんが、そういうことを一緒に考えて、モザンビークがきちんとしたガバナンスを強化出来るように、それを支援するというのがマスタープランの支援であったり、プロサバンナの支援であったり、我々がやりたいと思っていることでありまして、貧困の農民の土地を収奪するようなことを、わざわざ我々が一生懸命やるということはないのでありますので、それについて、決めつけて、日本政府はけしからんという決めつけのような議論を繰り返しされることについては、見解の違いかもしれませんけれども、我々としても理想ではないと。是非、総理も国会の場できちんと言っておりますし、我々もそれに従ってやると言っていますので、是非、信じて頂ければ有り難いです。

●加藤
ありがとうございます。NGO 側、いかがですか?

●舩田
是非、報告書を読んで頂ければ、そういう風に論じているわけではないということがわかって頂けますし、今日も答弁頂きましたので一緒に是非やっていければと思います。

●加藤
ありがとうございました。それでは全ての報告事項、協議事項の議論が終了いたしました。
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MozambiqueKaihatsu

Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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