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【記録】プロサバンナに関する参議院決算委員会審議(14年5月12日)

国会図書館サイトからの転載です。

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第186回国会
参議院決算委員会-7号 平成26年05月12日

石橋通宏議員によるプロサバンナ並びにミャンマー・ティラワの経済特区開発事業に関する質問並びに岸田文雄外務大臣とJICA田中明彦理事長による答弁

○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。
 同僚の大野委員に続きまして質問させていただきたいと思いますが、大野委員も取り上げられましたけれども、今日私も、とりわけ政府開発援助、ODA決算について集中的に質疑をさせていただきたいと思います。
 まさに国民の貴重な税金を使って進めておりますこのODA、これが本来の目的に沿って実施をされているのかどうか、また本来の目的を果たすべく貢献しているのかどうかと、そういう観点で、今日は具体的な事例として、アフリカのモザンビーク、それからアジアのミャンマーの案件を取り上げて質疑をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 まず、モザンビーク案件について質問させていただきます。
 このモザンビーク案件、とりわけプロサバンナ事業につきましては、昨年来、様々、本会議、予算委員会等々でも取り上げられておりますし、岸田外務大臣も様々答弁をいただいておりますので、この間の進捗、さらには、問題、課題についてはずっとフォローをいただいているというふうに理解をしております。
 そこで、残念ながら、私自身の理解では、昨年来様々に外務省そしてまたJICAの方でも取組をいただいていると理解はしておりますが、現時点に至っても、プロサバンナ事業、とりわけマスタープランの策定事業については暗礁に乗り上げているというのが私の理解であります。
 そこで、まず、JICAの今日は田中理事長にお忙しい中おいでをいただいておりますが、田中理事長に、このプロサバンナのマスタープラン策定支援事業、当初は昨年の三月までに策定完了をする予定でありましたが、現時点に至っても策定のめどは立っておりません。この根本的な理由について、簡潔に御説明をお願いします。

○参考人(田中明彦君) 御案内のとおり、プロサバンナ事業、研究・技術移転能力向上事業と、それからマスタープラン策定支援事業、それからコミュニティレベル開発モデル策定事業、三つありまして、今、石橋先生からお話ありましたのはマスタープランの案件でありますけれども、当初想定していた時期にマスタープランを完成させるという事態にはまだ至っていないということは御指摘のとおりでありますが、これは、私どもできる限り、このプロサバンナ事業というのは、現地の小農の皆さんあるいは関係者の皆さん、こういう方々の御理解をいただいた上で最も効果的な形のプロジェクトをつくっていくということが大事であるというふうに判断しており、そのことを累次にわたってモザンビーク政府にもJICAからもそれから外務省からも伝える活動をやっており、その結果、各種の市民社会の団体の皆様方との協議というのも進んでおりますけれども、委員御案内のとおり、ナンプラ州の市民団体との間の調整といいましょうか、そういう機会を、今、政府、そういう機会が与えられるということを要請しておるところでございます。
   〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
 できる限り早い機会に調整といいましょうかコンサルテーション行って、この事業を進めてまいりたいと思っております。

○石橋通宏君 今、市民社会グループ、この本事業の最大の裨益者であります、当事者であるいわゆる小農民の方々、組織の皆さんですね、先ほど理事長も言っていただきましたように、このプロジェクトの最大の目的は小農の支援ということであります。まさにその最大の裨益者たる小農の当事者の皆さんが、本事業に対して懸念の声というか反対の声を上げておられるわけです。
 今、理事長、協議が進んでいるとおっしゃいました。協議、本当に進んでいるんですか。私の理解では、現地からの、市民社会グループからの情報によれば、昨年の秋段階から協議は全くストップしています。これが進んでいるという理解にどうやったらなるのか理解に苦しむわけですが、今年に入ってから協議は進んでいるんですか。

○参考人(田中明彦君) コンサルテーションということでいいますと、この協力開始以降、各州の農民組織や市民社会団体と今まで五十回以上にわたって対話を行っておりますし、昨年の九月以降もそのときに作りましたコンセプトノートをベースに対象の三州で協議を実施して、そのうちの二州、ザンベジア州、ニアサ州では農民組織、市民社会団体と協力の上で郡レベルでのワークショップを実施して、参加者から私どもは一定の理解を得たと思っております。
 残りの一州、ナンプラ州、先ほど申し上げた件でありますけれども、ここでは、市民社会団体との対話においてそのコンセプトノートへの意見、コメント等が提起されておるので、その意見、コメントの計画への反映について検討を行ってきました。現在はその結果を基に対話の再開を呼びかけているところという、こういう段階でございます。

○石橋通宏君 三州のうち二州で対話が進んでいるということですが、これについても実は現地からは疑義の声が出ております。確かにワークショップをやったと、でもワークショップに参加しただけだと。ワークショップに参加したけれども、実質な議論は行われていないし、何の合意もしていないという二州の方々からも意見が寄せられています。
 今触れていただいたナンプーラ州市民社会プラットフォームの皆さん、今呼びかけをされていると言われましたが、呼びかけには応じておられますか。具体的な協議の日程が設定されておられるでしょうか。

○参考人(田中明彦君) 私どもから呼びかけ、それから政府から呼びかけをしていただいて、私の理解では、現在その日程調整をしている最中だというふうに伺っております。

○石橋通宏君 実は先週のレクでそういう話を聞いたものですから、改めてナンプーラ州市民社会プラットフォームに確認をしたところ、一切対話には応じていないという返事を今朝いただいております。
 その最大の理由は何かといいますと、これは外務大臣もよく御存じのとおり、昨年の五月、もう一年前になりますが、モザンビークの現地の二十三団体、また世界四十二団体、大変多くの当事者、関係組織の皆さんから、安倍総理大臣を含む今回のこの関係三か国首脳に事業の緊急停止を求める公開書簡が発出をされております。安倍総理に手渡されております。しかし、一年たった今なおこの書簡に対する回答がありません。外務大臣も国会答弁で、この遅れている件については懸念を持っていると、モザンビーク政府との調整において早急に回答できるようにという国会答弁も出されておりますが、しかし、結局のところ現時点に至るまでこの書簡に対する回答がないと。これに対してナンプーラ州市民社会グループも、そして現地の最大の農民組織であるUNACも大変、懸念というよりは、これが最大のストップしている要因であると、この書簡に対する明確な真摯ある対応、回答がない限り一切の対話には応じないというふうに現地からは言っております。
 これ、なぜこの書簡に対していまだに回答がなされないんでしょうか。これは、理事長若しくは外務大臣、答弁をお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の公開書簡につきましては、従来から委員会等で答弁させていただきましたように、本事業はモザンビーク政府が中心となり進めている事業であり、これに日本及びブラジルが支援を行っているというものであります。よって、この公開書簡に関する返書については、その対応につきモザンビーク政府について検討中であるという答弁をこれまでも繰り返しておりましたが、今日までこういった状況が続いておりました。
 しかしながら、政府としましては、この書簡はしっかりと真摯に受け止めなければならないということから、モザンビーク政府に対して、可能な限り早く回答すべきであるという認識の下に、累次にわたって照会、働きかけを行ってきました。その結果、今般ようやく、この書簡には、モザンビーク政府から、適切に回答すべく鋭意調整しているという連絡がモザンビーク政府から我が国政府に届いたということであります。是非速やかな回答が行われるよう、しっかりとモザンビーク政府に一層働きかけを行って、書簡に対する返書、返事がしっかりと発せられるよう努力をしていきたいと考えています。

○石橋通宏君 外務大臣、これ、いつまでに回答されるということは、今、時期の約束をしていただけるでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げましたように、ようやくモザンビーク政府から、この問題、我が国からの照会に対して返事が、連絡があったところであります。まだ具体的にいつまでというところまで確認はできておりませんが、是非、こうしたモザンビーク政府への対応に対して、更に我が国から働きかけることによってできるだけ早く返書を発するべきだと考えております。そのことによって事業を進めていくべきであると考えております。

○石橋通宏君 これ、いつということも大変重要ですので、今できるだけ早くということですが、これ是非、期限区切って、モザンビーク政府にはきちんといつまでにということで確認をいただきたいと思いますが、もう一つ重要なのは、いつだけではなく中身です。
 具体的に、これ私の手元にも公開書簡あります、外務大臣も御覧になって、理事長も当然御覧になっていると思いますが、これは緊急停止を求める、つまり内容について多くの懸念がこの中に書かれて示されておりまして、要は先ほど、小農のためといいながら小農のためにならないということを当事者の小農の皆さんが表明をされている内容でありまして、じゃ、これら累次の多くの懸念点が示されておりますが、これらに対してどのような回答、中身をしていただくのかということが、それからのまさに市民社会グループの皆さんが実際にこれやっていこうじゃないかというふうに対話に応じていただけるのかということにも絡むと思いますが、外務大臣、これ内容は御覧になっている、若しくはモザンビーク政府がどのような内容を検討、用意をされているというのはもう御存じなんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 今般ようやくモザンビークから受け取った連絡、適切に回答すべく鋭意調整をしているという内容でありますので、モザンビーク政府自身が今調整中でありますので、私自身、その返書の中身についてはまだ確認の段階には至っておりません。

○石橋通宏君 そういうことのようですので、これ、外務大臣、中身がやっぱり大事だと思います。どのような真摯な回答をこの書簡に対してされるのかどうか、それ次第で、繰り返しますが、これからの市民社会との対話、当事者たる農民の皆さんとの対話がこのままデッドロックなのか若しくはきちんと進めていくのかどうか、それが大きく左右されると思います。現地からはそういうお話が来ております。是非この件につきましては、時期とそれから中身をしっかりと、政府そしてJICA、責任を持って対応いただきたいと思いますし、私も引き続きフォローしていきたいと思います。
   〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕
 その上で、結局、この書簡が一年近くたなざらしになっていたと、これに対して市民社会、大変懸念を持っている。一方で、関連事業がこの一年間の間にも進められてきたじゃないかということについても現地からは大変心配の声があります。対話が大事だといって対話が進んでいないのに、しかし関連の事業、とりわけ、先ほど理事長、三本柱とおっしゃっていただきましたが、皆さんのお手元の資料の二に三本柱が表でありますけれども、この三つの下の、一番最後の三つ目ですが、コミュニティレベル開発モデル策定プロジェクト、我々一般的にPEと呼んでいますけれども、このPEの事業が先行して進められているということについて大変な不信感が渦巻いております。なぜマスタープランの進捗が止まっている、対話が止まっているのに、この三本柱の一つのPEの事業はその後進められているのか、これは話が違うじゃないかということで、これも対話が進まない一つの大きな要因になっておりますが、理事長、これ何でPEは進捗、事業進めておられるんでしょうか。

○参考人(田中明彦君) 今、石橋先生おっしゃったように、このプロサバンナ、私どもはPEMと言っておりますが、この事業は二〇一三年五月から開始しております。
 コミュニティレベル開発モデル策定プロジェクトということでありますが、これは、地域の特性に応じた農業開発モデルを確立して、またそのモデルの普及を担う農業普及員の育成や体制整備を行い、将来的な小農の生計向上を目指すことを目的としております。私ども、このプロジェクトを行うこと自体がマスタープランと並行して実施されることは問題ないというふうに思っております。このプロジェクトにつきましても、地元関係者についてはできる限り十分説明を行い進められてきていると私は認識しております。
 今後も、要は小農中心のための様々な農業普及員やモデルの普及ということでございますので、今後とも、引き続き地元で丁寧に話合いを行いつつ進めていくことが必要じゃないかなというふうに思っております。

○石橋通宏君 理事長、当初は、先ほど話がありましたように、マスタープランは昨年の三月までに完了する予定でした。PE、まあPEM、当初これ名前が違ったわけで、途中で名前変更されておりますね。最初は農業支援のプロジェクトだったのが、途中からコミュニティー支援という形に名称を変更されております。これ、当初は、先ほど言いました三月までにマスタープランが完了をして、その後このPEが、PEMがスタートするという段取りになっていました。つまり、当初は、マスタープランが策定をされて、それに基づいてこの三本目の柱であるPEMも行われるという、それがブラジル政府との協議の中でも段取りとして決まっていたのではないかと思います。
 ところが、マスタープランの策定が遅れてしまった。今なおマスタープランの策定は、要はめどが付いていない状況です。なので、マスタープランの策定を待っているとこのPE、三本目の柱も実行できないので、後付けで理由、名称を変えて五月からこのPEMを実施している。これはマスタープランに資するもので、マスタープランに基づくものではないと、当初の予定を変更して行っているという指摘がありますが、そうではありませんか。

○参考人(田中明彦君) マスタープランの最終的な完成が時間が掛かっておるのはそのとおりでございますが、これは、基本的にはモザンビークの小農の皆さん始め農民組織、市民社会の皆さんのその御意見をできる限り丁寧に反映して、そして、その結果、農民の方々に受け入れられるようなマスタープランを作っていこうと、そういうことで延ばしているわけでございます。目的は、延ばしたくて延ばしているというよりは、より良いものを作るために延ばしているわけでございます。
 そして、私どもとしてみますと、このより良いものを作るためという対話と、具体的な、かなり部分的なものですけれども、モデルの普及とか農業普及員の育成などを行う事業というのは、始められるところから始めていった方が将来的により良いプランもできるし、それからより良い農業開発ができると思ってこのように進めているわけです。

○石橋通宏君 今、理事長、答弁で、より良いものを作る、これはもちろん現地の皆さんのために本当により良いものを作っていくということ、外務大臣、これはもうもちろん外務大臣としても同意されると思います。そのために、できる限り丁寧に、当事者、ステークホルダーの皆さんとの対話を行うということも、これ全くそのとおりです。
 しかし、今し方まで答弁をいただきましたように、その丁寧にすべき市民社会グループとの対話はデッドロックです。最大の原因は、書簡に対して真摯ある回答がいまだ一年たってもされていないという状況だということも確認をさせていただきました。その中で、三本の柱の一本であるこのPEMが、現地との対話なきままに、現地との同意なきままに、丁寧な対話なきままに実際に進められているところに対して、当事者の、まさにステークホルダーの皆さんが大いなる不信感を持っていらっしゃるということ、この事実を理解していただかないと、幾ら対話を進めようとしても、これ決して住民の皆さんは対話に応じてくれないというふうに思います。
 外務大臣、これ最後にしますが、やっぱり私は、そもそもボタンの掛け違えといいますか、本来、最初の段階で丁寧にやっていただくべきだった当事者、ステークホルダーの皆さんとの対話が、残念ながら事実として今現在こうやって暗礁に乗り上げてしまっているということから、まずやっぱりここをまさにもう一回丁寧にやっていただかないと、恐らくこの事業、今後更に難しい方向に行ってしまう懸念の方が強いと私自身は心配をしております。
 外務大臣、是非、外務大臣の責任において、先ほどの書簡への真摯ある回答と、それから市民社会グループ、当事者、ステークホルダーの皆さんとの、まさに今回の事業の最大の裨益者たる小農民の皆さん、農民組織の皆さんとの対話、これをしっかりとJICAとの連携において進めていただく、そのことを確約いただけないでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 本件につきましては、ただいまの委員からの御指摘もしっかり受け止めながら、ただいま田中理事長から答弁がありましたように、丁寧に作業を進めていかなければならないと認識をしております。地元の関係者との対話等につきましても、是非丁寧に進めるべく努力をしていきたいと考えます。

○石橋通宏君 よろしくお願いします。
 というのは、アフリカに対しては、外務大臣もいろいろアフリカへ行かれて、安倍総理もアフリカを訪問されて、今後更に農民の皆さんへの支援、農業支援拡大をというふうに言っておられます。まさにこのモザンビークのプロジェクトは大きな試金石になるというふうに思います。ここで頓挫してしまったら、今後のアフリカ支援に対しても相当にアフリカの中でも懸念が広がるのではないかということも心配されますので、是非、このモザンビークの案件、丁寧に進めていただくよう重ねてお願いをさせていただきたいと思います。
 続きまして、ミャンマーの案件に移らせていただきたいと思います。
 ミャンマーの案件につきましても、この間の民主化の進展、さらには少数民族との停戦合意等々の進捗を受けて大きな支援の拡大が行われているわけであります。そして、その最大の事業の一つとしてティラワの経済特区開発事業というものがございます。
 実は私もこの連休中に現地に行きまして、久しぶりに、二年前に一度、ティラワの開発区、お邪魔をしてきましたけれども、その後の進捗を見るために今回改めて訪問をしてまいりましたが、今回は事業地を見るのではなく、今回の強制移転の対象となった住民の皆さんの生活環境を見させていただきに行ってまいりました。
 お手元に資料として、皆さんの御参考までに資料の四に、経済特区開発事業の概要ということで、フェーズ1からクラスA、そして今後の進んでいく二千ヘクタール、影響住民、世帯のところを見ていただきますと、今回の開発に伴って住民のいわゆる非自発的移転というものが伴います。これについて、現地に行ってまいって、資料の五に写真、実際に私が撮ってきた写真であります。御参考までにということでお付けをしておりますが。
 これ、理事長、今回、住民の皆さんと、移転の対象となって既に移転地におられる皆さんと二時間ほど車座になって話をしてきました。そこで一番言われていたのが、JICAはなぜ我々の書簡に回答してくれないのかということでした。これも資料にお付けをしております。先ほどの四の一番下のところ、二に書いてありますが、過去、これだけの書簡がJICA理事長宛てに住民の皆さんから出されております。一切、一向に書簡による回答がないということのようです。
 理事長、これ、なぜきちんとした対応がなされていないんでしょうか。

○参考人(田中明彦君) 今委員御指摘のように、JICA理事長宛てに書簡が六回送付されているということは、そのとおりでございます。ただ、私どもJICA事務所からは、書簡をいただくたびに口頭では対応させていただいております。
 ただ、この書簡に対してどのように対応するのかということは、やはり私どもの国際協力を行うときの相手国政府、当該国政府が現地ステークホルダーとの協議を主体的に行うというその原則、そして、その相手国政府が主体的にステークホルダーと行う内容がより適切なものになっていただくということを重視しており、現在の段階では口頭での対応にとどまっているということでございます。
 このような状況であるということはミャンマー政府にも私ども伝えておるところでございまして、ミャンマー政府もまた直接住民との対話の用意があるというふうに言っておるわけでございますので、私どもとしてみると、今の形の、JICAが何でも前に出てということではなく、ミャンマー政府との対話を今までは見守ってきている、あるいは、特にJICA専門家を私ども派遣しておりますので、そのJICA専門家がミャンマー政府に働きかけることによって適切な対話が行われるということを重視してきておりましたが、今後、先方政府とも相談して、対話の可能性も含めて、今後の対応は検討してまいりたいと思っております。

○石橋通宏君 これ、資料でも示しておりますけれども、書簡があったのは昨年からずっとです。昨日今日の話ではありません。直近では四月の三十日にも書簡が送られております。つまり、現地政府に幾ら言っても何の進展もないと。もう移転は昨年の秋段階から段階的に進められておりますので、最初の段階に移転した住民はもう半年近く現地に住まれているわけですが、何の対応もされていないと。だからJICAに、日本に、日本だったら何とかしてくれるという思いで書簡を出されているんだけれども、結局何の返事もない。
 理事長、今、その都度電話で回答があったと。これ、事実ですか。住民の皆さん、ちゃんと記録をされております。電話が、JICAから回答めいたことがあったのは一月二十七日と四月七日の二回だけであると。失礼しました、二月の三日と四月の二十八日の二回だけであると。それも、住民側からJICAのヤンゴン事務所に電話をして、書簡に対する返事はないのかということに対して、どなたか分からないが、事務所の女性の方が回答をしたということです。これ、理事長、JICAとしての責任ある回答なんでしょうか。
 今日、資料の一に、環境社会配慮ガイドラインを参考までに改めてお付けをしております。この環境社会配慮ガイドラインにこう書いてあります。ステークホルダーの参加を求める、ステークホルダーの意見を意思決定に十分反映する、ステークホルダーからの指摘があった場合は回答する。これ、どういう意味なんでしょう。ステークホルダーからの指摘があった場合には回答すると。一切これまで書簡に対する真摯ある回答がなされず、電話も、事務所のどういう立場の方か分からない方が、電話があったときに対して回答を二回されている。住民からは、JICAと是非、昨年十月十五日に一度会合を持ってもらったけれども、その後移転してからは一切会合も持ってもらえないので、会合を是非持ってほしいと、我々の声を聞いてほしい、これにも全然応えてもらえないと。
 これ、ガイドラインに違反していませんか。理事長、もう一回答弁お願いします。

○参考人(田中明彦君) 今委員から御指摘のそのJICAからの電話での回答というのは、委員おっしゃるような形で行われているというふうでありますが、それに加えて、もう一回ほどやっておるということでございます。
 ただ、まず、このJICAの環境社会ガイドラインに沿っているかどうかということでありますが、二つの側面ございまして、一つは、まずその移転、この最初のクラスAの地域における移転住民に対する対応として、ミャンマー政府の取った対応が環境社会ガイドラインに適合しているかということであるとすると、私どもは、これは適合する形で行ったというふうに思っております。
 補償年数、これは稲作農家、野菜農家への補償年数の増加とか、移転地の区画面積、その他幾つかのことをやっておりますが、そのような対応に加えて、今の移転された方々のところとの対話については、JICA専門家は全てそちらを訪問して対話を継続しているというふうに私は認識しております。ただ、石橋先生、現地にお出かけになって実際にお話伺っておるということで今そういう御発言でありますから、私どもとしても更に一層丁寧な対応をしなければいけないというふうに思っておるところでございます。

○石橋通宏君 理事長、ちょっと質問に対してちゃんと答弁いただいていない。私が言っているのは、これだけ累次にわたる書簡が、もしよろしかったら、現地語と英語と一部翻訳版、全部いただいてきました。これは本当に切実な訴えがこの中に書かれております。これに対して、私、全然回答がなされていないということは本当に問題だと思います。
 電話も、繰り返し言いますが、JICAのヤンゴン事務所のどなたか分からない女性の方が対応したときに電話で答えたと、それだけです。これがJICAの回答なんですか。それに対してどうかと質問させていただいていますが、環境社会ガイドライン、そこの部分について、ちゃんとしたお答えをいただいていませんけれども、それがもしJICAの真摯ある回答だとすれば、これは私は大問題だと思いますよ。こんなことで、それぞれの国々との信頼関係築けるかどうか、これは大きな問題があるということを是非指摘をさせていただきたいと思います。
 理事長、JICAの専門家が現地訪問、これ、私が訪問したときにも話出てくるんです。JICAの訪問者の、固有名詞は言いませんが、○○さんという人が来たと、来るたびに我々は現地の問題をお話をしていると、しかし何も起こらないというふうに言われているんです。理事長、これが実態なんですよ、そこまでお聞きになっているかどうか分かりませんが。JICAの人に訴えるんだけれども、現地、何も起こらないから書簡も出すんだけれど、何も返事が来ないと。一体どういうことなのか。
 これ、写真で一部、今日ちょっと全部出せませんので、興味ある方はまたお見せしますが、これは移転前の様子、これはちょっと一部で、既に移転された方々のところはもう既に整地が始まっているので、これは現在、この次に移転対象になる二千ヘクタールにある住居、こういう感じの、家は確かに古いです。しかし、非常にスペースのある住環境で暮らしておられます。移転後は、土地が、私も百聞は一見にしかずで現地行ってみてよく分かりました、狭いです。密集しています、家が。で、農業はできない、家畜も持っていけない。これ全部、家畜を持っておられる方、それによって日々の生計立てられていた方も全部処分をせざるを得ないという状況が見て取れます。
 右側の上、これ、水がひどいです。井戸があるんですが、井戸に藻が大量に発生をしております。ポンプがあって、ポンプを出すと、これはちょっと見にくいかもしれませんが、バケツの中に泥水がある。これ、ポンプから出てきた水です。何の操作もありません。これ、何に使えというのかというふうに住民は憤っておられます。
 下の方は、これ、政府のさっき補償額、今日は補償額の中身に突っ込みませんが、家の補償額は二・五ミリオンチャットだそうですが、それによって政府が建てるとこういう家を建ててくれたそうです。既に何か月かで家の中、私も入ってごろんとしてみましたが、隙間だらけ、大変ずさんな建築です。土台がもうこういう、ちょっと見えにくいね、土台が、金具がもう外れたりひびが入ったりしております。半年たたないうちにこういう状況です。これが補償額で、多くの住民の皆さんは、この補償額で政府が造ったらこういうことになるというのが分かっているので、自分たちで補償の中から補填をして自分たちで家を建てられている。だから、補償額はもう全然十分じゃないということのようですが。
 左の下の、移転後の様子の下の写真で、これはちょっと見にくい、こういう状況なんですけれども、舗装されていないんですね。で、家の部分が道路より低いんです。これからミャンマーは雨季になります。雨季になって大変なことになるのではないかとすごく心配をされていて、実際、今朝届いた写真で、週末に大雨が降ったそうです。大雨が降ったら、既にその一回の大雨で水浸しになったそうです。これ、雨季になったらどんなことになるんだろうと住民、懸念をされております。
 学校の問題もしかりです。これJICAに言ったら、学校の問題どこまで把握されているのか。それもそのJICAの専門家には伝えていると言いましたが、六月に学校を再開しますけれども、学校に通えていない子供がいるというふうに私は聞いております。
 こういった問題に対して、JICAがきちんと、ミャンマー政府が対応するんだと。しかし、対応されていないからこの問題が今なお残っていて、住民の皆さんはJICAに対して何とか対応してほしいと書簡を送っているんじゃないでしょうか。
 理事長、これ責任持ってもう早急に対応いただきたい。それ約束していただきたいと思いますが、いかがですか。

○参考人(田中明彦君) 今委員おっしゃったように、移転先の状況の中には大変課題を抱えているものが多いというのは、それは私も認識しております。この点についても、更にミャンマー政府に必要な働きかけを行って改善できるような形に持っていきたいというふうに思っておりますし、それからまた、先ほど来お話しのその対話の在り方ですね。これについても、繰り返しになりますけれども、ミャンマー政府の主体性と私どもの要求とをうまく合致させるような形で望ましい対話の在り方、これは書簡も含めてですけれども、そういう形を含めて追求してまいりたいと思っております。

○参考人(田中明彦君) この環境社会ガイドラインに沿っておるかどうかについては、ミャンマー政府が第三者によるモニタリングを実施するというふうに承知しております。

○石橋通宏君 これ、住民は全くこの件については知らないと言っておりますので、第三者モニタリングが幾らやられようとも当事者たる住民の皆さんが含まれていなかったら全く意味がありませんので、これ、もしミャンマー政府がやるということであればJICAもしっかり関与していただいて、第三者、これ勝手に政府がやるのではなく、きちんと住民の参加に基づくモニタリングが行われるように、これは是非確保をしてください。
 外務大臣、今質疑聞いていただいたと思いますけれども、これから次なる、この先ほどの三つのフェーズでいけば二千ヘクタール、より多くの農民の皆さん、住民の皆さんが非自発的移転の対象になる、ここに協議が移ってきます。今回私もそこの皆さんとも対話をいたしましたけれども、既にそこの皆さん、今のクラスAの状況を見ておられるので、本当に心配をされております。
 例えば既に、まだ農民の皆さん農業をやっていらっしゃるにもかかわらず、二年前に農業用水のかんがいが止められてしまって、施設が取っ払われてしまいました。乾季に農業ができなくなってしまって、収入が半減になっております。こういったこと。さらには、先日、四月の二十七日に行われた最初の住民との協議では、どうも現地の農業省は住民の皆さんに農業を停止せよというような指示を出した。これ移転がまだ数年先になるかどうかも分からないのに、今年もう農業を停止せよという指示まで出しておられると。
 これは大変な問題だと思いますが、こういったこれからの協議に向けて、改めて、外務大臣、JICAは今理事長はしっかりやるという答弁されましたけれども、外務省としても責任持って、住民の皆さん、ステークホルダーの参加、これを真摯にしっかりとやっていくということで確約をいただきたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、本件、ティラワの経済特区開発事業ですが、これは海外からの直接投資を通じてミャンマーの持続的経済成長を実現し、そして雇用の創出等を通じて貧困削減にもつなげていく、こういった意味で大変有意義な事業であるとまず認識をしております。そして、この事業を進めるに当たりましては、御指摘のように、住民移転等が生じる場合には移転後の生計回復支援も含めて住民の意思等に十分配慮した適切な措置が確保されること、大変重要だと認識をいたします。
 そして、JICAの対応につきましては、先ほど田中理事長から説明がありましたように、丁寧にそしてしっかりと進めてもらわなければならないと考えておりますが、我が国政府としましても、是非、ミャンマー政府に対しまして、国際基準に基づいた対応を住民移転においても行うよう働きかけていきたいと存じます。国際基準、要は世銀にガイドラインがあると聞いておりますが、こうした国際的な基準に基づいてしっかりとミャンマー政府に対応してもらうべく、日本政府としましても直接働きかけを行っていきたいと考えます。

○石橋通宏君 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますが、モザンビークとミャンマーの事例、これ実は共通の話です。ステークホルダー、市民社会の対話、これがしっかり行われていなければやはり正しいODA推進できないということですので、今大臣に答弁いただきましたので、是非政府としても責任持って対応いただくようお願いをして、質問を終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。

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Author:MozambiqueKaihatsu
「モザンビーク開発を考える市民の会」の公式サイトへようこそ!本サイトでは、モザンビークの草の根の人びとの側に立った現地・日本・世界の情報共有を行っています。特に、現地住民に他大な影響を及ぼす日本のODA農業開発事業「プロサバンナ」や投資「鉱物資源開発」に注目しつつ、モデルとされるブラジル・セラード開発についての議論も紹介。国際的な食・農・土地を巡る動きも追っています。

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